JPS6135045B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は容器の殺菌装置に関するものである。

（従来技術） 殺菌液の噴射を殺菌包装システム内でより効率
的に行なうことができるように構成することをそ
の目的とする殺菌包装システムについてはすでに
特願昭52−124344号（特開昭54−58583号公報）
においてその一例が提案されている。

これによれば、予め成形された容器を集積する
保持枠より容器を個別に取出して搬送コンベアに
供給し、搬送コンベア上に順次設置した容器を殺
菌液のスプレーで殺菌し、次いで殺菌液を熱風乾
燥した後予め、滅菌された食品を充填し、しかる
後予め殺菌された連続状蓋材を容器口にシールす
るものである。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、以上のような殺菌装置においては、
容器の水平走行路を挾んで上部および下部チヤン
バーを対向設置し、該チヤンバー内に各々設置さ
れたノズルから加熱無菌エアの噴出により加熱殺
菌液を容器に向つてスプレーして殺菌している
が、この加熱殺菌液ミストを得る場合、単純にス
プレーエア、スプレー液を加熱し、チヤンバー内
雰囲気温度も高温にしたとしても断熱効果および
スプレーエアの流速のため完全な殺菌およびその
乾燥が期待できない。

すなわち、50℃以上の高温ミストが得にくいた
め強力な殺菌力がないことや、スプレー流速が大
で容器付着ミストを水滴状で凝集し易く、短時間
の乾燥を妨げることおよび凝集の結果、容器表面
にミストの一定時間以上停留しない未殺菌部がで
きて殺菌不良となるからである。

以上の如く流速が大で低温ミストでは充分な殺
菌効果が期待できないので、殺菌効果を上げるた
めに第１に流速を低下させることが挙げられる。

しかし一般にノズルよりのスプレーの流速を低
下させるために圧力を低下させると、ミスト径ス
プレー量が変化し、これによつて殺菌条件が変
り、短時間殺菌乾燥の原則から離れる。

したがつて、スプレー量を低下させずに流速を
低下させることが必要となる。

又、高温ミストにするためには、ノズルから放
出されたミストに対し、熱の授受を能率的に行な
うことが必要である。

そのためにはノズルから放出され、容器に付着
するまでの時間を長くとり熱との接触を長くもた
せなければならない。

しかしこの実施のためスプレー時におけるスプ
レー動作の応答が遅くなると遅延大のシステムと
なり迅速で確実な殺菌乾燥が不可能となる。

（問題点を解決するための手段） したがつて本発明の技術的課題は、スプレー量
を変えず応答の速い流速のゆるやかで高温のミス
トが得られる殺菌装置をうることを目的とするも
ので、この技術的課題を解決する手段は、容器の
水平走行路を挾んで上部および下部チヤンバーを
対向設置し、該チヤンバー内に各々設置されたノ
ズルから加熱無菌エアの噴出により加熱殺菌液を
容器に向つてスプレーし殺菌する装置において、
チヤンバー内のノズル近傍に加熱手段を具えた空
室を形成して、ノズルからスプレーされる殺菌液
の通過用トンネル状通路をその空室壁に形成し、
かつノズルから噴出したスプレーエアで空室内の
エアがトンネル状通路に巻き込まれる方向のその
トンネル状通路外周に空室を開口せしめてなる殺
菌装置である。

（発明の効果） 本発明によれば、チヤンバー内のノズル近傍に
加熱手段を具えた空室を形成してノズルからスプ
レーされる殺菌液通過用トンネル状通路を、その
空室壁に形成したのでスプレーに制動力を与え減
速させると共に、近傍の空室より発生した熱をミ
ストに与え易くなつている。

そして、空室に具える加熱手段として埋め込み
型のヒータ等を空室壁に設けてスプレーエア、ス
プレー液を加熱し、殺菌室雰囲気温度が50〜80℃
に保てるようにすることができるので、スプレー
量が変らない状態で応答の速い流速のゆるやかで
高温のミストが得られるという特徴があり、迅速
で確実な殺菌乾燥ができるという特徴がある。

