JPS6152287B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本考案は、Ｈ形断面の中心線を挟んで相対する
フランジ部の両端に、継手部をそれぞれ有するＨ
形鋼矢板に関するものである。

大型護岸、岸壁、山留め、仮締切り等の大型土
木工事用として、断面性能が大きく、旋工性がよ
く、かつ経済的に製造できる鋼矢板が要求されて
いる。

近年、土木工事の規模はますます大型化しつつ
あり、それに使用される鋼矢板も断面性能の大き
いものが要求されている。断面性能の大きい鋼矢
板としては、断面性能の大きい鋼管や各種の条鋼
に継手部を溶接したものが考えられるが、各部材
を製造する工程と溶接する工程とを必要とするた
め、コスト高となり、経済的でない。

そこで、圧延のみにより断面性能の大きい鋼矢
板を製造する方法が提案されているが、圧延によ
り製造される鋼矢板で断面性能の大きいものとし
てＨ形鋼矢板がある。

第１図および第２図のようなＨ形鋼矢板ａ，
a′を順次連結して打ち込んいくには、まずＨ形鋼
矢板ａを打ち込み、次に、この打ち込まれたＨ形
鋼矢板ａのフランジ部ｂの継手部ｃと、次に打ち
込むべきＨ形鋼矢板a′のフランジ部ｂの継手部ｃ
とを連結する連結用形鋼ｄを打ち込むか、Ｈ形鋼
矢板ａに連結用形鋼ｄを溶接後、Ｈ形鋼矢板a′を
打ち込まなければならず、２種類の鋼材を準備
し、現場にて組み合わさなければならないため、
作業が面倒であるばかりでなく、連結用形鋼ｄを
別途製造しなければならないので、製造コストも
高くなる。

また、第３図に示すように、Ｈ形鋼矢板ａ，
a′，a″の形状としては、Ｈ形断面の中心線Ｘ−
X′を挾んで相対するフランジ部ｂ，b′の両端に、
それぞれ継手部ｃを有する左右対称の形状のもの
が圧延過程での材料の曲り等が生じにくく、製造
しやすいが、圧延過程および冷却過程における継
手間隔Ａのばらつきはさけられないので、圧延後
の冷却過程でのフランジ部の平行度のくるいを修
正する工程を必要とするし、旋工上も、両側フラ
ンジ部ｂ，b′の継手部ｃ，ｃを同時に噛み合わせ
るのは極めて難しく、また、噛み合わせることが
できても材料の長手方向での断面寸法のばらつき
のため、打込抵抗が著しく大きく、旋工性が悪
い。

そこで、たとえば第４図のように、一側フラン
ジ部ｂの両側にのみ継手部ｃを設け、他側フラン
ジ部b′の両端には継手部を設けない、いわゆる片
爪型が実用に供されている。この片爪型のＨ形鋼
矢板は、一側フランジ部ｂにしか継手部がないの
で、噛み合わせるのは簡単で打ち込み時の抵抗も
小さいが、打ち込み時に継手部のない側のフラン
ジ部が互に寄る方向に回り易いという欠点があ
り、また圧延時および保管時にＨ形状で鋼矢板を
置くと左右のフランジ部の幅の違いにより、鋼矢
板が傾くので、圧延時にウエブ部を水平に保つた
めの装置が必要であり、保管時も万棒を入れるな
どしてウエブ部を水平に保つ必要があるという欠
点もある。

本発明は、上述した実情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、施工性がよいとと
もに、Ｈ形状で置く場合、ウエブ部から下のフラ
ンジ部が左右対称となつて安定性がよく、また、
噛み合い継手部の噛み合いをＨ形断面の中心線を
挾んで相対する双方に交互にとることにより真直
ぐ打込むことができるようにしたＨ形鋼矢板を提
供しようとするものである。

