JPS6129548Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は自動車用シート即ち座席の前後スライド
装置に関する。

自動車の搭乗者用座席即ちシートの前後滑動即
ちスライド用として、シートの下面両側に設けた
平行な２本のアツパレールを、車体のフロワー上
に同じく設けた２本のレール上にローラを介して
支承させた構成のスライド装置は既に提供されて
いる。

上記形式のスライド装置にはアツパレール（以
下レールと略称することもある）とローワレール
（以下レールと略称することもある）間のがたつ
きを防ぐための係合構造を有する。この係合構造
は、両レールにそれぞれ長さ方向に延びるフラン
ジ部を有せしめ、両フランジを互いの背後にて対
向させた構造である。

さらにこの形式のスライド装置では長期使用期
間に前述のローラの転動範囲の箇所にローラの圧
痕が作られる傾向がある。この圧痕に起因して上
記の両フランジ間に新規組付時にはなかつたいわ
ゆるがたが発生し、その結果、シートがそのロツ
ク中にがたつき、搭乗者に不快感を与えるほか、
スライド機能をも低下させる傾向があつた。

本案は上記従来の欠点を免れ、長期間の使用に
も拘らず、上記のシートのがたつきがなく、機能
低下をも招かないシートのスライド装置の提供を
目的とし、その目的達成のため、前述の両フラン
ジ間に、レールの長さ方向に延びるロツドを介装
し、このロツドの横断面形状を長径と短径とを有
する非円形となし、別途備えるロツク装置のレリ
ーズレバーをこのロツドに連動させることによ
り、同レバーの揺動により、ロツドをその軸囲り
に所要角度回転させるように構成したものであ
る。ロツドはこの回転によりシートロツク時には
その長径を働かせて両フランジ間の間げきを引き
締め、ロツクの解放時には、短形を働かせて両フ
ランジ間に所要の間げきを許すものである。その
結果シートはそのロツク時には、前述の圧痕に起
因するがたつきが防止され、スライドには円滑な
スライドを許されるという利点が得られるもので
ある。以下図について本案を説明する。

第１図において下方のローワレール１は自動
車々体のフロワ上に固定される。２はその固定用
のボルト孔である。ローワレール１は剛性を得る
ため図示のような断面形状を有し、また車体フロ
ワの面から若干の高さに浮かし、フロワの面との
間に間げきを保つて固定される。この間げきは後
述のレリーズレバーの作動用空間となる。３はロ
ーワレールに設けた一連の係合孔であつて、所定
間隔をもつて連設され、レリーズレバーの先端が
以下説明するように係合する。４はそのレリーズ
レバーである。

第１図上方の５はアツパレールであつてシート
即ち座席の下面に固定される。６はその固定用ボ
ルト孔である。ローワレール１とアツパレール５
とは組立て後は第２図のように互いに係合する。
即ち、アツパレール５は断面が４角形状をなし、
下側の案内用スリツト７内にローワレール１の両
立上り部８が緩く嵌合する。この両立上り部８の
端縁は外側方に開いてフランジ部９となつてい
る。両立上り部８間に形成されている案内溝１０
内には、２個のローラ１３が保持されている。ア
ツパレール５はこのローラ１３の上に載り、シー
ト及びシート上の人体の重量の全体をローラ１３
を介してローワレール１に受けさせる。この構成
により、シート及びアツパレール５はローワレー
ル１上を、ローラ１３を介し円滑に滑動できる。

アツパレール５の両側壁１１の下方端縁はフラ
ンジ部１２となつている。両フランジ部１２の間
に前記のスリツト７が作られている。両フランジ
１２とローワレール１の両フランジ９との間に第
２図のようにそれぞれ形成される細長い両空間内
には、左方に２個のボール１４が転動可能に収容
され、右方には以下説明するロツド１５が収容さ
れている。

