JPS6146153B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鞘状ケース内に長手方向に摺動可能
に案内されるナイフブレードが、その押出し方向
とは逆の方向に引張ばねの荷重を受けかつ同様に
ケース内に長手方向に摺動可能に案内される操作
体に連結され、この操作体からケースの縦スロツ
トを通つてケース外部へ突出する操作つまみが、
ナイフブレードの押出し作業位置でケース側スト
ツパに係止可能であるカツターナイフに関する。

このようなカツターナイフは公知であり（昭和
７年実用新案出願公告第16995号公報）、ナイフブ
レードと一体の摺動部材すなわち操作つまみの後
端部には引張ばねが取付けられている。ナイフブ
レードを作業位置へ押出すと、引張ばねが緊張せ
しめられ、ナイフブレードが不作用位置へ戻る
と、引張ばねはグリツプ本体内で弛緩した状態に
ある。この公知のカツターナイフでは、作業位置
における拘束のため操作つまみには、その移動方
向に対して直角に移動可能に別体の拘束ピンが支
持されている。作業位置における拘束は、引張ば
ねとは別個に設けられた偏平ばねの予荷重に抗し
て指先で拘束ピンをグリツプ本体にある凹部へ押
込むことによつて行なわれる。拘束ピンに作用す
る指先の押圧力を解除すると、偏平ばねにより拘
束ピンは凹部から押出され、引張ばねによりナイ
フブレードが不作用位置へ引戻される。

このようなカツターナイフでは、２種類のば
ね、すなわちナイフブレードを作業位置から不作
用位置へ戻すための引張ばねと、拘束ピンによる
拘束解除のための偏平ばねとを必要とし、また操
作つまみ中に別個の拘束ピンを移動可能に設ける
必要がある。このように部品点数が多いことは、
多量生産されるこの種のカツターナイフにおい
て、製造費のみならず組立時間も増大させること
になる。さらに作業位置において小さい直径の拘
束ピンを押圧状態に保つため、指先の疲労も大き
い。

本発明の課題は、これらの欠点のない簡単な構
造のカツターナイフを提供することである。

この課題を解決するため本発明によれば、操作
つまみの運動経路内におけるケース側ストツパと
して、ケースの内部へ向かつて引込んだ少なくと
も１つの係止段部が設けられ、操作つまみが内側
に少し凸に湾曲した支持面を有し、この支持面を
介して操作つまみが傾動可能にケースに支持さ
れ、操作つまみの中央に相当する操作体の位置に
引張ばねの連接用突起が設けられ、この引張ばね
が、てこ腕として作用する連接用突起を介して、
ナイフブレードの押出し作業位置にある操作つま
みに、係止段部から操作つまみを外そうとする傾
動モーメントを及ぼす。

本発明によれば、作業位置に押出された操作つ
まみには、不作用位置へ引戻そうとする引張ばね
の力が作用すると同時に、内側に少し凸に湾曲し
た支持面によりケースに傾動（揺動）可能に支持
される操作つまみの連接用突起にも、この引張ば
ねが作用して、てこ腕として作用するこの連接用
突起を介して操作つまみに、係止段部から操作つ
まみを外そうとする傾動モーメントを及ぼす。し
たがつてこの傾動モーメントに抗するモーメント
を操作つまみに及ぼしさえすれば、ナイフブレー
ドを作業位置に簡単に係止することができる。こ
うして作業位置から不作用位置への引戻し力と作
業位置における係止解除モーメントとを１つの引
張ばねによつて生ずることができ、また不作用位
置から作業位置への移行と作業位置における拘束
とを１つの操作つまみにおける長手方向移動と傾
動とによつて行なうことができるので、ばね部材
と操作部材の点数を従来の半分にすることがで
き、製造および組立の費用を低減することが可能
となる。連接用突起や支持面も操作つまみと一体
に例えばプラスチツクから射出成形により容易に
形成することができる。なお傾動モーメントも操
作つまみの幅全体に及ぼすことができ、換言すれ
ば、このモーメントを生ずるための作用面積を従
来の拘束ピンより大きくできるので、指先の疲労
も少ない。