しかして、予め殺菌された殺菌室において室外
に対し常に陽圧となつた状態下で同室内に容器を
納置し、これに向つて前記殺菌力の強い加熱液ミ
ストを数秒噴霧し、しかる後余剰のミスト及び蒸
発分を迅速に排気することにより、完全な殺菌を
行なうことができるという特徴がある。

（実施例） 以下図面に示す実施例について説明する。

第１図は殺菌装置を具えた無菌包装装置全体を
例示するもので、容器集積保持部Ａ、容器供給部
Ｂ、容器殺菌部Ｃ、殺菌液乾燥部Ｄ、充填部Ｅ、
蓋材シール部Ｆ、蓋材供給部Ｇ、蓋材乾燥部Ｈ、
切断部Ｉ、製品排出部Ｊとからなつている。容器
集積保持部Ａでは予め成形された容器すなわち、
Al、紙、熱可塑性樹脂あるいは、これらの複合
材料からなる容器を集積しておく。容器ａは垂直
に積まれた状態で集積保持枠１に入れられ、更に
４本の支柱２で垂直に維持される。

そして下部にはスプリングで支持された爪３が
容器ａの底を支えており、或る一定の力で最下部
の容器ａをとりさると爪３がゆるみ、一つだけ容
器ａが自由になる。

集積保持枠１は機枠に対して気密状態に取りつ
けられ、機枠内部の無菌室４と集積保持枠１内部
がつながつている。

容器ａは空気シリンダー５によつて支点６を中
心にして揺動運動を行なう吸着板保持棒７の先端
にある吸着板８によつて底部が吸着され、無菌室
４の内部に設けられたシユーター９上におかれ
る。

シユーター９は第２図に示すように容器ａのフ
ランジ部のみうけるようになつており、吸着板８
はシユーター９の間を通つて充分下まで下降す
る。

勿論吸着板保持棒７は蛇腹１０等により無菌室
４内を気密に保持していることはいうまでもな
い。

シユーター９上を滑り落ちた容器ａは、機枠内
部に設けられたコンベア１１の第３図で示される
搬送板すなわち、容器受台１１ａの穴１１ｂに入
る。

この時、吸着板保持棒７は次の容器ａを取るた
めに同じくシユーター９の間を通つて上昇する。
これら一連の動きはタイミングよく行なわれる。

次に容器ａはコンベア１１によつて次の容器殺
菌部ｃに導かれる。

殺菌装置は上部チヤンバー１２および下部チヤ
ンバー１３を具えているもので、これらは容器受
け台１１ａすなわち容器の走行路を挾んで対向す
るように固定されている。

さらに詳しくは、コンベア１１の上側走行路を
挾んで対向し合つており、下部チヤンバー１３に
は下側走行路が貫通している。

そしてチヤンバーに設置されたノズル１４のう
ち下側のものからの噴霧は下側走行路における容
器受台１１ａの穴１１ｂを通して容器ａに到るよ
うになつている。

又、各チヤンバー１２，１３には排気管１５，
１６が設けられている。

かくして、上下のノズル１４からは容器ａの到
来の都度殺菌液がスプレーされ、容器は殺菌され
る。

殺菌された容器は次いで次の殺菌液乾燥部Ｄに
送られる。

乾燥部Ｄは導管１７から無菌加熱エアーを空気
箱１８に導いてノズル１９より容器に向けて噴射
するようになつている。

殺菌液が乾燥除去されたら、容器ａは次いで充
填部Ｅに送られる。

充填部Ｅでは管２０より完全滅菌された食品等
の内容物が送られた充填ノズル２１により容器ａ
に定量充填される。

次に容器ａの蓋としてAl、プラスチツク、プ
ラスチツクと紙との積層材等の連続状蓋材をフラ
ンジ部に合せて供給シールとする。連続状蓋材ｂ
は巻取り体２２とされ、蓋材供給部Ｇより一般の
無菌システムと同様、テンシヨンロール２３を経
て過酸化水素又は塩素水等の殺菌槽２４にある殺
菌剤で滅菌後ターンロール２５を経て乾燥部Ｈに
来る。乾燥部は殺菌液と殺菌剤槽２４の仕切２６
とが外気とのシールの役目を果しているので無菌
室となつている。

