JPS6210023Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工作物の中ぐり加工を行う工具ホルダ
の工具補正装置に関し、その目的は工具せり出し
補正機構を簡単且つ小型化したことである。

工作物の穴を中ぐり加工する工具ホルダは、工
具ホルダ内に工具せり出し機構を内蔵させ、この
工具せり出し機構により工具を半径方向に移動調
整して直径の異なる加工穴を加工したり、あるい
は工具の摩耗量を補正するようにしている。しか
し、従来の工具せり出し機構は、工具を半径方向
に移動するためにギヤ機構やラチエツト機構を利
用しているので構成が複雑且つ大型化し、工具ホ
ルダの重量も著しく増大している。

本考案はこのような従来の問題点に鑑み、極め
て簡単なねじ送り機構により工具のせり出しを可
能とし、従来の問題を解消したものである。

以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。
第１図において、１は主軸ヘツド、２は主軸ヘツ
ド１に回転自在に軸承され、図略の駆動装置によ
つて回転駆動する主軸である。３はこの主軸２に
嵌着して回転するシヤンク部であり、これと一体
に結合された工具取付部４とによつて工具ホルダ
を形成している。

この工具取付部４の先端側部には割溝６によつ
て半径方向に撓み可能とする工具５がボルト７に
よつて取付けられている。工具取付部４の中心穴
内には摺動軸８が軸移動自在に装入され、その先
端小径部にカム面９が形成されている。このカム
面９には軸方向の移動を拘束し、カム面９によつ
て半径方向にのみ移動可能な作動駒１０が対接さ
れ、この作動駒１０と工具５との間にピン１１が
介在している。従つて、摺動軸８の軸移動によつ
て工具５は半径方向にせり出し調整されるのであ
る。

本考案は、この摺動軸８の軸移動機構を要旨と
するもので、第１図に示す実施例は次の構造であ
る。すなわち、シヤンク部３と工具取付部４より
なる工具ホルダの外周に外筒１２をベアリング１
３，１４を介して装着する。１５はこの外筒１２
の一端面に固着された蓋部材であり、これにはス
プリング１８で押圧された鋼球を有し、シヤンク
部３の外周面に凹設された溝１６に係脱する所謂
クリツクストツプ機構が設けられている。さら
に、前記蓋部材１５には係合穴１９が凹設され、
これに対向する主軸ヘツド１側にはエアシリンダ
２０で進退し、前記係合穴１９に係脱する外筒１
２の回転阻止部材２１を有している。

一方、前記摺動軸８には、その軸線と直交する
方向に係合ピン２４が突設され、摺動軸８の外周
と対接する工具取付部４に軸方向に長くあけられ
た案内穴２５を貫通して工具取付部４の外周面に
突出している。

また、外筒１２の内周面には送りねじ２２が刻
設され、これに螺合部材２３が螺合されていて、
この螺合部材２３に前記係合ピン２４を嵌着させ
た構造である。

次に本考案装置の作用について説明する。回転
阻止部材２１が蓋部材１５の係合穴１９に係合さ
れていない場合には、主軸２の回転によつてクリ
ツクストツプ機構の鋼球１７と溝１６との係合で
外筒１２は工具取付部材４の工具ホルダと一体回
転する。従つて、係合ピン２４も、これと係合し
ている螺合部材２３も外筒１２と一緒に回転する
ために螺合部材２３は送りねじ２２で軸方向に移
動することなく、摺動軸８は所定位置に停止し、
工具５のせり出しは行わない。

これより先ず主軸２の回転を止め、しかる状態
においてエアシリンダ２０の作動により回転阻止
部材２１が前進し、蓋部材１５の係合穴１９に突
入して係合すると外筒１２の回転が規制される。
その後主軸２を低速回転させると工具取付部材４
は外筒１２に対して相対回転する。従つて、工具
取付部材４と共に回転する係合ピン２４は螺合部
材２３を回転し、停止している外筒１２の送りね
じ２２のリードにより螺合部材２３は軸方向に移
動し、係合ピン２４を介して摺動軸８を軸移動さ
せ、その軸移動量に基いてカム面９、作動駒１０
及びピン１１を介して工具５を半径方向に移動調
整するのである。主軸２が所定回転数だけ回転さ
れて工具５の移動調整が終了すると回転阻止部材
２１は係合穴１９より解脱し、クリツクストツプ
機構によつて再び外筒１２は工具取付工具４と一
体結合される。

このように本考案は工具ホルダの外周に嵌合し
た外筒を回転阻止部材によつて回転を阻止し、こ
の外筒に対して工具ホルダを相対回転させること
によりねじリードで外筒に螺合する螺合部材を軸
方向に移動させて工具の半径方向の移動調整を行
うようにしたものであるから、従来のようにギヤ
あるいはラチエツト機構を利用したものに比較し
てその構造が著しく簡素となり、且つ小型化でき
る利点を有し、しかも外筒内に螺合部材が内蔵さ
れていることでねじ部へ切粉がかからず、また外
筒が軸動しないので工具ホルダとの嵌合部に切粉
が咬み込むようなことがないため故障することな
く確実な作動が得られる。また本考案は、工具ホ
ルダの外周側に螺合部材を螺合させ、この螺合部
材と摺動軸をピン連結するとともに外筒に螺合し
た構成であり、有効径の大きな送りねじを採用す
ることができ、その結果大きな作用面積で工具せ
り出し時に作用する軸方向負荷を受けることがで
き、ねじの損耗を少なくすることができる利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の主要部断面図である。 １…主軸ヘツド、２…主軸、４…工具取付部
材、５…工具、８…摺動軸、９…カム面、１０…
作動駒、１１…ピン、１２…外筒、１６…溝、１
７…鋼球、１８…スプリング、２１…回転阻止部
材、２２…送りねじ、２３…螺合部材、２４…係
合ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工具ホルダ内に軸移動自在に設けた摺動軸の先
   端のカム面により、工具ホルダ先端部に取付けた
   工具を半径方向に移動調整可能とした工具ホルダ
   において、工具ホルダの外周に回転阻止部材と係
   合して回止めされる外筒を前記工具ホルダに対し
   て相対的軸方向移動を阻止されかつ相対回転可能
   に嵌合し、この外筒内には前記工具ホルダととも
   に回転しかつ前記工具ホルダの外周上を軸方向に
   移動可能な螺合部材を内蔵させ、この螺合部材を
   前記外筒の内周に形成された送りねじに螺合させ
   かつ前記工具ホルダを貫通して中心方向へ延出す
   る係合ピンを介して前記摺動軸に連結したことを
   特徴とする工具ホルダの工具補正装置。