引張ばねと操作体とを組込まれて１つの組立ユ
ニツトを構成するインサート体は、グリツプ本体
の形状を補う固有の形状を有し、これと共に鞘状
ケースを構成している。グリツプ本体の一部分
（殊にブレードガイドの延長ガイド区分）を、イ
ンサート体の収容室を形成するために使用したこ
とによつて、前記収容室のために特別の手段を講
じる必要はない。インサート体はスライドとして
グリツプ本体と協働し、該グリツプ本体内に摩擦
接続によつて確保される。インサート体のために
必要な組込みスペースは、該インサート体の挿嵌
によつて再び塞がれるので、グリツプ本体の閉じ
た形状が得られる。

更にまた、戻し機構は間接的に、つまり操作体
を介してナイフブレードに作用するので、ナイフ
ブレードは従来慣用の形状のまま、変更の手を加
えずに有利に使用することができる。また、ナイ
フブレードは、カツチングエツジから離反した方
の側でブレードホールダによつて囲まれており、
このブレードホールダは損傷の危険度を低下させ
るばかりでなく、ナイフブレードの押出し作業位
置へナイフブレードをグリツプ本体内で付加的に
ガイドするので、これはナイフブレードの安全性
に役立つ。また、ナイフブレードの両刃使用のた
めに、ナイフブレードをひつくり返すことも可能
である。また、折断可能な刃区分を有する所謂折
断ブレードをナイフブレードとして使用すること
も可能である。

次に図面につき本発明の実施例を詳説する。

図示のカツターナイフは後述するインサート体
１６と共に鞘状ケースを構成するグリツプ本体１
０を有し、該グリツプ本体は、側面図で見て大体
において平行四辺形状の形態を有している。グリ
ツプ本体１０はプラスチツク射出成形品として２
つの半割鞘状部１０ａ，１０ｂから成つている。
両半割鞘状部は共通の突合せ接ぎ目１１の範囲で
互いに面で突合され固定的に接合されている。平
面図で見ればグリツプ本体１０の両側壁はナイフ
の作業側Ａでテーパ状に先細になつている。実質
的に中空のグリツプ本体１０は、ナイフブレード
１３のために長手方向に延在するブレードガイド
１２を有している。ナイフブレード１３は、方形
輪郭の薄片状のブレード区分から成つており、該
ブレード区分は、カツチングエツジ１４から離反
した方の側では、ほぼＵ字状断面のブレードホー
ルダ１５によつて囲まれている。このブレードホ
ールダ１５は第１にナイフブレード１３の未使用
のカツチングエツジ側を保護し、第２にナイフブ
レード１３の位置特に、第３図に示した押出され
た作業位置を安定させる。

グリツプ本体１０はその軸方向長の大部分にわ
たつてほぼＣ字形断面の形状を有している（第４
図及び第６図参照）。ブレードガイド１２はグリ
ツプ本体１０の全長にわたつて延びておりかつナ
イフ作業側Ａから離れた方のガイド区分１２ａで
は後述のインサート体１６の受容部として役立
つ。

ナイフブレード１３はグリツプ本体１０内にお
いてブレードガイド１２の内部を長手方向に摺動
可能に配置されておりかつ操作体１７と連結され
ており、該操作体は条片部分１８に、横向きに突
出した連結突起１９を保持し、該連結突起はナイ
フブレード１３の連結孔２０に係合する（第１図
及び第３図参照）。操作体１７に一体に所属した
操作つまみ２１によつて、操作体１７はグリツプ
本体１０内で長手方向に摺動可能である。操作体
１７は操作つまみ２１によつて、グリツプ本体１
０の広幅側面に設けた縦スロツト２２を通つてこ
れに係合しているので、の操作体１７のシフト操
作によつてナイフブレード１３は移動することが
できる。

操作体１７はインサート体１６と組合わされて
１つの共通な組立ユニツトを形成している。イン
サート体１６は実質的にスライドとして構成され
ており、該スライドはカツターナイフの作業側Ａ
とは反対の背面側から第４図の矢印Ｃの方向にグ
リツプ本体１０内に挿嵌可能でありかつ装着状態
（第１図乃至第３図）ではグリツプ本体の形状を
補う。このインサート体１６の末端範囲１６ａに
は端環状の穿孔２３が形成されている。また前記
末端範囲１６ａは、端面から見れば、グリツプ本
体１０の輪郭に等しい輪郭形状を有している。イ
ンサート体１６には、前記末端範囲１６ａの反対
側に、装着状態でグリツプ本体１０の縦スロツト
２２の全長の一部を塞ぐ付加部１６ｂが設けられ
ている。この付加部１６ｂは両狭幅側にガイドリ
ブ２４を有し、このガイドリブは、延長されたガ
イド区分１２ａと協働し互いに嵌合している。イ
ンサート体１６はグリツプ本体１０内で摩擦接続
によつて保持される。

