JPS6145741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、電機子コアの外周部に形成された
スロツトに電機子コイルを挿入し、そのコイルエ
ンドに耐機械的遠心力性を持たせたバインド部材
を装着してなる直流電動機の改良に関するもので
ある。

従来、この種の電動機として第１図、第２図に
示すものがあつた。まず、第１図において、１は
電機子シヤフト、２はこの電機子シヤフト１に嵌
挿された電機子コアで、この外周部には外周方向
や開口したスロツト２ａが形成されている。３は
上記スロツト２ａ内に各々装着された電機子コイ
ルで、上記コア２の両端部より軸方向に突出した
コイルエンド部３ａと、後述する整流子と接続さ
れる口出部３ｂを有している。４は上記電機子コ
イル３と電機子コア２間を絶縁し固着保持すべく
上記スロツト２ａ内に充填された合成樹脂絶縁
層、５は上記シヤフト１に上記コア２と隣接して
固着された整流子で、その外周部には上記電機子
コイル３の口出部３ｂと接続されるセグメント５
ａが設けられている。６は上記電機子コア２と径
方向に微小間隙を介して対向した界磁コアで、そ
の内周面の軸方向寸法は上記コア２と略同一に設
定されている。７はこの界磁コア６に巻回された
界磁コイル、８は上記界磁コア６を固着してなる
筒状のケース、９は上記電機子コイル３のコイル
エンド部３ａに巻回された麻糸等からなるバイン
ド線である。即ち、この従来装置のものでは電機
子コア２を電機子シヤフト１に嵌挿した後、電機
子コア２の外周に成すスロツト２ａに電機子コイ
ル３を挿入し、そのコイルエンド部３ａの機械的
遠心力作用による拡散を防ぐバインド線４ａを巻
回し、電機子コイル３の口出部３ｂを整流子５の
セグメント５ａに接続し、しかる後電機子コア２
と電機子コイル３を予熱し、スロツト２ａの軸端
開口部より合成樹脂液を浸透させ、スロツト２ａ
及びバインド線９の外周一部に合成樹脂絶縁層４
を形成し、電機子コイル３を絶縁固定して電機子
を得るものである。次にこの電機子を界磁コイル
７を巻回した界磁コア６、ケース８内に挿入して
機関用の始動電動機として構成する。

ところで、上述の如く鉄系又は樹脂系バインド
線９は耐機械的遠心力性又はコイルエンド３ａの
昇温に対してバインド効果にバラツキが見られ、
強度的に安定性を欠き、又バインド線９をコイル
エンド部３ａ外周に巻回し、その一部に合成樹脂
絶縁層を成すが、バインド強度は巻回半径に反比
例し、そのためバインド巻数を多くし固着力のよ
い合成樹脂液をコイル選択しなければならなぬ欠
点があつた。又、従来装置にあつては、コイルエ
ンド３ａに巻回されたバインド線９は機械的強度
を向上させるため高価な鉄系のバインド線を使用
してもバインド効果のみで他に何らメリツトがな
い不具合もあつた。

この考案は上記のような従来のものの欠点を除
去することを目的とし、以下に述べる優れた直流
電動機を提供するものである。

以下、この考案の一実施例を図について説明す
る。第３図、第５図において、６ａは上記コイル
エンド部３ａの軸方向端まで延びた上記界磁コア
６の延長部、１０は上記コイルエンド３ａの各外
周部に圧入された磁性体からなる鉄系のバインド
部材で、これは絞り加工にて形成され、上記シヤ
フト１が嵌入する貫通穴１０ａと、上記コイルエ
ンド３ａが挿入する全閉型スロツト１０ｂと、上
記界磁コア６の延長部６ａと径方向に対向した対
向部１０ｃとを有している。

