JPS6128481B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、天然木単板貼り化粧床材の製造方法
に関し、詳しくは単板表面の大部分を占める春材
部の硬度が低い松や杉、桧などの針葉樹の見掛を
生かした化粧床材の製造方法に係る。

従来、天然木単板貼り化粧床材は単板自体の硬
度が高いサクラ、ナラ、ローズなどの広葉樹単板
を用い、合板などの基板に貼着後、アミノアルキ
ツド樹脂やウレタン樹脂などの透明な塗料を上塗
して製造されるのが一般的であつた。

一方趣味の多様化にともない広葉樹だけでなく
松や杉、桧などの針葉樹単板を床の表面材として
使用される様になつて来ている。

所が、針葉樹単板は広葉樹単板と同様に透明塗
料を上塗しただけでは単板の大部分を占める春材
部が柔らかいため傷つき易く、へこみ易い。

又、針葉樹単板は全体として淡色を呈し、春材
部の色調は秋材部の色調よりも淡色だが両材部の
色調差が少ないことから、上塗塗料の浸透により
春材部はぬれ色となつて色が濁り、秋材部との色
彩差と光沢差がほとんどなくなり、木目柄がぼや
けてしまう欠点がある。その為、針葉樹単板に不
飽和ポリエステル樹脂などの着色合成樹脂液を圧
入硬化させることにより春材部を秋材部より濃色
化し、やに松に酷似した光沢と色調を出させる
W.P.Cタイプの装飾材の製法も特公昭49−32924
号により開示されている。

所が単板をW.P.Cタイプにした床材の製造には
多大な樹脂含浸設備を必要とするとともに単板の
厚さが0.3〜5.0mm程度と薄いことから含浸樹脂の
硬化にともない、脆くなつて割れやすくなる。
又、合成樹脂液は単板に含浸後、残液を再度使用
出来る様にするため、硬化剤や硬化促進剤の添加
量を出来るだけ少量にし、樹脂の分子量を小さく
保たねばならないから、樹脂含浸単板を基板に熱
圧貼着する時、高温かつ長時間を要し、作業能率
も悪く、単板の材質も劣化させ易い欠点があつ
た。

そこで、上記の欠点を検討し、性能、見掛け、
作業性のいずれの点も優れた本発明の方法を完成
したものである。すなわち本発明の方法は、常用
の基板表面に針葉樹単板を貼着した化粧基板表面
を毛足の長い研摩具により研摩して春材部を凹所
とし、ついで該化粧基板全表面に秋材部の色より
も濃色に着色した透明熱硬化性合成樹脂液を春材
部の凹所をも充填する様に塗布後、全面に合成樹
脂が浸透すると透明化するシートを重ね、その後
熱圧成型する凹凸感を有する針葉樹単板貼り化粧
床材の製造方法に係る。

本発明を図面により詳細に説明する。

第１図は、本発明の方法により製造された化粧
床材の構成を示す断面図で、基板１上に接着剤２
を介して針葉樹単板が貼着されている。該単板の
表面はワイヤブラシなどのけあしの長い研摩具に
より研摩され、秋材部３に比べて硬度の低い春材
部４が一部取り除かれて凹所５を形成している。
そして、その針葉樹単板の表面には、春材部４よ
りも濃色に着色した透明熱硬化性合成樹脂６液を
春材部４の凹所５をも充填する様に塗布され、更
に、その上面には合成樹脂が浸透すると透明化す
るシート７が重ねられている。

まず、基板１は合板や、パーテイクルボード、
ハードボード、石綿スレート、石膏ボード、金属
板、プラスチツク板などの常用の板材である。

接着材２は尿素やメラミン、フエノール、ウレ
タン樹脂などを主体とする常用の熱硬化性合成樹
脂接着剤である。

基板１表面への接着剤２の塗布はスプレツダー
やロールコータなどの常用塗布機を用いる。

ついで、該基板１上に貼着される針葉樹単板
は、厚さが0.2〜5.0mm程度の松や杉、桧、ひば、
さわらなどの木目柄が美しい針葉樹からスライサ
ーやロータリーレースなどを用いて剥削された単
板である。

基板１と単板の接着は、熱圧や冷圧などの常法
により行うが、熱圧の方が接着剤２が単板内に良
く浸透して好ましい。ついで、基板１表面に貼着
された針葉樹単板の表面をワイヤブラシやバフ研
摩機などにより研摩して春材部４の一部を削り取
つて凹所５とする。

つぎに、上記の単板表面全面に凹所５をも充填
する様にリバースロールやフローコーターなどの
塗装機を用いて単板の秋材部３の色より濃色に着
色した透明熱硬化性合成樹脂６液を塗布する。

