JPS6128506Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は繊維強化プラスチツク製板ばねをアク
スルハウジングに取り付ける取付構造に関する。

自動車の車軸懸架用の板ばねとして一般に用い
られているばね鋼に代えて、軽量化を図つて燃費
の向上に資する観点から、繊維強化プラスチツク
製板ばねが注目されている。

ところが繊維強化プラスチツク製（以下FRP
製という）板ばねの場合、このFRP製板ばねと
アクスルハウジングとの取付構造が問題となる。

板ばねとアクスルハウジングとは一般に、アク
スルハウジングを上側とした直交状に重ねられ、
アクスルハウジングをまたいで板ばねの方へ伸び
る一対のＵボルトを用いて取り付けられる。この
場合、単にＵボルト、板ばねの下側にあつて前記
Ｕボルトの端部を挿通させ、この端部に螺合され
るナツトを受け止めて、板ばねの挾持に供される
Ｕボルトシートおよび板ばねとアクスルハウジン
グとの間に介在されるスプリングシートのみによ
つて、板ばねとアクスルハウジングとを固定する
だけでは、アクスルハウジングに働く前後力によ
つて板ばねとアクスルハウジングとの取付位置が
ずれてしまう。このずれを防止ししかも取付時の
位置決めをするために、板ばねの中央のアクスル
ハウジング取付位置にピンを配置し、このピンを
アクスルハウジングにまたはスプリングシートに
係合させている。

ところが、FRP製板ばねの場合、ピン孔を
FRP製板ばねに設けてピンを通すようにして
も、逆にピンをFRP製板ばねにスタツドボルト
のように植え込むにしても問題がある。すなわ
ち、前者ではピン孔周辺に生ずる応力集中によ
り、ピン孔からクラツクが発生してFRP製板ば
ねの疲労を助長することとなり、後者ではFRP
製板ばねに作用する繰り返し曲げ力によつて植え
込んだピンの周囲に剥離が生じ、ピンが外れてし
まうこととなる。

従つて、本考案の目的は前記のようなクラツク
の発生やピンの外れを起こさないFRP製板ばね
の取付構造を提供することにある。

本考案の取付構造によれば、スプリングシート
またはＵボルトシートのFRP製板ばねに対面す
る側に扁平頭部が固着され、他方、FRP製板ば
ねの前記扁平頭部に対応する部分に、この扁平頭
部を受け入れかつ少なくとも前後方向で扁平頭部
に係合する凹所が設けられる。

以下に、添付の図面を参照して本考案の実施例
について説明する。

本考案の取付構造は第１図に示すように、車体
の幅方向へ伸びるアクスルハウジング１０と、車
体の幅方向の各側部において車体の前後方向へ伸
びるFRP製板ばね１２とを、スプリングシート
１４、Ｕボルトシート１６およびＵボルト１８を
用いて取り付ける取付構造である。

アクスルハウジング１０には車輪を駆動する車
軸２０が収容される。他方、FRP製板ばね１２
は強化用の繊維とプラスチツクとを積層して形成
され、その両端に設けられた目玉部を通るピンに
より車体に装着される。

スプリングシート１４はアクスルハウジング１
０の軸線方向に間隔をへだてて配置される一対の
側板２２を連結板２３で連結して溝状に形成され
ている。各側板２２にはアクスルハウジング１０
の外周面に適合する彎曲部２４が設けられてお
り、この彎曲部２４上にアクスルハウジング１０
が載置される。

前記連結板２３の中央には第２図に示すよう
に、貫通孔２６が穿たれており、この貫通孔２６
に位置決め部材２８の軸部２９が挿通されてかし
められ、位置決め部材２８はスプリングシート１
４に固着されている。位置決め部材２８は水平断
面が円形となつた扁平頭部３０を有し、この扁平
頭部３０がFRP製板ばね１２に向けて突出する
ように配置される。

前記FRP製板ばね１２が取付位置にもたらさ
れたとき、その前記扁平頭部３０に対応する部分
には、この扁平頭部３０を受け入れる凹所３２が
形成されている。この凹所３２は第２図に示す例
では円形の水平断面を有し、その口径は扁平頭部
３０の水平断面の外径と実質的に等しく、凹所３
２の深さは扁平頭部３０の厚みと実質的に等し
い。従つて、扁平頭部３０は凹所３２にぴつたり
と嵌合され、全面で凹所３２に係合する。

もつとも扁平頭部３０と凹所３２とは、アクス
ルハウジング１０に及ぼされる前後力によつて、
アクスルハウジング１０とFRP製板ばね１２と
がずれるのを防止するものであるから、アクスル
ハウジング１０の軸線に直交する方向、つまり
FRP製板ばね１２の長手方向である前後方向で
係合すれば十分である。従つて、凹所３２は例え
ば、扁平頭部３０の外径に実質的に等しい短軸を
前後方向に位置させ、長軸をアクスルハウジング
１０の軸線方向に位置させただ円とすることもで
きる。扁平頭部３０の外径や厚みは、前記機能を
勘案して、適宜に設定される。また扁平頭部３０
の輪郭は水平断面が円形の外、長方形、だ円など
に形成され得る。