この全閉型スロツト１０ｂを有した強磁性のバ
インド部材１０はそのスロツト１０ｂ内に電機子
コイル３の各コイルエンド部３ａ、口出部３ｂを
各々貫通させた後、貫通穴１０ａを電機子シヤフ
ト１に圧入してバインド部材１０を固着する。こ
の状態ではバインド部材１０の対向部１０ｃが界
磁コア６の延長部６ａと径方向に対向している。
その後、電機子コイル３の口出部３ｂは電機子シ
ヤフト１に嵌挿された整流子５に接続される。こ
のように構成されたものにおいて、スロツト１０
ｂの軸端開口部から合成樹脂液を浸透させ、合成
樹脂絶縁層４を形成し電機子コイル３を絶縁固定
し電機子を得る。次にこの電機子と磁気回路を構
成する磁極から最終的に回転力を獲得せしめる働
きをするものである。

しかして、この実施例のものにあつては、バイ
ンド部材１０に電機子コイル３のコイルエンド３
ａを挿入し得る全閉型スロツト１０ｂを形成てい
るため、電機子は耐オーバーラン性に富み、又バ
インド部材１０は絞り加工にて円板状に一体成形
にて形成しているので、電機子への装着は極めて
容易にでき、従つて従来の如くバインド巻回時間
をカツトできる。しかもバインド部材１０は鉄系
の金属より形成されているので放熱作用を有す
る。又、界磁コア６の延長部６ａとバインド部材
１０の対向部１０ｃとの対向に伴う磁束通過面積
増大により電機子の機械的回転力を増強させるこ
とが可能である。

なお、上記実施例ではバインド部材１０として
鉄系の金属にて形成したものについて説明した
が、機械的強度を有しかつ磁気回路を構成できる
材質であれば、他の如何なる材質のものでもよ
い。

以上のようにこの考案では、界磁コアにおける
電機子コアの径方向対向面をコイルエンドの突出
端まで延長するとともに、電機子コイルのコイル
エンドをバインドするバインド部材に、コイルエ
ンドを貫挿し得る全閉スロツトを全周に亘つて複
数個設けこれら全閉スロツト内にコイルエンドを
含浸樹脂を介し挿入固着するとともに界磁コアの
径方向対向面と径方向に微少間隙を介して全周に
亘つて対向しかつコイルエンドの外周を全面に亘
つて覆う対向部を設けるようにしているので、勿
論電機子の耐オーバラン性は充分であり、しかも
上記バインド部材は磁性体より形成しているので
電機子コアにおける磁気回路面積増と界磁コアの
延長により界磁コアと電機子コア間の磁束増加を
促し、モータ部のトルク増強を促し、特性の向上
に寄与する利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電機子を示す断面図、第２図は
第１図−線断面図、第３図は本考案の一実施
例を示す断面図、第４図は第３図による実施例の
要部を示す正面図、第５図は第４図の−線断
面図、第６図は第３図の−線断面図を示す。 図中、１は電機子シヤフト、２は電機子コア、
３は電機子コイル、３ａはコイルエンド部、３ｂ
は口出部、４は合成樹脂絶縁層、５は整流子、６
は界磁コア、６ａは延長部、７は界磁コイル、８
はケース、９はバインド線、１０はバインド部
材、１０ａは貫通穴、１０ｂはスロツト、１０ｃ
は対向部である。なお、各図中同一符号は同一又
は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電機子シヤフト、このシヤフトに固着された電
   機子コア、このコアの外周部に装着された上記コ
   アの両端部より突出したコイルエンドを有する電
   機子コイル、上記シヤフトに上記コアと隣接して
   固着され、上記電機子コイルの口出部と接続され
   る整流子、上記コアと径方向に微小間隙を介して
   対向し、そのコアとの対向面は上記コイルエンド
   の突出端まで延長されてなる界磁コア、この界磁
   コアに巻回された界磁コイル、上記界磁コアを内
   周部に固着してなる筒状のケース、及び上記コイ
   ルエンドを貫挿し得る全閉スロツトを全周に亘つ
   て複数個有し、上記コイルエンドを上記全閉スロ
   ツトに含浸樹脂を介し挿入固着してバインドする
   とともに上記界磁コアの径方向対向面と径方向に
   微少間隙を介して全周に亘つて対向しかつ上記コ
   イルエンドの外周を全面に亘つて覆う対向部を有
   する磁性体からなるバインド部材を備えた直流電
   動機。