単板の秋材部３の色より濃色の着色透明熱硬化
性合成樹脂６としては、不飽和ポリエステル、メ
ラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、
ジアリルフタレート、、ウレタン、エポキシ、フ
エノール樹脂などの常用の熱硬化性合成樹脂に透
明顔料や染料を合成樹脂に対して10重量％程度添
加すれば良い。

着色透明熱硬化性合成樹脂６液の粘度は凹所５
を充填し、平坦に塗布可能とならしめるために
0.5ポイズ（BH型粘度型による測定）以上の高粘
度であることが好ましい。

さらに、その合成樹脂６層上面に該合成樹脂６
が浸透して透明となるシート７を重ね、その後熱
圧成型してシート７を透明化するとともに、合成
樹脂６分子を針葉樹単板の春材部４内へも浸透硬
化させる方法である。

なお、シートとしては、重さが10〜40g／m²程
度の薄紙や和紙、レーヨン紙あるいはそれらの薄
紙を少量の顔料や染料により着色したカラーオー
バーレイ紙、湿式不織布、ガラス繊維混抄紙など
が用いられる。

熱圧成型は、常用のホツトプレスやロールプレ
スなどを用いて実施する。

以上の様に本発明の方法によれば、単板の秋材
部の色よりも濃色に着色した透明熱硬化性合成樹
脂層が、単板表面全面にほぼ平坦に形成されるた
め、削り取られた春材部の凹所には、秋材部上面
よりも着色透明合成樹脂が厚い層を形成するが、
その結果春材部上面の色が秋材部上面の色より合
成樹脂層の厚みの差だけ濃色になり、木目模様が
逆転した状態となる。そして秋材部の柄が春材部
よりも、鮮明となつて凹凸感を付与する。

また、本発明は、単板上に直接合成樹脂液を塗
布する方法である為、分子量の小さな合成樹脂を
選定し、硬化促進剤の添加量を調整して熱圧時間
を選定することで単板の春材部内に合成樹脂分子
を十分に浸透させることが出来るから、合成樹脂
の付着性と春材部の硬度を容易に向上させること
が出来る。さらに、合成樹脂層が単板上に厚く形
成されても薄紙などのシートを構成する繊維の補
強作用により合成樹脂層は割れがたく、かつ耐摩
耗性能も大幅に向上する。

以下、実施例を記す。

実施例 (1) 厚さ12mmの合板表面に尿素樹脂系接着剤を用い
て厚さ0.8mmの米松単板を貼着した。ついで該単
板の表面をワイヤーブラシを用いて研摩し、春材
部を凹所とした。つぎに該単板の表面全体に粘度
0.8ポイズの不飽和ポリエステル樹脂に茶褐色の
着色剤を５重量％添加した透明性の樹脂をリバー
スコーターを用いて150〜160g／m²塗布後、直ち
に重さ20g／m²の透明紙を重ねた。その後平板プ
レスを用い、130℃−10Kg／cm²−15分間の条件で
熱圧成型して求める表面平坦で春材部が秋材部よ
りも濃色に着色されて木目柄が強調された米松単
板貼り化粧床材を得た。

実施例 (2) 厚さ20mmのパーテイクルボード表面にポリエス
テル樹脂系接着剤を用いて厚さ0.6mmの米ツガ単
板を貼着した。ついで該単板表面をバフサンダー
により研摩して春材部を凹所とした。つぎに該単
板の表面全体に粘度１〜２ポイズのジアリルフタ
レート樹脂に黄褐色の着色剤を３重量％添加した
透明性の樹脂をフロコーターを用いて160〜
180g／m²塗布後、その表面に重さ15g／m²のカラ
ーオーバーレイ紙を重ね、平板プレスを用いて
125℃−12Kg／cm²−15分間の条件で熱圧成型して
求める表面平坦で春材部が秋材部よりも濃色に着
色されて木目柄が強調された米ツガ単板貼り化粧
床材を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例による凹凸感を有する
針葉樹単板貼り化粧床材を示す断面図。 １…基板、２…接着剤、３…針葉樹単板の秋材
部、４…針葉樹単板の春材部、５…凹所、６…秋
材部の色よりも濃色に着色した透明熱硬化性合成
樹脂、７…合成樹脂が浸透すると透明化するシー
ト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 常用の基板表面に針葉樹単板を貼着した化粧
   基板表面を毛足の長い研摩具により研摩して春材
   部を凹所とし、ついで該化粧基板全表面に秋材部
   の色よりも濃色に着色した透明熱硬化性合成樹脂
   液を春材部の凹所をも充填する様に塗布後、全面
   に合成樹脂が浸透すると透明化するシートを重
   ね、その後熱圧成型することを特徴とする凹凸感
   を有する針葉樹単板貼り化粧床材の製造方法。