前記扁平頭部３０を有する位置決め部材２８は
一般に鉄、アルミニウムなどの金属で形成され
る。そのため、位置決め部材２８との係合面にお
けるFRP製板ばね１２に損傷を生ずる可能性も
ある。従つて、これを避けるために、第３図に示
すように、FRP製板ばね１２に皿状の補強板３
４を装着し、この補強板３４の内面を凹所３２と
して、位置決め部材２８の頭部３０と係合させる
ことが好ましい。補強板３４はFRP製板ばね１
２の成形の際に一体に装着される外、接着によつ
て装着される。

第４図に示すFRP製板ばね３６は鋼板からな
る主ばね３８とFRPからなる補助ばね４０とを
積層した複合板ばねの形態である。主ばね３８に
取り付けられた位置決め部材２８と補助ばね４０
とは前記した、連結板２３に取り付けられた位置
決め部材２８とFRP製板ばね１２との構成に準
じて構成される。そして、位置決め部材２８のか
しめ部３１はスプリングシート１４の連結板２３
に設けられた貫通孔４２に緩く挿入、つまり緩挿
されている。本考案においてスプリングシートに
位置決め部材が固定されるとは、前記例のような
固着の外、この例のような緩挿を含む。また、
FRP製板ばねに凹所が設けられるとは、この例
のような複合ばねにあつては、FRPからなる補
助ばねに凹所が設けられることを意味する。

アクスルハウジング１０とFRP製板ばね１２
とを取り付けるには、両者の間にスプリングシー
ト１４を介在させ、スプリングシート１４の彎曲
部２４にアクスルハウジング１０を位置させる。
このとき、スプリングシート１４に固定された位
置決め部材２８の扁平頭部３０をFRP製板ばね
１２の凹所３２に受け入れると、両者の位置決め
がなされる。次いで、アクスルハウジング１０を
またいで車体の幅方向へ間隔をへだてて一対のＵ
ボルト１８を配置し、各Ｕボルト１８をFRP製
板ばね１２の下側に当てがつたＵボルトシート１
６の四隅のボルト孔１７に通し、ナツト４４を螺
合して締結する。

前記例では、スプリングシート１４に位置決め
部材２８を固定している、これに代え、Ｕボルト
シート１６に位置決め部材２８を固定して扁平頭
部を上方へ突出させ、FRP製板ばね１２の下面
に凹所３２を設けて、両者を係合させることもで
きる。

本考案によれば、アクスルハウジングとFRP
製板ばねとの取付部分に配置されるスプリングシ
ートまたはＵボルトシートに扁平頭部を有する位
置決め部材を固定し、この扁平頭部に対応する
FRP製板ばねに凹所を設けているので、アクス
ルハウジングとFRP製板ばねとを取り付ける際
の位置決めができる。また、使用時にアクスルハ
ウジングに前後力が働いても、アクスルハウジン
グとFRP製板ばねとがずれることがない。しか
も、位置決め部材の扁平頭部は厚みを小さくし、
しかもFRP製板ばねとの係合面を大きく設定で
きるところから、FRP製板ばねの強度を下げる
ことがなく、その凹所は応力集中を避けることが
でき、FRP製板ばねの寿命を長く保持できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の取付構造の要部を示す、
FRP製板ばねの長手方向に沿つて切断した断面
図、第２図はスプリングシートとFRP製板ばね
との分解斜視図、第３図は扁平頭部に係合する凹
所の別の例を示す断面図、第４図は別の形態の
FRP製板ばねとスプリングシートとが位置決め
部材によつて相互に連関している別の例を示す断
面図である。 １０：アクスルハウジング、１２，３６：
FRP製板ばね、１４：スプリングシート、１
６：Ｕボルトシート、１８：Ｕボルト、２３：連
結板、２８：位置決め部材、３０：扁平頭部、３
２：凹所、３４：補強板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の前後方向に延びる繊維強化プラスチツク
   製板ばねの上側にスプリングシートを、下側にＵ
   ボルトシートをそれぞれ当てがうと共に車体の幅
   方向に伸びるアクスルハウジングをまたいで配置
   されたＵボルトを用いて前記板ばねをアクスルハ
   ウジングに取り付ける取付構造であつて、前記ス
   プリングシートまたは前記Ｕボルトシートに固定
   されかつ繊維強化プラスチツク製板ばねに向けて
   扁平頭部を突出させた位置決め部材と、前記繊維
   強化プラスチツク製板ばねの前記扁平頭部に対応
   する部分に設けられた凹所であつて前記扁平頭部
   を受け入れかつ少なくとも前後方向で前記扁平頭
   部に係合する凹所とを含む、繊維強化プラスチツ
   ク製板ばねの取付構造。