JPS6214261B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は新規な食品、即ち豆腐のかつの製造
方法に関する。

（従来の技術） 豆腐は伝統的な食品の一つとして親しまれて来
て、以前からその加工、調理には各種のものが知
られていた。また特に、最近は豆腐の高蛋白、低
カロリーの面が注目され、その需要はますます増
大する傾向にある。こうしたことから、豆腐の加
工、調理にも従来に見られない各種のものが現れ
るようになつてきた。その一つに豆腐のコロツケ
が製造、販売されるようになつてきた。これは豆
腐を脱水破砕し具と共に練り込み、がんもどき同
様に整形し、さらに衣をつけて油揚げしたもので
ある。しかし、いまだ豆腐を素材にしたかつは製
造、販売されていない。それはかつの場合は衣が
堅く、一方生地の豆腐は柔らかく、また水分も多
いため両者の剥離がすぐに生じ、優れた食感をも
つたものが得られないことが主な原因であつたと
考えられる。

（発明が解決しようとした問題点） この発明は生地の豆腐を従来のそれと異なつた
製法によつて得ることにより、また生地豆腐に対
して特殊な味付けを行なうことより、生地豆腐と
衣との一体性を保つようにして喫食に際しても両
者が剥離することない優れた食感の豆腐かつを得
ようとしたものである。

（問題点を解決するための手段） この発明は、大豆を水に浸漬して適宜に膨潤し
たのちこれを磨砕し、この磨砕物を加熱して蛋白
の熱変性を充分に行なつてからおからを分離して
豆乳を得、これに凝固剤を加えて生地豆腐を得て
これを所定形状にカツトし、次にこれに付け粉を
まぶしついで小麦粉、植物性油脂、食塩、化学調
味料および天然ガムを主原料とするバターミツク
スを付着して豆腐の水分がしん出しないようにし
その上にパン粉を付け、これを油温140〜200℃で
３〜５分油揚げ処理し、その後20〜30℃の温風で
10〜20分冷却することを特徴とする豆腐かつの製
造方法である。以下にこの発明の詳細を説明す
る。

この発明にあつては、まず生地の豆腐をつくら
なければならない。その製法は大体従来のそれと
類似しているが、必ずしも同一ではない。即ち、
原料大豆をよく洗浄してこれを水に浸漬して膨潤
させる。この方法としては、容器に清水をオーバ
ーフローさせながら４〜12時間行なうのがよい。
よく膨潤した大豆はこれに水を混入して磨砕機に
かけ常法によつて磨砕する。磨砕液はこれに少量
の消泡剤を加え釜へ送る。ここで一定時間加熱を
行なつて大豆蛋白の熱変性を行なう。本発明にお
いて、ここでの大豆蛋白の熱変性は製品の良非に
直接影響する極めて重要な工程である。即ち、こ
こでの加熱によつて蛋白の活性を確実に消滅させ
るように充分熱変性をさせなければならない。し
かし、過度の熱変性は避けなければならない。即
ち、過度に加熱すれば食感の悪い豆腐となり品質
をそこない、また過少に加熱すれば、蛋白質の活
性により豆腐は次にのべる油揚げ工程で型のくず
れ、衣の剥離等の原因となり品質をそこなう。よ
つて、ここでは過度に至らない限度でという意味
で充分な熱変成をおこなう必要がある。なお、こ
こでの加熱処理は、好ましくは連続蒸煮釜を用い
る方法である。すなわち、蒸煮釜の一方から磨砕
液を入れるとともに、たとえば蒸気圧1.2〜2.0
Kg／cm²の飽和蒸気をここに供給して２〜３分釜内
に滞留し大豆蛋白の熱変性を行なうようにすると
熱変性は均一にしかも充分におこなわれてよい。
蒸煮の最終段階で戻し水を加えその後の熱変性の
進行を停止させる。その後これからおからを常法
によつて分離して豆乳を得る。ここでの豆乳の
brix濃度は4.5〜5.0％、温度は68〜74℃の範囲と
するのがよい。ついで、これに凝固剤を添加して
凝固槽に送りここで豆乳の凝固を行なう。凝固剤
の使用量は豆乳に対し重量で５〜６％でよい。凝
固剤の添加後５〜８分で豆乳が凝固するから、次
にプレスコンベアなどによる脱水工程を経て豆腐
を得る。その後これをカツトして所定の大きさと
する。なお、この大きさは最終製品をかつとする
ため必要な大きさとすればよいが、例えば厚さ10
×10mm程度とするのがよい。次にこれを調味液に
浸漬して味付けをする。ここに於ける調味液は、
各種のものが採用されるが、一例として醤油、味
りん、異性化糖、かつおエキス、食塩、化学調味
料、香辛料、カラメル等を混合して加温した液を
用い、この中に上記の生地豆腐を浸漬する。豆腐
の浸漬は生地豆腐が充分に冷却されてから行なう
のがよい。また浸漬時間は30分〜３時間程度がよ
く、30分未満では味のしみこみが不充分である。
なお、調味液の種類により最終製品のバリエーシ
ヨンが可能である。

