JPS6139515B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は密閉外被内に戻された冷媒ガスを高
温のシリンダヘツド、これに接続された冷媒吐出
マフラーおよび吐出管等から遮断するようにした
密閉形電動圧縮機の改良に関するものである。

［従来の技術］ 第１図は従来の密閉形電動圧縮機を示すもの
で、これは図示のように密閉外被１内に圧縮要素
２と電動要素３がクランク軸４で直結された状態
で当該圧縮要素２が下方に位置するように配設さ
れている。そして上記外被１に接続された吸入管
５からこの外被内に入つた循環冷媒ガスは図示矢
印のように外被内に広がつた後、モータカバー６
の吸入穴６ａから電動要素３内を通り、吸入ポー
ト７から圧縮要素２内に吸入され高温高圧に圧縮
された後、シリンダヘツド８、これに接続された
冷媒の吐出マフラー９を通り吐出管１０を経て外
被１外に吐出されるようになつている。

［発明が解決しようとする問題点］ 従来の密閉形電動圧縮機は、以上のように構成
されているため、密閉外被１内に広がつた低温の
冷媒ガスは高温の吐出管１０、吐出マフラー９、
シリンダヘツド８、潤滑油１１等と熱交換しなが
ら上記モータカバー６の吸入穴６ａに入るので、
この吸入ガスは加熱された比容積が大きくなつて
おり、ために圧縮機の圧縮効率が悪くなるという
欠点があつた。また外被１内での吸入ガスの広が
りを防ぐためその吸入管５とモータガバー６の吸
入穴６ａとを同軸上に対向位置させた（図示せ
ず）ものもあるが、この場合は吸入管５から冷媒
液が入つてきた場合にはこの冷媒液が直接モータ
カバー吸入穴から圧縮要素２内に入るので液圧縮
現象が生じ、圧縮要素の各部品や軸受が損傷する
という問題点があつた。

この発明は以上の問題点を解消するためになさ
れたもので、極めて簡単な構成を付加するのみ
で、吸入冷媒ガスの加熱の伴うことなく圧縮効率
の低下を防止できる密閉型電動圧縮機を得ること
を目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この発明にかかる密閉形電動圧縮機は、外被の
内周壁に外周端を遊嵌させ、内周端と電動圧縮要
素外周壁との間に間隙をもつた外側環状仕切板
と、電動圧縮要素外周壁に内周端を遊嵌させ、外
周端と外被の内周壁との間に間隙をもつた内側環
状仕切板とを重合して構成された環状仕切壁をも
つて、密閉外被内を循環冷媒が流入する上部低温
室と、吐出管等を内線する下部高温室とに隔成す
るようにしたものである。

［作用］ この発明においては、循環冷媒が流入する低温
室と吐出管等を内蔵した高温室とが環状仕切壁で
仕切られているので、低温室に流入した低温の吸
入冷媒ガスは吐出管等の高温部と熱交換すること
なく電動要素内に吸入される。

また環状仕切壁は上述のような外側環状仕切板
と内側環状仕切板とを重合して構成したので、環
状仕切板が水平方向に対し伸縮自在となり、かつ
再仕切板が共に密閉外被及び電動圧縮要素に遊嵌
しているので、電動圧縮要素が密閉外被に対し上
下左右に揺動しても、環状仕切壁は変形すること
なく低温室と高温室との隔成を保つことができ
る。

［実施例］ 以下この発明の一実施例を図について説明す
る。第２図はこの発明の圧縮機の一実施例を示す
もので、第１図のものと同一個所は同一符号で示
しているが、図中の１２はその外径が密閉外被１
の内径との間に0.5mm程度の差がでるようにその
外被内に遊嵌され、かつその内径は内装電動圧縮
要素Ａが例えば輸送時および起動停止時に密閉査
被１に対し相対的に動く通常３〜８mm程度の寸法
の当該電動圧縮要素Ａとの隙間イを保有するよう
に構成された外側環状仕切板で吐出管１０に形成
した水平方向のループ部１０ａ上に載置されてい
る。１３はその内径が電動圧縮要素Ａの外径との
間に0.5mm程度の差ができるようにこれに遊嵌さ
れ、かつその外径は電動圧縮要素Ａが輸送時およ
び起動、停止時に密閉外被１との隙間ロを保有す
るように構成された内側環状仕切板で、上記仕切
板１２の上に重合状態に載置され、これらが一対
となつて外被１内を上部低温室Ｂと下部高温室Ｃ
とに隔成する水平方向に対し伸縮自在の環状仕切
壁Ｄを構成している。

第３図の１４は各仕切板１２，１３と吐出管１
０との間に設けた隙間で通常１〜３mm程度に設定
している。なお６ｂはモータカバー６の開口端部
で上記仕切板１３をその上方から押える役目を
し、上記吐出管１０のループ部１０ａと共に、環
状仕切壁Ｄの保持手段を構成している。

