JP3494677B2 - 電圧型インバータ装置 - Google Patents

電圧型インバータ装置

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JP3494677B2
JP3494677B2 JP22159093A JP22159093A JP3494677B2 JP 3494677 B2 JP3494677 B2 JP 3494677B2 JP 22159093 A JP22159093 A JP 22159093A JP 22159093 A JP22159093 A JP 22159093A JP 3494677 B2 JP3494677 B2 JP 3494677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧/周波数制御方式
の電圧型インバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】可変速制御される誘導電動機(以下、
ータと略称する)の制御装置として電圧型インバータ装
置が知られており、このような電圧型インバータ装置の
一例を図4の構成図について説明する。
【0003】同図に示すように、モータ14には整流器
10、直流リアクトル11、直流コンデンサ12及びイ
ンバータ13を介して、可変周波数,可変電圧の交流電
力が供給される。インバータ13は、ゲートターンオフ
サイリスタやトランジスタなどの自己消弧能力を持つデ
バイスで構成され、直流コンデンサ12の電圧をスイッ
チングにより交流に変換する。
【0004】一方、周波数設定器15から変化率制限回
路16を通して周波数基準fref を発生し、更に周波数
基準fref を電圧/周波数関数発生回路17に入力し、
電圧基準Vref を発生する。電圧制御回路18は、電圧
基準Vref と、電圧検出器19で検出した直流コンデン
サ12の電圧Vfbk を比較し、位相基準を出力し、位相
制御回路20が整流器10の制御を行う。
【0005】また、変流器21によりモータ電流を検出
し整流回路22により直流に変換し、不完全微分回路2
3により直流分を除去し、インバータ制御の安定化信号
として、前記周波数基準fref に加算し、積分器24へ
入力する。積分器24は入力された周波数信号を積分
し、インバータ出力電圧位相角θref を発生し、パルス
分配回路25にてインバータ13の制御を行い、モータ
14に6ステップ波形の交流電圧が供給される。
【0006】このインバータ制御の安定化信号は、モー
タの負荷が増大した時にインバータ周波数に対してモー
タ速度が低下し、スリップ周波数が増加し、その結果モ
ータ電流が増えることを検出して周波数基準を減少させ
ることによりダンピング要素として働き周波数制御の安
定化を図るものであり、定常的には補正信号が零になる
ように不完全微分回路23で直流分を除去している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の電圧型インバータ装置では、負荷変動が大きく無負
荷状態を超えて変化するような場合に下記のような問題
が生じる。モータが力行モードで負荷を負担している時
に、急に負荷を零にすると、モータが加速し過ぎてしま
い、モータのスリップ周波数がマイナスつまり回生モー
ドになってしまう。あるいは、周波数基準にマイナスの
ステップを加えた場合にも同様に回生モードになってし
まう。モータの回転数よりインバータの周波数が低く回
生状態にある時にモータ電流が増加すると、インバータ
周波数を増加させてモータ回転数に近づける必要があ
る。しかし、従来の安定化信号はモータ電流を整流して
検出しているため、力行側か回生側か区別することがで
きないため、モータ電流が増加したことだけではインバ
ータの周波数基準を増やせばよいのか減らせばよいのか
判断できない。つまり、モータの状態が回生側になるよ
うな運転を行った場合、周波数の安定化信号の極性が間
違ってしまい安定な運転ができなくなるという問題があ
った。
【0008】また、直流リアクトルと直流コンデンサと
モータのインダクタンス間で共振回路を形成しているた
め、電圧制御の安定化が難しく、特にモータが無負荷状
態にある時には、制御のダンピング要素がないため電圧
制御の高速化ができないという問題があった。
【0009】以上説明したように、従来の電圧型インバ
ータ装置ではポンプなどの負荷変動の殆どない機械を低
速な制御応答で駆動する場合には問題がないが、速い応
答が要求される場合や負荷変動が厳しく無負荷状態を通
過するような用途に対してはインバータの制御を安定に
することができないという問題があった。
【0010】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、その目的は周波数基準や負荷が急変するよ
うな用途にも安定な運転ができる電圧型インバータ装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、整流器、直流平滑リアク
トル及びインバータから成り、周波数設定手段により設
定されたインバータ周波数基準に基づいてインバータ出
力電圧位相角を制御し、モータを可変速制御するように
