JPS6212490B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液状の電気光学物質を封入してなる電
気光学表示セルの製造方法に関する。

電気光学表示セル例えば液晶表示セルはシール
材を介して２枚の電極基板を重合固着し、内部に
液晶を充填封入した構成をなしている。そして最
近この電気光学表示セルを製造する方法として、
例えば第１図で示すように複数のセルに応じた電
極を形成した第１の電極基板素材Ａと、この電極
基板素材Ａの電極と対応した電極を形成した第２
の電極基板素材Ｂを作り、次に例えば電極基板素
材Ｂの電極形成面に各セルをシールするためのシ
ール材Ｃを被着し、このシール材Ｃを介して両電
極基板素材Ａ，Ｂを重合して焼成固着して、さら
にシール材Ｃで囲まれた各セル内部に液晶を注入
し、最後に各電極基板素材Ａ，Ｂをその切込線
Ｄ，Ｄに沿つて分断し複数のセルを得る方法が開
発されている。この製造方法は複数のセルをまと
めて作るため、製造能率が良く多量生産に適し製
造コストを低減できる利点がある。

しかしながら、この種の従来の製造方法におい
ては、各セルに液晶を注入するための方法に充分
な考慮がはらわれていなかつた。即ち、従来の製
造方法においては、図示するように電極基板素材
Ｂの左側列の各セルでは左側縁に面したシール材
Ｃに注入口Ｅを形成し、右側列の各セルでは右側
縁に面したシール材Ｃに注入口Ｅを形成してい
る。このため、液晶の注入は各セル列毎に２回に
分けて行う必要があり作業効率が悪く、また各セ
ルの注入口が電極基板の両側にあるため、両側セ
ル列の中間にさらにセル列を設けようとしても注
入口の形成ができず、電極基板素材上に設けるセ
ル列は２列に限定され、３列以上のセル列を設け
て更に量産性を高めるということはできない。

また、複数のセルを直列的又は並列的に連結部
で連結した連結容器を形成し、この連結容器に電
気光学物質を注入した後、個々のセルに分離する
方法も提案されている。しかし、この様な方法で
は、各セルとは別に前記連結部を形成しなければ
ならず、基板形状及びシール形状が複雑になると
共に個々のセルに分離する際に前記連結部を切断
して除去しなければならない。したがつて、基板
及びシール材が無駄となり、効率よく製造するこ
とができず、またその工程が多くなり、量産性に
劣るという欠点があつた。

更に、TN（ツイステツド・ネマチツク）タイ
プの液晶表示セルを上記従来の製造方法により製
造した場合には、セルの視角位置（表示が最も良
く読みとれる位置）と注入口の設けてある位置と
の関係が右側列のセルと左側列のセルとで異なる
ので２種のセルが出来てしまいセルの標準化が図
れない。

本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、３
列以上のセル列の形成が可能で量産性を高めるこ
とができるとともに全てのセルに１回で液状の電
気光学物質の注入が行なえて作業能率を向上さ
せ、さらにセルの標準化が図れる電気光学表示セ
ルの製造方法を提供するものである。

