JPH0538994Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のリヤシート装置に関する。

（従来の技術） 自動車のリヤシート装置に関し、シートクツシ
ヨンを車体に対しレール部材にて前後移動可能に
支持するスライド形式のものがあるが、この形式
においては、シートバツクの下部がシートクツシ
ヨンに追従して前後に移動する方が乗員の姿勢が
安定して好ましい場合がある。

このような要求に応える第１の例として、実公
昭44−6182号公報には、シートクツシヨンとシー
トバツクとを長孔とピンとの嵌合により連結する
一方、シートバツクの上部と車体とを長孔とピン
との嵌合により連結したものが記載されている。
第２の例として、実開昭57−168434号公報には、
シートバツクとシートクツシヨンとをヒンジで結
合する一方、シートバツクを左右に貫通する上下
方向の長孔に水平支柱を挿通したものが記載され
ている。

上記各公報に記載のものは、いずれもシートク
ツシヨンの前後動に追従してシートバツクの下部
が前後動し、それに伴つて該シートバツクの上端
高さが変化しながら、その立上り角度が変化す
る。この場合、上記シートバツクの上端高さの変
化が車体側に形成した長孔あるいはシートバツク
側に形成した長孔によつて許容されるものであ
る。また、後者の公報には、さらに、上記支柱の
高さを調節できるようにして、上記シートバツク
の立上り角度の調節範囲を拡大できるようにした
ものも記載されている。

また、第３の例として、実開昭59−88331号公
報には、シートバツクを上部と下部の２部材で構
成し、上部材は上下スライド可能とし、下部材の
下端をシートクツシヨンにヒンジ結合したリヤシ
ート装置が記載されている。この場合、シートク
ツシヨンを前方へスライドするとシートバツクの
上部材が下がる一方、その下部材がシートクツシ
ヨンに追従して傾き、下部材の下部が前方へ出る
が、シートバツクが上部材と下部材の境で屈曲し
た状態となる。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記各従来技術は、いずれも前後動す
るシートクツシヨンの位置（シートバツクの立上
り角度）によつて、シートバツクの高さが一律に
決まつてしまうことになる。また、上記第１の例
の場合は、シートバツクの上端、下端の双方が
各々長孔によつて車体、シートクツシヨンに連結
されているから、シートバツクのガタツキを防止
すること難しく、また、第３の例の場合はシート
バツクが屈曲してしまう。

すなわち、本考案の課題は、シートバツクを屈
曲させることなく、該シートバツクの立上がり角
度をシートクツシヨンの前後動によつて変化させ
ることができるようにしながら、さらにそれとは
別に、シートバツクの高さを乗員の好みや体格に
合わせて調節できるようにすること、さらに、該
シートバツクのガタツキも防止できるようにする
ことにある。

（課題を解決するための手段） 本考案は、このような課題に対して、シートク
ツシヨンの前後動によつてシートバツクの立上り
角度を変化させる手段の他に、シートバツクを所
望の高さに調節して固定できる手段を設けるもの
である。

すなわち、上記課題を解決する手段は、 レール部材にて車体に対し前後動可能に支持さ
れたシートクツシヨンと、上部がヒンジ部材にて
車体に対し回動自在に支持されたシートバツクと
を備え、 上記シートクツシヨンとシートバツクとは、一
方に設けられた長孔と他方に設けられたピンとの
嵌合によりシートクツシヨンの前後動に伴いシー
トバツクが上記ヒンジ部材の位置を中心に回動す
るように連結されていて、 上記ヒンジ部材が上記シートバツクの上部と車
体とのいずれか一方に取り付けられ、他方には上
記ヒンジ部材に係止される係止部材が取り付けら
れ、上記係止部材が、上記ヒンジ部材に係合する
係合部と、上記シートバツクを上記車体に対し上
下移動可能とするスライダ部と、このスライダ部
によるシートバツクの上下移動をその上下移動範
囲の任意の位置でロツクするロツク部とを備えて
いることを特徴とする自動車のリヤシート装置で
ある。