以下、本発明を第５図以下に示す一実施例にも
とづいて説明する。

まず、第５図で説明すると、本発明は、Ｈ形断
面の中心線Ｘ−X′を挾んで相対するフランジ部
１ａ，１ｂの両端に、継手部２ａ，２ｂ，２ｃ，
２ｄをそれぞれ有するＨ形鋼矢板１，１′，１″に
おいて、前記中心線Ｘ−X′に対して一側にある
１組の継手部２ａ，２ｄをそれぞれ噛み合い継手
とし、かつそれら継手部２ａ，２ｄに対する他の
１組の継手部２ｂ，２ｃをそれぞれ突き合わせ継
手としたものである。

これを詳述すると、Ｈ形鋼矢板１におけるＨ形
断面の中心線Ｘ−X′に対して一側にある１組の
継手部２ａ，２ｄは、一方の継手部２ａが、隣接
するＨ形鋼矢板１′の継手部２ｄと噛み合い、他
方の継手部２ｄが、隣接するＨ形鋼矢板１″の継
手部２ａと噛み合うように構成する。

また、前記中心線Ｘ−X′に対して他側にある
１組の継手部２ｂ，２ｃは、一方の継手部２ｂ
が、隣接するＨ形鋼矢板１′の継手部２ｃと突き
合い、他方の継手部２ｃが、隣接するＨ形鋼矢板
１″の継手部２ｂと突き合うように構成する。

そして、第５図において、継手部２ｃ，２ｄを
中心線Ｘ−X′に対して対称の同一形状に形成す
るとともに、継手部２ｂには、隣接するＨ形鋼矢
板１′の継手部２ｃに形成される突出端２c′に突
き合わされる突き合わせ面２b′を形成し、かつ継
手部２ｃには、隣接するＨ形鋼矢板１″の継手部
２ｂに形成される突き合わせ面２b′に突き合わさ
れる突出端２c′を形成してなつている。

また、第６図で説明すると、本発明は、Ｈ形断
面の中心線Ｘ−X′を挟んで相対するフランジ部
１ａ，１ｂの両端に、継手部２ａ，２ｂ，２ｃ，
２ｄをそれぞれ有するＨ形鋼矢板１，１′，１″に
おいて、前記中心線Ｘ−X′に対して斜め対称位
置にある１組の継手部２ａ，２ｃをそれぞれ噛み
合い継手とし、かつそれら継手部２ａ，２ｃに対
する他の１組の継手部２ｂ，２ｄをそれぞれ突き
合わせ継手としたものである。

これを詳述すると、Ｈ形鋼矢板１におけるＨ形
断面の中心線Ｘ−X′に対して斜め対称位置にあ
る１組の継手部２ａ，２ｃは、一方の継手部２ａ
が隣接するＨ形鋼矢板１′の継手部２ｃと噛み合
い、他方の継手部２ｃが、隣接するＨ形鋼矢板
１″の継手部２ａと噛み合うように構成する。

また、他の継手部２ｂ，２ｄは、一方の継手部
２ｂが、隣接するＨ形鋼矢板１′の継手部２ｄと
突き合い、他方の継手部２ｄが、隣接するＨ形鋼
矢板１″の継手部２ｂと突き合うように構成す
る。

そして、第６図において、継手部２ｃ，２ｄを
中心線Ｘ−X′に対して対称の同一形状に形成す
るとともに、継手部２ｂには、隣接するＨ形鋼矢
板１′の継手部２ｄに形成される突出端２d′に突
き合わされる突き合わせ面２b′を形成し、かつ継
手部２ｄには、隣接するＨ形鋼矢板１″の継手部
２ｂに形成される突き合わせ面２b′に突き合わさ
れる突出端２d′を形成してなつている。

なお、第６図のものは、第５図におけるＨ形鋼
矢板１，１′，１″を、フランジ部１ａ，１ｂが中
心線Ｘ−X′に対して交互になるように千鳥打ち
することによつて構成したものである。

しかして、上記のように構成したＨ形鋼矢板
１，１′，１″において、継手部２ａ，２ｄまたは
継手部２ａ，２ｃが噛み合い、継手部２ｂ，２ｃ
または継手部２ｂ，２ｄがＨ形鋼矢板１，１′，
１″の圧延上のばらつきを吸収できる状態で突き
合わされる。

