JPS6133705Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は帰還増幅器に関し、特に増幅器の出力
端子と帰還端子との間に設けられた帰還回路に関
するものである。

第１図は従来良く知られている非反転帰還増幅
回路で、非反転入力端子１、反転入力端子２、出
力端子３、電源端子４および接地５を有する演算
増幅回路等の増幅器１００の非反転入力端子１に
はバイアス電圧が電源端子４の電圧を抵抗７，８
で抵抗分割してさらに抵抗９を介して与えられて
いる。また非反転入力端子１には信号源６から入
力信号が加えられている。反転入力端子２と出力
端子３との間には抵抗１３が接続され、反転入力
端子２は抵抗１２およびコンデンサ１０を直列に
接続した直列回路によつて接地５に接続され、こ
れら抵抗１２，１３とコンデンサ１０とで帰還回
路１１を形成している。

第１図のような非反転帰還増幅回路では、電源
投入時から出力電位が定常状態に達する立ち上り
時間は、帰還回路１１に挿入される抵抗１３，１
２と直流カツト用コンデンサー１０との時定数で
決定される。このような非反転帰還増幅器の特性
上、帰還回路１１に挿入される抵抗１３，１２の
抵抗値が大きくならざるをえない場合、帰還回路
に挿入される抵抗１３，１２と直流カツト用コン
デンサ１０との時定数が大きくなり、上記非反転
帰還増幅器の上記立ち上り時間は遅くなる。この
ため、電源投入時にシヨツク音が発生したが、帰
還抵抗１３が大きくなると増幅器のオフセツトに
も大きな影響を与える欠点がある。

カセツトテープレコーダ等でこのような非反転
帰還増幅器をプリアンプとし、次段にパワーアン
プを使用してスピーカーを駆動する場合の帰還回
路１１を第２図を参照して次に説明する。プリア
ンプの閉ループ利得は30dB程度となり、プリア
ンプの周波数特性をNAB特性にすると帰還回路
１１は次のように設計される。帰還回路１１は第
１図に示す反転入力端子２と出力端子３との間に
抵抗１３，１５を直列に接続し、抵抗１３は並列
にコンデンサ１６を接続する。反転入力端子２か
ら抵抗１２を介してコンデンサ１０に接続してい
る。

上記のように閉ループ利得を30dB、周波数特
性NAB特性をすると、第２図の帰還回路の定数
は、抵抗１３：R₁₃＝100kΩ、抵抗１５：R₁₅＝
6.8kΩ、抵抗１２：R₁₂＝270Ω、コンデンサ１
６：C₁₆＝0.022μＦ、コンデンサ１０：C₁₀＝4.7
μＦとなり帰還回路に挿入される抵抗１２，１
３，１５の抵抗値の合計Ｒ_Tは107kΩ程度の高抵
抗となつてしまう。この非反転帰還増幅器の立ち
上り時間は時定数C₁₀×Ｒ_T〓0.5secとなり、極め
て遅い。したがつて、次段のパワーアンプの立ち
上り時間が前段の上記非反転帰還増幅回路の立ち
上り時間より早い場合は電源投入時における前段
のシヨツク音を増幅し、さらに大きなシヨツク音
の発生という欠点が生じてくる。また抵抗１３，
１５の抵抗値が大きく、それが抵抗９の抵抗値と
比べて、大きく設定する必要がある場合、この非
反転帰還増幅器のオフセツトにも悪影響が出る。

また、帰還増幅器は、第１図に示した帰還回路
と第２図に示した帰還回路とを備え、スイツチの
切替えにより周波数特性をもたない周波数的にフ
ラツトな増幅器として、また周波数特性をもつ増
幅器としてそれぞれ使用される場合がある。

本考案の目的は非反転帰還増幅器の帰還素子と
して、帰還増幅器の反転入力端子に加える直流バ
イアス電圧が電源投入後すみやかに立ち上り
NAB，RIAAなどの帰還回路の周波数特性をそこ
なわせることなく、かつ周波数的にフラツトな増
幅動作と周波数特性をもつ増幅動作とをそれぞれ
行ない得る帰還増幅器を提供せんとするにある。

本考案によれば、増幅器の出力端子に接続さ
れ、直流カツト用コンデンサを共用して構成され
た周波数特性を有する第１の帰還回路および周波
数的に平坦な第２の帰還回路と、これら第１およ
び第２の帰還回路の一方を、増幅器の帰還端子へ
接続するためのスイツチ手段とを有することを特
徴とする帰還増幅回路を得る。

