JPS6145933B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は合成樹脂製ラツクギヤの製造方法に関
するもので、可撓性のあるラツクギヤも勿論出来
るが、本発明方法は剛性に優れたラツクギヤを提
供できる。特に直線で、剛性に優れた合成樹脂製
ラツクギヤの製造方法であつて、従来より入手で
きる金属性ラツクギヤと同様に精密機械等の部品
として十分に使用しうるラツクギヤを提供するも
のである。

ラツクギヤとしては金属より加工したものが精
度、耐久性において優れているが、これはラツク
の溝部を１つ１つ加工するという製造上の煩雑さ
があり、そのため高価であつた。また射出成形で
製作したラツクギヤや、押出成形で製作した有歯
ベルトも見られるが、前者は製造上の制限によつ
て長尺の製品を得ることが難しく、熱収縮の為中
央部と端部のピツチが不均一になる等の欠点があ
り、後者は加圧距離を長く取る構造上からレリー
フロール円周上を1/4〜3/4周巻いて製作してお
り、現在までの方法では、可撓性を有する製品し
か製作できなかつた。

本発明は上述の要望に応えて、剛性、寸法精
度、耐久性、強度に優れた熱可塑性合成樹脂製ラ
ツクギヤを提供するものである。

即ち、熱可塑性合成樹脂を熔融し、所望の断面
形状を有する棒状に押出し、冷却媒体中にて１対
のレリーフロールと平ロールあるいは２個のレリ
ーフロールの組合せとによつて前記合成樹脂棒の
片面又は両面に連続的にラツクを形成し、さらに
冷却媒体にて冷却しつつこれを引取りロールにて
引取ることを特徴とする合成樹脂製ラツクギヤの
製造方法に関するものである。

本発明によつて得た上記のような特性を有する
ラツクギヤは、合成樹脂製としては従来使用でき
なかつた分野の部品として広く応用できる。例え
ばアンテナの自動押出し装置の部品、自動ドアの
駆動部材、自動シートベルトの駆動力伝達部材等
がある。

本発明方法は例えば次のような装置によつて実
施されるものである。即ち、熱可塑性樹脂用押し
機と、前記押出し機より押出された所望の断面形
状を有する熱可塑性樹脂棒にラツク面を形成する
１対のレリーフロール又は１対のレリーフロール
と平ロールと、前述のラツク形成工程と形成され
たラツクギヤとを冷却する冷却手段とラツクギヤ
引取り機とよりなることを特徴とする合成樹脂製
ラツクギヤの製造装置である。

本発明に使用する合成樹脂は押出し加工できる
熱可塑性合成樹脂であり、特にポリアセタール、
ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレ
フタレートが適切である。

冷却媒体としては既知のものが使用でき、例え
ば空気、水、オイル等である。熔融状態で合成樹
脂は金型より所望の断面形状を有する棒状に押出
され、先ず冷却媒体にて熔融合成樹脂の表面をわ
ずかに冷却し、次いで加圧成形用のレリーフロー
ルと平坦な表面を有する押えロールとより成る１
対の成形ロールにて加工し、成形物は１対の引取
りロールにて引取られる。この成形ロールと引取
ロールの間において、成形物は冷却媒体にて冷却
される一方、引取りロールにて引張力が付与さ
れ、よつて寸法精度の安定したラツクギヤが得ら
れる。同時に成形ロールと引取りロールの回転比
を調整することによつて適切なテンシヨンを加工
品にかけることができ、よつてラツクのピツチを
微調整することができる。

また、加圧成形するレリーフロールは、ラツク
ギヤ凸部を形成すべき各凹部にロール内部に通じ
て外へ排気しうるガス抜き孔を付設しておくこと
によつて表面が平滑で、所望の形状が正確に表わ
れる加工品を得ることができる。

本発明におけるラツクギヤ形成ロールは上下１
対よりなり、レリーフロールと平ロールあるいは
２本のレリーフロールの組合せがある。レリーフ
ロールはロール面にレリーフを形成し、平ロール
は表面をそのまま形成面として利用することがで
きるが、精密なラツクギヤを製造するため次のよ
うな構造をもたせることもできる。即ち、平ロー
ル及びレリーフロールには各々ラツクギヤ形成面
が円周方向に環状に設けた１本の溝によつて構成
されている。各ロールの溝は対向し、縦切断面に
関してラツクギヤを包囲する。

