JPS6156702B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は小型電動機に係り、特に自動車窓ガラ
ス用ワイパー電動機等に適する小型電動機に関す
る。

従来この種小型電動機としては各種形式のもの
が知られている。これらのものでは電動機枠と歯
車枠とは相互にスライダーによつて結合されてお
り、且つその回転軸受は歯車枠の軸受板に取付け
られている。

従つて例えば従来の小型電動機においては、ス
ライダーとしては薄い平板が用いられていた。こ
のスライダーを電動機枠に係合できるようにする
ために、その電動機枠に２個の突出小環を設け、
その開口部にスライダーの外側端部を取付けるよ
うになされている。この構造のものではスライダ
ーの長さを電動機枠の外表面と一致する長さにす
ればよい。しかし乍らこの構造のものではその反
面において、通常一枚の金属板から形成される電
動機枠を製造する際に多量の材料の損失をまねく
こととなる。

他の例においてはホツク状のスライダーが用い
られている。この場合のスライダーは電動機枠と
軸受板の外周縁の切欠部とを貫通するようになさ
れている。そして組立工程において外側の電動機
枠にそつて所定の長さでその挿入方向と直角に折
り曲げ、その端部をさらに直角に折り曲げて電動
機枠の切欠部に挿入するようになされる。この方
法によれば電動機枠の上部縁上に突出する小環を
用いないでもよいからその分だけ材料の損失が避
けられることとなる。しかし乍らスライダーの形
状が著しく複雑化し、そのためその製作に多額の
費用を要することとなる。

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、
その発明の目的とするところは、上記欠点のない
小型電動機を提供するにある。即ち本発明は小型
電動機の歯車枠と電動機枠およびこれを閉鎖する
軸受板に設けられた回転軸受とをスライダーにて
結合する際に、電動機枠と歯車枠との結合および
回転軸受の装着を簡単なスライダーを用いて行い
以つて製造時における材料の損失を少くし得る小
型電動機を提供するにある。

本発明によれば電動機を収容するコツプ状電動
機枠と、前記電動機枠を閉鎖するとともに電機子
軸の回転軸受を収容するようになされた軸受板を
有する歯車枠と、前記軸受板を貫通するネジ杆に
より前記電動機枠の止具と前記回転軸受との間に
保持される少くとも１個のスライダーとを具備
し、前記電動機枠１０にその上縁３２に向つて開
口する少くとも１個の切欠３３を設け、前記切欠
３３の縁のうち少くとも１個の下端面３５が前記
軸受板１８方向に対する止具の作用をするように
形成され、各スライダー３７はアングル状に形成
されその中の外側脚部３８は電動機枠１０の長手
方向に延びて切欠３３中に配設されてなることを
特徴とする小型電動機が得られる。

以下本発明の一実施例を添付図面を参照して詳
細に説明する。

第１図および第２図において電動機枠１０内に
配設される永久磁石と電動機の電機子とは本発明
の説明には直接関係がないので図面には図示して
いない。電動機枠１０を有する電動機には歯車枠
１１が装着されている。歯車枠１１内においては
減速歯車が歯車枠１１内に突出する電機子軸１２
に設けられたウオームネジおよびウオームホイー
ル１３と組合されている。ウオームネジは図示さ
れていない。この歯車を介して電機子軸１２の回
転数を減速して例えば自動車のワイパー装置を駆
動させるに適する駆動回転数にされる。ウオーム
ホイール１３上に導電片１４が装置されており、
その上にバネ接触子が摺動し得るようになされて
いる。これらの導電片１４とバネ接触子とでワイ
パーのパーキング位置用スイツチが構成される。

電動機枠１０は円筒形のコツプ状の形状を有
し、金属板を丸めて作られる。歯車枠１１はウオ
ームホイール１３を収容するコツプ状の開口部が
カバーで覆われた容器１５と、前記容器１５に向
つて前記電動機枠１０の長手方向に延び且つ容器
１５に対して接線方向に配設されて前記ウオーム
を収容するようになされたキヤンネル１７と、外
径が電動機枠１０の外径と一致するようになされ
た軸受板１８とから構成されている。この軸受板
１８は歯車側で電動機枠を閉鎖するようになされ
ている。軸受板１８の中央部には電機子軸１２を
挿入するための通路２２が設けられている。軸受
板１８の前記通路２２の入口部には電動機枠に対
面する半球形の殻２３が形成されている。この殻
はその外側に設けられた段部により円筒状切欠２
４と連通している。このような構成とすることに
より、殻２３内にキヤツプ状軸受を装着したり又
は本発明の一実施例に示された如く円筒状切欠２
４内にボールベアリング２５を装着したりするこ
とができる。

ボールベアリング２５は電機子軸１２に圧接し
２個の固定リング２９により軸方向に動かないよ
うに固定された内側リング２６と、外側面が切欠
２４の内装面と接触する外側リング２７と、これ
らの２個のリング間に配設されたボール２８とに
より構成されている。