また、上述のように、Ｈ形断面の中心線Ｘ−
X′に対して一側にある１組の継手部２ａ，２ｄ
またはその中心線Ｘ−X′に対して斜め対称位置
にある１組の継手部２ａ，２ｃを噛み合わせ継手
として、かつそれら継手部２ａ，２ｄまたは２
ａ，２ｃに対する他の１組の継手部２ｂ，２ｃま
たは２ｂ，２ｄをそれぞれ突き合わせ継手とした
ことにより、各Ｈ形鋼矢板１，１′，１″におい
て、それぞれ２個所の噛み合わせ継手部２ａ，２
ｄまたは２ａ，２ｃを噛み合わせるだけでよいの
で、その噛み合わせが極めて容易であり、また、
突き合わせ継手部２ｂ，２ｃまたは２ｂ，２ｄの
突き合わせにより、材料が回転しないので、真直
ぐな矢板壁をつくりやすく、施工性がよい。

さらに、上記Ｈ形鋼矢板１，１′，１″は、Ｈ形
状で置く場合、Ｈ形断面の中心線Ｘ−X′を挾ん
で相対する継手部２ｃ，２ｄを形成するところの
ウエブ部１ｃから下のフランジ部を左右対称とす
ることができるので、Ｈ形状の姿勢で圧延する場
合および保管する場合に常にウエブ部１ｃが水平
になつて安定性がよく、ウエブ部１ｃを水平に保
つための特別な装置および作業を必要としない。

しかも、第６図に示すように、Ｈ形鋼矢板１，
１′，１″の噛み合い継手部２ａ，２ｃの噛み合い
をＨ形断面の中心線Ｘ−X′を挾んで相対する双
方に交互にとることができるので、Ｈ形鋼矢板
１，１′，１″を全体として真直ぐに打込むことが
できる。

なお、Ｈ形鋼矢板１，１′，１″において、継手
部２ｂの突き合わせ面２b′は、打込み時に突き合
わされる相隣る継手部２ｄの突出端２d′と干渉し
ない形状であれば、どのような形状でもよい。

本発明は以上説明したように、Ｈ形断面の中心
線を挾んで相対するフランジ部の両端に、継手部
をそれぞれ有するＨ形鋼矢板において、前記中心
線に対して一側にある１組またはその中心線に対
して斜め対称位置にある１組の継手部をそれぞれ
噛み合い継手とし、かつそれら継手部に対する他
の１組の継手部をそれぞれ突き合わせ継手とした
ことにより、各Ｈ形鋼矢板において、それぞれ２
個所の噛み合わせ継手部を噛み合わせるだけでよ
いので、その噛み合わせが極めて容易であり、ま
た、突き合わせ継手部の突き合わせにより、材料
が回転しないので、真直ぐな矢板壁をつくりやす
く、施工性がよい。

さらに、本発明のＨ形鋼矢板は、Ｈ形状で置く
場合、Ｈ形断面の中心線を挾んで相対する継手部
を形成するところのウエブ部から下のフランジ部
を左右対称とすることができるので、Ｈ形状の姿
勢で圧延する場合および保管する場合に常にウエ
ブ部が水平になつて安定性がよく、ウエブ部を水
平に保つための特別な装置および作業を必要とし
ない。

しかも、Ｈ形鋼矢板の噛み合い継手部の噛み合
いをＨ形断面の中心線を挾んで相対する双方に交
互にとることができるので、Ｈ形鋼矢板を全体と
して真直ぐに打込むことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はそれぞれ従来のＨ形鋼矢
板を示す断面図、第５図および第６図はそれぞれ
本発明の一実施例を示す断面図である。 １，１′，１″……Ｈ形鋼矢板、１ａ，１ｂ……
フランジ部、２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ……継手
部、Ｘ−X′……Ｈ形断面の中心線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ Ｈ形断面の中心線を挾んで相対するフランジ
   部の両側に、継手部をそれぞれ有するＨ形鋼矢板
   において、前記中心線に対して一側にある１組ま
   たはその中心線に対して斜め対称位置にある１組
   の継手部をそれぞれ噛み合い継手とし、かつそれ
   ら継手部に対する他の１組の継手部をそれぞれ突
   き合わせ継手とすることを特徴とするＨ形鋼矢
   板。