次に図面を参照して本考案をより詳細に説明す
る。

第３図は本考案の一実施例を示す増幅器の回路
図である。すなわち、NPN型のトランジスタ２
１，２２が設けられ、その両エミツタは共通のエ
ミツタ抵抗２４に接続されて差動回路４０を構成
している。トランジスタ２１のベースは非反転入
力端子１となり、トランジスタ２１のベースバイ
アスは電源４の電圧を抵抗７，８で分割して与え
られ、抵抗７，抵抗８の接続点とトランジスタ２
１のベース間には入力インピーダンスを持たせる
抵抗９を接続している。トランジスタ２２のベー
スは反転入力端子２となつている。トランジスタ
２２のコレクタは電源４に接続され。他方トラン
ジスタ２１のコレクタは抵抗２３を介して電源４
に接続され、またPNPトランジスタ２６のベース
に接続されている。トランジスタ２６のエミツタ
は抵抗２５を介して電源４に接続され、トランジ
スタ２６のコレクタはNPNトランジスタ２９の
ベースに接続され、トランジスタ２６のベース・
コレクタ間には位相補正用コンデンサ２７が接続
されている。トランジスタ２９のコレクタは電源
４に接続され、そのエミツタはエミツタ抵抗３０
に接続される。トランジスタ２９のベース・エミ
ツタ間には抵抗２８が接続されてエミツタホロワ
を形成し、トランジスタ２９のエミツタは出力端
子３となる。

本考案による帰還回路１１は次のようにして構
成される。すなわち、反転入力端子２には、接点
１９，２０を有するスイツチ１８が接続される。
接点１９と出力端子３との間には抵抗１３，１５
が直列接続され、抵抗１３にはコンデンサ１６が
並列に接続される。接点２０と出力端子３との間
には抵抗１４が接続される。さらに接点１９は抵
抗１２および直流カツト用コンデンサ１０を介し
て接地され、接点２０は抵抗１７およびコンデン
サ１０を介して接地されている。従つて、スイツ
チ１８を端子１９に接続すると、この非反転帰還
増幅器は抵抗１２，１３，１５とコンデンサ１０
で構成される帰還回路を有してNAB帰還がかけ
られる。スイツチ１８を端子２０に接続すると、
この非反転帰還増幅器は抵抗１４，１７およびコ
ンデンサ１０で構成される帰還回路を有して周波
数特性をもたない平坦な帰還がかけられる。

今、スイツチ１８が接点１９に接続された状態
で電源が投入されると、トランジスタ２１のベー
スバイアスは電源５の電圧を抵抗７，８で分割し
て与えられるので、電源投入時により急速に定常
バイアス時に達する。一方トランジスタ２２のベ
ースバイアスはコンデンサ１０への充電時定数に
より上昇するが、コンデンサ１０への充電時定数
は、抵抗１２，１３および１５の直流通路と抵抗
１４，１７の直流通路と並列に接続されているの
で、短くなり、立ち上りが早くかつ周波数特性を
有する帰還増幅器となる。

スイツチ１８が端子２０に接続されている場合
も、抵抗１４，１７の直流通路に抵抗１２，１３
および１５の直流通路が並列に接続されているの
で、コンデンサ１０へ充電時定数は短くなり、立
ち上りが早くかつ周波数特性をもたない平坦な反
転増幅器となる。この場合、立ち上り時間は、ス
イツチ端子１９側に接続した場合の非反転帰還増
幅器と等しい。このように、本考案による増幅回
路は、２種類の帰還回路の抵抗１２，１３，１５
と抵抗１４，１７を互いに利用して、立ち上りの
早い二つの増幅動作を有する帰還増幅器を構成し
ているので、抵抗の数の増加がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の非反転帰還増幅器の回路図で
ある。第２図は、周波数特性を有する帰還回路の
具体的例を示す回路図である。第３図は、本考案
の一実施例による帰還増幅器を示す回路図であ
る。 １……非反転入力端子、２……反転入力端子、
３……出力端子、４……電源端子、５……接地、
６……信号源、７，８，９……抵抗、１０……コ
ンデンサ、１１……帰還回路、１２，１３，１
４，１５……抵抗、１６……コンデンサ、１７…
…抵抗、１８……スイツチ、１９，２０……スイ
ツチの端子、２１，２２……トランジスタ、２
３，２４，２５……抵抗、２６……トランジス
タ、２７……コンデンサ、２８……抵抗、２９…
…トランジスタ、３０……抵抗、４０……差動増
幅回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 信号入力端子、帰還端子および出力端子を有す
   る増幅器と、直流カツト用コンデンサと、周波数
   特性を有する帰還回路であつて前記増幅器の前記
   出力端子と前記直流カツト用コンデンサとの間に
   接続された第１の抵抗を有する第１の帰還回路
   と、周波数的に平坦な帰還回路であつて前記増幅
   器の前記出力端子と前記直流カツト用コンデンサ
   との間に接続された第２の抵抗を有する第２の帰
   還回路と、前記第１および第２の帰還回路からの
   帰還信号を受けこれらの一方を前記増幅器の前記
   帰還端子に供給するスイツチ手段とを備える帰還
   増幅回路。