（作用） 上記リヤシート装置の場合、シートクツシヨン
を前後動させると、シートバツクは、その上部と
車体との間に設けられたヒンジ部材の位置を中心
に回動する。そのときのシートクツシヨンとシー
トバツクとの幾何学的干渉は、この両者のうちの
一方に設けられた長孔を他方に設けられたピンが
移動することによつて避けられる。しかして、上
記ヒンジ部材に係止された係止部材のロツク部を
操作してスライダ部のロツクを解除すると、シー
トバツクは車体に対して上下動可能となる。よつ
て、上記シートクツシヨンを前後動させることな
く、上記シートバツクを所望の高さに調節するこ
とができる。そして、上記スライダ部を再びロツ
クすると、シートバツクは上記調節された高さで
固定される。

（考案の効果） 従つて、本考案によれば、シートクツシヨンと
シートバツクとを、シートクツシヨンの前後動に
伴いシートバツクが上部のヒンジ部材の位置を中
心に回動するように連結する一方、上記シートバ
ツクを車体に対し上下移動可能とするスライダ部
と、このスライダ部によるシートバツクの上下移
動をその上下移動範囲の任意の位置でロツクする
ロツク部とを設けたから、シートバツクを屈曲さ
せることなく、シートクツシヨンの前後動によつ
てシートバツクの立上り角度を変えながら、さら
に、当該シートバツクの高さを乗員の好みや体格
に合わせて調節でき、同時に、該シートバツクの
ガタツキも防止できる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図に示す自動車のリヤシート装置１におい
て、２はリヤフロア３に対し互いにスライド可能
に嵌合した第１と第２のレール部材４，５を介し
て前後移動可能に支持されたシートクツシヨン、
６はリヤパツケージトレイ７に連なるバツクパネ
ル８にヒンジ部材９にて上部が支持されたシート
バツクである。

シートクツシヨン２の後端部には上下方向の長
孔１０をもつブラケツト１１が上方へ向けて突設
され、シートバツク６のシートフレーム１２の下
端部にはピン１３が設けられ、上記長孔１０に対
しピン１３を移動可能に嵌合してシートクツシヨ
ン２とシートバツク６とを連結している。そし
て、本例の場合、車体のバツクパネル８に上記ヒ
ンジ部材９が固定され、このヒンジ部材９に設け
たフツク１４に対し、シートバツク６の上部に固
定の係止部材１５の係合部１６が係止されてい
る。また、シートバツク６は係止部材１５のスラ
イダ部１７にてヒンジ部材９に対し、つまりはバ
ツクパネル８に対し上下移動可能となつていて、
シートバツク６の上端のヘツドレスト１８の隣に
上記スライダ部１７のロツク解除ノブ１９が設け
られている。

上記ヒンジ部材９の具体的構造は第２図および
第３図に示されている。すなわち、ヒンジ部材９
は、バツクパネル８に固定され水平方向のヒンジ
ピン２０が挿通される前方へ突出した軸受２１，
２１を備える固定プレート２２と、上記ヒンジピ
ン２０により上記固定プレート２２に回動可能に
垂下された回動プレート２３とからなるヒンジ本
体を備えている。

上記回動プレート２３には、ヒンジピン２０の
位置よりも下方に貫通孔２４が開設され、さらに
その下部に上記フツク１４が先端を上向きにして
連ねられている。そして、上記回動プレート２３
の背部位置で上記ヒンジピン２０にストツパ２５
が回動可能に支持されている。このストツパ２５
は、その下端部が上記回動プレート２３の貫通孔
２４から前方へ突出して傾斜状態となるように、
このストツパ２５と回動プレート２３とに係止し
たスプリング２６にて付勢されている。なお、第
３図において、２７はヒンジピン２０のスナツプ
である。

一方、係止部材１５のスライダ部１７は、シー
トフレーム１２の上部１２ａに固定のインナスラ
イダ２８と、これに上下移動可能に嵌められたア
ウタスライダ２９とからなる。そして、アウタス
ライダ２９には、上記ヒンジ部材９のフツク１４
が挿入される挿入孔をアウタスライダ２９ととも
に形成する係合部１６が設けられており、係合部
１６の下端がフツク１４の下端部に係合し、係合
部１６の上部にストツパ２５の下端部が当たるよ
うになされている。

上記スライダ部１７のロツク機構は第４図に示
されている。すなわち、インナスライダ２８には
上下に間隔をおいて複数の突起３０を側方に突出
せしめたロツクプレート３１が固定され、アウタ
スライダ２９の側面に固定した軸受部材３２に
は、ロツクプレート３１の突起３０に係合する係
合孔３３を持つロツクブラケツト３４が上下方向
のシヤフト３５でもつて回動可能に支持されてい
る。そして、このロツクブラケツト３４は上記ア
ウタスライダ２９とシヤフト３５との間に設けた
スプリング３６にてロツクプレート３１に対する
係合方向へ付勢されておりこのロツクブラケツト
３４の先端部に第１図に示すロツク解除ノブ１９
から延設したケーブル３７が連結されている。