ラツクギヤを補強するため補強材を入れること
も本発明では可能である。例えば、金属棒、金属
線、金属性中空棒、繊維線を押出し機に挿入し、
合成樹脂と共に押出せばよい。

本発明の方法によると、成形品は表面も整つて
仕上り、バリ取り等の後処理も必要がない。又無
限延長の製品が得られ、その後の操作によつて所
望の長さにこれを切断して使用しうる利点があ
る。各工程は直線上に製品が走行するよう整える
のがよい。

次に本発明の実施例を図面に沿つて説明する。

第１図において、押出し機１にポリアセタール
を仕込み、金型２より所望の断面形状を有する棒
状に押出す。冷却媒体６で満たした冷却槽８中に
棒状樹脂３を導き、同槽８中に配設したレリーフ
ロール４と平ロール５の間を通して加工し、冷却
媒体６で冷却しながら、引取りロール７にて引取
り製品とする。

第１図の実施例では押出し機中に補強材９を挿
入して、押出した樹脂棒中に埋設する。第２図は
ラツク形成前、第３図はラツク形成後の樹脂の断
面を示す。

１対のレリーフロールと平ロールとにおいて、
各々円周方向に環状溝１１を１本形成しておき、
この溝の側面及び底面をラツクギヤの形成面とし
て利用する具体例を第４，５図に示す。レリーフ
ロールの溝の底面にレリーフを付設してラツクを
形成するものである。

第４図は軸に沿つた断面、第５図は軸を横断す
る断面を示す。第６図はこのような１対のロール
にてラツクギヤが形成されつつある状態を示し、
第４図のＤ−Ｄ線に沿う断面に相当する。１２は
レリーフロールのラツク形成歯を示す。

以上は述べた本発明によつて種々の形状のラツ
クギヤを提供でき、その例を第７図イよりホに示
す。ロ，ニ及びホは補強材を含む。ハ及びニはラ
ツク面が両面に形成されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す。第２図、第３
図及び第７図は本発明によつて得られるラツクギ
ヤを示す。第４，５及び６図は本発明の好ましい
ロールの形態を示す。図中、１は押出し機、２は
金型、３は合成樹脂、４はレリーフロール、５は
平ロール、６は冷却媒体、７は引取りロール１
対、８は冷却槽、９は補強材、１０はロールシヤ
フト、１１はロール上環状溝、１２はラツク形成
歯である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性合成樹脂を熔融し、所望の断面形状
   を有する棒状に押出し、冷却媒体中にて１対のレ
   リーフロールと平ロールあるいは２つのレリーフ
   ロールとによつて前記合成樹脂棒の片面又は両面
   に連続的にラツクを形成し、さらに冷却媒体にて
   冷却しつつこれを引取りロールにて引取ることを
   特徴とする合成樹脂製ラツクギヤの製造方法。 ２ レリーフロール中の各凹みにガス抜き孔を付
   設したことを特徴する特許請求の範囲第１項に記
   載の製造方法。 ３ 合成樹脂がポリアセタール、ポリアミド、ポ
   リプロピレン又はポリブチレンテレフタレートで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は
   第２項に記載の製造方法。 ４ 合成樹脂中に金属、繊維等の補強材を埋めて
   押出すことを特徴とする特許請求の範囲第１ない
   し３項のいずれかに記載の製造方法。 ５ ラツクの形成が１対のレリーフロールと平ロ
   ールとによつて行なわれることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の製造方法。 ６ 平ロール及びレリーフロールには各々ラツク
   ギヤ形成面が円周方向に環状に設けた１本の溝に
   よつて構成されていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項又は第５項に記載の製造方法。 ７ 熱可塑性樹脂用押出し機と、前記押出し機よ
   り押出された所望の断面形状を有する熱可塑性合
   成樹脂棒にラツク面を形成する１対のレリーフロ
   ール又は１対のレリーフロールと平ロールと、前
   述のラツク形成工程と形成されたラツクギヤとを
   冷却する冷却手段と、ラツクギヤ引取り機とより
   なることを特徴とする合成樹脂製ラツクギヤの製
   造装置。