以下本発明を図面で示す実施例について説明す
る。

本実施例は液晶表示セルを製造する場合であつ
て、初めに第２図で示すように第１の電極基板素
材１と第２の電極基板素材２を各々作つて用意す
る。これら両電極基板素材１，２は１枚のガラス
板からなり、夫々12個の電極基板１ａ〜１ｌ及び
２ａ〜２ｌを得ることが出来るようになつてい
る。なお、第１の電極基板素材１の１ａ〜１ｃ、
１ｇ〜１ｉ及び第２の電極基板素材２の２ｄ〜２
ｆ、２ｊ〜２ｌがセル形成時に於て例えばセグメ
ント電極基板となるものであり、また、第１の電
極基板素材１の１ｄ〜１ｆ、１ｊ〜１ｌ及び第２
の電極基板素材２の２ａ〜２ｃ、２ｇ〜２ｉがセ
ル形成時に於て例えば前記セグメント電極基板に
対向するコモン電極基板となるものである。そこ
で、第１の電極基板素材１の一面（図示下面）及
び第２の電極基板素材２の一面（図示上面）に、
夫々第３図に示すようにコモン電極３及びセグメ
ント電極４とその端子電極３ａ，４ａを形成す
る。つまり、両電極基板素材１，２は全く同一パ
ターンの電極が形成されているわけである。しか
して、例えばTNタイプの液晶表示セルを製造す
る場合には、更に、両電極基板素材１，２の電極
形成面に絶縁コーテイング及び液晶分子を配向さ
せる為の配向処理が施される。この配向処理は、
例えば電極基板素材１，２の電極形成面にポリイ
ミド等の樹脂をコーテイングした後綿等で一方向
にこすることにより行なわれる。この場合、セル
形成時に視角位置を手前に持つて来る為には、電
極基板素材１，２を夫々第３図に示すように配置
した後左上から右下にかけて（45度の向き）こす
るようにすれば良い。第１の電極基板素材１の他
面（上面）には各電極基板１ａ〜１ｌの区画線に
沿い分断用の切込線５を、また第２の電極基板素
材２の一面（上面）には各電極基板２ａ〜２ｌの
区画線に沿い切込線６を、各々適宜な加工機械で
切込み形成する。この切込線６の形成は、電極を
形成した後に行つても良いが、電極を形成する前
に行うことが望ましい。なお、電極基板素材１，
２の他側線に沿つた部分は余白部分とする。

次に例えば第２の電極基板素材２の電極形成面
上に、エポキシ等の樹脂或いはガラスフリツトな
どからなるシール材７をスクリーン印刷法などに
よつて、各電極基板２ａ〜２ｌの電極形成部を囲
むように塗布被着し、各セルの液晶封入部とこれ
らの液晶封入部に液晶を導入するための液晶導入
路とを同時に形成する。この液晶導入路は、前記
電極基板素材２の一端から他端側に向つて各セル
間を延びる有端の主導入路８ａ，８ｂと、この主
導入路８ａ，８ｂに沿つて並ぶ各セル間に前記主
導入路８ａ，８ｂから分岐導入された有端の分岐
導入路９ａ，９ｂとからなるもので、前記主導入
路８ａ，８ｂは、電極基板２ａ〜２ｃの列と電極
基板２ｄ〜２ｆの列との間、並びに電極基板２ｇ
〜２ｉの列と電極基板２ｊ〜２ｌの列との間に、
それぞれ前記電極基板２ｄ〜２ｆ及び２ｊ〜２ｌ
の端子電極３ａ，４ａが導出されている端子電極
導出部（張出部）ａ上に形成される。また、前記
主導入路８ａ，８ｂの一方の主導入路８ａから分
岐される分岐導入路９ａ，９ａは、前記主導入路
８ａの両側に並んでいる各電極基板２ａ〜２ｃ、
２ｄ〜２ｆの各々の列の各電極基板間すなわち電
極基板２ａ，２ｂ間と電極基板２ｂ，２ｃ間及び
電極基板２ｄ，２ｅ間と電極基板２ｅ，２ｆ間に
それぞれ形成され、また他方の主導入路８ｂから
分岐される分岐導入路９ｂ，９ｂは、前記主導入
路８ｂの両側に並んでいる各電極基板２ｇ〜２
ｉ、２ｊ〜２ｌの各々の列の各電極基板間すなわ
ち電極基板２ｇ，２ｈ間と電極基板２ｈ，２ｉ間
及び電極基板２ｊ，２ｋ間と電極基板２ｋ，２ｌ
間にそれぞれ形成される。また、前記主導入路８
ａ，８ｂの始端はそれぞれ電極基板素材２の端縁
に開放されて液晶導入口１０ａ，１０ｂとされ、
また前記主導入路８ａ，８ｂ及び分岐導入路９
ａ，９ｂの終端はそれぞれシール材７によつて閉
塞される。