した電圧/周波数制御方式の電圧型インバータ装置にお
いて、前記モータの1次電流を入力し、この1次電流を
インバータ出力電圧位相角によって回転座標系に変換し
てインバータ出力電圧であるモータ電圧に対して同相の
有効電流成分と、モータ電圧に対して直交する無効電流
成分とに分離する回転座標変換手段と、前記インバータ
周波数基準に対し物理単位を合わせて前記有効電流成分
を不完全微分した第1の安定化信号を減算する第1減算
手段と、前記インバータ周波数基準に対し物理単位を合
わせて前記無効電流成分を不完全微分した第2の安定化
信号を加算する加算手段と、を備えたことを特徴とす
る。また、本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記
載の電圧型インバータ装置において、前記整流器の電圧
制御の出力である位相基準に対し物理単位を合わせて前
記無効電流成分を不完全微分した第3の安定化信号を
算する第2減算手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の電圧型インバータ装置によると、周波
数基準にマイナスのステップを加え、モータのスリップ
周波数がマイナスに変化した場合、モータの有効電流が
急減する。この変化をインバータが出力する有効電流と
して検出し直流成分を除去し、インバータ制御の安定化
信号としてインバータ周波数から減算する。この安定化
信号はプラスの極性となり、インバータ周波数基準の急
減を抑制しようとする方向に働き、モータ発生トルクと
負荷トルク間のバランスが安定になり速度が安定化され
る。
【0013】一方、直流コンデンサ電圧が増加した場
合、インバータの出力電圧が増加しモータの励磁電流が
増える。この電流を無効電流として検出し、インバータ
周波数を増加させることにより、励磁電流が減少し電圧
制御系の安定化が図れる。また、無負荷時に周波数基準
を増加させた場合、周波数の増加に伴いモータの励磁電
流が減少する。これを無効電流の減少として検出し、電
圧制御出力に減算することで整流器の直流電圧出力を増
加させ、モータの励磁電流の減少を抑制させることがで
き、電圧制御応答を高速化することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の一実施例の構成図であり、既に説
明した図4と同一の要素については、同一符号を付して
その説明は省略する。
【0015】図1に示すように、本実施例が図4の電圧
型インバータ装置と異なる点は、整流回路22の代りに
回転座標変換回路26と不完全微分回路23a,23b
を設けた点である。この回転座標変換回路26はモータ
電流をインバータ出力電圧位相角θref によって得られ
る回転座標系に変換するものであり、モータ電流をイン
バータ出力電圧であるモータ電圧と同相の成分、すなわ
ち有効電流と直交する成分である無効電流に分離して検
出することができる。つまり、先ず検出した有効電流成
分を不完全微分回路23aに通し直流分を除去してか
ら、周波数基準fref から減算する。一方、検出した無
効電流成分は不完全微分回路23bに通し直流分を除去
し、周波数基準frefに加算するように構成されてい
る。なお、現実に有効電流および無効電流を不完全微分
回路23a、23bを通して周波数基準にそれぞれ加
算、減算の補正を加える際、有効電流および無効電流の
ゲインまたは係数を調整する必要があるが、この場合の
係数の調整をすることが物理量を換算することと見るこ
とができる。
【0016】次に、本実施例の動作について説明する。
本発明は上述したように、モータ1次電流を回転座標変
換回路26に入力して有効電流成分即ちトルクの発生に
寄与する電流成分Ipを検出し、この電流成分Ipを不
完全微分回路23aに入力して直流成分をカットして安
定化信号を得、さらにこの安定化信号を周波数基準から
減算するようにしたので、もし、モータ負荷の増加によ
りモータが減速し、スリップ周波数がマイナスに変化し
てモータ1次電流が増加した場合は、安定化信号はプラ
スの極性となって積分器24に入力される。逆に、モー
タ負荷の減少によりモータが加速し、スリップ周波数が
プラスに変化してモータ1次電流が減少した場合は、安
定化信号はマイナスの極性となって積分器24に入力さ
れる。この結果、モータの減速時あるいは加速時に安定
化信号はその極性によりダンピング要素として働きモー
タの発生トルクと回転数が安定に制御できる。
【0017】一方、モータ1次電流を回転座標変換回路
26に入力して無効電流成分Iqを検出し、この無効電
流成分Iqを不完全微分回路23bに入力して直流成分
をカットしたものを安定化信号として周波数基準に加算
するように構成したので、直流コンデンサ12の電圧増
加により、インバータ13の出力電圧が増加し、モータ
の励磁電流が増えた場合、前記無効電流成分Iqを不完
全微分回路23bに入力して得た信号が周波数基準を下
げる方向に作用する。逆に、直流コンデンサ12の電圧
低下により、インバータ13の出力電圧が低下し、モー
タの励磁電流が減少した場合、前記無効電流成分Iqを
不完全微分回路23bに入力して得た信号が周波数基準
を上げる方向に作用する。このように、無効電流成分I
