JPS6144390B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、外側電極および中心電極による火災
核の消炎作用を防止し、着火性を改善した内燃機
関の点火栓に関する。

［従来の技術］ 従来より外側電極および中心電極による火災核
の消炎作用を低減させ、とくにアイドリングなど
の着火性の悪い運転条件における着火ミスの発生
を防止するため中心電極先端部を細くしたり、或
いは中心電極先端部又は外側電極の中心電極がわ
面に溝を形成したりする方法などを考慮した点火
栓が実施されているが、充分な着火性の改善は得
られていない。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、外側電極および中心電極による火炎
核の消炎作用の低減効果が大きく、アイドうング
などの消火性の悪い運転条件において着火性が著
しく向上できる内燃機関の点火栓の供給を目的と
する。

［問題点を解決するための手段］ 本発明の内燃機関の点火栓は、中心電極の先端
面と該先端面に対向する外側電極との間に放電間
隙を形成する点火栓において、前記中心電極先端
面の外側電極両側方向部分が突出部となるよう断
面Ｖ字形状の溝を形成し、且つ前記外側電極の中
心電極がわ面の両側を前突出部方向へ楔状に突出
させたことを骨子とする。

［作 用］ 本発明の内燃機関の点火栓は、中心電極先端面
の外側電極両側方向部分が突出部となるよう断面
Ｖ字形状の溝を形成し、且つ外側電極の中心電極
がわ面の両側を前記突出部方向へ楔状に突出させ
ているので、外側電極および中心極による火炎核
の消炎作用の低減効果が大きく、とくにアイドリ
ングなど着火性の悪い運転条件において着火性が
著しく向上できる。

［実施例］ つぎに本発明を図に示す実施例に基づき説明す
る。

第１図は内燃機関の点火栓の第１の比較例を示
す。

１は点火栓の主体金具、２は絶縁体、３は中心
電極、４は主体金具の端面１１に突設された外側
電極である。該外側電極４は、円筒面状に凹んだ
中心電極がわ面４１を形成し、該中心電極がわ面
４１の両側は、放電方向へ先端エツジの楔状に突
出して楔状突出部４２，４３を備えて中心電極３
との間に放電間隙を形成している。

この点火栓においては、楔状突出部４２，４３
の先端集電作用と該楔状突出部４２，４３の放電
距離が短いので不平等電界が生じ電界強度が大き
くなることにより、火花放電のほぼ全部が楔状突
出部４２，４３の先端と、該楔状突出部４２，４
３に対向した中心電極３の先端の最両側部３１，
３２との間で生じ、火炎核は放電間隙の両側にあ
る領域ａおよびｂで生じる。このように放電間隙
の両側領域ａ，ｂで形成された火炎核はその生長
過程において中心電極３および外側電極４の壁面
による消炎作用を受ける割合が小さい。よつて着
火は確実になされ内燃機関の着火ミスは防止され
る。これに対し枚間隙の中心領域ｄで火花放電が
生じた場合には、火炎核はその生長途中で中心電
極３の先端面３０および外側電極４の中心電極が
わ面４１の消炎作用を大きく受け、アイドリング
などの着火条件が悪い運転時において着火ミスが
生じやすくなる。

上記外側電極４の楔状突出部４２，４３は、そ
の先端が楔状に尖つたいると共に外側電極４の中
心電極がわ面４１の最も外側に位置していること
が必要である。また外側電極４の中心電極がわ面
４１の中心部４４から楔状突出部４２の先端まで
の距離Ａは最大0.3mm程度であり、楔状突出部４
３の先端内側面と中心電極３の先端面３０との角
度Ｂは、５度〜15度の範囲にあり、且つ楔状突出
部４２の側面Ｃと中心電極３の先端面３０との角
度は80〜90度の範囲にあり、さらに両楔状突出部
４２，４３の中央の外側電極４の中心電極がわ面
４１の中央部４４は平坦面でなことが耐久性向上
の観点から望ましい。さらに中心電極３の直径と
外側電極４の幅は同一か、または中心電極３と外
側電極４との差が1.0mm以下の範囲であることが
着火性の向上の観点から望しい。その理由は上記
範囲より差が大きくなると、火花放電が大きい電
極側の中央寄りで飛火することによつて強い消炎
作用を受けるからである。

第３図〜第５図は第２〜第４の比較例を示した
ものであり、第３図の第２の比較例では中心電極
５の先端面５０は、外側電極６の両側面６３，６
４に対向する両端部分に楔状突出部５１，５２を
形成されている。本比較例の点火栓も火花放電は
放電間隙の両側の領域ａ，ｂで生じ、第１の比較
例の点火栓と同等の着火性の向上が得られる。