長手方向に延びる付加部１６ｂの内部には収容
室２５が形成されており、該収容室は一方では引
張ばね２６を収容するため、また他方では操作体
１７のガイド区分１８ａを受容するために使用さ
れる。操作体１７のガイド区分１８ａは側方遊び
を以て収容室２５内でガイドされている。例えば
コイルばねのような引張ばね２６の取付け用終端
部２６ｂはインサート体１６内で差込ピン２７に
定置に掛け止めされている。引張ばね２６の他方
の終端部２６ａは連接用突起２８に固定されてい
る。該連接用突起２８は操作つまみ２１の真中
で、該操作つまみに対して内向きに突設されてい
る。この連接用突起２８は実質的に条片部分１８
と同一の平面内に位置している。操作つまみ２１
は、インサート体１６に面した方の側に、やや湾
曲した支持面２９を有している。この湾曲によ
り、かつまた収容室２５内におけるガイド区分１
８ａの前記側方遊びによつて操作体１７は、係止
段部３３から解放された状態でやや傾動運動を行
うことができる。

操作つまみ２１は、第１図に示したナイフブレ
ード１３の未使用位置においては、後縁２１ａに
よつてインサート体１６のストツパ段部３０に当
接している。条片部分１８は、操作つまみ２１か
ら離反した方の内側にブレード収容室３１を有
し、該ブレード収容室の範囲には連結突起１９が
設けられている。１つの連結孔２０の範囲で連結
突起１９と係合したナイフブレード１３は、操作
つまみ２１に近い方の端縁範囲１３ａによつて、
条片部分１８の、前記ブレード収容室３１を制限
する支持縁３２に当接している。

操作体１７もインサート体１６もプラスチツク
射出成形品であり、両者は、引張ばね２６を取付
けたのちには、１つの連繋した組立ユニツトを形
成する。操作体１７の運動経路内では（特に操作
つまみ２１の摺動範囲では）、ストツパ段部３０
に対して間隔をおいて少なくとも１つの係止段部
３３が設けられており、該係止段部は、作業操作
のためにナイフブレード１３が完全に押出される
ストローク距離に相当する箇所に配置されてい
る。

本実施例では引張ばね２６は、グリツプ本体１
０内へナイフブレード１３を自動的に引戻す方向
にナイフブレードに対して常時作用している。こ
のことは取りも直さず、切削加工のためにカツタ
ーナイフを操作する場合にナイフブレード１３を
第１図の矢印KAの方向に押出す際に引張ばね２
６の引戻し力が克服されねばならないことを意味
し、しかもその際引張ばねは緊張せしめられるの
である。カツターナイフの操作は次のようにして
行われる。すなわち、グリツプ本体１０を掴む手
の拇指を、拇指の形状に合わせて成形された操作
つまみ２１に当てつけ、次いで第１図の矢印Ｂの
方向に操作つまみを、ナイフブレード１３が第３
図の位置に達するまで移動させる。操作つまみ２
１の前進運動範囲内に係止段部３３を配置したこ
とにより、ナイフブレード１３が第３図の完全押
出し位置に達した際に、操作つまみ２１の後縁２
１ａが係止段部３３に係止したことを操作者は感
知する。従つて、押出されたナイフブレード１３
もしくは操作体１７とグリツプ本体１０もしくは
インサート体１６との間で機械的な係止が行われ
るので、操作つまみ２１が係止段部３３に留まる
ように、引張ばね２６の引張方向に対して実質的
に直角方向の押圧力を操作体１７に加えるだけで
よい。この位置では引張ばね２６の戻し力よりも
強い力を拇指によつて生ぜしめる必要はもはやな
い。

操作圧力をかけなくなると引張ばね２６の戻し
力は瞬間的に再びフルに働くようになる。この戻
し力は、操作つまみ２１の後縁２１ａの支持点と
操作つまみに引張ばね２６を連結する連接用突起
２８との間に傾動モーメントを発生させることに
よつて前記操作つまみ２１を再び係止段部３３か
ら引外すので、操作体１７とナイフブレード１３
とは共にストツパ段部３０へ向つて迅速に戻り該
ストツパ段部で停止する。それと共にナイフブレ
ード１３は自動的にグリツプ本体１０の内部に潜
没する訳である。

