JPS6212815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカム軸のオイルシール部材装着部付近
の潤滑油経路を改良した内燃エンジンにおけるオ
イルシール装置に関する。

第１図は従来の内燃エンジンにおけるオイルシ
ール装置の要部断面図であり、同図中１はシリン
ダヘツドで、該シリンダヘツド１上に載置された
カム軸ホルダ３の軸受部３ａとシリンダヘツド１
に設けられたカム軸受部４とから成る軸受５には
カム軸２の一端が回転自在に支承されている。該
カム軸２の他端は前記シリンダヘツド１の外方に
突出しており、該突出端部にはプーリ６が固定さ
れている。このプーリ６はタイミングベルト６ａ
を介して、図示しないクランク軸に取り付けられ
たプーリと連結され、エンジン回転に同期して前
記カム軸２が回転駆動される。

前記カム軸ホルダ３及びカム軸受部４の外方端
部に設けられたオイルシール部材装着部７にはオ
イルシール部材８が液密に装着されている。該オ
イルシール部材８により、ロツカシヤフト９内の
通路９ａから前記カム軸ホルダ３の通路３ｂを介
して前記軸受５の内周面とカム軸２の外周面との
間に供給された潤滑油が、前記シリンダヘツド１
の外部へ漏出するのを防止し、前記オイルシール
部材装着部７と軸受５との間に形成した環状の油
溜室１０内に溜まる構造となつている。

しかしながら、上述した従来装置においては、
前記カム軸２の外周面と軸受５の内周面との間か
らオイルシール部材装着部７内に漏出する潤滑油
を、オイルパンへ還流させるための還流経路が形
成されていないために、前述のようにオイルシー
ル部材８にて阻止された潤滑油が、経時に伴い前
記油溜室１０に充満し、その結果、この充満した
潤滑油が、油溜室１０からカム軸２の外周面とオ
イルシール部材８の内周面との間からシリンダヘ
ツド１の外方へ漏出し、潤滑油漏れの原因となつ
ている。このため、従来、ジヤーナル受け部より
接合面間隙に侵入した潤滑油をオイルガイド構内
を介してシリンダヘツドの内部空間に戻すように
したもの（特開昭53−25711号公報）が知られて
いる。

しかし、この従来装置は、そのオイルガイド溝
が、シリンダヘツドの上面と略平行に設定されて
いるので、シリンダヘツド上面を略水平状態にし
てエンジンを車体へ搭載する場合は問題ないが、
エンジンルーム内のスペースや補機類配置レイア
ウト等の都合により、シリンダヘツド上面が大き
く傾斜した状態で、エンジンが車体へ搭載された
場合、例えば、オイルガイド溝の上流端側が高く
なりすぎると、オイルガイド溝を介するシリンダ
ヘツドの内部空間側への潤滑油の流れが円滑に行
なわれず、また、逆にオイルガイド溝の下流端側
が低くなりすぎると、油溜室内の潤滑油が総てオ
イルガイド溝を介してシリンダヘツドの内部空間
側へ流入してしまつて、該油溜室内に潤滑油が定
量溜まらず、潤滑作用が円滑に行なえないという
問題があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、エ
ンジンの車体への搭載時、常にオイルガイド溝が
略水平となつて、油溜室内の潤滑油の量が所定量
を超えると、その超過分の潤滑油を、オイルガイ
ド溝を介して、オイル戻し孔へ確実に導入し得
て、油溜室内に常に定量の潤滑油を溜めることが
できて潤滑を円滑に行なえると共に、該油溜室か
らオイルシール部材を介してシリンダヘツド外方
への潤滑油の漏出を確実に防止できるようにした
内燃エンジンにおけるオイルシール装置を提供す
ることを目的とする。

この目的を達成するために本考案においては、
内燃エンジンのシリンダヘツド上面に配設された
カム軸の一端を軸支する軸受を有し、該軸受の外
側端部に形成したオイルシール部材装着部にオイ
ルシール部材を装着した内燃エンジンにおけるオ
イルシール装置において、前記シリンダヘツド
に、一端が前記軸受と前記オイルシール部材装着
部との間に形成された油溜室内に開口し、且つ他
端が前記シリンダヘツド上面に形成されたオイル
戻し孔に臨んで開口すると共に前記エンジンを車
体へ搭載時略水平となるオイルガイド溝を形成し
て成り、前記カム軸受部から前記オイルシール部
材装着部方向に漏出して前記油溜室内に溜まつた
潤滑油のうちの所定量を超過した分の潤滑油を前
記オイルガイド溝を介して前記オイル戻し孔に導
くようにしたものである。