qを不完全微分回路23bに入力して得た信号は安定化
信号として作用するので、電圧制御系の安定化が図れ
る。
【0018】このように回転座標変換回路で検出した有
効電流と無効電流は、共に不完全微分回路を通している
ので、長期間のスケールでみれば、周波数の基準に対す
る定常偏差は生じない。つまり、モータ発生トルクと回
転数の過渡状態を安定に制御でき、モータ速度が安定化
できる。
【0019】したがって、本実施例によれば、有効電流
と無効電流に分離し各々独立に周波数基準に対して補正
することにより、周波数基準や負荷が無負荷状態を超え
て急変する過渡状態であってもモータ回転数を安定に制
御できる。
【0020】図2は本発明の他の実施例の構成図であ
り、上記実施例と同一の要素については、同一符号を付
してその説明は省略する。本実施例が上記実施例と異な
る点は、不完全微分回路23cをさらに追加し、検出し
た無効電流を電圧制御回路18の出力から減算するよう
に構成した点のみである。
【0021】次に、本実施例の動作について説明する。
無負荷時に周波数基準を増加させた場合、周波数の増加
に伴いモータの励磁電流が減少する。これを回転座標変
換回路26で無効電流の減少として検出し、この無効電
流を不完全微分回路23cに通し直流成分を除去した安
定化信号を作り、電圧制御回路18の出力から減算する
ことで整流器の直流電圧出力を増加させ、モータの励磁
電流の減少を抑制し制御系が振動するのを防止できる。
このように、モータの無効電流成分を電圧制御出力に減
算することにより、電圧制御系の振動を防止し電圧制御
応答を高速化することができる。
【0022】図3は本発明のさらに他の実施例の構成図
であり、図2の実施例と異なる点は、電圧制御回路18
の出力から減算している無効電流からの安定化信号を、
周波数基準に加算している無効電流と同一の不完全微分
回路23bの出力を使用している点のみである。
【0023】本実施例では過渡状態における周波数制御
の安定化と直流制御の安定化に対する不完全微分回路の
時定数は、概ね同じでよく、その場合は両方の安定化信
号のための不完全微分回路を共用できることは明白であ
り、図2の実施例と同様に電圧制御系の振動を防止し電
圧制御応答を高速化することができる。なお、インバー
タを12パルス構成にしたものにおいても、本発明が有
効に機能できることは明白であり、本発明の趣旨に反し
ない。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
モータ電流を有効電流成分と無効電流成分に離して検出
し、各々独立に周波数基準に対して補正することと、無
効電流成分を電圧制御出力に減算することにより、周波
数基準や負荷が無負荷状態を超えて急変する過渡状態で
あっても、インバータ制御の振動を防止し制御応答を高
速化しモータ回転数を安定に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成図。
【図2】本発明の他の実施例の構成図。
【図3】本発明のさらに他の実施例の構成図。
【図4】従来の電圧型インバータ装置の構成図。
【符号の説明】
10…整流器、11…直流リアクトル、12…直流コン
デンサ、13…インバータ、14…誘導電動機、15…
周波数設定器、16…変化率制限回路、17…電圧/周
波数関数発生回路、18…電圧制御回路、19…電圧検
出器、20…位相制御回路、21…整流器、22…整流
回路、23,23a,23b,23c…不完全微分回
路、24…積分器、25…パルス分配回路、26…回転
座標変換回路。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02M 7/42 - 7/98

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】整流器、直流平滑リアクトル及びインバー
    タから成り、周波数設定手段により設定されたインバー
    タ周波数基準に基づいてインバータ出力電圧位相角を制
    御し、モータを可変速制御するようにした電圧/周波数
    制御方式の電圧型インバータ装置において、 前記モータの1次電流を入力し、この1次電流をインバ
    ータ出力電圧位相角によって回転座標系に変換してイン
    バータ出力電圧であるモータ電圧に対して同相の有効電
    流成分と、モータ電圧に対して直交する無効電流成分と
    に分離する回転座標変換手段と、 前記インバータ周波数基準に対し物理単位を合わせて前
    記有効電流成分を不完全微分した第1の安定化信号を
    算する第1減算手段と、 前記インバータ周波数基準に対し物理単位を合わせて前
    記無効電流成分を不完全微分した第2の安定化信号を
    算する加算手段と、 を備えたことを特徴とする電圧型インバータ装置。
  2. 【請求項2】前記整流器の電圧制御の出力である位相基
    準に対し物理単位を合わせて前記無効電流成分を不完全
    微分した第3の安定化信号を減算する第2減算手段を備
    えたことを特徴とする請求項1記載の電圧型インバータ
    装置。
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