【図面の簡単な説明】

第１図はカツターナイフの側面図、第２図はカ
ツターナイフの平面図、第３図はナイフブレード
を押出して作業位置で示したカツターナイフの側
面図、第４図はナイフブレードの嵌込まれたグリ
ツプ本体とインサート体の分解側面図、第５図は
分解した状態におけるグリツプ本体と一部切欠か
れたインサート体との平面図、第６図は第１図の
−線に沿つた拡大横断面図、第７図は操作体
を係止位置で示したインサート体の平面図であ
る。 １０……グリツプ本体、１０ａ，１０ｂ……半
割鞘状部、１１……突合せ接ぎ目、１２……ブレ
ードガイド、１２ａ……ガイド区分、１３……ナ
イフブレード、１３ａ……端縁範囲、１４……カ
ツチングエツジ、１５……ブレードホールダ、１
６……インサート体、１６ａ……末端範囲、１６
ｂ……付加部、１７……操作体、１８……条片部
分、１８ａ……ガイド区分、１９……連結突起、
２０……連結孔、２１……操作つまみ、２１ａ…
…後縁、２２……縦スロツト、２３……穿孔、２
４……ガイドリブ、２５……収容室、２６……引
張ばね、２６ａ，２６ｂ……ばね終端部、２７…
…差込ピン、２８……連接用突起、２９……支持
面、３０……ストツパ段部、３１……ブレード収
容室、３２……支持縁、３３……係止段部、Ａ…
…ナイフの作業側、KA……ナイフブレードの押
出し方向。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鞘状ケース内に長手方向に摺動可能に案内さ
   れるナイフブレードが、その押出し方向とは逆の
   方向に引張ばねの荷重を受けかつ同様にケース内
   に長手方向に摺動可能に案内される操作体に連結
   され、この操作体からケースの縦スロツトを通つ
   てケース外部へ突出する操作つまみが、ナイフブ
   レードの押出し作業位置でケース側ストツパに係
   止可能であるカツターナイフにおいて、操作つま
   み２１の運動経路内におけるケース側ストツパと
   して、ケース１０，１６の内部へ向かつて引込ん
   だ少なくとも１つの係止段部３３が設けられ、操
   作つまみ２１が内側に少し凸に湾曲した支持面２
   ９を有し、この支持面２９を介して操作つまみ２
   １が傾動可能にケース１０，１６に支持され、操
   作つまみ２１の中央に相当する操作体１７の位置
   に引張ばね２６の連接用突起２８が設けられ、こ
   の引張ばね２６が、てこ腕として作用する連接用
   突起２８を介して、ナイフブレード１３の押出し
   作業位置にある操作つまみ２１に、係止段部３３
   から操作つまみ２１を外そうとする傾動モーメン
   トを及ぼすことを特徴とする、カツターナイフ。 ２ ケースが中空のグリツプ本体１０とこの中へ
   長手方向に挿入可能なインサート体１６から構成
   され、引張ばね２６と操作体１７とを組込まれた
   インサート体１６がグリツプ本体１０のブレード
   ガイド１２の延長部に合致するように配置された
   対応ガイド部材２４を有するスライド体として構
   成され、対応ガイド部材２４が、組立状態におい
   てグリツプ本体のブレードガイド１２のガイド区
   分１２ａ内に係合保持されていることを特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項に記載のカツターナイ
   フ。 ３ インサート体１６が、カツターナイフの作業
   側Ａから遠い方にあるグリツプ本体１０の側に設
   けられて、グリツプ本体内へ挿入可能であること
   を特徴とする、特許請求の範囲第２項に記載のカ
   ツターナイフ。 ４ インサート体１６が、このインサート体を厚
   さ方向に貫通する穿孔２３を自由端部にもつてい
   ることを特徴とする、特許請求の範囲第２項また
   は第３項に記載のカツターナイフ。 ５ 操作体１７がこれに対し段をなして平行に延
   びる条片部分１８を備え、この条片部分１８がナ
   イフブレード１３を支持するブレード収容室３１
   を有し、この条片部分１８に、ナイフブレード１
   ３の方へ突出してこのナイフブレード１３の連結
   孔２０へはまる連結突起１９が設けられているこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第１項に記載の
   カツターナイフ。 ６ ナイフブレード１３が、カツチングエツジ１
   ４とは反対の側で、ほぼＵ字状断面のブレードホ
   ールダ１５によつて少なくとも部分的に囲まれて
   いることを特徴とする、特許請求の範囲第１項に
   記載のカツターナイフ。