JPS6148351B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はサイリスタモータにおける電源力率の
改善法、特に軽負荷時における電源電圧の上昇を
防止するための力率自動調整装置に関する。

サイリスタモータ装置においては、周知のよう
に電源に接続されたサイリスタ変換器の点弧位相
を制御することにより、同期電動機の回転速度及
びトルクを制御する。この際、サイリスタ変換器
は電源系統より有効電力と同時に無効電力を取り
込むため、電源の力率が低下する。そのため、電
源に力率改善用コンデンサを接続し力率補償を行
なつている。ところが、その無効電力の大きさは
運転条件に応じて変動するため、場合によつては
力率補償が過多となり電源電圧が平常時より上昇
するという不具合も起る。この状態は特に軽負荷
時において生じる。これを防止するため従来で
は、軽負荷時においては力率改善用コンデンサを
電源より切離すようにしていたが、コンタクタの
接点寿命に問題がある。

本発明の目的は、この課題に対処して成された
もので、軽負荷時において力率補償が過多となる
ことを防止するための力率自動調整装置を提供す
るにある。

本発明の特徴とするところは、周波数変換器の
うち電源側変換器が電源から取り込む無効電力を
検出し、その値が一定となるように電動機を駆動
する電動機側変換器逆変換器の点弧位相を制御す
るようにしたことにある。

以下、本発明を図に示す一実施例において詳細
に説明する。

第１図において、１は電源側変換器順変換器、
２は直流リアクトル、３は電動機側変換器逆変換
器、４は同期電動機、５は電動機４の回転速度を
指令する速度指令回路、６はその回転速度を検出
する速度検出器、７は速度偏差増巾器、８は変換
器１の入力電流（直流信号）を検出する電流検出
器、９は電流偏差増巾器、１０は電流偏差増巾器
９の出力信号に応じて変換器１の点弧位相制御遅
れ角αを制御する自動パルス移相器、１１は電動
機４の界磁と電機子の相対位置を検出する位置検
出器、１２は位置検出器１１の信号に基づいて変
換器３の点弧位相制御進み角βを制御する点弧制
御回路である。なお、この点弧制御回路１２は制
御入力信号に応じβを可変にできる機能を有して
いる。１３は交流電源ACに接続された力率改善
用コンデンサ、１４はそれに直列接続されたリア
クトル、１５は変換器１が電源から取る無効電力
の大きさを検出する無効電力検出器、１６は無効
電力の大きさを指令する無効電力指令回路、１７
は指令回路１６と検出器１５の両信号の偏差を増
巾し、点弧制御回路１２の制御入力信号を出力す
る無効電力偏差増巾器である。

次に、その動作を説明するに、自動パルス移相
器１０は、変換器１の点弧位相αを制御すること
により速度偏差増巾器７の出力信号に比例した電
流を電動機４に流し、回転速度を所定値に制御す
る。一方、点弧制御回路１２は、変換器３の点弧
位相βを制御し、変換器３の出力電流の位相が電
動機４の誘起電圧に対して所定位相となる如く制
御する。なお、変換器３が他励変換器の場合で
は、点弧位相βは、転流余裕角（β−ｕ）が確保
されるようにβ−ｕが正である範囲で制御する。
ｕは転流重なり角である。

さて、コンデンサ１３の容量は、一般に定格時
において変換器１が取り込む無効電力をほぼ補償
しうるような値に選ばれている。しかして、サイ
リスタモータが軽負荷時になると取り込む無効電
力が減少し、コンデンサ１３が電源に供給する無
効電力の方が大となる。したがつて、電源ACに
進み電流が流れるようになつて電源電圧が平常よ
り上昇することになる。このことを本発明におい
ては次のようにして防止する。

まず、検出器１５により変換器１の無効電力を
検出する。この検出信号は指令回路１６からの一
定値の信号と突き合わされ偏差増巾器１７に加え
られる。そして、増巾器１７の出力信号に応じて
点弧位相βが制御される。今、無効電力検出値が
設定値より減少したとすると、それに応じて増巾
器１７の出力信号が変化し、点弧位相βは以前よ
り大となる如く制御される。この結果、電動機４
の力率が低下し、トルク及び回転速度は減少する
傾向となるが、前述したように自動パルス移相器
１０は電流を増加させるように制御する。結局、
トルク及び回転数は元の所定値に制御される。こ
のときの変換器１の無効電力についてみると、変
換器１の入力電流が増加したこと、及び点弧位相
αがより大きな値に制御され変換器１の力率がそ
れまでより低下していることの理由から、変換器
１の無効電力は増加し設定値にて平衡するように
なる。点弧位相βを制御することによつて、以上
の制御が可能であることは、変換器１の入力電流
及び力率Ｐ_fに次式の関係があることから明ら
かである。