また、各セルのシール材７，７すなわち、各電
極基板２ａ〜２ｌの電極形成部を囲む各シール材
７，７の一部にはそれぞれ同一位置に液晶注入口
１１，１１をシール材７の被着と同時に形成す
る。この液晶注入口１１，１１は、前記主導入路
８ａ，８ｂが開放する電極基板素材２の端縁に沿
つて配列されている電極基板２ａ，２ｄ，２ｇ，
２ｊにおいては前記電極基板素材２の端縁に面す
るシール材７に開口され、その他の電極基板２
ｂ，２ｃ，２ｅ，２ｆ，２ｈ，２ｉ，２ｋ，２ｌ
においては、前記分岐導入路９ａ，９ｂに面する
シール材７に、前記分岐導入路９ａ，９ｂに連通
させて開口される。

次に前記第１の電極基板素材１をその電極形成
面を下にして前記第２の電極基板素材２上にシー
ル材７を介して重合する。この重合状態で電極基
板素材１，２とシール材７を加熱焼成し、全体を
一体的に固着する。この場合、電極基板素材１，
２の各電極基板１ａ〜１ｌと２ａ〜２ｌが各々対
向して組合され、各電極基板の組合せ毎にコモン
電極３とセグメント電極４が組合さる。

次いで、真空注入法により重合固着した両電極
基板素材１，２間の間隙に液晶導入口１０ａ，１
０ｂを形成した側から液晶の注入を行なう。液晶
は各導入口１０ａ，１０ｂから各主導入路８ａ，
８ｂ内に導入され、さらにこの主導入路８ａ，８
ｂから各分岐導入路９ａ，９ｂに導入されて、こ
の各分岐導入路９ａ，９ｂに面した液晶注入口１
１，１１をもつ各電極基板２ｂ，２ｃ，２ｅ，２
ｆ，２ｈ，２ｉ，２ｋ，２ｌのシール材７によつ
て囲まれた内部に注入される。また、前記電極基
板素材１，２の液晶導入口１０ａ，１０ｂが開口
する端縁に沿つて配列されている各電極基板２
ａ，２ｄ，２ｇ，２ｊのシール材７に囲まれた内
部には、前記電極基板素材１，２の端縁に開口し
ている液晶注入口１１，１１から容器内の液晶が
直接注入される。従つて液晶は前記電極基板素材
１，２の重合により組立てられた全てのセルに一
度の注入工程で注入される。

次に前記両電極基板素材１，２を切込線５，６
に沿つて分断して12個のセルに分割する。分割さ
れたセルは、シール材７を介して２枚の電極基板
例えばセグメント電極４を形成した電極基板１ａ
とコモン電極３を形成した電極基板２ａとを重合
固着したものであり、この後シール材７に形成さ
れた注入口１１を樹脂で封止することにより完成
される。そして、前記注入口１１の封止において
は、注入口１１が端子電極３ａ，４ａをもつ端子
電極導出部ａを有しない側面に設けられているか
ら、注入口１１の封止は容易に行なえるし、また
封止樹脂が前記端子電極３ａ，４ａに付着するこ
ともない。

なお、上記実施例では電極基板素材１，２を無
駄なく使用するためにセグメント電極基板とコモ
ン電極基板とを一列ずつ交互に配置しているが、
これは一方の電極基板素材にセグメント電極基板
のみを、他方の電極基板素材にはコモン電極基板
のみを形成して両電極基板素材を重合してもよ
い。また上記実施例では主導入路８ａ，８ｂを端
子電極導出部ａ上に形成するようにしたが、この
主導入路８ａ，８ｂは端子電極導出部ａのないシ
ール材７，７間に形成してもよく、例えば上下の
電極基板を同一の大きさとし端子電極をセル下面
に導出形成したセル、つまり電極基板に端子電極
を導出する張出部のないセルを製造する場合は、
前記主導入路及び分岐導入路を各セルのシール材
間に分断位置に沿つて形成すればよい。また上記
実施例では、主導入路８ａ，８ｂの導入に１０
ａ，１０ｂと対向する他端部を電極基板素材２の
余白部に塗布被着したシール材７で封止したが、
シール材形成時には開放しておき液晶注入時に樹
脂等で封止するようにしてもよい。要は、セルの
形状に応じて各セルのシール材間に導入路を形成
し、液晶注入時に前記導入路が電極基板素材の一
端でのみ開にするようになつていればよいもので
ある。本発明の製造方法は液晶表示セルの他にエ
レクトロクロミツク表示セル及び電気泳動型表示
セルなど液状の電気光学物質利用した電気光学表
示セルの全てに適用できるものである。