以下、本考案の一実施例を第２図乃至第５図に
基づいて説明する。

第２図及び第３図は本考案のオイルシール装置
の要部を示す斜視図及び平面図である。両図中２
０はシリンダヘツドで、そのカム軸ホルダ取付部
２１にはその軸方向に沿つて半円筒状のカム軸受
部２１ａが形成されている。該カム軸ホルダ取付
部２１の外側部には、前記カム軸受部２１ａと同
軸線上に位置し且つこのカム軸受部２１ａの半径
よりも大きい所定半径の半円筒状のオイルシール
部材装着部２２が形成されている。更に、前記カ
ム軸受部２１ａとオイルシール部材装着部２２と
の間には、第２図乃至第５図に示すように、これ
ら両者の半径間の所定の半径を有する半円筒状の
段差部２３が形成されている。これらのカム軸受
部２１ａ、段差部２３、及びオイルシール部材装
着部２２は互いに同心円状をなし、且つ段差状に
形成されている。この段差部２３には、オイルガ
イド溝２３ａが設けられている。該オイルガイド
溝２３ａは、第２図乃至第４図に示すように、一
端が前記カム軸受部２１ａとオイルシール部材装
着部２２との間に開口し且つ他端が前記シリンダ
ヘツド２０上面に形成されたオイル戻し孔２５に
開口している。前記オイルガイド溝２３ａは前記
シリンダヘツド２０の上面２０ａに対しオイル戻
し孔２５側端が高くなる如く所定の角度θだけ傾
斜しており、このオイルガイド溝２３ａはエンジ
ンを車体へ搭載した時に略水平となるように設定
されている。前記シリンダヘツド２０のボルト孔
２４ａに螺装したボルト（図示省略）により、該
シリンダヘツド２０と図示しないシリンダブロツ
クとが締付固定される。前記ボルト孔２４ａの上
端面のボルト座２４は前記シリンダヘツド２０の
上面２０ａから上方に所定の寸法だけ膨出して形
成されている。このボルト座２４に隣接して前記
シリンダヘツド２０の上面２０ａの隅部には前記
オイル戻し孔２５が穿設され、このオイル戻し孔
２５は図示しない前記シリンダブロツク内の通路
に連通している。前記シリンダヘツド２０の上面
２０ａに溜まる潤滑油は、前記オイル戻し孔２５
により、シリンダブロツク下方に配設される図示
しないオイルパンに戻される。

前記カム軸ホルダ取付部２１上にはカム軸ホル
ダ３０が載置固定されている。該カム軸ホルダ３
０には、第５図に示すように前記シリンダヘツド
２０のカム軸受部２１ａ、オイルシール部材装着
部２２及びこれらの間に設けられた段差部２３と
対向して、これらと同一の半径を有する半円筒状
のカム軸受部３０ａ、オイルシール部材装着部３
０ｂ及び段差部３０ｃが夫々形成されている。

前記オイルシール部材装着部２２と３０ｂとに
より形成された円環状の装着溝内には、オイルシ
ール部材３１が液密に装着されている。また、前
記カム軸受部２１ａと３０ａとにより形成された
カム軸受３３の端面と、前記オイルシール部材３
１との間には、前記段差部２３と３０ｃとより成
る略円環状の油溜室３４が形成され、この油溜室
３４の底部一側に前記オイルガイド溝２３ａが設
けられた状態になつている。

また、前記カム軸ホルダ３０には、該カム軸ホ
ルダ３０の上部に配設されるロツカシヤフト３２
の通路３２ａと前記カム軸受部３０ａとを連通す
る通路３０ｄが穿設されている。