電動機枠１０にはその枠１０の直径位置に配置
されて上側縁３２方向に開口する２個の切欠３３
が設けられる。切欠３３は矩形状を有しており、
その中に両横側の縁から枠１０の矩形状突起部３
４が突出するようになされている。幾何学的にみ
て２個の突起部３４の２個の下端面３５は軸受板
１８の面と平行し且つ電動機枠１０の長手方向に
直角となるようになされている。切欠３３の巾に
相当する巾だけその切欠３３の上方部分の軸受板
１８の縁３６が省かれている。

２個のスライダ３７と切欠３３とを互に組合わ
せて軸受板１８を電動機枠１０に締付けるように
なされている。スライダー３７の外側脚部３８と
内側脚部３９とは互いに直角となるように形成さ
れている。脚部３８の形状は少くとも切欠３３の
形状と略相補関係の形状になされている。２個の
切欠４０には突起部３４が入るようになされてい
る。電動機枠１０の長手方向における切欠３３お
よび軸受板１８の切欠４１ならびにスライダー３
７の各寸法は、それらの軸方向に間隙が生ずるよ
うな寸法に選ばれる。従つて如何なる場合でも外
側脚部３８が突起部３４に当接し且つその内側脚
部３９がボールベアリング２５の外側リング２７
に当接するようになされている。

第３図々示の構造を有する内側脚部３９は軸受
板１８の壁４５を貫通して横方向に導入される。
脚部３９の自由端にはその側方に段部４６が形成
されている。これの組立時には段部４６が案内壁
４５から突出している止具４７に係合する。従つ
てスライダーはこれ以上内側には挿入されないよ
うになされている。スライダー３７の内側脚部３
９の下方には壁４５から内側に突出している支持
部４８が設けられている。これらの支持部４８は
力板４９で互に結合され脚部３８，３９の根元近
くから内側脚部３９の自由端に向つて延びてい
る。

各スライダー３７の内側脚部３９には内面にネ
ジ５１を設けた開孔５０が形成されている。この
開孔５０は軸受板１８の開口５２と重なり合うよ
うになされている。開口５２から挿入されるネジ
杆５３は弾性リング５４を介して軸受板１８に当
接し乍ら脚部３９にネジ込まれる。従つてスライ
ダー３７はネジ杆５３のナツトの作用をすること
となる。

脚部３９の開孔５０と外側脚部３８の外表面と
の間の間隔は開口５２と電動機枠１０の外表面と
の間の半径方向の間隔と略等しい間隔にされてい
る。従つて脚部３８の外表面は電動機枠の外表面
と略同一平面となるようになされている。

組立時にはスライダー３７を支持部４８上にの
せ、次にこれらを止具に当たるまで電動機枠１０
内に移動させる。この場合にスライダーが電動機
枠１０内に落下しないように支持部４８にて支持
される。次にネジ杆５３を軸受板１８の開口５２
中に挿入してネジ５１にネジ込んで締付ける。こ
れによりスライダー３７の外側脚部３８が切欠３
３中の突起部３４上に当接し、且つその内側脚部
３９がボールベアリング２５に当接して、ボール
ベアリング２５を軸受板１８に支持させる。従つ
て電動機枠１０と歯車枠１１とは簡単な方法で互
に結合されることとなる。またボールベアリング
も切欠２４中に簡単に装着される。

以上の本発明の一実施例に関する説明から明ら
かな如く、本発明によれば電動機枠上に小環を設
ける必要がないので、これに関する材料の損失が
避けられる。さらに使用されるスライダーは簡単
なアングルで構成されるため従来のホツク状スラ
イダーと比較して簡単化される。このように形状
が簡単化されるようになつた主な理由は電動機枠
に一端開放の切欠を設けるようにしたからであ
る。さらに切欠の形状を適切に設計することによ
りスライダーの外側脚部を電動機枠に係合させる
止具を簡単に構成し得る等の効果がある。

さらに本発明において特にスライダーの形状を
直角のアングルで形成すると次の如き利点があ
る。即ちスライダーの内側脚部をネジ杆に対して
直角方向に延ばし、ネジ杆を通す開孔にネジを切
つてスライダーがそのままネジ杆のナツトとして
作用するようにすることができる。さらにネジ杆
用の開孔がスライダーの内側脚部に対して垂直方
向に形成されるのでその開孔の形成が容易となる
ものである。

さらに本発明においてスライダーの外側脚部が
電動機枠の周囲から外方に突出しないようにする
ために電動機枠の切欠の形状とスライダーの外側
脚部の形状とが略相補関係即ち切欠がスライダー
の外側脚部で略密閉されるようにすることもでき
る。この場合には電動機内部が汚損されない効果
を生ずる。

さらに本発明において切欠の形状を矩形状にす
ると、スライダーを帯状金属板から打抜くことが
できるので材料の損失が少くなり且つそのための
工具が簡単となる。帯状金属板の巾として切欠の
巾と略等しいものを使用することができる。また
切欠内に突出する電動機枠の突起部の下端面によ
り歯車枠を電動機枠に取付けてスライダーを介し
てネジ込みによりこれらを締付ける際に生ずる電
動機枠の円周方向に加えられる力を低減させるこ
とができる。この円周方向に加えられる力は下端
面が傾斜していると大きくなるものである。