ロツド１５は第１図に示すようにその中間部の
位置にレリーズレバー４が溶接その他の手段で固
定されている。レリーズレバー４はロツド１５へ
の固定箇所を図示のように逆Ｖ字状の彎曲部１６
となつている。この彎曲部１６は組立て後は、ア
ーパレール５の有する切欠１７（第１図）内に緩
く嵌合している。アーパーレール５にはこの切欠
１７に対応する位置に、上方に突出するばね受け
１８がある。ばね受け１８とレリーズレバー４と
の間には、組立て後は第２図に示すように圧縮さ
れたコイルばね１９が介装されている。このばね
１９の伸長力によつて、レリーズレバー４は第２
図にて、ロツド１５を軸として時計方向に常に回
転するように付勢されている。この付勢により、
レリーズレバー４の遊端の爪２１を第２図で上方
に付勢し、ローワーレール１の係合孔３（第１
図）との係合関係を保つ。この係合関係を解くに
は、レリーズレバー４のハンドルあるいはつまみ
２０を持つて手動操作を第２図の矢印方向に加え
る。これによつてレリーズレバー４はロツド１５
を軸として反時計方向に枢動し、第３図のように
レリーズレバー４の遊端の爪２１が、ローワレー
ル１の係合孔３との係合から、外れる。このよう
に外れた状態においては、ローワーレール１及び
アツパレール５間のそれまでの係合関係が解消さ
れる。その結果、シートはアツパレール５ととも
に、ローワーレール１上をローラ１３を介して遊
動可能となる。即ちシートの前後位置を、搭乗者
の望むところに従い調節可能となる。

次に、以上説明した本案座席のスライド装置の
特徴とするところを以下説明する。

第２図から判るように、ロツド１５の断面形状
は楕円形をなしている。第２図のようにアツパレ
ール５及びローワレール１の両者が、レリーズレ
バー４の爪２１にてロツク関係にあるときには、
ロツド１５の楕円断面の長径が、同図で垂直に起
立している。これに対し、レリーズレバー４の操
作によりこのロツクを解いたときには、第３図の
ようにロツド１５の楕円断面の長形は傾斜してい
る。このように第２図のロツク時と第３図の解放
時との間にロツド１５の楕円断面の長径に垂直及
び傾斜の違いを設けたことにより、以下説明のよ
うな作動と効果が得られる。

第１図にもどり、アツパレール５は２個のロー
ラ１３を介してローワーレール１にシート及び搭
乗者の重量を伝えている。この両レールの構造は
シートの左右両側下面に車両の進行方向に沿つて
平行に２組み設けられるから、都合４個のローラ
１３によつてシート及び搭乗者の全重量が、２本
のローワーレール１に伝達されることになる。ロ
ーラー１３は図示しないホルダにより互に間隔を
保つて保持されているから、上下の両レール５及
び１のローラ１３との係合箇所は一定の範囲内に
限られる。そのために、長期間の使用により、こ
の範囲にローラ１３の圧痕ができる。その結果、
アツパレール５のフランジ９とローワレール１の
フランジ１２との間げきが、新規組立時に比し大
きくなり、いわゆるがたが両レール間にできて、
シートの振動の原因となり、またシートの前後滑
動を不円滑として座席調節を難渋させる結果を招
く。

然るに本案は前述のように、シートのロツク時
（第２図）には、ロツド１５の断面の長径が起立
するから、両フランジ９及び１２間の間げきを引
き締めて上述のがたをなくする。また、レリーズ
レバー４を第３図のように起して両レール１及び
５のロツクを解くと、上記のロツド１５の楕円断
面の長径が傾斜して、上記間げきの引き締めを緩
める。従つて両レール５及び１間の相対移動が円
滑にできるようになる。

ロツド１５は第４図に示すような断面をもつロ
ツド１５′としても同様に目的を達し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案シートスライド装置の分解斜視
図、第２図は第１図の−線に沿う断面図、第
３図は作動を示す第２図同様図、第４図は他の実
施例を示す、一部の断面図である。 １……ローワーレール、５……アツパレール、
３……係合孔、１３……ローラ、４……レリーズ
レバー、１４……ボール、１５……ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体のフロワー側に固定するローワーレール、
   該ローワーレールは断面略Ｕ字状にしてその側壁
   に外向きのフランジを有し且つ底壁に複数の係合
   孔を有し、シートクツシヨンフ令ーム側に固定さ
   れるアツパレール、該アツパレールは断面略逆Ｕ
   字状をなしてその側壁に内向きのフランジを有
   し、前記アツパレールのフランジが前記ローワー
   レールのフランジの下方に位置するよう前記両レ
   ールを配し、前記アツパレールと前記ローワーレ
   ールとの間に配されたローラ、一方の前記両フラ
   ンジ間に配されたボール、他方の前記フランジ間
   に配された断面略楕円形のロツド、該ロツドに固
   定されその先端の爪が前記ローワーレールの係合
   孔に係合可能なレリーズレバーとを有し、前記爪
   の前記係合孔への係合時前記ロツドの長径部が前
   記フランジに略直交し前記レリーズレバーを操作
   して前記爪を前記係合孔から離すと前記ロツドの
   長径部が前記フランジに沿う方向に移動すること
   を特徴とする自動車用シートのスライド装置。