連続状蓋材ａは乾燥部Ｈにて乾燥ノズル支持ス
テー２７に取付けられた複数の乾燥ノズル２７ａ
より加熱エアが吹きつけられて完全に乾燥され
る。

蓋材ｂはシール部におけるターンロール２８迄
の過程でピツチ修正ロール２９を通過する。

そして、シール部におけるターンロール２８を
経た後シール部Ｆにて予め蓋材に塗布してある加
熱シール材を介して容器にされるが、このときク
ランク３０によつて上下動するシール受台３１上
に容器受台１１ａがのり、容器を定位置に保つよ
うにする。

更に位置が出たところで上部よりエアシリンダ
ー３２により無菌的に駆動される加熱部品３３に
取付けられたシール部片が下降し、蓋材ｂを容器
ａの上にてシール部片にある突起によつて加熱圧
着し完全に密封する。

加熱部品３３の内部にはヒーターが複数個内蔵
されており、シール部片が適正温度になるようコ
ントロールされている。

このシールは容器ａのフランジ部にそつて円周
上一定の巾で行なわれる。

しかる後、容器は連続状蓋材ｂに連続的に連続
シールされた形となり、次いで切断又は打抜きの
ため切断部Ｉコンベアによつて搬送される。切断
部では上下動する刃物固定体につけられた切断刃
３４が容器受台１１ａ上の蓋材を押し切る。

以上によつて内容物の充填された無菌の密封容
器が出来、コンベア１１で製品排出部Ｊに搬送さ
れる。

搬送途中容器フランジ部を支持するガイドレバ
ー３５が容器ａを上方に押し上げ、容器は完全に
底部支持ステー３６上に乗り、コンベア１１より
離れる。

容器ａはコンベア１１より離れると直ちに排出
コンベア３７により外部へ送り出される。

以上の装置はこれらの工程すなわち、Ａ〜Ｊま
ですべて無菌のエアに充満され、無菌エアは噴出
口３８から無菌室が常に陽圧となるように無菌室
内に流入し、集積保持枠１および装置出口より吹
き出し、外部より菌が混入して来ないようになつ
ており、かつ無菌室４内における殺菌部ｃよりも
右方部分が最も高く、それぞれ前方の容器集積保
持部Ａおよび後方の製品排出部Ｊ方向へ吹き分か
れて外部より容器に付着してくる菌が決して容器
殺菌後工程の室の内に入り込まぬよう、かつ容器
殺菌部Ｃから漏洩するミストが容器乾燥部Ｄ方向
に至らないように配慮されている。

本発明は以上のような殺菌包装システムに組み
込まれる殺菌装置の改良に関するものである。そ
こで第３図に基づいて説明すると、前述したよう
に上部および下部チヤンバー１２，１３には各々
殺菌液のスプレーノズル１４が設置されている。

無菌エアは、大気中のエアがフイルタ３９を通
過することによつて生じ、次いでヒーター４０を
通り、流量調整弁４１を通つた後、ノズル１４か
ら噴出する。

一方殺菌液は例えば過酸化水素水、塩素水等で
あるが、これはタンク４２内でヒーター４３によ
り予熱されており、さらにヒーター４４で加熱さ
れてノズル１４に至る。

ノズルからの噴霧は容器ａが上部および下部チ
ヤンバー間に存在する時をとらえて行なわれる
が、これは図示しない制御装置から送られてくる
信号で電磁弁４５とエアシリンダ４６とを操作し
て行なわれる。

又、余剰の噴霧がチヤンバー１２，１３内で発
生するのを防止するために排気管１５，１６が設
けられていて負圧がかけられており、電磁弁４７
を前記制御装置からの信号を利用する等して容器
ａがチヤンバー間を脱出のため移動するに要する
時間内に余剰噴霧がチヤンバー内から排出され
る。

本発明は以上のような装置のチヤンバー１２，
１３に仕切壁４９，５０を設けて空室５１，５２
を形成し、ノズル１４から容器ａに向つてコーン
型に噴霧される殺菌液の通路すなわち、ノズル本
体と同軸延長上に位置する壁に円筒状通路、換言
すればトンネル状通路５３，５４，５５，５６が
形成されている。

