JPS6130747Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は板金製の有底円筒形工作物の全周に、そ
の工作物の軸線と平行の歯形を同時に且つ高精度
に成形するプレス加工装置を提供することを目的
とする。

従来円筒周面に対する歯形・溝等の成形は、刃
物による切削加工、ダイカストによる型造、歯付
ローラによる転造等によつて実施しているが、工
数が多く、専用の加工機械を必要とする。そして
ダイカストの場合機械が大型であり、又他の機械
加工の場合、歯形・溝等を円周方向に順次加工し
ていくため、ピツチ精度が悪い等の不具合があつ
た。

そこで有底円筒形の素材の全周にプレス加工に
よつて歯形を同時成形することが考えられるけれ
ども、その製品を回転動力伝達部品として利用す
る場合は、軸受部乃至は軸固着部となる底面の外
周端にまで歯形を形成することが強度の点ですぐ
れている。

ところが上記歯形の全周一斉プレス手段とし
て、有底円筒形素材の内側からポンチを作用させ
たのでは、底面の肉厚に相当する分だけ歯形が成
形されない。

本案は上記の点に鑑みて提案されたもので、図
面に示す実施例について説明する。１はボルスタ
２に載置固定された下部ホルダ、３はその下部ホ
ルダ１の中央に設けた外周面に上下方向の歯成形
型３_１を有する円柱形ダイス、４はその円柱形ダ
イス３の中心に配置したノツクアウト、５はノツ
クアウト４を支えるクツシヨンピン、６は円柱形
ダイス３の外側に放射方向に進退可能に取付けら
れたカムスライドにして、各カムスライド６の内
端部、即ち上記円柱形ダイス３に対面する端面
に、ダイス３の歯成形型３_１に対応する歯成形型
７が設けられている。又カムスライド６の外端部
は、後述のくさびカムを作用させるカム面６_１が
形成されている。

上記カムスライド６の歯成形型７の上端面は、
ダイス３の歯成形型３_１の上端面より有底円筒形
工作物Ｗの底の肉厚と同等若しくはそれ以上高く
なつている。

８・９は下部ホルダ１とカムスライド６の間に
設けたカムスライド６の摺動案内用突条と溝、１
０はカムスライド６を下部ホルダ１に支持させる
ボルト、１１はカムスライド６をダイス３から遠
ざける方向に付勢する、即ちカムスライドもどし
用のばねである。１２はラム１３に固定された上
部ホルダ、１４は上部ホルダ１２の下面中央に、
押圧増強用のウレタンゴム１５を介して取付けた
クランパにして、前記ノツクアウト４と協同して
ダイス３にセツトされた工作物Ｗの底面を押圧す
る構成である。

そして上記クランパ１４の周囲に、カムスライ
ド６のカム面６_１に作用する斜面１６_１を形成し
たくさびカム１６が放射方向に複数個配置されて
いる。

図示例はカムスライド６に対するくさびカム１
６を、各カムスライド毎に対応させて設けたが、
全周一体に構成することもできる。

第１図は第５図に示す有底円筒形工作物Ｗを円
柱形ダイス３の外側にはめた状態にして、各カム
スライド６はばね１１の作用でダイス３から遠ざ
けられ、ストツパ１７に当つて止まつている。

この状態からラム１３を下降させると、第３図
のようにクランパ１４が工作物Ｗの底面に接する
と同時にくさびカム１６とカムスライド６の各カ
ム面１６_１・６_１が接触してカムスライド６を内
方に押し始める。

更にラム１３が下降すると、第４図のようにウ
レタンゴム１５が圧縮されて工作物Ｗはダイス３
にしつかりと押圧固定される。

一方カムスライド６がくさびカム１６によつて
更に中心に向つて押込まれ、その歯成形型７が工
作物Ｗの外周全面に同時に作用してダイス３の型
３_１との間で歯形のプレス加工が行われる。

次いでラム１３を上昇させると、カムスライド
６はばね１１の作用で外方にストツパ１７に当る
まで押戻され、ノツクアウト４の上昇によつて工
作物Ｗを押出して第６図に示すように、外周全面
にしかも底の外周に当る部分ａまで歯形Ａを加工
された製品が得られる。

本案プレス加工装置は上述の構成であるから、
有底円筒形工作物Ｗの全周に歯形を同時に成形で
きて加工能率にすぐれ、又有底円筒形工作物Ｗの
周面に外方から全周均等に成形圧が加わるので、
形成された歯の面積度が良い。

そして工作物Ｗの底の外周に当る部分ａまで、
容易に歯を成形することができるので、その成形
品を例えば歯車に使用した場合、歯に掛る荷重が
底面を経て軸に正しく伝わり、耐久性のある歯車
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の縦断正面図、第２図はその
一部の平面図、第３図・第４図は作動状態を順に
示す縦断正面図、第５図は素材の斜面図、第６図
は製品の斜面図。 Ｗは円筒形工作物、１は下部ホルダ、２はボル
スタ、３は円柱形ダイス、３_１は歯成形型、４は
ノツクアウト、６はカムスライド、７は歯成形
型、１１はばね部材、１２は上部ホルダ、１３は
ラム、１４はクランパ、１６はくさびカム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレス機の上下対向する一方のホルダに、外周
   面に上下方向の歯成形型を有する円柱形ダイス
   と、そのダイスの中心に配置したノツクアウト
   と、上記ダイスの外側に放射方向に配置し、その
   方向に進退可能にした歯成形型付の複数個のカム
   スライドと、そのカムスライドをダイスから遠ざ
   ける方向に付勢するばね部材とを設け、他方のホ
   ルダに、上記ノツクアウトに対応するクランパ
   と、そのクランパの周りに放射方向に配置し、上
   記カムスライドのカム面に作用してカムスライド
   を内方に動かす複数個のくさびカムとを設け、上
   記カムスライドの歯成形型の端面を、ダイスの歯
   成形型の端面より有底円筒形工作物の底の肉厚以
   上高くした有底円筒形工作物の外周全面に歯形を
   プレス加工する装置。