∝τ／cos（β−ｕ_Ｍ／２） ……(1) Ｐ_fcos（α＋ｕ_Ｓ／２） ∝Ｅ_Ｍ／Ｅ_Ｓcos（β−ｕ_Ｍ／２）……(2) ここに、τ：トルク、ｕ_M：変換器３の転流重
なり角、ｕ_S：変換器１の転流重なり角、Ｅ_M：電
動機４の電機子電圧、Ｅ_S：電源電圧。

以上のようにして、変換器１の無効電力が負荷
（トルク）の大小にかかわらず一定に制御できる
結果、電源電圧の上昇を防止できる。

ここで、前述した実施例においては、変換器１
の入力無効電力を検出し、それが一定に保たれる
ように制御したが、それに代つて、変換器１とコ
ンデンサ１３の両方が取り込む無効電力を検出
し、それが所定値（例えば零）となるように点弧
位相βを制御しても同様の効果が得られる。

また、無効電力を検出する代りに無効電流を検
出し、同様の制御を行なつても同様の効果が得ら
れる。

さらに、自動パルス移相器１０の制御入力信号
Ｅ_Cは、変換器１の力率と略比例関係があるか
ら、下式の関係に従い変換器１の無効電力Ｑを間
接的ではあるが検出でき、前述と同様の制御を行
なわせることができる。

Ｑ∝・√１−（_{C CO}）^２ ……(3) ここに、Ｅ_COは制御遅れ角αが０度となるとき
の制御入力電圧である。

以上のように本発明によれば、新たな装置を設
けることなく軽負荷時において力率補償が過多と
なることを防止し、電源電圧の上昇を防止するこ
とができる。

なお、図に示すコンデンサ１３は、力率改善用
コンデンサに限らず、高調波除去用と力率改善も
兼ねるものであつても本発明を適用して同様の効
果が得られることは明らかである。

さらに本発明の他の変形例として、上述の如く
無効電力を検出する代りに、電源電圧の大きさを
検出し、それに応じて点弧位相βを制御しても同
様の効果が得られる。なぜなら、電源電圧は、交
流電源系統が供給する無効電力に応じて変化する
から、電源電圧とその設定値の偏差に応じて点弧
位相βを制御することにより電源電圧を所定値に
保つことができるからである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示す構成図である。 １，３……変換器、４……同期電動機、５……
速度指令回路、６……速度検出器、７……速度偏
差増巾器、８……電流検出器、９……電流偏差増
巾器、１０……自動パルス移相器、１１……位置
検出器、１２……点弧制御回路、１３……力率改
善用コンデンサ、１４……リアクトル、１５……
無効電力検出器、１６……無効電力指令回路、１
７……無効電力偏差増巾器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 交流を直流に変換する順変換器と、該順変換
   器の直流出力を交流に変換する逆変換器と、該逆
   変換器により駆動される同期電動機と、該同期電
   動機の界磁と電機子の相対位置を検出し位置信号
   を出力する位置検出器と、前記同期電動機の回転
   速度を検出する速度検出器と、前記順変換器の入
   力側に接続されるコンデンサと、前記順変換器の
   入力側の無効電力を検出する無効電力検出手段
   と、無効電力指令値と前記無効電力検出手段で検
   出した無効電力検出値と偏差に応じた位相制御信
   号を出力する無効電力制御手段と、前記位置信号
   と位相制御信号を入力して前記逆変換器の点弧位
   相（制御進み角）を制御する点弧制御手段と、速
   度指令値と前記速度検出器で検出した速度検出値
   を入力し前記同期電動機の回転速度が前記速度指
   令値となるように前記順変換器の点弧位相を制御
   する速度制御手段とを具備し、前記無効電力制御
   手段は無効電力検出値が無効電力指令値より大き
   くなると前記逆変換器の制御進み角を大きくする
   ような位相制御信号を出力することを特徴とする
   力率自動調整装置。