JPS6144567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、乗用車体の後部にリンク機構を介
して田植作業機を上下動可能に連結する乗用型田
植機に関するものである。

従来型の乗用型田植機は、後輪よりも前部を重
くして前後バランスをよくするためにミツシヨン
ケース部分から後方斜め下方へ向けて後輪を取付
ける後輪伝動ケースを設けた牽引車体を構成し
て、このミツシヨンケースの後側にブラケツトを
取付けて、このブラケツトに田植作業機を取付け
たリンク機構を取付ける構成にしていた。

しかし、この従来型の乗用型田植機の構成で
は、リンク機構を作動するためのリフトアームや
油圧シリンダ装置を設けるにあたつては、ミツシ
ヨンケースが邪摩になつて、従来のトラクターの
リフトアツプ機構のようにミツシヨンケースの側
部や上部にリフトアームを取付ける技術手段しか
採用できず、リンク機構をリフトアームを吊上げ
る構成になつてしまいコンパクトな構成にならな
くなる欠点があつた。

この考案は、上記の欠点を解消すると共に、リ
ンク機構の取付けフレームが座席を支架する部材
を兼用し、このフレームの左右中間を少なくても
一部分解放した空所部として、この部分に油圧シ
リンダ装置を配設ならしめて、座席の下側を有効
に利用する乗用型田植機を創作することを目的と
するものである。

この目的達成のためにこの考案は、乗用車体１
の後部にリンク機構２を介して田植作業機３を上
下動可能に連結する乗用型田植機において、ミツ
シヨンケース４の左右両側から後方斜め下方に向
う左右一対の後輪伝動ケース１３，１３を平面視
が門型となる形態に連着構成し、このミツシヨン
ケース４から上方に向けて高く突出するフレーム
１２を設け、このフレーム１２の上部に運転用の
座席１１を支架するように設けると共に、このフ
レーム１２に前記リンク機構２の上・下リンクの
基部側を枢着し、この上部リンク２０にリフトア
ーム１８の基部側を一体的に設け、前記フレーム
１２の左右中間部に前後方向が連通する空所を設
け、この空所内に、基部がミツシヨンケース４側
に取付けられる油圧シリンダ装置を前後方向へ向
けて配設し、この油圧シリンダ装置の先端側と前
記リフトアーム１８とを連結してなる乗用型田植
機の構成としたものである。

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体
的に説明する。

図において符号１は乗用車体であり、この乗用
車体１の後部にリンク機構２を介して田植作業機
３が連結されている。乗用車体１はフレームを兼
ねたミツシヨンケース４の前後に前輪５と後輪６
を有し、ミツシヨンケース４の前方にエンジン台
１５が水平に突設されていて、これにエンジン７
が搭載され、その後方に運転席８が設けられてい
る。運転席８は前方にハンドル９や各種の操作レ
バー１０を有し、後方のミツシヨンケース後端に
断面コ字形の堅牢なフレーム１２が後方に少し傾
いて立設され、このフレーム１２の上端とそこか
ら斜め前方にほぼＹ字形に突設された補助フレー
ム１２ａの上端の高所に座席１１が固着されてい
る。後輪６は上記ミツシヨンケース４の後部両側
位置より後方斜め下方に向けて延出された伝動ケ
ース１３の先端に枢支してあり、この伝動ケース
１３は軸部１３ａをミツシヨンケース４の左右に
水平に突出してミツシヨンケース４に対して平面
門型に構成され、左右の後輪６，６および伝動ケ
ース１３，１３間に車体後部から前方に入り込む
凹状空間部が形成されるようになつている。そし
てエンジン７からの動力が、ベルト伝達手段１４
を経てミツシヨンケース４内の伝動機構に入力さ
れた後に、伝動ケース１３を経て後輪６に伝達さ
れると共に、プロペラシヤフトを介して田植作業
機３の方へ伝達されるようになつている。

上記リンク機構２は、２本の下部リンク１６と
１本の上部板ばねからなる上部リンク２０とを有
し、２本の下部リンク１６の一端が上記断面コ字
形をなす前記フレーム１２の両側壁部１２ｂの下
方位置に門型に枢着され、その他端がローリング
ボツクス１７に枢着されている。また該フレーム
１２の内部にはリフトアーム１８が揺動自在に設
置されており、このリフトアーム１８の上端とロ
ーリングボツクス１７に直立したストラツト１７
ａ上端との間に、上部リンク２０が下部リンク１
６とほぼ平行して架設されている。更にフレーム
１２の下部には油圧シリンダ２１が前後方向にほ
ぼ水平に設置されており、この油圧シリンダ２１
のピストン２２がフレーム１２の底部１２ｃに穿
設された空所部分を形成する孔１９を設けてリフ
トアーム１８にそれを揺動すべく連繋しており、
下部リンク１６のローリングボツクス側とフレー
ム１２の上部との間にばね２３が斜めに張設され
ている。

