JPS6154976B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はベルト駆動式無段変速機に用いられ
る駆動ベルトに関する。

（従来の技術） 従来のベルト駆動式無段変速機においては、無
端の金属帯を多層状に重ねて多層構造としたキヤ
リアに、金属製の強剛性部材（以下ベルトブロツ
クという。）を連続して取りつけて駆動ベルトを
形成している。そして、この駆動ベルトを通常１
本あるいは２本、２つのＶ型プーリの間に巻き掛
けて、一方のＶ型プーリから他方のＶ型プーリへ
トルクの伝達を行なつている。

つぎに、従来の駆動ベルトについて説明する
と、第４図〜第５図において、２個のＶ型ベルト
車１及び２に掛装される駆動ベルト３３は、複数
の無端金属帯３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４ｄを
重ね合せて形成したキヤリア３４と、このキヤリ
アに連続して取り付けられたベルトブロツク３５
とからなつている。ここで、ベルトブロツク３５
は金属のプレス加工又は削し出し加工により製作
され、あるいは合金の焼結により製作されてお
り、その本体部３６の両側面３６ａ，３６ａはＶ
型ベルト車１の駆動面１ａ，１ａの傾斜角度に合
わせたテーパ面になつている。このベルトブロツ
ク３５はその本体部３６の両側上部に一対の支持
片３７，３７を有しており、各支持片３７には本
体部３６の上面に平行な貫通孔３８，３８が整合
してあけられている。ベルトブロツク３５をキヤ
リア３４に取り付けるには、ベルトブロツク３５
の両支持片３７の間にキヤリア３４を挿入し、キ
ヤリア３４の上部にある両貫通孔３８にピン３９
を打ち込む。これにより、ベルトブロツク３５は
キヤリア３４に取り付けられる。

（発明が解決しようとする問題点） ここで、ベルトブロツク３５は比較的硬い材料
によつて作る必要があり、このベルトブロツク３
５を削り出し加工する場合は勿論のこと、プレス
加工や焼結で作る場合においても、成形と同時に
支持片３７に貫通孔３８をあけることは極めて困
難であり、あけるとしてもその作業工程は煩雑な
ものとなつた。そして、キヤリアにベルトブロツ
クを組み付ける際には、前述のようにピン等の止
め部品が必要となり、又ピン等を打ち込むための
工具等が必要となつた。

従つて、この発明は無段変速機の駆動ベルトを
組み付ける際、ピン等の止め部品やそれを打ち込
むための工具等を必要とせず、かつ組付け、分解
が極めて容易で、しかも短時間にできる駆動ベル
トの提供を目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、この発明の構成は
次のようになされる。すなわち、複数の無端金属
帯を積層状に重ねて形成したキヤリアと、Ｖ型ベ
ルト車の駆動面に当接するテーパ状の側面を有す
る本体部の上部両側に設けた一対の支持部と本体
部上面との間にキヤリアを挿通する溝が形成され
この溝にキヤリアを挿通することによりキヤリア
に対してその長手方向に移動可能でかつ連続的に
取り付けられた複数のベルトブロツクとからなる
無段変速機の駆動ベルトにおいて前記キヤリアの
無端金属帯にはその幅を一部細くしたくびれ部を
形成し、又前記支持部の少なくも一方には、前記
キヤリアの離脱することを阻止するように爪部を
設けたものである。

（作 用） この発明の無端金属帯からなるキヤリアをベル
トブロツクに組み付けるには、各無端金属帯のく
びれ部を一箇所に集めて、無端金属帯を積層状と
する。そして、ベルトブロツクの支持部の間にキ
ヤリアのくびれ部を嵌挿する。このようにして、
所定数のベルトブロツクをキヤリアに組み付け
て、駆動ベルトを構成する。そして、無段変速機
の作動中においては、ベルトブロツクの支持部の
爪部がキヤリアの離脱するのを阻止するものであ
る。

（実施例） つぎに、この発明を図面に示す実施例にもとづ
いて説明する。

第１図において、ベルト駆動式無段変速機の駆
動ベルト３を構成するキヤリア４は無端金属帯４
ａ，４ｂ〜４ｆを多層に重ね合せたものであり、
各無端金属帯４ａ，４ｂ〜４ｆには幅の狭いくび
れ部５が設けられている。このくびれ部５は無端
金属帯の両側縁を円弧状に切り欠いて形成されて
いる。このくびれ部５を設けた無端金属帯４ａ，
４ｂ，４ｃ，４ｄ…からなるキヤリア４に組み付
けられるベルトブロツク６を第２図に示す。ベル
トブロツク６はテーパした側面７ａ，７ａを有す
る本体部７とこの本体部７の上部両側に設けた支
持部８，８とからなつている。そして、この左・
右の支持部８，８の上端部には、本体部７の上面
７ｂに平行で互いに向き合うように突出して形成
された爪部８ａ，８ａがあり、本体部７の上面７
ｂと両支持部８，８及び爪部８ａ，８ａとにより
キヤリア溝９が形成されている。ベルトブロツク
６の左・右の爪部８ａ，８ａの内側端の間に形成
される嵌挿部８ｂの寸法ｃは、キヤリア４の各無
端金属帯４ａ，４ｂ，４ｃ…の横幅の寸法ｂより
小さくなついるが、各無端金属帯のくびれ部５の
幅ｂ１より広くなつている。また、ベルトブロツ
ク６の爪部８ａの厚さｄは無端金属帯のくびれ部
５に挿入可能な寸法になつており、又キヤリア溝
９の深さはキヤリア４の厚さより大きく設定され
ている。