調味液に浸漬した生地豆腐はその後浸漬槽から
引上げ、ここでよく脱水を行なう。好ましくはこ
こで軽く脱水工程にかけるのがよい。次にこれに
付け粉をその両面にまぶし、ついでバターミツク
スの中をくぐらし、ここでパン粉を付ける。ここ
で用いるバターミツクスは、本発明のために特に
開発されたもので、小麦粉、植物性油脂、食塩、
化学調味料、天然ガム等を原料としたものであ
る。このバターミツクスを豆腐の表面に付けその
外周を被覆することによつて、その更に外周に付
けるパン粉の付着は良好となつて生地豆腐と衣の
剥離が生じなくなるとともに、豆腐の中の水分は
バターミツクスの被膜で遮断されて外部にしん出
されることが防止されるようになり、豆腐かつの
製造が可能となつたのである。衣付きの終了した
豆腐は、これを連続的に油揚げする。ここでの湯
温は140〜200℃と一般の油揚げの場合よりも低温
とし、また揚げ時間も３〜５分と短時間で終るよ
うにする。油揚げ処理の終了した豆腐はこれを風
乾する。この風乾は好ましくは常温以下、例えば
15〜20℃の少し低温の風がよい。これを包装し製
品とする。

以上この発明による豆腐かつは、喫食時に生地
豆腐と衣の剥離がなく両者が一体となつて良好な
食感を呈するのみならず、生地豆腐もひきしまつ
てあたかも柔らかい肉のような歯応えを感じさせ
る食品を得ることが出来る。この豆腐かつは、副
食品として、またそれ自体各種のつまみとして好
適に用いることができる。

実施例 国内産大豆１Kgを容器に入れ、これに清水を連
続的に供給してオーバーフローの状態で６時間浸
漬しこれを膨潤させた。その後これを取出しよく
水切りをしてこれに水8.5を加え磨砕機で磨砕
した。ついでこれを応力釜に入れで３分加熱し、
これに水3.5を加え大豆蛋白の熱変性を停止さ
せるとともに湯温を71℃まで降下させた。これよ
りおからを分離し豆乳14を得た。これに凝固剤
としてbrix2.5％の塩化マグネシウム溶液を2.5
を加え８分間静置して凝固させた。これを脱水
機、すなわちプレスコンベアにかけて脱水してか
ら、カツターでタテ５cm、ヨコ2.5cm、厚さ１cm
の大きさにカツトした。調味液は別に用意した。
この調味液は醤油、味りん、異性化糖、かつおエ
キス、食塩、化学調味料、香辛料、カラメル等を
よく混合し煮ふつしたものである。この調味液に
上述の豆腐を１時間浸漬した。下味の付いた豆腐
はよく液切りを行なつて、次にこれに付粉をその
まわりにまぶし、それからこれをバターミツクス
の中を通した。バターミツクスは小麦粉、植物性
油脂、食塩、化学調味料、天然ガム等をよく混合
したものである。バターミツクスをくぐつたのち
は、次にパン粉を付けた。油揚げは、油温160℃
で５分行なつた。油槽より取出した豆腐かつは、
ただちにこれを温度20℃の風で20間冷却し最終的
にこの発明になる豆腐かつを得た。これを副食と
して喫食しみたところ、極く柔らかい肉様な歯応
えが感じられ、しかもその際生地豆腐と衣との剥
離は全くなかつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大豆を水に浸漬して適宜に膨潤したのちこれ
   を磨砕し、この磨砕物を加熱して蛋白の熱変性を
   充分に行なつてからおからを分離して豆乳を得、
   これに凝固剤を加えて生地豆腐を得てこれを所定
   形状にカツトし、次にこれに付け粉をまぶし、さ
   らに小麦粉、植物性油脂、食塩、化学調味料、天
   然ガムを主原料とするバターミツクスを付着し豆
   腐の水がしん出しないようにしてからその上にパ
   ン粉を付し、これを油温140〜200℃で３〜５分油
   揚げ処理し、その後20〜30℃の温風で10〜20分冷
   却することを特徴とする豆腐かつの製造方法。