田植作業機３は、機体フレーム２４が上記リフ
ト機構２の後端に連結されているローリングボツ
クス１７に対し抜け止めしてローリング自在に連
結されており、機体フレーム２４上に苗タンク２
５が上端を乗用車体側へ傾斜させて左右方向へ往
復移動するように設置されている。また機体フレ
ーム２４の下には前記凹状空間内に臨んで比較的
長いフロート２６や取付けられ、苗タンク２５の
下部の苗取出口側に植込体２７が付設され、この
植込体２７が上下方向に往復運動することで苗タ
ンク２５から苗を１株づつ切出して田面に植付け
るようになつている。

上例の構成であるから、乗用車体１の走行によ
りリンク機構２を介して田植作業機３が牽引され
るようになり、田植作業時、リンク機構２におい
て油圧シリンダ２１のピストン２２を収縮する
と、田植作業機３の荷重で下部リンク１６と上部
リンク２０が共に下方へ揺動して、その田植作業
機３が下降するようになる。そこで田植作業機３
を所定の下降位置に止めて、フロート２６を田面
滑走させながら植込体２７を動作することによ
り、苗タンク２５の苗が植付けられる。

次いで施回あるいは畦越え等に際し田植作業機
３を上昇させる必要が生じた場合には、リンク機
構２において油圧シリンダ２１のピストン２２を
押出してリフトアーム１８を上方へ揺動する。す
ると上部リンク２０が山形に撓みながら上方へ摺
動するのに伴つて下部リンク１６も上方へ揺動す
るようになり、こうして田植作業機３が比較的高
い地上高まで上昇するのである。

そして、この実施例の場合、フレーム１２によ
つて座席１１が支持されると共に、このフレーム
１２に上部リンク２０と下部リンク１６の基部が
枢着され、座席１１の下側のフレーム１２の左右
中間部に前後方向が連通する空所を設けて、この
空所に油圧シリンダー装置を縦設したから、この
座席１１の下側にリンクの枢着部やリフトアツプ
作動機構が収容される構成となりコンパクトな構
成になり得る。

以上、この考案は、前記の構成としたから、座
席１１がミツシヨンケース４よりも相当高くフレ
ーム１２によつて支持できて、このフレーム１２
がリンク機構２の基部側を枢着する取付部材を兼
用できるために特別なリンク機構の取付部材を廃
止することができると共に、リンクの基部側取付
位置を高くできて泥土が附着して枢支部の回動に
支障をきたすことがなく、しかも、フレーム１２
の左右幅間内に油圧シリンダ２１装置を縦設して
リンク機構２を作動する構成とすることにより、
座席１１の下側が有効に利用されるコンパクトな
構造になり得る特有な作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による乗用型田植機の一実施
例を示す側面図、第２図は要部の斜視図である。 図中記号、１は乗用車体、２はリンク機構、３
は田植作業機、４はミツシヨンケース、１２はフ
レーム、１３は後輪伝動ケース、１８はリフトア
ーム、２１は油圧シリンダを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乗用車体１の後部にリンク機構２を介して田植
   作業機３を上下動可能に連結する乗用型田植機に
   おいて、ミツシヨンケース４の左右両側から後方
   斜め下方に向う左右一対の後輪伝動ケース１３，
   １３を平面視が門型となる形態に連着構成し、こ
   のミツシヨンケース４から上方に向けて高く突出
   するフレーム１２を設け、このフレーム１２の上
   部に運転用の座席１１を支架するよう設けると共
   に、このフレーム１２に前記リンク機構２の上・
   下リンクの基部側を枢着し、この上部リンク２０
   にリフトアーム１８の基部側を一体的に設け、前
   記フレーム１２の左右中間部に前後方向が連通す
   る空所を設け、この空所内に、基部がミツシヨン
   ケース４側に取付けられる油圧シリンダ装置を前
   後方向へ向けて配設し、この油圧シリンダ装置の
   先端側と前記リフトアーム１８とを連結してなる
   乗用型田植機。