JPS6216511Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はFRP板ばね装置に関し、特に従来の
センターボルトに代る突起を備えたFRP板ばね
装置に関する。

車両用懸架装置等に用いられる鋼製の板ばねに
おいては、車両への取付時における位置決めや前
後（長手）方向入力に対する結合などに必要なセ
ンターボルトを挿通するため厚さ方向の透孔が設
けられている。

ところが、FRP板ばねにおいてこのような透
孔を開設すると、埋設されている強化繊維の切断
ないしは分布の不均等化などにより強度低下をも
たらす。これを防止するために、FRP板ばね本
体に対し上記センターボルトに代る突起を突設す
ることも考えられたが、突起はその大きさに制約
があるためFRP製では剪断強度を充分に大きく
することが困難である。また、突起を有する金属
製板状体をFRP板ばね本体に接着するようにし
たものも提案されているが、板ばね本体と板状体
とは剛性が異なる上に荷重変動に応じて湾曲変形
されるため相互に剥離し易く、板ばね本体の疲労
寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。

本考案は上記事情のもとになされたもので、そ
の目的とするところは、従来のセンターボルトに
代る突起を有しながら強度的に優れ、したがつて
耐久性に優れたFRP板ばね装置を提供すること
にある。

以下、本考案を図示の一実施例について説明す
る。第１図においてFRP板ばね本体１と金属製
板状体２とは厚さ方向に重合され、たとえばＵボ
ルト等を有する適宜の締付手段（図示略）により
厚さ方向に締付けられている。

上記板ばね本体１には、板状体２との相互対向
部に位置して複数（図は２つの場合）の凸部３が
突設されている。凸部３は本体１の成形時にこれ
と一体に成形されることが望ましい。

上記板状体２は板状部４と、上記本体１と背向
する円柱状突起５とを一体に有し、鋼またはアル
ミニウム合金またはその他の適宜の金属から形成
されている。板状体２は、上記凸部３と嵌合可能
に板状部４に形設された複数（図は２つの場合）
の孔部６を、突起５の両側に備えている。なお、
板状体２には本体１と対向する各隅部に位置して
適宜曲率の面取部７，８を形成しておくことが望
ましく、これにより本体１における損傷の発生を
効果的に防止することができる。

上記構成によれば、FRP板ばね本体１が凸部
３と孔部６とを嵌合した状態で厚さ方向に重合さ
れているので、板状体２を金属製にしたことと相
まつて、突起５を従来のセンターボルトに代えて
位置決めや入力に対する結合等に用いることがで
きる。そして突起５の両側にそれぞれ設けた孔部
６に凸部３を嵌合させる構造であるから、板状体
２が突起５を中心に軸回りに回転することを確実
に防止できるし、前後方向および上下方向の入力
に対しても高い連結強度を発揮できる。また、凸
部３は断面積を突起５とは無関係に設定可能であ
るから剪断応力を充分大きく設定することがで
き、強度的に優れたものとすることができる。し
かも、本体１と板状体２とを接着する必要がない
ので組立作業を簡単化することができ、量産に好
適である。

なお、本考案は上記実施例のみに限定されるも
のではなく、たとえば凸部３の形状、寸法、数
量、配置等は任意に設定可能であり、要するに凸
部３と孔部６が突起５の両側に設けられていれば
よい。そして、凸部３の状態に適応するように孔
部６を形成することはいうまでもなく、板状部４
を貫通する孔部６に代えて適宜の凹部であつても
よい。さらに、本体１と板状体２との間には、こ
れら両者の直接的な接触を避けるために適宜の介
挿体（図示略）を設けるようにしてもよい。この
ような場合には凸部３と孔部６または凹部（図示
せず）との実質的な嵌合が妨げられないようにす
ることはいうまでもない。以上の他にも、本考案
の要旨とするところの範囲内で種々な変形ないし
は応用等が可能であることはいうまでもない。

本考案は、上述したようにFRP板ばね本体
と、この本体にこれと背向する突起を有して厚さ
方向に重合された金属製板状体とを有するものに
おいて、上記本体には上記板状体と対向する側に
少なくとも２個の凸部を設けるとともに、板状体
には上記凸部に嵌合する凹部または孔部を上記板
状体の突起の両側に形成したことを特徴とするも
のである。すなわち板状体の突起の両側に各々配
された凹部または孔部に、それぞれ本体の凸部が
嵌合する構造であるから、本体に対して板状体が
上記突起の軸回りに相対回転することを確実に防
止できるとともに、前後（長手方向）入力および
上下方向の入力に対する結合強度にも優れてい
る。また、本体と板状体とを結合する凸部は突起
に制約されることなく大きな断面積のものとする
ことができ、かつ本体には凹部または孔部等を設
ける必要がないから、板状体を金属製にしたこと
と相まつて強度的に優れ、しかも本体と板状体と
を接着する必要もない。したがつて、耐久性およ
び生産性に優れたFRP板ばね装置を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す切欠側面図で
ある。 １……板ばね本体、２……板状体、３……凸
部、５……突起、６……孔部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. FRP板ばね本体と、この本体にこれと背向す
   る突起を有して厚さ方向に重合された金属製板状
   体とを有するFRP板ばね装置において、上記本
   体には上記板状体と対向する側に少なくとも２つ
   の凸部を設けるとともに、上記板状体には上記凸
   部と嵌合する凹部または孔部を上記板状体の上記
   突起の両側に形成したことを特徴とするFRP板
   ばね装置。