JPS6158321B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は空気タイヤに関し、特に空気タイヤの
改良されたトレツドに関する。

タイヤ工業において周知のごとく、ある特定の
トレツドはタイヤの種々な機能特性の内から、所
要のタイヤ機能を完全に果すことができるような
ものが選択される。それら特性とは種々な道路条
件での摩滅、乗り心地、騒音、操縦性、燃料消費
その他である。ある特定のトレツドのデザインに
対し、それらの機能特性が相互に調和することは
少ない。例えば濡れた、または雪の路面で優れた
牽引性を有するトレツドは一般的に乾燥路面での
牽引性、操縦性、トレツド摩滅、騒音に関する利
点をぎせいにして得られ、また耐摩性の優れたト
レツドは普通、濡れた、あるいは雪の路面での牽
引性、操縦性、乗り心地が劣つている。また燃料
消費の低いトレツドは一般的に摩滅や牽引性に関
して悪い。このような機能特性間の複雑な関連の
ために、濡れた、または雪の路面での牽引性が良
く、しかも優れた耐摩性、乾いた路面での牽引
性、操縦性、および低い騒音レベルを保有するよ
うなトレツドを作ることは困難なのである。

そこで本発明の目的は、濡れた、または雪の路
面での牽引性がよく、しかも乾いた路面での牽引
性、トレツド摩滅、騒音レベル、および操縦性に
関しても優れている特殊なトレツド構造を提供す
ることにある。

本発明によるタイヤはこれの周囲に設けられる
複数個の離間した独立のボタンまたは突起を備え
る。タイヤの周囲にトレツドが延在し、このトレ
ツドはその幅に対し比較的狭い３つの区域を有す
る。これら区域におけるボタンまたは突起の間の
凹部の深さは、トレツドの他の部分における凹部
の深さより小さくされる。

以下添付図面を参照に説明を続ける。第１図は
本発明によるトレツド１２の破断片の平面図を示
す。いうまでもなくトレツド１２は図示部分と同
じくタイヤ全周囲に連続的に延在する。トレツド
１２は複数個の独立のボタンまたは突起１４を備
える。本発明においてそれら個々の突起は、その
長さが、設計上の膨張圧力で定格荷重を掛けられ
たときの足跡（フートプリント）の長さより相当
小さい、好適には50％以下であるような突起とさ
れよう。図示の実施例において突起１４は全体的
に三角形の外形であるが、その他の任意な形状に
することもできる。濡れた路面での牽引性を良く
するためには、トレツドに充分な空隙を備え、こ
の空隙に水を通せるようにし、そして静水圧が作
られてタイヤに持上げ力が加えられることがない
ようにすればよい。相互に独立的に離間した突起
とトレツドの低い正味／総体比（net to gross）
を備えることにより、水をタイヤの足跡から自由
に逃がすことが可能になる。本発明においてタイ
ヤの足跡とはトレツドの路面に接する部分であ
る。

都合の悪いことに独立の突起とタイヤ・トレツ
ドの低い正味／総体比は一般的に操縦性、乾いた
路面での牽引性を悪くし、また騒音発生を大きく
する。これらの欠点を改良するためトレツド１２
は３つの周方向に延在する区域を備え、これら区
域内の突起１４間の凹部が、トレツド１２の他の
部分内の突起間の凹部より相当小さくなるように
される。すなわちトレツド１２は中央区域(C)と２
つの肩部区域（Ａ，Ｂ）を備え、これらの区域内
での突起１４の間の凹部の深さは、トレツド１２
の他の残余部分（Ｄ，Ｅ）内の突起１４の間の凹
部の深さより小さくされる。深い方の凹部は独立
突起間に優れた濡れ面牽引性に必要な空隙を備
え、これに対し凹部の浅い部分（Ａ，Ｂ）は優れ
たトレツド耐摩性、操縦性、および低い騒音レベ
ルに必要な突起間強度を付与する。さらにトレツ
ド１２は低い正味／総体比トレツドである。本発
明において正味／総体比は、路面に対するトレツ
ドの正味の接触面積とトレツド部の全体（総体）
の接触面積との比を百分率として規定されてい
る。この正味の接触面積とはトレツド部に形成さ
れた溝や凹所を除外したトレツド部の面積であ
り、全体（総体）の接触面積とはトレツド部の溝
や凹所を含んだトレツド部全体の総面積である。
そこでトレツド１２の正味／総体比は65％以下、
好適には65％ないし50％とすべきである。

