JPS6127268Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はドーム型スピーカーにおける周波数
特性及び指向特性を改善するためのイコライイザ
ー（位相等価器）の構造に関する。

従来ドーム型スピーカーにおいてはドーム状振
動板の周辺部において駆動される結果、周辺部分
と中心部分より放射される音波の位相干渉によつ
て周波数特性に、特に高音再生領域において有害
なピークやデイツプを発生する。

そこで従来たとえばドーム状振動板の前面に、
同心状のスリツト又は孔を穿設したドーム状板を
配設して周波数特性を改善せしめようとする試み
がなされていた。

この試みはある程度の効果は期待できるが、本
考案は周波数特性の改善、特に分割振動周波数帯
域における音圧の低下を防止し、更に指向性の広
いドーム型スピーカーを提供することができるイ
コライザーの構造であつて、以下図面に示す実施
例について更に詳しく説明する。

第１図はこの考案のイコライザーを装置したス
ピーカーの断面図であつて、１はリング状フエラ
イトマグネツト、２はフロントプレート、３はセ
ンターポール、５はセンターポール３とフロント
プレートで形成される磁気空隙４に配置されたポ
イスコイル、６はドーム状振動板７の外周縁に結
合され、前記ボイスコイル５を前記位置に配置す
るべく巻回したコイルボビン、７はドーム状振動
板、８は前記ドーム状振動板７の外周縁に結合
し、当該ドーム状振動板７を弾性支承するエツジ
である。

上記構成は従来のドーム型スピーカと同様であ
る。

９は前記ドーム状振動板７の前方に配置したイ
コライザーであり、当該イコライザー９は第２図
に示すように略円錐台９１外形を有し、当該円錐
台９１のドーム状振動板７に対向する面は当該振
動板７と一定間隔を有するごとく凹面状９２に形
成されている。

更に円錐台９１にはその中心に軸方向の透孔９
３が穿設され、かつ当該透孔９３は音波の進行方
向すなわち、振動板７から離れるに従がつてその
径が減少するごとくテーパー状になつている。

又、当該イコライザー９は腕部１０等の適宜手
段によつて、ドーム状振動板７と適宜間隔を持つ
てすなわち、振動時の振動板に接触しない程度の
間隔を持つて配置される。

次に、当該イコライザーを取りつけられたドー
ム型スピーカーの効果を確かめるために、イコラ
イザーを取りつけないスピーカーと比較してその
特性を測定した。

なお、測定に用いたドーム型スピーカーはドー
ム状振動板径25mmφであり、イコライザーは最大
外径（底部径）20mmφ、最小外径（頂部径）10mm
φ、底部から頂部への長さ９mm、中心孔９３の最
大内径９mm、最小外径６mm）である。

第３図はこの考案のイコライザーを用いた場合
（図中実線３１）と用いない場合（図中実線３
２）の周波数−音圧特性である。

同図から明らかなように、この考案のイコライ
ザーによつて、高音域特に10kHz〜20kHz帯にお
いて特性の平坦化と音圧の上昇を得ることができ
る。

第４図はこの考案のイコライザーを用いたドー
ム型スピーカー（図中実線４１）と用いないドー
ム型スピーカー（図中点線４２）との周波数エネ
ルギーレスポンス特性図である。

当該周波数エネルギーレスポンスは残響室にお
いて任意の位置における（第４図では10ケの個
所）音圧レベルを平均したものであり、これによ
つて次のことが分る。

すなわち、一般に使用者がそのスピーカーを室
内において聴取する場合はスピーカーよりの直接
音と壁、床、天井等による反射波、すなわち間接
音との和の音圧を聞いていることになる。

そして、前記間接音はスピーカーの指向性がす
るどくなる程減少するので、エネルギーレスポン
スが減少することはスピーカーの指向性がするど
くなつている事を示している。

このような状態においては、全体的な音圧が減
少する結果、聴感上の音圧減少をともない、直接
音のみのくせのある音となつて好ましくない。

この考案のイコライザーを用いたドーム型スピ
ーカーのエネルギーレスポンスは図示のごとく
10kHz〜20kHzの間において従来のようなエネル
ギーの減少が起らない。

これによつて、この考案のイコライザーによつ
て当該周波数帯において指向性のするどさが著し
く緩和されており、指向性が改善されている事が
確認できた。

更にイコライザーの形状を種々変えて実験した
ところ、イコライザーの底部の径がその特性に著
しい影響を与え、振動板径との比が0.6〜0.8の間
の値で所望の効果を現出できた。

以上の効果は、イコライザー９による位相等化
作用に加えて、中心の透孔９３の空胴共振による
音圧増強作用により高域の音圧が上昇し、更には
当該透孔９３をテーパー状に形成することによ
り、共振周波数が分散する結果、急峻な共振が発
生せず、広い周波数にわたる平担な音圧増強作用
が得られたものである。

更には、前記透孔９３の径を放射軸方向に小さ
くしたので、実質的な放射面積が小さくなる結
果、指向性が改善されたものと考えられる。

以上に説明したごとく、この考案によるイコラ
イザーは周波数特性の平担化のみでなく高音域に
おける音圧増強、指向性の改善等従来のイコライ
ザーでは到底達成し得なかつた顕著なる効果を有
するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のイコライザーを装置したド
ーム型スピーカーの断面図、第２図はイコライザ
ーの拡大断面図、第３図は周波数出力音圧特性、
第４図は周波数エネルギー特性である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 次の構成よりなることを特徴とするドーム型ス
   ピーカーのイコライイザー。 (i) 外形状が略円錐台形状である。 (ii) 円錐台の底面はドーム状振動板に対向し、均
   一間隔をもつて位置するごとく凹面に形成され
   ている。 (iii) 円錐台の中心には放射方向に沿つて径が減少
   する透孔が穿設されている。 (iv) 前記底面の径は振動板径の0.6〜0.7である。