上記のように、外被１内は環状仕切壁Ｄにより
僅かな隙間で上記上部の低温室Ｂと下部の高温室
Ｃとに仕切られているので、吸入管５から入つて
きた低温の吸入冷媒ガスの大部分は高温室Ｃ内の
吸出管ループ部１０ａ、吐出マフラー９およびシ
リンダヘツド８等の高温部と熱交換することなく
モータカバー６の吸入穴６ａを通つて圧縮要素２
の吸入ポート７に吸入されるので、従来のものに
比べ当該吸入冷媒ガスの加熱は少なく、比容積が
小さくなるため冷媒ガスの循環重量が増えて圧縮
機の効率（成績係数）が良くなる。また上記吸入
管５からたまたま冷媒液が入つてきても、この冷
媒液は環状仕切壁Ｄの両側隙間を通つて下方に落
下するので、冷媒液が圧縮要素２内に入ることは
ない。さらに輸送時および圧縮機の起動、停止時
に内装の電動圧縮要素Ａが揺動した場合には上記
仕切壁Ｄに保有されたそれぞれの隙間イ，ロによ
つて、その水平方向の揺動分が吸収され、また外
側仕切板１２が外被１内に遊嵌され、両仕切板１
２，１３が重合状態のまま電動圧縮要素Ａと共に
上下し垂直方向の揺動分も吸収されるので、この
仕切壁Ｄが衝突やよじれで変形したり両仕切板間
に隙間が生じたりすることはない。またモータカ
バー６の開口端部６ｂが仕切壁Ｄのストツパーと
なつているので、これが上方に移動することはな
い。

また第４図は第３図の仕切壁の他の実施例を示
すもので、この場合は環状仕切壁として仕切り作
用の助成板１５が付加された３重構造になつてお
り、さらに第５図は上記環状仕切壁を形成するそ
の一方の内側環状仕切板１３を断面コ字形のもの
とした上記第４図の他の実施例を示すものであ
る。

［発明の効果］ この発明の密閉形電動圧縮機は以上のように構
成し、低温室内に拍入した冷媒ガスを高温室内の
冷媒吐出マフラー、吐出管およびシリンダヘツド
等の高温部から遮断しているので、これらによる
吸入冷媒ガスの加熱がなく、それだけ圧縮効率の
向上が計れ、又、低温室と高温室とを仕切る環状
仕切壁を上述のように構成し水平方向に伸縮自在
とし、かつ電動圧縮要素及び密閉外被の何れとも
遊嵌しているので、電動圧縮要素の密閉外被に対
して揺動しても両室の遮断効果は充分保たれ、し
かも環状仕切壁の構成も簡単で工作、取付け共に
容易で安価に構成できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉形電動圧縮機の縦断面図、
第２図はこの発明の電動圧縮機の一実施例を示す
縦断面図、第３図は第２図の−線の縮少断面
図、第４図および第５図はこの発明の電動圧縮機
の他の実施例を示すその要部拡大縦断図である。 なお、図中１は密閉外被、２は圧縮要素、３は
電動要素、６ｂはモータカバー、８はシリンダヘ
ツド、９は冷媒吐出マフラー、１０は吐出管、１
０ｂはそのループ部、Ａは電動要素３と圧縮要素
２とからなる電動圧縮要素、Ｂは外被１の上部低
温室、Ｃは外被１の下部高温室、Ｄは外側環状仕
切板１２と内側環状仕切板１３からなる環状仕切
壁、イ，ロはこの仕切壁の両側に形成した隙間を
示す。その他、図中同一符号は同一または相当部
分を示すものとする。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上部電動要素と下部圧縮要素からなる電動圧
   縮要素を密閉外被内に収納した密閉形電動圧縮機
   において、上記外被の内周壁に外周端を遊嵌させ
   た外側環状仕切板と、これに重合され電動圧縮要
   素の外周壁に内周端を遊嵌させた内側環状仕切板
   とで構成され、これら各仕切板の他周端とその各
   対向周壁面間には内装電動圧縮要素の揺動吸収用
   空隙をそれぞれ保有させてなる環状仕切壁を、保
   持手段により上記電動圧縮要素を取巻くよう保持
   することにより、上記密閉外被内を、電動要素の
   一半を内蔵し循環冷媒が流入する上部低温室と、
   他半の圧縮要素と冷媒吐出マフラーおよび吐出管
   等を内蔵する下部高温室とに隔成するようにした
   ことを特徴とする密閉電動圧縮機。 ２ 上記保持手段は、上記圧縮要素におけるシリ
   ンダヘツドに接続された冷媒吐出マフラーからの
   吐出管に上記電動圧縮要素を取巻くよう形成され
   たループ部からなり、このループ部上に上記環状
   仕切壁を載置するようにしたものである特許請求
   の範囲第１項記載の密閉形電動圧縮機。 ３ 上記保持手段は、上記圧縮要素におけるシリ
   ンダヘツドに接続された冷媒吐出マフラーからの
   吐出管に上記電動圧縮要素を取巻くよう形成され
   たループ部と、上記電動圧縮要素における電動要
   素のモータカバー開口端部で係止させるようにし
   たものである特許請求の範囲第１項記載の密閉形
   電動圧縮機。