JPS6143984Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、例えばルームクーラ、冷凍機や冷蔵
庫等に組込まれる密閉型圧縮機に係り、特に、こ
の密閉型圧縮機の弁装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種の密閉型圧縮機は、第１図に示さ
れるように、上、下二つの分割し得るようにした
密閉型のケーシングａ内に電動機ｂを浮動状態に
に支承し、この電動機ｂの出力軸b₁にクランク軸
ｃを一体的に設け、このクランク軸ｃにシリンダ
ー装置ｄのピストンｅを軸装し、このピストンｅ
を上記シリンダー装置ｄのシリンダーｆに摺動自
在に嵌装し、このシリンダー装置ｄのシリンダー
ｆの開口部にバルブシートｇ及びバルブカバーｈ
を設け、さらに、上記バルブシートｇの表裏に吸
込弁ｉ及び吐出弁ｊを附設するとともに吸込室ｍ
に吸込管ｎを吐出室h₁に吐出管ｏを設けたもので
あり、これにより、上記電動機ｂを駆動すること
により、この電動機ｂの出力軸b₁と一体のクラン
ク軸ｃを回転し、上記シリンダー装置ｄのピスト
ンｅを往復すると、上記ケーシングａ内の吸込管
ｋから流入する冷媒ガスは、吸込管ｎを経て吸込
室ｍに入り上記吸込弁ｉを開弁してシリンダーｆ
内に流入し、次に、上記ピストンｅを復動する
と、上記吸込弁ｉを閉弁すると同時に、吐出弁ｊ
を開弁して加圧された冷媒ガスをバルブカバーｈ
の吐出室h₁から吐出管ｏを介して吐出管１へ圧送
するように構成している。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような、たとえば実公昭53
−30001号公報に示されているような形式の密閉
型圧縮機の弁装置は吸込管ｋから流入する冷媒を
吸込管ｎを介してバルブカバーｈの吸込室ｍに直
接的に導き吸込弁ｉの開動作によりシリンダｆ内
に吸込むようにしている。そのため吸込管ｎを介
して、この吸込室ｍ内に流入する冷媒は吸込室ｍ
に押し込まれるよう流入し吸込室ｍ内で乱流状態
となるため、層流状態にある冷媒ガスと比較した
場合、この吸込室内での冷媒ガスの流通状態は非
常に不安定となる。

そのため冷媒ガスがシリンダｆ内に円滑に流入
しにくくなりこれがため充分な量の冷媒ガスがシ
リンダｆ内に吸込まれなくなり圧縮効率の低下を
きたす。また吸込管ｋから流入する冷媒が吸込弁
ｉを押し開いてシリンダ５内に流入する際、つま
り吸込弁ｉがわずかに開き始めたとき、吸込弁ｉ
と吸込口ｐのわずかな間隙に急激に吸込冷媒が通
過することにより、吸込弁ｉと吸込口ｐとで形成
される隙間が笛の作用をなし、笛のような音つま
り風切音が発生する。この風切音が吸込管ｎ等を
介して外部にもれ、騒音を増大させていた。

本考案はこのような問題点に着目してなされた
もので、その目的とするところは冷媒ガスがシリ
ンダ内に円滑に流入できるようにし、圧縮効率を
向上させるとともに騒音低減をはかれるようにし
た密閉型圧縮機を提供しようとするものである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） シリンダー本体１のシリンダー２を中心とした
対蹠位置に、咽喉部４ａを有する一対の吸込通路
４を蛇行して穿設し、上記シリンダー本体１のシ
リンダ開口部２ａに吸込孔８、吸込口５及び吐出
口６を有するバルブプレート７を設け、このバル
ブプレート７の外がわに吸込孔８、吸込口５と対
向する吸込室１８及び吐出口６と対向する吐出室
１９を隣設させて有するバルブカバー１５を付設
し、上記バルブプレート７に穿設された各吸込孔
５を上記各吸込通路４から吸込孔８を介して上記
吸込室１８に連通するようにし、上記バルブプレ
ート７の表裏に吸込弁９及び吐出弁１１を上記吸
込口５及び吐出口６を開閉するようにして設け上
記各吸込通路４の開口をバルブカバー１５の吸込
室１８及び吐出室１９の両方に対向させて設ける
とともに、吸込通路４の咽喉部４ａを吐出室１９
と対向する吸込通路４の開口一端部側に設けると
ともにバルブプレート７の吸込孔８を吸込室１８
と対向位置する反咽喉部４ａ側の吸込通路４の開
口他端部に対向位置させるようにしたものであ
る。