かかる構成のオイルシール装置において、第５
図に示すようにオイルパンからオイルポンプを介
して、シリンダブロツク及びシリンダヘツド２０
内に設けられた図示しない潤滑油経路を通つて、
ロツカシヤフト３２内の通路３２ａに供給された
潤滑油は、この通路３２ａからカム軸ホルダ３０
の通路３０ｄを通りカム軸４０の表面に至る。こ
の潤滑油はカム軸４０とカム軸受３３との接触面
を潤滑した後、カム軸４０の軸方向（オイルシー
ル部材３１方向）に向かつて流れて油溜室３４内
に漏出し、該漏出した潤滑油はオイルシール部材
３１により、シリンダヘツド２０の外部に漏出す
ることなく、油溜室３４内に溜められる。

この油溜室３４内に溜まつた潤滑油が一定量を
超えると、その超過した潤滑油は第２図乃至第４
図に示すようにオイルガイド溝２３ａ内をボルト
座２４方向に向かつて流れ、ボルト孔２４ａに装
入されるボルトの頭部（図示せず）周辺を迂回し
てボルト座２４の上面に流れてオイル戻し孔２５
に流入する。該オイル戻し孔２５に流入した潤滑
油は、前述したシリンダブロツク内の通路を通つ
てその下方のオイルパンに戻される。

しかして、カム軸受部２１ａ，３０ａを潤滑し
た潤滑油は、前述したようにオイルガイド溝２３
ａを介してオイルパンに戻されるので、潤滑油が
オイルシール部材装着部２２，３０ｂからシリン
ダヘツド２０の外方へ漏出することが防止される
と共に、油溜室３４内に定量の潤滑油が溜まる。

以上説明したように本考案に依れば、シリンダ
ヘツドに、一端が軸受とオイルシール部材装着部
との間に形成された油溜室内に開口し、他端がシ
リンダヘツド上面に形成されたオイル戻し孔に臨
んで開口すると共に前記エンジンを車体に搭載時
略水平となるガイド溝を形成して成り、前記軸受
からオイルシール部材装着部方向に漏出して前記
油溜室内に溜まつた潤滑油のうちの所定量を超過
した分の潤滑油を、前記ガイド溝を介して前記オ
イル戻し孔に導くようにしたものである。従つ
て、オイルシール部材装着部と軸受との間に溜ま
る潤滑油が定量を超えると、その超過分の潤滑油
がオイルガイド溝を介してオイル戻し孔に戻るの
で、オイルシール部材装着部と軸受との間に必要
以上の潤滑油が溜まることがなくなり、この結
果、潤滑油がオイルシール部材装着部からシリン
ダヘツド外方へ漏出することがなくなり、オイル
の損失が防止されると共に、油溜室内に潤滑油が
定量溜まり、潤滑作用も円滑に行なわれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃エンジンにおけるオイルシ
ール装置の要部断面図、第２図乃至第５図は本考
案の一実施例を示し、第２図は本考案の内燃エン
ジンにおけるオイルシール装置の要部を示す斜視
図、第３図は同平面図、第４図は第３図の−
線に沿う断面図、第５図は本考案のオイルシール
装置の断面図である。 ２０……シリンダヘツド、２１ａ……カム軸受
部、２２……オイルシール部材装着部、２３ａ…
…オイルガイド溝、２５……オイル戻し孔、３１
……オイルシール部材、４０……カム軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃エンジンのシリンダヘツド上面に配設され
   たカム軸の一端を軸支する軸受を有し、該軸受の
   外側端部に形成したオイルシール部材装着部にオ
   イルシール部材を装着した内燃エンジンにおける
   オイルシール装置において、前記シリンダヘツド
   に、一端が前記軸受と前記オイルシール部材装着
   部との間に形成された油溜室内に開口し、且つ他
   端が前記シリンダヘツド上面に形成されたオイル
   戻し孔に臨んで開口すると共に前記エンジンを車
   体へ搭載時略水平となるオイルガイド溝を形成し
   て成り、前記軸受から前記オイルシール部材装着
   部方向に漏出して前記油溜室内に溜まつた潤滑油
   のうちの所定量を超過した分の潤滑油を前記オイ
   ルガイド溝を介して前記オイル戻し孔に導くよう
   にしたことを特徴とする内燃エンジンにおけるオ
   イルシール装置。