本発明の電気光学表示セルの製造方法は以上説
明したように、複数のセルの電極基板をまとめた
２枚の電極基板をシール材を介して重合固着し、
各セル内に液状の電気光学物質を注入する方法で
あつて、各セルのシール材間に液状物質の主導入
路及びこれから分岐する分岐導入路を形成すると
ともに各セルの注入口は前記分岐導入路に面して
形成し、これら導入路と注入口を介して各セルに
液状の電気光学物質を注入するものである。従つ
て、基板形状、及びシール形状を複雑な形状にす
ることなく、各セル列間に設けた導入路および注
入口との組合せにより、電極基板素材には注入口
の位置に制限されずに３列以上のセル列を並べて
形成することができる。また、電気光学物質の導
入路を別個に設ける必要がないので、個々のセル
に分離する際に導入路を切断除去することもな
く、基板及びシール材を無駄にすることがないの
で、セルの量産性を高められる。従来の製造方法
に於ては、セルの数を増加させるためにはセル列
を長くする必要があるが、この場合には電極基板
素材が長尺となり電気光学物質の注入が困難にな
るか、または大形の注入装置を必要とすることに
なる。この点、セル列の数を増やしてセル数を増
加させることは、電極基板素材の長尺化を防ぎ小
形の注入装置で容易に電気光学物質の注入を行な
える。また、電気光学物質を導入路に導びく導入
口を全て同一側に揃えているので一度の注入作業
で全てのセルに電気光学物質を注入することがで
き作業効率が向上する。さらに、各セルの注入口
を分岐導入路に面して各々設けたことにより、注
入口の位置および視角位置まで全て同一のセルが
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の光学表示セルの製造方法により
液晶表示セルを製造する中間過程の一例を示す分
解斜視図、第２図は本発明の製造方法により液晶
表示セルを製造する場合の中間過程の一例を示す
分解斜視図、第３図は同液晶表示セルにおける電
極基板を示す平面図である。 １……電極基板素材、１ａ〜１ｌ……電極基
板、２……電極基板素材、２ａ〜２ｌ……電極基
板、３……コモン電極、４……セグメント電極、
５，６……切込線、７……シール材、８ａ，８ｂ
……主導入路、９ａ，９ｂ……分岐導入路、１１
……注入口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表示セル複数個分の電極を縦及び横方向に複
   数配列形成した２個の電極基板素材のうちいずれ
   か一方の電極基板素材の電極形成面に、各セルを
   シールするためのシール材を形成し、前記両電極
   基板素材を電極形成面を対向させて前記シール材
   を介して重合固着させ、前記各セルに液状の電気
   光学物質を充填した後に個々のセルに分離して複
   数のセルを得る電気光学表示セルの製造方法に於
   て、前記両電極基板素材の少なくとも一方の電極
   形成面に、前記各セルごとにその内部に通じる１
   つの注入口と、各々のセルのシール材と、隣接す
   る各セルのシール材により囲まれ前記電極基板素
   材の一端から前記各セルの注入口に連通する導入
   路とを形成し、前記電極基板素材を重合固着した
   状態で、前記電気光学物質を前記導入路の開放さ
   れた一端部から、前記各注入口に導びいて前記各
   セル内に注入するようにしたことを特徴とする電
   気光学表示セルの製造方法。