（作 用） このように密閉形圧縮機を構成することによ
り、吸込室内での冷媒ガスをを乱流状態をひきお
こすことなく安定した流通状態にでき、所要の冷
媒ガスをシリンダ内に円滑に流入させることがで
き圧縮効率の向上をはかれるとともに、騒音の低
減をもはかることができる。

（実施例） 以下、本考案を図示の一実施例について説明す
る。

第２図乃至第７図において、符号１は密閉型圧
縮機におけるシリンダー装置のシリンダー本体で
あつて、このシリンダー本体１にはシリンダー２
が設けられており、このシリンダー２にはピスト
ン３がクランク軸（図示されず）によつて往復摺
動し得るようにして嵌装されている。又、上記シ
リンダー本体１には一対をなす吸込通路４が上記
シリンダー２を中心とした対蹠位置に穿設されて
おり、この各吸込通路４は、第３図に示されるよ
うに、咽喉部４ａを形成し、しかも蛇行してお
り、この両吸込通路４の開口断面積は上記シリン
ダー２の断面積と略同じになるようになつている
とともに、両吸込通路４の開口は後述するバルブ
プレートの吸込室と吐出室の両方に対向して設け
ている。さらに、上記シリンダー本体１の第３図
で見て左側の端面側開口部つまりシリンダ２の開
口部であるシリンダー開口部２ａには各吸込口５
及び各吐出口６を有するバルブプレート７が設け
られており、このバルブプレート７の一部には各
吸込孔８が上記吸込通路４に連通するように穿設
されている。また吸込口８は前記吸込通路４の反
咽喉部４ａ側に設けてある。さらに又、上記バル
ブプレート７の裏面には吸込弁９の基部９ａがピ
ン１０によつて上記吸込口５を開閉し得るように
して設けられており、この吸込弁９は自己の習性
によつて上記吸込口５を閉塞するようになつてい
る。

一方、上記バルブプレート７の表面には吐出弁
１１の基部１１ａがピン１２によつて上記吐出口
６を開閉し得るようにして設けられており、この
吐出口６は自己の習性によつて上記吐出口６を閉
塞するようになつている。又、この吐出弁１１に
近接したバルブプレート７にはストツパ１３が設
けられており、このストツパ１３は上記吐出弁１
１の最大開弁を規制するようになつている。さら
に、上記バルブプレート７の外がわには吐出管１
４を有するバルブカバー１５がパツキング１６を
介して取付部材１７によつて固着されており、こ
のバルブカバー１５の内がわには吸込孔８、吸込
口５と対向する吸込室１８及び吐出口６と対向す
る吐出室１９が中仕切板２０によつて区分して設
けられている。さらに又、上記吸込室１８は上記
各吸込通路４に各吸込孔８を通して連通してい
る。

また咽喉部４ａは吐出室１９と対向する吸込通
路４の開口一端部側に設けるとともに、バルブプ
レート７の吸込孔８を吸込室１８と対向位置とす
る反咽喉部４ａ側の吸込通路４の開口他端部側に
対向位置させ設けてある。

従つて、今、シリンダー装置のピストン３を、
第２図において、右方へ摺動すると、冷媒ガスは
各吸込通路４及び各吸込孔８を通つて、吸込室１
８内に一旦流入する。しかして、この吸込室１８
に流入した冷媒ガスは各吸込口５から吸込弁９を
開弁してシリンダー２内に供給される。次に上記
ピストン３が左方へ摺動を開始すると、上記吸込
弁９は閉弁すると同時に、加圧された冷媒ガスが
吐出弁１１を開弁しながら、吐出室１９に流入
し、この吐出室１９に流入した高圧冷媒は吐出管
１４から、凝縮器等の冷媒サイクルに送出される
ようになつている。

このように、本考案による冷媒ガスは、一対を
なす吸込通路４及び吸込孔８を通して吸込室１８
に流入するとき、シリンダー２の両側から大断面
積通路から流入するようになつているため、冷媒
ガスを吸込室１８内にバランスよく平均化して導
ける。

また吸込通路４には咽喉部４ａが設けてあるた
め、吸込通路４から吸込まれた冷媒ガスはこの咽
喉部４ａの絞り作用を受けた後、容積の大きな膨
張室の作用をなす吸込通路４の開口に入り膨張作
用を受ける。さらに絞り作用をなす吸込孔８で絞
りの作用を受けた後、容積の大きな膨張室の作用
をなす吸込室１８に入り膨張作用を受け、ここで
より整流され安定した流通状態となり、しかる後
吸込口５から吸込弁９の開閉に応動しシリンダ２
内に導入される。

