JPS6228711B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、化粧面に針葉樹系単板を用いてしか
もその表面にホツトプレス等で熱圧溶融樹脂の美
麗で硬質な表面被膜を熱圧締成形するところの化
粧板の製造方法に関する。

一般に、針葉樹系単板を化粧面に用いる化粧板
材では、比較的硬い化粧表面を形成するため、針
葉樹系単板の表面をブラシで研削して繊維組織の
粗で軟質な春材部分を除去し、一方繊維組織の緻
密で硬質な秋材部分を残存させた凹土表面を形成
し、その凹凸面に表面被膜を形成することが行な
われている。

従来、この表面被膜の形成にあたつては硬質な
被膜を形成するため、凹凸面に直接ホツトプレス
等で熱圧溶融樹脂を加圧圧着するようにされてい
る。然し、この樹脂圧着では、木材組織の軟硬や
木理の粗密差により、例えば木理の密な秋材部分
に対し粗な春材部分には樹脂が多く含浸する如き
含浸度合を異にするため、表面被膜に色ムラや汚
れを発生して化粧板材としての商品価値を低減せ
しめている。また、凹凸面に熱圧溶融樹脂処理を
行なうことは、凹な部分には凸な部分に対し相対
的に圧力が加わらないため、発泡、硬化不良を発
生する原因ともなる。

この熱圧成形処理に代えて、ロールコータ、フ
ローコータ等で表面被膜処理を行うことも考えら
れるが、この被膜成形では表面を平滑に仕上げる
ことが困難であり、しかも表面被膜形成後針葉樹
系単板を貼着した基板との間に経時的変化に伴つ
て夫々度合の異なる伸縮運動が生ずることによ
り、その伸縮運動に強度的に耐えることができな
いところから表面被膜に干割れが発生してしま
う。

茲において、本発明は、木材繊維の粗密差によ
る色ムラ、汚れの発生を防止し得ると共に、熱圧
溶融樹脂処理により緻密な表面被膜を形成する化
粧板の製造方法を提供すること、を目的とする。

即ち、本発明に係る化粧板の製造方法において
は、ブラシ研削により凹凸面にした針葉樹系単板
の表面に、まずフローコータ、ロールコータ等で
下塗り塗膜を形成すると共に、その塗膜を秋材部
分の凸面が露出するまで除去して春材部分の凹部
内に塗料を充填した平滑面にし、次にその平滑面
上に熱圧溶融樹脂の圧締付着で表面被膜を形成す
るようにされている。

以下、これを図示実施例に基づいて説明すれ
ば、次の通りである。

図示の化粧板は、適宜基板１の表面に針葉樹系
の単板２を貼着して基材とする板材が形成されて
いる。このうち、基板１としては、合板、フアイ
バーボード、金属板等を用いることができ、針葉
樹系単板としては松、栂、杉、桧等をロータリー
レース、スライサー等で薄く切削したものを用い
ることができる。

単板２に対しては、基板１の表面に貼着前或い
は後に、ワイヤーブラシにより研削処理を加え
る。この研削処理は、高速回転しているワイヤー
ブラシの下側に単板２の表面側を当接通過するこ
とにより施工できる。この研削処理後、単板２の
表面は、繊維組織の粗で軟質な春材部分が除去さ
れると共に繊維組織の密で硬質な秋材部分が残存
した凹凸面となる。

次に、その凹凸面に対しては、フローコータ、
ロールコータ等により下塗り塗装を施す。このロ
ールコータ、フローコータ等による塗装では、塗
料を加圧圧着することなく付着することができる
ため、その塗料が凹凸面に極度に浸透することが
ない。この下塗り塗膜３を形成した後、単板２の
凸部２ａが頂面を露呈するまで、下塗り塗膜３を
除去する。その塗膜除去は、塗布後乾燥前に布等
で拭い取ることにより行うことができ、また乾燥
硬化後サンダー、ブラシ等で研削し或いはカン
ナ、スクレフパー等で切削することにより行うこ
とができる。この被膜除去後、単板２の表面は、
凹部２ｂ内に下塗り塗膜３′が残存した平滑面と
なる。また、その平滑面は、硬質な秋材部分２ａ
と春材部分２ｂより高硬度の合成樹脂層３′で置
換した全体として硬い表面となつている。

この平滑面に対し、ホツトプレス等で熱圧溶融
樹脂を熱圧着し、表面被膜４を形成する。この圧
締処理では、上述の如く施工表面が予め硬質に形
成されているため、加圧圧着で樹脂を被着しても
その含浸ムラが生ずることがなく、色ムラや汚れ
は生じない。また、単板２の表面は平滑に成形さ
れているため、圧締度合にバラツキが生ぜず、全
体的に均質な樹脂被膜とすることができる。更
に、加圧圧締による表面被膜であるため、極めて
高硬質なものとなり、経時的変化による構成材板
の伸縮運動に十分対抗することができて干割れが
全く生じないようになる。

なお、下塗り塗膜３′を形成する塗料と、表面
被膜４を形成する樹脂とは相互に親和性を有する
ものを用いるとよい。その例としては、下塗り塗
料にあつてはポリウレタン、フエノール、アルキ
ド、アミノアルキド、ビニル、エポキシ、不飽和
性ポリエステル、熱硬化性アクリル等の樹脂を、
一方表面被膜形成樹脂にあつてはエポキシ、ポリ
エステル、ダツプ、ウレタン、メラミン、フエノ
ール、スチレン、ビニル等の樹脂を挙げることが
できる。

実施例 ラワン合板の表面に酢酸ビニル系接着剤をロー
ルコータで塗布し、その表面に0.3mm厚みの栂単
板を貼着した。それを移送台上に載せて高速回転
しているワイヤーブラシの下側を通過させること
により春材部分を除去し、凹凸面の全体にフロー
コータでウレタン樹脂を塗布して乾燥した。

その後、凸部の頂面が露出するまで下塗り塗膜
をサンダーで除去し、凹部内にのみ下塗り塗膜を
残存する平滑面にした。その平滑面上にエポキシ
シートを載置した後、ホツトプレスで熱圧溶融処
理をした。

斯して得られた化粧板は、色ムラや汚れのない
美麗で硬質な表面被膜を有するものであつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る化粧板の製造方法で順次施
工した板材の側断面図を夫々示すものであり第１
図はブラシ研削後、第２図は下塗り塗装後、第３
図は下塗り塗膜の除去後、第４図は表面被膜形成
後を各々示す。 １：基板、２：針葉樹系単板、２ａ：凸部、２
ｂ：凹部、３，３′：下塗り塗膜、４：表面被
膜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 合板、フアイバーボード、金属板等の適宜基
   板表面に貼着する針葉樹系の単板に対しブラシ研
   削を施すことにより、繊維組織が粗で軟質な春材
   部分を除去すると共に繊維組織が緻密で硬質な秋
   材部分を残存する凹凸面に形成し、その凹凸面に
   フローコータ、ロールコータ等で下塗り塗膜を形
   成して後、この下塗り塗膜を秋材部分の凸面が露
   呈するまで除去して春材部分の凹部内に塗料を充
   填埋設した平滑表面に形成し、しかる後ホツトプ
   レス等で熱圧溶融樹脂の表面被膜を形成したこと
   を特徴とする化粧板の製造方法。