トレツド１２において深い凹部が設けられる部
分は、単位圧力が隣接区域より低く、従つて、水
がトレツドに対し持上げ力を掛ける静水圧を作る
より、それら凹部で形成される空隙内に逃がされ
るような部分である。従つて浅い凹部は、単位圧
力が高い、突起間のトレツド部分に設けられる。
タイヤ足跡に加わる単位圧力はトレツド１２を横
断して軸方向に変化し、そしてこの変化は乗用車
用タイヤにおいてより著しい。単位圧力はトレツ
ド両側縁部において最も大きく、そして、このト
レツド縁部とタイヤの周方向中央面（CP）の間
の方へ幾分低くなつていき、それからまた徐々に
トレツド中央区域まで高い単位圧力に上つてい
く。最高の単位圧力は両側縁部に生じる。この単
位圧力を半径方向断面でグラフ表示すれば「Ｗ」
の形になろう。そしてそのピークはトレツドの両
肩区域と中央区域にできよう。区域（Ａ，Ｂ，
Ｃ）における凹部の浅さは突起１４を強くし、そ
してその区域に望ましくないトレツド摩滅や騒音
を作ることになる変形と捩れを少なくする。さら
にそれら区域が強固であることにより、トレツド
は小さな前進操舵修正（当該技術において普通
「オン・センター・フイール」と称せられる）
と、より激しいハンドル操作にも積極的に応答す
る。浅い凹部はさらにトレツド中央部分に生ずる
騒音を少なくする。

中央区域(C)はほぼトレツド１２の中央部にあつ
てタイヤ周囲に延在する。好適に中央区域(C)はそ
の両縁部がタイヤ中央周面（CP）から等距離の
ところになるように設けられる。中央区域(C)の幅
はトレツド１２の幅（Ｗ）の５％ないし20％好適
には15％にされる。本発明においてトレツド幅
（Ｗ）は、ホイールに取付けられ且つ定格荷重を
掛けられたタイヤの足跡から決められる、トレツ
ド両縁部間の軸方向距離とされる。中央区域(C)に
おける凹部２０の深さ(F)は、区域（Ｄ，Ｅ）にお
ける凹部２２の深さ(G)の25％と60％の間、好適に
は約35％とされる。

両肩部区域（Ａ，Ｂ）はトレツド両縁部から軸
方向内方向にタイヤ中央周面（CP）の方へ延在
し、そしてタイヤの周囲に延在する。各肩部区域
の幅はトレツド幅（Ｗ）の10％ないし20％、好適
には15％である。区域（Ａ，Ｂ）における凹部２
４の深さ(I)は区域（Ｄ，Ｅ）の凹部２２の深さの
約25％ないし60％、好適には40％とされる。

３区域（Ａ，Ｂ，Ｃ）の全幅は好適にはトレツ
ド１２の幅（Ｗ）の60％未満とされる。

区域（Ａ，Ｂ，Ｃ）の浅い凹部２０，２４の底
はさらに、これらの凹部の底まで突起１４の表面
が摩耗してもなお引続いて牽引性を備えるように
するための切込み２６を備える。

ここに本発明を具体的に示すための実施例と詳
細を述べてきたが、本発明の精神から逸脱するこ
となくなお多くの変化形が可能なことは当該技術
者に明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるタイヤのトレツドの破断
片の平面図、第２図は第１図の２―２線における
断面図である。 １２…タイヤトレツド、１４…突起、２０，２
２，２４…凹部、２６…切込み、Ａ，Ｂ，Ｃ…浅
い凹部区域、Ｄ，Ｅ…深い凹部区域、Ｗ…トレツ
ド幅。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 地面と係合するトレツド部分を有する空気タ
   イヤにして、該トレツド部分が該タイヤの周囲に
   設けられる複数個の独立したボタン又は突起より
   成り、前記の独立したボタン又は突起がそのボタ
   ン又は突起の周囲に隣接する複数のみぞを備える
   ように隔置されており、該みぞはタイヤの跡の中
   で見た場合、地面と接触する表面でふさがらない
   ように十分に広い、前記空気タイヤにおいて、前
   記トレツドが該タイヤの周囲に延在する中央区域
   と２つの肩部区域を備え、該中央区域と各該肩部
   区域の幅は該トレツドの幅より実質的に小さく、
   該中央区域は該区域の軸方向両長手方向縁部が該
   タイヤの中央周面から実質的に等距離に置かれ、
   該中央区域の幅が該タイヤの幅の５％ないし20％
   であり、そして該中央区域における前記突起間の
   凹部の深さが該中央区域と両肩部区域の間の残余
   部分における該突起間の凹部の深さの25％ないし
   60％であり、両該肩部区域は該中央区域の各側に
   １つずつ該中央区域から軸方向外方向に離間して
   設けられ且つ各トレツド縁部から該タイヤの中央
   周面の方へ延在し、両該肩部区域は該タイヤの該
   トレツドの幅の約５％ないし20％の幅を有し、そ
   して該肩部区域における該突起の間の凹部が、該
   中央区域と両該肩部区域の間の該残余部分におけ
   る該突起の間の凹部の深さの25％ないし60％であ
   ることを特徴とする空気タイヤ。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の空気タイヤにお
   いて、タイヤのトレツド部分の正味／総体比が65
   ％未満である、空気タイヤ。 ３ 特許請求の範囲第１項記載の空気タイヤにお
   いて、前記中央および肩部区域の前記凹部の底部
   がさらに切込みを備える空気タイヤ。