JPS6134315Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、大型タンク用上部支持構造物に係
り特に原子力発電施設などに使用される大型タン
クの上部をコンクリート壁などに支持させて耐震
構造とする場合の大型タンク用上部支持構造物に
関するものである。

原子力発電施設などに使用されている大型タン
クを建設する合には、コンクリート建屋の中に大
型タンクを収容することが多い。この場合、コン
クリート建屋のタンク室の上部が開口している状
態で、この開口を利用して大型タンクを吊り降ろ
して設置する方法（いわゆる青空搭載方法）で実
施すると、建設効率が高く、また、大型タンクに
タンク撹拌ラインやオーバーフロー管等の付帯設
備を抱き合わせて一体的なユニツトとして一括製
造することが可能となるため、据付け現場での作
業を軽減させることができる。

一方、これらの大型タンクを耐震構造とするた
めには、地震時に大型タンクの上部が過度に振れ
ないように、タンク室のコンクリート壁と大型タ
ンクの上部との間に支持構造物を介在させて固定
することが必要である。

従来、前記支持構造物を設置する場合には、タ
ンク室内に大型タンクを吊り降ろして設置した
後、コンクリート壁と大型タンクとの間に床面か
ら仮足場を組み、別に製造した支持構造物を吊り
下げながら位置を合わせて、コンクリート壁面に
埋設したプレート、大型タンクの上蓋にそれぞれ
溶接やボルト止めによつて固定するといつた方法
で上部支持構造物を完成させていた。従つて、仮
足場を床面から大型タンクの上部位置までかなり
の高さ（たとえば数十メートル）に組まなくては
ならず、仮設作業に手間を要する上、上部支持構
造物が耐震強度を持たせ重量物であるため、搬入
および位置合わせの労力が大きくなり、現場作業
の工期が長くなるという問題があつた。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
大型タンクに支持構造物を折りたたみ式に組み込
んでおいて、大型タンクの搬入設置とともに支持
構造物を引き出して取り付けることにより、搬入
および位置合わせが容易であり、しかも床面から
仮足場を設けずに支持構造物をコンクリート壁面
に固定することができ、現場作業を充分軽減して
効率の向上を図ることができる大型タンク用上部
支持構造物を提供することを目的とする。

以下、この考案の一実施例を第１図および第２
図を参照して説明する。

この考案に係る上部支持構造物１は、コンクリ
ート壁２に囲まれたタンク室３内に大型タンク４
を設置する場合に一緒に設置されるものであり、
大型タンク４の上蓋４′に上方に突出して設けら
れた支持枠５と、この支持枠５に取り付けられた
支持アーム６とから構成されている。

すなわち、大型タンク４の上面に設けられた平
坦な上蓋４′の表面には、互いに直交する直径上
に梁７が設けられ、この梁７の各端部が前記支持
枠５とされている。また、、支持アーム６は、コ
ンクリート壁２に取り付けられる側の先端部が支
持力を強固にするため熊手状に形成され、また基
端部が左右二股に分かれ、その基端部に穴８付き
のピース９が設けられている。そして、この支持
アーム６は、前記基端部の股の間に支持枠５の両
側部をはさむようにして、ピース９の穴８に通さ
れたボルト１０により支持枠５にピン結合され、
大型タンク４の径方向に沿う面内で上下方向回転
自在にされている。しかもこの場合、支持アーム
６は、先端部が前記ピン結合位置よりタンク内方
に回転させて折りたたむことができるようにさ
れ、また前記ピン結合位置よりタンク外方に回動
させてほぼ水平位置になるまで突出できるように
されている。また、そのように水平位置に回動停
止した際には、支持アーム６の下面が大型タンク
４の上蓋４′表面よりタンクの熱膨張による伸び
量より多い＝50mm程度上方に位置するようにな
されている。なお、支持アーム６のピース９に明
けられた穴８は、支持アーム６の長手方向に広げ
た長穴にされており、支持アーム６の先端部の突
出長さを若干調節し得るようになされている。

また一方、こうして大型タンク４が据付けられ
るタンク室３のコンクリート壁２には、表面を露
出させたプレート１１を埋設しておく。

次いで大型タンク４を設置する場合は、まずタ
ンク室３の上方に大型タンク４を吊り上げ、まだ
開口しているタンク室３の上部から吊り降ろし、
いわゆる青空塔載方法により搬入設置する。その
際、搬入時には大型タンク４に一体的に設けられ
た上部支持構造物１の支持アーム６をタンク内方
に図中二点鎖線で示すように折りたたんで上蓋
４′の上にのせておき、大型タンク４を設置後矢
印の如く支持アーム６をタンク外方に回転させて
水平位置に停止させ、コンクリート壁２の面のプ
レート１１に支持アーム６の先端部を接触させ、
その状態でボルト１０を締めて仮止めをする。な
おこの場合、プレート１１の埋設深さに多少の誤
差があつても、また大型タンク４の据え付け位置
に多少の誤差があつても、支持アーム６の突出量
を調節することにより、容易に位置合わせするこ
とができる。そして、こうして支持アーム６を仮
支持した状態で、支持アーム６の先端部をコンク
リート壁２面のプレート１１に溶接によりあるい
はボルトなどにより接合し、その後、支持アーム
６と支持枠５を連結しているボルト１０を取り外
して上部支持構造物１の設置を完了する。

以上説明したように、この考案は大型タンクに
上部支持構造物を折りたたみ式に組み込み、適宜
引き出せるようにしたものであるから、大型タン
クの搬入時には折りたたむことによりじやまにな
ることはなく、また大型タンクの設置後には容易
にこの上部支持構造物を引き出して所定の位置に
合わせることができる。またその際、位置合わせ
した段階で簡単に仮止めしてコンクリート壁面に
固定することができ、したがつて搬入から据え付
けまで特に床から足場を設けなくても作業を行な
うことができ、現場作業を充分軽減して効率の向
上を図ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を説明するための
平面図、第２図はその主要部の拡大側面図であ
る。 １……上部支持構造物、２……コンクリート
壁、３……タンク室、４……大型タンク、４′…
…上蓋、５……支持枠、６……支持アーム、１１
……プレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート建屋のタンク室に収容される大型
   タンクの上部と前記タンク室のコンクリート壁と
   を連結固定するようにした大型タンク用上部支持
   構造物において、前記大型タンクの上蓋上方に突
   出して設けられた支持枠と、この支持枠にピン結
   合により基端部が上下方向回転自在に取り付けら
   れ、先端部が前記ピン結合位置よりタンク内方に
   析りたたみ可能でかつ前記コンクリート壁面に埋
   設したプレートに対して連結固定する際に前記ピ
   ン結合位置よりタンク外方にほぼ水平位置まで突
   出可能な支持アームとから構成されていることを
   特徴とする大型タンク用上部支持構造物。