この場合、ケーブルアウタ３８は上記軸受部材
３２から突設したサポータ３９に支持され、ケー
ブルインナ４０がロツクブラケツト３４に結合さ
れている。

上記リヤシート装置１において、シートバツク
６の取付けに際しては、バツクパネル８に固定の
ヒンジ部材９のフツク１４に対し係止部材１５の
係合部１６を上方から嵌め込む。係合部１６は傾
斜したストツパ２５を後方へ押動かしてその下方
のフツク１４の溝に嵌まりストツパ２５がスプリ
ング２６の付勢で復帰して係合部１６の上動が規
制される。つまり、シートバツク６は係止部材１
５の係合部１６を上記フツク１４に対し上から嵌
めるだけでヒンジ部材９に対し離脱しないように
取り付けられる。

そうして、シートクツシヨン２を第１図に実線
で示す状態から鎖線で示す如く前方へ移動せしめ
ると、シートバツク６はその下部が長孔１０にお
けるピン１３の移動を伴つて前方へ張り出し、そ
のときのシートバツク６の角度変化がヒンジ部材
９にて許容される。この場合、シートバツク６は
２点鎖線で示す状態にあつて、シートクツシヨン
２との間に隙間が形成される。そのとき、ロツク
解除ノブ１９を引くと、スライダ部１７における
ロツクプレート３１とロツクブラケツト３４によ
るロツクが解除され、シートバツク６はバツクパ
ネル８に対して、つまりは車体に対して上下動可
能となる。よつて、シートクツシヨン２を前後動
させることなく、例えば、シートバツク６を下方
へスライドさせて上記隙間をなくし、乗員の背当
り面を広くするなど、シートバツク６を乗員の好
みや体格に応じて所望の高さに調節することがで
きるとともに、シートバツクを再びロツクしてそ
のガタツキを防止することができる。

なお、上記実施例ではシートクツシヨン側に長
孔を設け、シートバツク側にピンを設けたが、逆
の取付関係にしてもよい。同様に、ヒンジ部材に
ついてもこれをシートバツク側に取り付ける一
方、係止部材を車体側に取り付けるようにしても
よい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は自動車
のリヤシート装置の側面図、第２図はヒンジ部ま
わりの構造を示す縦断面図、第３図はヒンジ部材
の分解斜視図、第４図はスライダおよびそのロツ
ク機構の一部切欠いた斜視図である。 １……リヤシート装置、２……シートクツシヨ
ン、４，５……レール部材、６……シートバツ
ク、９……ヒンジ部材、１０……長孔、１３……
ピン、１４……フツク、１５……係止部材、１６
……係合部、１７……スライダ部、２５……スト
ツパ、３１……ロツクプレート、３４……ロツク
ブラケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) レール部材にて車体に対し前後動可能に支持
   されたシートクツシヨンと、上部がヒンジ部材
   にて車体に対し回動自在に支持されたシートバ
   ツクとを備え、 上記シートクツシヨンとシートバツクとは、
   一方に設けられた長孔と他方に設けられたピン
   との嵌合によりシートクツシヨンの前後動に伴
   いシートバツクが上記ヒンジ部材の位置を中心
   に回動するように連結されていて、 上記ヒンジ部材が上記シートバツクの上部と
   車体とのいずれか一方に取り付けられ、他方に
   は上記ヒンジ部材に係止される係止部材が取り
   付けられ、上記係止部材が、上記ヒンジ部材に
   係合する係合部と、上記シートバツクを上記車
   体に対し上下移動可能とするスライダ部と、上
   記スライダ部によるシートバツクの上下移動を
   その上下移動範囲の任意の位置でロツクするロ
   ツク部とを備えていることを特徴とする自動車
   のリヤシート装置。 (2) ヒンジ部材は、ヒンジ本体と、係止部材に係
   止されるフツク部と、このフツク部からの係止
   部材の離脱を阻止するストツパとを備えている
   実用新案登録請求の範囲第１項に記載の自動車
   のリヤシート装置。