つぎに、無端金属帯の他の実施例を第３図に示
す。この図において、キヤリアを構成する各無端
金属帯４′ａ，４′ｂ…の細くくびれた部分である
くびれ部５′は、無端金属帯の一方の側縁に形成
されている。このくびれ部５′は無端金属帯４′
ａ，４′ｂ…の一側縁を円弧状に切り欠いて形成
されているが、切り欠きの円弧の半径及び長さは
無端金属帯の両側を切り欠いてくびれ部５を形成
した場合より長くなつている。すなわち、くびれ
部５′の幅の寸法ｂ１は第１実施例のくびれ部５
の幅寸法ｂ１と異なることはなくベルトブロツク
６の左・右の爪部８ａ，８ａの間に形成された嵌
挿部８に挿脱可能な寸法になつている。

なお、上記実施例においては、くびれ部５及び
５′の形状は無端金属帯をその側方から円弧状に
切り欠いて形成したものを示したが、くびれ部
５，５′の形はこの形に限定されるものでないこ
とは勿論である。

つぎに、第１実施例の無端金属帯からなるキヤ
リアにベルトブロツクを組み付けて駆動ベルト３
を形成するには、始めに各無端金属帯４ａ，４ｂ
〜４ｆの各くびれ部５を一箇所に集めて各無端金
属帯を重ね、この重ね合せて形成されたキヤリア
４のくびれ部５に、ベルトブロツク６の嵌挿部８
ｂをその内周側から挿入する。この嵌挿部８ｂの
寸法ｃは、前述のようにキヤリア４のくびれ部５
の幅ｂ１より広くなつているので、ベルトブロツ
ク６は容易にキヤリア４に嵌挿される。このよう
にして、ベルトブロツク６をキヤリア４に嵌挿
し、キヤリア４がベルトブロツク６のベルト溝９
内に位置した時、ベルトブロツク６をキヤリア４
の長手方向に移動して、ベルトブロツク６をキヤ
リア４のくびれ部５からずらせる。上記のよう
に、ベルトブロツク６を順次くびれ部５より嵌挿
することにより、所定数のベルトブロツク６をキ
ヤリア４に組み付けて駆動ベルト３を構成した
後、キヤリア４の最上層にある無端金属帯４ａを
キヤリア４の長手方向にずらせる。このように無
端金属帯４ａのくびれ部５が他の無端金属帯のく
びれ部５からずらせられると、運転時に全ての無
端金属帯４ａ，４ｂ〜４ｆのくびれ部５が同時に
ベルトブロツク６の嵌挿部８ｂと重なることがな
いので、キヤリア４に組みつけられたベルトブロ
ツク６はキヤリア４からはずれることはない。

つぎに、この実施例の作用について説明する。

上記のように組み付られた駆動ベルト３を第４
図に示す２個のＶ型ベルト車１及びび２間に掛装
して無段変速機を作動させると、各ベルトブロツ
ク６は駆動側のＶ型ベルト車１から順次押し出さ
れて従動側のＶ型ベルト車２に達し、Ｖ型ベルト
車１からのトルクをＶ型ベルト車２に伝える。こ
のように、駆動ベルト３がＶ型ベルト車２にまき
ついた時の各無端金属帯４ａ，４ｂ〜４ｆの周速
度が違うので、無端金属帯同志がその周方向に相
対的に移動する。従つて、各無端金属帯４ａ，４
ｂ…４ｆの各くびれ部５が全て一致することは起
り得ないのでベルトブロツク６がキヤリア４から
脱落することがなく、Ｖ型ベルト車１からのトル
クは確実にＶ型ベルト車２に伝達される。

第３図に示す実施例の片側のみくびれたくびれ
部５′を有する無端金属帯４′ａ，４′ｂ〜４′ｆか
らなるキヤリアを使用する駆動ベルトの作用及び
効果は第１実施例の場合と同様である。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、この発明によ
ると、次のような効果がある。

(イ) キヤリアにベルトブロツクを組み付ける場合
ピン等の止め部品が不要となる。

(ロ) 上記ピン等の打ち込み工具が不要となる。

(ハ) 駆動ベルトの組み付けに要する時間が短縮で
きる。

(ニ) 駆動ベルトの組み付け、分解が簡単にでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はこの発明の一実施例を示し、
第１図は無端金属帯の要部拡大面図、第２図イは
キヤリアに取り付けられたベルトブロツクの正面
図、第２図ロは第２図イの側面図、第３図は無端
金属帯の他の実施例を示す要部拡大図、第４図は
２個のベルト車間に掛装された従来構造の駆動ベ
ルトの概略正面図、第５図は第４図の―線断
面要部拡大図、第６図は従来の駆動ベルトの一部
斜視図である。 １……Ｖ型ベルト車、２……Ｖ型ベルト車、３
……駆動ベルト、４……キヤリア、４ａ，４ｂ〜
４ｆ……無端金属帯、４′ａ……無端金属帯、
５，５′……くびれ部、６……ベルトブロツク、
６ａ……本体部側面、７……本体部、８……支持
部、８ａ……爪部、９……ベルト溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数の無端金属帯を積層状に重ねて形成した
   キヤリヤと、このキヤリヤ挿通するための上端解
   放のキヤリヤ溝を有し、このキヤリヤ溝を介して
   キヤリヤに連続的に取り付けた複数のベルトブロ
   ツクとからなる無段変速機の駆動ベルトであつ
   て、前記無端金属帯にはその幅を一部細くしたく
   びれ部を形成し、前記キヤリヤ溝の上端には前記
   くびれ部を介してキヤリヤをキヤリヤ溝に嵌挿可
   能とし、くびれ部以外の部分分においてキヤリヤ
   溝からキヤリヤの脱落を防止する嵌挿部を設けた
   ことを特徴とする無段変速機の駆動ベルト。