JPS6212873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、半密閉形あるいは開放形の圧縮機に
関し、特にその軸受部での油切れによる焼付きを
防止するようにした圧縮機に関するものである。

（従来の技術） 従来、半密閉形圧縮機においては、ケーシング
内を架構によつて、モータが配されるモータ室
と、該モータの回転軸に連接されてシリンダ内の
ピストンを往復駆動せしめるクランク軸が配され
るクランクケース室とに仕切り、該クランクケー
ス室の下部に油溜り部を設け、該油溜り部に油吸
込通路の一端の吸込口を開口させ、該油吸込通路
の他端を前記クランク軸によつて駆動されるオイ
ルポンプに連通し、該オイルポンプにより、油溜
り部の油を油吸込通路を介して吸込んだのち油供
給通路を介して前記クランク軸の両端部を支承す
る各軸受部に供給するようになされている。そし
て、各軸受部を潤滑した油はその大部分が直接ク
ランクケース室に還流され、一部がモータ室から
架構に設けた逆止弁を介してクランクケース室に
還流される。さらに、前記オイルポンプから圧送
される油の圧力を検出して該油圧が所定値以下に
なると前記モータの作動を停止せしめる油圧保護
圧力開閉器を設けて、前記油溜り部の油面が油吸
込通路の吸込口以下に低下した際、それを油圧低
下によつて検出して前記モータの作動を停止す
る、すなわち圧縮機の作動を停止することによ
り、各軸受部での油切れによる焼付きを防止する
ようになされている。

そして、前記油溜り部の油面低下の原因として
は、ピストン又はピストンリングもしくはシリン
ダライナーに摩耗等が生じて、シリンダ内の冷媒
ガスがクランクケース室内に洩れた場合等に、ク
ランクケース室内の圧力が上昇する結果、逆止弁
が閉弁状態に拘束されてモータ室内に溜つた油が
クランクケース室内に戻らないことに依る。ま
た、油の一部がシリンダ内等に流入し冷媒ガスと
共に吐出されて冷媒回路中に溜ることに依る。

（考案が解決しようとする問題点） しかるに、前記従来のものでは、油溜り部の油
面が油吸込通路の吸込口の位置まで低下した際、
油吸込通路に冷媒ガス等が供給されることによ
り、油圧が低下し、これにより前記油圧保護開閉
器が作動して、モータ（圧縮機）の作動が停止さ
れるが、そ際にはすでに油が供給されていないた
めに各軸受部に油切れが生じ、油切れによる焼付
きを十分に防止し得ないという問題があつた。特
に、このような油切れによつて、一旦、圧縮機が
停止したのち、使用者が誤操作等により再び圧縮
機を作動させた際には前記焼付きによる破損を招
くという不具合があつた。

そこで、本考案はかかる不具合を解消すべくな
されたもので、前記油吸込通路の吸込口より上方
の位置で油溜り部に開口する補助吸込口を設け、
該補助吸込口よりも油面が低下した際には油圧保
護圧力開閉器を作動させるようにすることによ
り、吸込口からの油の吸込みを行いながら、補助
吸込口から冷媒ガス等が少量でも吸込まれたとき
には直ちに圧縮機の作動を停止するようにして、
油切れによる焼付きの発生を未然に防止できるよ
うにした圧縮機を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため、本考案の講じた解決手段は、モータ
５によつて駆動されるクランク軸６が配されたク
ランクケース室４と、該クランクケース室４内の
下部に設けられた油溜り部１５と、該油溜り部１
５に開口する吸込口１８を一端に有する油吸込通
路１７と、該油吸込通路１７の他端に連通し、前
記クランク軸６によつて駆動されるオイルポンプ
１９と、該オイルポンプ１９から圧送される油を
前記クランク軸６の各軸受部１ａ，２ｂに供給す
る油供給通路２０，２１と、前記オイルポンプ１
９から圧送される油の圧力を検出して該圧力が設
定値以下のときに前記モータ５の作動を停止させ
る油圧保護圧力開閉器２３とを備えた圧縮機にお
いて、前記油吸込通路１７に、前記吸込口１８よ
り上方の位置で油溜り部１５に開口する補助吸込
口２８を設ける構成としたものである。