さらに本発明において電動機枠の軸方向に対す
るスライダーの外側脚部とこれに対応する切欠と
の間、およびスライダーと軸受板との間にそれぞ
れ間隙を設けることにより、スライダーを電動機
枠とボールベアリングとの間に容易に介在させる
ことができる。

さらにまた本発明においては軸受板に各スライ
ダーに対する案内壁を設けることにより電動機枠
と歯車枠との組立を簡単化することができる。さ
らに各スライダーを支持する支持部を設けること
により組立時にスライダーが電動機枠内に落込む
ことが防止される。さらにスライダーの内側脚部
に段部を設けてスライダーの内側への挿入路を規
制しているので組立操作が迅速且つ簡単に行うこ
とができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による小型電動機の要部の一部
を断面図にて示す概略図、第２図は第１図におけ
る小型電動機を90度回転させた時の外形図、第３
図は第１図および第２図に示されたスライダーの
平面図である。 １０……電動機枠、１１……歯車枠、１２……
電機子軸、１３……ウオームホイール、１４……
導電片、１５……容器、１７……キヤンネル、１
８……軸受板、２２……通路、２３……殻、２４
……円筒状切欠、２５……ボールベアリング、２
６……内側リング、２７……外側リング、２８…
…ボール、２９……固定リング、３２……縁、３
３……切欠、３４……突起部、３５……下端面、
３６……縁、３７……スライダー、３８……外側
脚部、３９……内側脚部、４０……切欠、４５…
…壁、４６……段部、４７……止具、４８……支
持部、４９……力板、５０……開孔、５１……ネ
ジ、５２……開口、５３……ネジ杆、５４……弾
性リング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電動機を収容するコツプ状電動機枠と、前記
   電動機枠を閉鎖するとともに電機子軸の回転軸受
   を収容するようになされた軸受板を有する歯車枠
   と、前記軸受板を貫通するネジ杆により前記電動
   機枠の止具と前記回転軸受との間に保持される少
   くとも１個のスライダーとを具備し、前記電動機
   枠１０にその上縁３２に向つて開口する少くとも
   １個の切欠３３を設け、前記切欠３３の縁のうち
   少くとも１個の下端面３５が前記軸受板１８方向
   に対する止具の作用をするように形成され、各ス
   ライダー３７はアングル状に形成され、その中の
   外側脚部３８は電動機枠１０の長手方向に延びて
   切欠３３中に配設されてなることを特徴とする小
   型電動機。 ２ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記アングルは直角に形成され、その中の内側
   脚部３９は電動機枠１０の長手方向に対して直角
   に延びるようにしてなることを特徴とする前記特
   許請求の範囲第１項記載の小型電動機。 ３ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記各スライダー３７は前記ネジ杆５３のナツ
   トを形成するようにしてなることを特徴とする前
   記特許請求の範囲第１項記載の小型電動機。 ４ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記スライダー３７の内側脚部３９の開孔５０
   と外側脚部３８の外表面との間の間隔は軸受板１
   ８の開口５２と電動機枠１０の外表面との間の間
   隔と等しいか又はそれ以下となるようにしてなる
   ことを特徴とする前記特許請求の範囲第１項記載
   の小型電動機。 ５ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記電動機枠１０の切欠３３の形状とスライダ
   ー３７の外側脚部３８の形状とは互に略相補関係
   となるようにしてなることを特徴とする前記特許
   請求の範囲第１項記載の小型電動機。 ６ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記各切欠３３は矩形状をなし、且つその中に
   軸受板１８の平面と平行な下端面３５を有する少
   くとも１個の枠の突起部３４が突出するようにし
   てなることを特徴とする前記特許請求の範囲第１
   項記載の小型電動機。 ７ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記スライダー３７の外側脚部３８と切欠３３
   との間、およびスライダー３７と軸受板３８との
   間にはそれぞれ電動機枠１０の軸方向に若干の間
   隙を設けるようにしてなることを特徴とする前記
   特許請求の範囲第１項記載の小型電動機。 ８ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記スライダー３７の内側脚部３９の下方に軸
   受板１８に固着された支持部４８，４９を設け、
   且つこれらが少くとも脚部３８，３９の根元近く
   まで延びてスライダー３７を軸受板１８に装着す
   る際にこれを支持するようにしてなることを特徴
   とする前記特許請求の範囲第１項記載の小型電動
   機。 ９ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、 前記支持部はスライダー３７が装着される際に
   その移動方向と横断するように延びている力板４
   ９で構成されるようにしてなることを特徴とする
   前記特許請求の範囲第１項記載の小型電動機。 １０ 前記特許請求の範囲第１項記載のものにお
   いて、 前記スライダー３７の内側脚部３９の巾はその
   自由端に向つて段階状に減少して軸受板１８の止
   具４６と係合するようにしてなることを特徴とす
   る前記特許請求の範囲第１項記載の小型電動機。