JPS6130945B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は所要時にウエビングを強制的に巻き取
る機構を有するシートベルト巻取装置に関する。

従来、車両等の乗員を拘束するシートベルト装
置においては、その多くは通常時は乗員がシート
ベルトの巻取り、引き出しを自由に行うことが可
能であるが、車両衝突等の緊急時には、シートベ
ルトの引き出しを阻止する緊急ロツク式リトラク
ターが設けられている。

この種のリトラクターのロツク機構は、リトラ
クター本体に回転自在に支持されたリールにウエ
ビングを巻き取り、緊急時には、該リールに一体
に設けられたラチエツトホイルに、爪を係合させ
てリールの回転を阻止することにより、ウエビン
グの引き出しを阻止するものである。緊急時に爪
を作動させる手段としては、車両の速度変化を感
知する慣性感知部材の動きを直接・間接に伝達し
て作動させるものや、回転するリールの角速度・
角加速度が所定値以上となつた時に、遠心力又は
慣性力の作用により爪を作動させるもの等があ
る。

しかしながら、従来の緊急ロツク式リトラクタ
ーでは直接乗員を拘束する場合は、問題がないと
しても子供用補助椅子に幼児・子供を乗せ、該子
供用補助椅子をシートベルトで座席に取りつける
場合や、荷物を座席に取り付ける場合車両の振動
や緩やかなカーブ、ブレーキによつて、荷物等が
前方および側方に次第に移動してシートベルトが
引き出され、衝突時にウエビングの引き出しが阻
止されてもインストルメントパネル等に衝突して
シートベルトが何ら役に立たないという事態が発
生する。このため、乗員を拘束する場合はある程
度自由に行動可能であるが、子供用補助椅子等を
取り付ける場合は、座席にしつかりと固定できる
ようなシートベルトが要求される。

本発明は上記の問題を解決する為、所要時にウ
エビングを強制的に巻き取つて、子供用補助椅子
等を簡便にしかも確実に座席に固定するシートベ
ルト巻取装置を提供することを目的とする。

以下図面を参照して本発明の一実施例について
説明する。

第１図は本発明の実施例の断面正面図、第２図
は側面図、第３図および第４図は、作動の説明図
である。

図において、車両に固着されたベース１は基底
部２とこれの両側から立上つた相対向する一対の
側板３，４を有する。この両側板３，４間には、
ウエビング５の内端を固着した巻取軸７が回動可
能に支持され、該巻取軸７はバネカバー１１に収
容された巻取ばね１２によつてウエビング巻取方
向（第２図において時計方向）に付勢されてい
る。

巻取軸７には、ウエビング巻取スプール８、該
スプール両端部のラチエツトホイル９，１０が一
体関係に取り付けられ巻取手段としての巻取リー
ル６を構成している。側板３，４の前記巻取軸７
の下方には、扇形の穴１３（側板３側の穴は不図
示）が穿設され、この穴に歯止め１４が揺動可能
に架設されている。さらにベース基底部２には、
慣性感知部材１５が固設され、慣性感知部材１６
がその頭部１７をもつて懸吊されている。該頭部
１７は、その上面が凹面となつていて、歯止め１
４に設けられた突起１８と接触状態にあり、慣性
感知部材１６が車両の所定値以上の速度変化を感
知して傾いた時に、該突起１８すなわち歯止め１
４を押し上げ、ラチエツトホイル９，１０と係合
するよう構成されている。

前記巻取軸７の右端部には、ウエビング引き出
し方向に係合面を向けたラツチギヤ１９が回転方
向に関して一体的に取り付けられ、このラツチギ
ヤ１９と側板４との間に、可動部材としてのラツ
チホイール２０が回動可能に巻取軸上に設けられ
ている。ラツチホイール２０は、一端が該ラツチ
ホイル２０上のピン２１に係止され、他端が側板
４に固定されたピン２２に係止されている引張ば
ね２３によつて、第２図で反時計方向に回転する
よう常時付勢され、一端部２４が、側板４に固設
されたストツパーカム２５に当接した位置に保持
されている。又ラツチホイル２０の他端部２８
は、該ラツチホイル２０が回転した時にストツパ
ーカム２５と当接し、その回動範囲を制限する。
ラツチホイル２０上にはラツチギヤ１９とかみ合
うための爪部３０と、一定範囲でラツチの回動を
規制するためのアーム部３１を有するロツク部材
としてのラツチ２９がピン３３を中心に回動可能
に設けられている。このラツチは、アーム部３１
がストツパーカムのカム面２６の内端部２７と当
接した状態で、ラツチギヤ１９とは非かみ合い位
置に保持される。

ラツチ２９のフツク部３２にはワイヤー３４の
一端が係止されており、該ワイヤー３４の他端
は、インストルメントパネルやコンソールボツク
スに取り付けられたアジヤスト型ストツプ機構付
のレバー（不図示）に連結されている。上記ワイ
ヤー３４とレバーが作動手段を構成している。