（作用） 前記の構成により、本考案では、シリンダから
のガス洩れ等によるクランクケース室４内の圧力
上昇によつて潤滑後の油の一部がクランクケース
室４の油溜り部１５に還流せずに、油溜り部１５
の油面が低下した際、油面が補助吸込口２８の位
置に低下すると、該補助吸込口２８から冷媒ガス
等がオイルポンプ１９に吸込まれて、オイルポン
プ１９から圧送される油の圧力が所定値以下に低
下することにより、それを油圧保護圧力開閉器２
３が検知してモータ５の作動を停止させ、圧縮機
が停止する。その際、補助吸込口２８から冷媒ガ
ス等が吸込まれると同時に、該補助吸込口２８よ
り下方位置の吸込口１８からは油が吸込まれるた
め、油圧保護圧力開閉器２３の作動時には、従来
では油吸込通路１７からほとんど冷媒ガス等のみ
が吸込まれるのに対し、油も吸込まれるので、各
軸受部１ａ，２ｂで油切れが生じることはなく、
油切れによる焼付きを未然に防止することができ
ることになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図は半密閉形圧縮機に適用した実施例を示
し、１はケーシング、２はケーシング１内に配置
固定された架構であつて、該架構２はケーシング
１内をモータ室３とクランクケース室４とに左右
に仕切る軸受支持部２ａを有し、該軸受支持部２
ａの中央には架構軸受部２ｂが形成されている。
前記モータ室３内にはモータ５が配置されてい
る。一方、前記クランクケース室４内には一端が
前記モータ５の回転軸５ａに連接されたクランク
軸６が配置され、該クランク軸６の一端は前記架
構軸受部２ｂに主軸受金７を介して回転自在に支
承されているとともに、他端はケーシング１に設
けたケーシング軸受部１ａに主軸受金８を介して
回転自在に支承されている。また、９，９は前記
架構２に形成された複数個（図では２個）のシリ
ンダであつて、各シリンダ９内にはピストン１０
が摺動自在に嵌装され、該各ピストン１０は連接
棒１１を介してクランク軸６に連結され、モータ
５の作動によるクランク軸６の回転駆動によつて
ピストン１０，１０を往復動せしめ、このピスト
ン１０，１０の往復動により吸入管１２からモー
タ室３を経て各シリンダ９，９内に吸入されたガ
スを圧縮して吐出管１３に吐出せしめるように構
成されている。尚、１４はシリンダヘツドカバー
である。

一方、１５はクランクケース室４の下部に形成
された油溜り部であつて、該油溜り部１５の上面
には油フイルタ１６が張設されている。１７はケ
ーシング１に形成された油吸込通路であつて、該
油吸込通路１７の一端に設けた吸込口１８は前記
油溜り部１５の底面付近に開口し、油吸込通路１
７の他端は、前記クランク軸６の軸端部に連設さ
れてモータ５によつて駆動されるオイルポンプ１
９に連通している。さらに該オイルポンプ１９
は、ケーシング１に穿設された油供給通路２０お
よび該油供給通路２０に連通してクランク軸６に
穿設された油供給通路２１を介して連接棒１１の
大端部内面、ケーシング軸受部１ａおよび架構軸
受部２ｂに連通し、油溜り部１５の油をオイルポ
ンプ１９により油吸込通路１７から吸込んだの
ち、各油供給通路２０，２１を介して連接棒１１
の大端部内面および各軸受部１ａ，２ｂに供給し
て、潤滑を行うとともに、潤滑後の油を、連接棒
１１の大端部内面およびケーシング軸受部１ａに
あつては直接油溜り部１５に還流させ、架構軸受
部２ｂにあつてはモータ室３に溜めたのち、架構
２の軸受支持部２ｂに設けたボール弁で構成した
逆止弁２２を介して油溜り部１５に還流させるよ
うに構成されている。

さらに、２３はオイルポンプ１９から圧送され
る油の圧力、図では油供給通路２０の油圧を検出
して開閉作動し、油圧が所定値以下のときに開く
油圧保護圧力開閉器であつて、該油圧保護圧力開
閉器２３は、第２図に示すように、前記モータ５
の作動回路２４に並列に接続されているととも
に、油圧保護圧力開閉器２３に直列に補助リレー
２５が接続され、該補助リレー２５のリレー接点
２５ａは作動回路２４に直列に接続されて、前記
油圧保護圧力開閉器２３が油圧低下により開作動
した際、補助リレー２５の消磁によりそのリレー
接点２５ａが開いて作動回路２４を開放せしめ、
モータ５の作動を停止せしめるように構成されて
いる。尚、第２図において、２６は運転スイツ
チ、２７はサーモスタツトである。