第４図の第３の比較例では中心電極５の先端面
５０の両端と外側電極４の中心電極がわ面４１の
両端との両方に楔状突出部５１，５２，４２，４
３を形成している。本比較例の点火栓も火花放電
は放電間隙の両側の領域ａ，ｂで生じるようにし
ている。

第５図の第４の比較例では外側電極７の中心電
極がわ面７０がＶ字状に凹み、該中心電極がわ面
７０の両端に楔状突出部７１，７２を形成してい
る。本比較例の点火栓も第１の比較例と同様の火
花放電の発生位置と着火性向上効果が得られる。

なお第２、第３の比較例では中心電極の先端面
５０の両端に楔状突出部５１，５２を形成した構
成であるため、中心電極５がわの電極消耗が大き
く、実用上において問題となる。

以下本発明の一実施例を第６図とともに説明す
る。

本発明は、中心電極がわ面４１の両側が放電方
向へ先端エツジの楔状に突出して楔状突出部４
２，４３を有する外側電極４と、中央部に前記外
側電極４の中心電極がわ面４１の長手方向に沿つ
て設けられた一本の断面Ｖ字形状の溝９を有する
中心電極１０との組み合せを示す。

この点火栓では楔状突出部４２，４３の先端集
電作用と該楔状突出部４２，４３の放電距離が短
いので不平等電界が生じ電界強度が大きくなるこ
とにより、火花放電の全部が楔状突出部４２，４
３の先端と、該楔状突出部４２，４３に対向した
中心電極１０の先端の最両側部１１，１２との間
で生じ、火炎核は必らず放電間隙の両側にある領
域ａおよびｂで生じる。このように放電間隙の両
側領域ａ，ｂで形成された火炎核はその生長過程
において中心電極１０および外側電極４の壁面に
よる消炎作用を受ける割合が小さいため着火は確
実になされ内燃機関の着火ミスは防止できる。

さらに本実施例のものは溝９が、断面Ｖ字形状
であるので、中心電極の先端面から絶縁体先端面
に向うほど断面積が大きくなり、例えば矩形状の
溝を中心電極の先端に設けた点火栓の場合よりも
電極消耗の少ない利点を有する。

つぎに本発明にかかる点火栓と従来の点火栓と
の着火性の相違を示す実験結果を示す。

() 中心電極と外側電極との放電間隙が平坦で
ある通常の点火栓。

() 外側電極の中心電極がわ面に長手方向溝を
形成した従来の点火栓。

() 外側電極の中心電極がわ両側に楔状突出部
を有する第１の比較例の点火栓。

() 中心電極先端面の外側電極両側方向部分が
突出部となるよう一本の溝を形成し、且つ外側
電極の中心電極がわ両側を楔状に突出させた本
発明にかかる点火栓（第６図）。

の各々を４サイクル４気筒1600c.c.の排気ガス対策
済エンジンに装着し、エンジンをアイドリングで
運転し空燃比と相関する排気中のCO濃度と着火
ミス発生回数との関係を測定しその関係を第２図
のグラフに示す。

第２図のグラフにより本発明の点火栓は、従来
の点火栓はもとより第１の比較例に増して薄い空
燃比（低CO濃度）で機関の運転が可能であると
共に着火ミスの発生も少ないことが明確である。

［発明の効果］ 以上のごとく、本発明の内燃機関の点火栓は、
前記中心電極先端面の外側電極両側方向部分に突
出部を備えるよう断面Ｖ字形状の溝を形成し、且
つ前記外側電極の中心電極がわ面の両側の突出部
方向へ先端エツジの楔状に突出させているので、
火花放電は確実に放電間隙の両側領域で生じ、該
両側両域で火炎核が形成されるため、中心電極お
よび外側電極の消炎作用の影響は極めて少なく、
着火性が向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の比較例を示す内燃機関の点火栓
の先端部正面図、第２図は本発明の内燃機関の点
火栓と従来および第１の比較例の点火栓との着火
性の良否を示すグラフ、第３図は第２の比較例を
示す内燃機関の点火栓の放電間隙部正面図、第４
図は第３の比較例を示す内燃機関の点火栓の放電
間隙部正面図、第５図は第４の比較例を示す内燃
機関の点火栓の放電間隙部正面図、第６図は本発
明の一実施例を示す内燃機関の点火栓の放電間隙
部正面図を示す。 図中、４…外側電極、９…溝、１０…中心電
極、４２，４３…楔状突出部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中心電極の先端面と該先端面に対向する外側
   電極との間に放電間隙を形成する点火栓におい
   て、 前記中心電極先端面の外側電極両側方向部分が
   突出部となるよう断面Ｖ字形状の溝を形成し、且
   つ前記外側電極の中心電極がわ面の両側を前記突
   出部方向へ楔状に突出させたことを特徴とする内
   燃機関の点火栓。