以下に本実施例の作用について説明する。

シートベルトで直接乗員を拘束する場合は、第
２図に示すように、ワイヤー３４は何ら作動され
ず、ウエビング５は、巻取りリール６から自由に
引き出し、巻取が可能で、ウエビング５に挿通自
在に取り付けられているタング（不図示）を、車
両又は座席に固着されているバツクル（不図示）
に挿入して乗員を拘束する。衝突等の緊急時に
は、慣性感知部材１６の動きで作動する歯止め１
４がラチエツトホイル９，１０と係合して巻取軸
７の回転を阻止し、ウエビング５の引き出しが阻
止される。

次に、子供用補助椅子や荷物を座席に載せ、こ
れらをシートベルトで固定する場合は、第２図の
状態でまずウエビング５を引き出し、前述したよ
うに直接乗員を拘束する場合と同様に、子供用補
助椅子等を拘束する。その後、ワイヤー３４を引
くと、第３図に示される如く、ラツチホイル２０
が引張りバネ２３の付勢力に抗して時計方向に回
転し、それとともにラツチ２９は、アーム部３１
がストツパーカム２５のカム面２６に沿つて徐々
にピン３３を中心に時計方向に回転する。

ラツチ２９の爪部３０が充分ラツチギヤ１９と
かみ合う係合位置へ移動した後はラツチホイル２
０とラツチギヤ１９すなわち巻取軸７が一体とな
つて時計方向に回転するため巻取軸に固着された
ウエビング５は強制的に巻取られる。ワイヤー３
４は、ラツチホイル２０の他端部２８がストツパ
ーカム２５に当接するまでの範囲内で、固定され
る対象に応じて任意量引張られ（ワイヤー３４が
最大量引張られた場合が第４図の状態となる）、
その位置にて、図示なきストツプ機構によつて保
持される。

従つてウエビング５は強制的に任意量巻取られ
た状態のままで引き出しは阻止され、子供用補助
椅子等はシートベルトで若干締付けられた状態に
て座席に確実に固定される。

衝突時の緊急時においてウエビング５に大きな
負荷がかかつても、緊急ロツク式リトラクターの
ロツク機構が作動する為、ウエビングが引き出さ
れることはない。

子供用補助椅子等を座席から取り外したい時
は、ワイヤー端末のストツプ機構を解除すれば、
今まで強制的に加えられていた力の反力によつて
ウエビング５は引き出し方向に引かれ、巻取軸７
すなわちラツチギヤ、ラツチ２９、ラツチホイル
２０は一体となつて反時計方向に回転する。ラツ
チ２９のアーム部３１がストツパーカム２５のカ
ム面２６と当接した位置でラツチ２９は反時計方
向に回転し始め、第３図の状態を経て第２図の状
態となり、ラツチホイル２０とラツチギヤ１９と
は一体関係を解く。この為、ウエビングの引き出
しは自由となる。

以上の説明において緊急ロツク式リトラクター
は、車両の速度変化を感知してウエビングの引き
出しを阻止するタイプのものを示したが、ウエビ
ング巻取軸の角速度、角加速度を感知してウエビ
ングの引き出しを阻止するタイプのものでも良
い。

又作動手段は、ワイヤーとレバーを使用するも
のを示したが、ラツチのフツク部を長く伸ばして
作動手段たるレバー部とし、該レバー部を手動で
操作する方法でも良い。

以上の説明より明らかな如く、本発明によれば
所要時に、ウエビングを強制的に任意量巻き取る
ことができるため、子供用補助椅子や荷物を座席
に載せる場合も、ウエビングにたるみをもたせる
ことなく座席に確実に固定することができる。

又、固定される対象に応じて締付け力を自由に
調節することが出来るという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面正面図、
第２図はその側面図、第３図および第４図は作動
の説明図である。 主要部分の符号の説明、ベース……１、ウエビ
ング……５、巻取リール……６、ラツチギヤ……
１９、ラツチホイル……２０、ラツチ……２９、
ワイヤー……３４。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ウエビング巻取手段と、該巻取手段に一体的
   に取り付けられたラツチギヤと、該ラツチギヤか
   ら外れ巻取手段の自由な作動を許す非係合位置お
   よび該ラツチギヤと係合する係合位置の間を変位
   可能なロツク部材と、該ロツク部材を支持し上記
   巻取手段とともに作動可能な可動部材と、上記ロ
   ツク部材と連結された作動手段とを有し、作動手
   段が操作されるとまずロツク部材が非係合位置か
   ら係合位置へと移動して可動部材と巻取手段とが
   連結され、その後可動部材とともに巻取手段が強
   制的にウエビング巻取方向へ作動させられること
   を特徴とするシートベルト巻取装置。