仕切壁４９，５０は水平部４９ａ，５０ａと円
筒部４９ｂ，５０ｂとからなつていて円筒部４９
ｂ，５０ｂに通路５４，５６が形成されている。

そして空室壁には埋込型のヒーター５７が設置
されている。

下部チヤンバー１３にはコンベア１１の下側走
行路（戻り側走行路）５８が形成されており、こ
の通路中をコンベアの搬送板すなわち、容器受台
１１ａが移動する。

なお、前記した排気管１５は仕切壁４９の円筒
部４９ｂによつて形成された空間５９に開口し、
又排気管１６は仕切壁５０とは別に設けられた隔
壁６０の中央円筒部空間６１に開口している。

本発明は以上の内く構成されているから、ノズ
ル１４に入るスプレーエア、スプレー液はヒータ
ー４０，４４で加温され、更にノズル本体もヒー
ターブロツク１４ａ等で加温され噴出後の殺菌液
ミストの断熱度化による温度降下ができるだけ柔
げられるようになつている。

そしてチヤンバー１２，１３内空室５１，５２
は埋め込みヒーター５７で加熱され、かつ又スプ
レーの通路５３，５４，５５，５６はスプレーノ
ズル本体１４と同軸延長上に位置してトンネル状
を形成し、空室５１，５２はこのトンネル通路の
外周に開口しているのでスプレーエアが噴出され
た際スプレーエアが空室５１，５２内のエアを巻
き込み空室を陰圧にさせるエネルギーがスプレー
エアの制動として働くことゝなつて流速が減速さ
せられ、空室内のヒーターによつて加熱されてい
ることゝ相俟つてノズルから噴出されたミストは
50〜80℃に充分に加熱され、流速の低い熱いミス
トとなつて噴出される。

したがつて水滴の凝集および殺菌不良の生じる
可能性が少ない。

そして余剰のミストおよび蒸発分は排気管１
５，１６から迅速に排気される。

以上何れにしても本発明は容器の水平走行路を
挾んで上部および下部チヤンバーを対向設置し、
該チヤンバー内に各々設置されたノズルから加熱
無菌エアの噴出により加熱殺菌液を容器に向つて
スプレーして殺菌する装置において、チヤンバー
内のノズル近傍に加熱手段を具えた空室を形成し
て、ノズルからスプレーされる殺菌液の通過用ト
ンネル状通路をその空室壁に形成し、かつノズル
から噴出したスプレーエアで空室内のエアがトン
ネル状通路に巻き込まれる方向のそのトンネル状
通路外周に空室を開口せしめてなる殺菌装置に
かゝるものであつて、特殊な空室の構造によりス
プレーに制動力を与えて減速させると共に空室よ
り発生した熱がミストによく与えられるからノズ
ルから噴出されたミストは充分に加熱されて流速
の低い熱いミストとなつて噴出され、したがつて
水滴の凝集がなく迅速で確実な殺菌乾燥ができて
殺菌不良を起すことがないという特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は殺菌包装装置の概略図、第２図は殺菌
包装装置における容器供給部の断面図、第３図は
本発明にかゝる殺菌装置の模式図である。 １２……上部チヤンバー、１３……下部チヤン
バー、１４……ノズル、５１，５２……空室、５
３，５４，５５，５６……トンネル状通路、５７
……ヒーター。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 容器の水平走行路を挾んで上部および下部チ
   ヤンバーを対向設置し、該チヤンバー内に各々設
   置されたノズルから加熱無菌エアの噴出により加
   熱殺菌液を容器に向つてスプレーし殺菌する装置
   において、チヤンバー内のノズル近傍に加熱手段
   を具えた空室を形成して、ノズルからスプレーさ
   れる殺菌液の通過用トンネル状通路をその空室壁
   に形成し、かつノズルから噴出したスプレーエア
   で空室内のエアがトンネル状通路に巻き込まれる
   方向のそのトンネル状通路外周に空室を開口せし
   めてなる殺菌装置。 ２ 空気の加熱手段が空室壁に埋設されたヒータ
   ーである特許請求の範囲第１項記載の殺菌装置。