そして、前記油吸込通路１７の途中には、前記
吸込口１８より上方の位置で油溜り部１５に開口
する補助吸込口２８が設けられている。

したがつて、前記実施例では、シリンダ９，９
からのガス洩れ等によるクランクケース室４内の
圧力上昇によつて逆止弁２２が閉止され、モータ
室３内の油がクランクケース室４の油溜り部１５
に還流せずに、油溜り部１５の油面が低下した
際、油面が補助吸込口２８の位置に低下すると、
該補助吸込口２８から冷媒ガスがオイルポンプ１
９に吸込まれて、オイルポンプ１９から圧送され
る油の圧力が所定値以下に低下することにより、
それを油圧保護圧力開閉器２３が検知して開作動
してモータ５の作動は停止し、圧縮機が停止す
る。その際、補助吸込口２８から冷媒ガスが吸込
まれると同時に、該補助吸込口２８より下方位置
の吸込口１８からは油が吸込まれるため、油圧保
護圧力開閉器２３の作動時には、従来では油吸込
通路１７からほとんど冷媒ガスのみが吸込まれる
のに対し、本実施例では油吸込通路１７によつ
て、例えば冷媒ガスと油とが３：７程度の割合で
吸込まれるので各軸受部１ａ，２ｂで油切れが生
じることはなく、油切れによる焼付きを未然に防
止することができる。また、たとえ、油圧保護圧
力開閉器２３の作動による圧縮機の停止後、再び
圧縮機を作動させても、吸込口１８が油溜り部１
５の油面より下方に位置しているため、焼付きを
生じることもない。すなわち、最初に油圧保護圧
力開閉器２３が作動した時点では、油面は補助吸
込口２８の位置にあり、従つてこの段階で、油は
所定量油溜り部１５に貯溜されている。このた
め、使用者が圧縮機を再起動させても、油吸込通
路１７には吸込口１８から油が吸込まれることと
なるため、焼付き等の事故を防止できるのであ
る。

従つて、使用者はこれによりピストンリングを
取り替えるなどをして圧縮機の保守点検を行い、
正常な状態で圧縮機を再び作動させることができ
るのである。

また、第３図は本考案の他の実施例を示し、油
吸込通路１７を吸込管２９で形成し、該吸込管２
９の下端開口部（吸込口１８）を油溜り部１５内
に臨ましめるとともに、該下端開口部に油フイル
タ３０を装着し、さらに前記吸込管２９に、下端
の吸込口１８より上方の位置で油フイルタ３０を
介して油溜り部１５に連通する補助吸込口２８を
開設したもので、その他の構成は前記実施例（第
１図）と同じであり、前記実施例と同様の作用効
果を奏することができるものである。

尚、以上の説明では半密閉形圧縮機に本考案を
適用した場合について述べたが、本考案はモータ
を別体としたものであつて、クランク軸の一端に
プーリを装着し、ベルトを介してモータで駆動す
る開放形圧縮機にも適用できるのは勿論のことで
ある。

（考案の効果） 以上の如く、本考案によれば、クランクケース
室下部の油溜り部の油を、該油溜り部に開口する
吸込口を有する油吸込通路を介してオイルポンプ
により吸込んでクランク軸の各軸受部に供給する
とともに、該オイルポンプからの油圧が所定値以
下に低下した際に油圧保護圧力開閉器によりモー
タの作動を停止させるようにした圧縮機におい
て、前記油吸込通路に前記吸込口より上方の位置
で油溜り部に開口する補助吸込口を設けたことに
より、油溜り部の油面の低下に伴う補助吸込口か
らの冷媒ガス等の吸込みによる油圧低下により油
圧保護圧力開閉器が最初に作動した時点で、油溜
り部に所定量の油を貯溜可能として、その油を前
記補助吸込口より下方の位置の吸込口から供給す
るようにしたので、クランク軸の各軸受部等にお
いて油切れによる焼付きを未然にかつ確実に防止
することができ、圧縮機の耐久性を向上させるこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
一実施例を示す破断側面図、第２図は圧縮機モー
タの作動回路図、第３図は他の実施例を示す要部
断面図である。 １……ケーシング、１ａ……ケーシング軸受
部、２……架構、２ｂ……架構軸受部、３……モ
ータ室、４……クランクケース室、５……モー
タ、５ａ……回転軸、６……クランク軸、１５…
…油溜り部、１７……油吸込通路、１８……吸込
口、１９……オイルポンプ、２０，２１……油供
給通路、２３……油圧保護圧力開閉器、２８……
補助吸込口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータ５によつて駆動されるクランク軸６が配
   されたクランクケース室４と、該クランクケース
   室４内の下部に設けられた油溜り部１５と、該油
   溜り部１５に開口する吸込口１８を一端に有する
   油吸込通路１７と、該油吸込通路１７の他端に連
   通し、前記クランク軸６によつて駆動されるオイ
   ルポンプ１９と、該オイルポンプ１９から圧送さ
   れる油を前記クランク軸６の各軸受部１ａ，２ｂ
   に供給する油供給通路２０，２１と、前記オイル
   ポンプ１９から圧送される油の圧力を検出して該
   圧力が設定値以下のときに前記モータ５の作動を
   停止させる油圧保護圧力開閉器２３とを備えた圧
   縮機において、前記油吸込通路１７に、前記吸込
   口１８より上方の位置で油溜り部１５に開口する
   補助吸込口２８を設けたことを特徴とする圧縮
   機。