このように冷媒ガスが、これら一連のマフラ作
用を受け、つまり整流作用を受けるため吸込室１
８内には冷媒ガスが安定した流通状態で導かれる
ため、つまり従来のように吸込室１８内で乱流状
態となり、流通状態が不安定となることがないた
め、円滑に所要の冷媒ガスをシリンダ２内に導入
でき圧縮効率をより向上できる。

また咽喉部４ａ、吸込通路４の開口、吸込孔８
吸込室１８が一連の膨張形マフラを構成し、特に
吸込通路４をシリンダ２に設け、これを膨張形マ
フラとして構成するようにしたため、特別にマフ
ラ部材を設ける必要がなく、部品点数の減少化、
圧縮機の小形化をはかれる。

そして吸込弁９部の風切音が生じても前述のよ
うに一連の膨張形マフラが形成されているので、
風切音がこのマフラ作用により減音され騒音の低
減もはかれる。また、吸込孔８を反咽喉部４ａ側
に設け両者を離し位置させることにより咽喉部４
ａからの冷媒ガスが吸込通路４の開口の吸込孔８
近傍に到達する間に、より整流化でき、これによ
り吸込室１８へより一層、安定した状態の冷媒ガ
スを導入できる。また吸込通路４を蛇行させるこ
とによりシリンダ本体の限られた狭いスペース内
により大きな膨張室を形成する吸込通路４を構成
できるようにし、マフラ効果の向上化をはかりか
つ風切音が直接直線的に外部にもれることのない
ようにし減音効果の向上化をはかれる。また吸込
通路４の開口がバルブカバー１５の吐出室１９と
吸込室１８の両方に対向して設けられ、吸込ガス
がバルブプレート７を介した裏側を通つて吸込ま
れるので、その流通過程においてシリンダ部は勿
論バルブプレート７、吐出弁１１、吸込弁９等を
も冷却でき、これらの熱的面からの劣化、損傷防
止もはかれ、そして圧縮機全体の温度上昇をおさ
えることもできる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば吸込室内での冷媒
ガスを安定した流通状態に保ち所要の冷媒ガスを
シリンダ内に円滑に流入できるため、圧縮効率の
向上をはかれるとともに、風切音の騒音低減をは
かれ、しかもこれらが行なえるにもかかわらず特
別新たに部品を設ける必要がない等、実用的な密
閉型圧縮機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉型圧縮機の一部を破截して
示す側面図、第２図は本考案による密閉型圧縮機
の要部を示す拡大断面図、第３図は本考案のシリ
ンダー本体の一部を示す断面図、第４図は第２図
中の鎖線Ａ−Ａに沿う断面図、第５図は第２図中
の鎖線Ｂ−Ｂに沿う断面図、第６図は本考案に組
込まれるバルブプレートの平面図、第７図は本考
案に使用されるバルブカバーの平面図である。 １……シリンダー本体、２……シリンダー、３
……ピストン、４……吸込通路、５……吸込口、
６……吐出口、７……バルブプレート、８…吸込
口、９……吸込弁、１１……吐出弁、１４……吐
出管、１５……バルブカバー、１８……吸込室、
１９……吐出室。２０……中仕切板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダー本体１のシリンダー２を中心とした
   対蹠位置に、咽喉部４ａを有する一対の吸込通路
   ４を蛇行して穿設し、上記シリンダー本体１のシ
   リンダー開口部２ａに吸込孔８、吸込口５及び吐
   出口６を有するバルブプレート７を設け、このバ
   ルブプレート７の外がわに吸込孔８、吸込口５と
   対向する吸込室１８及び吐出口６と対向する吐出
   室１９を隣接させて有するバルブカバー１５を付
   設し、上記バルブプレート７に穿設された各吸込
   口５を上記各吸込通路４から吸込孔８を介して上
   記吸込室１８に連通するようにし、上記バルブプ
   レート７の表裏に吸込弁９及び吐出弁１１を上記
   吸込口５及び吐出口６を開閉するようにして設
   け、上記各吸込通路４の開口をバルブカバー１５
   の吸込室１８及び吐出室１９の両方に対向させて
   設けるとともに、吸込通路４の咽喉部４ａを吐出
   室１９と対向する吸込通路４の開口一端部側に設
   けるとともにバルブプレート７の吸込孔８を吸込
   室１８と対向位置する反咽喉部４ａ側の吸込通路
   ４の開口他端部に対向位置させ設けたことを特徴
   とする密閉型圧縮機。