JPS6126053Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シリアルプリタンなどの印字装置に
おいてタイプヘツド打撃用として用いられるプラ
ンジヤ型印字ハンマ機構に関する。

従来この種のプランジヤ型印字ハンマ機構とし
ては種々な構造のものが知られているが、これら
はいずれもハンマが軸方向に動作する過程で摺動
が円滑に行なえず、また磁場および磁界などの磁
気的回路構成が不十分であり、その結果、印字動
作が不安定となるという欠点があつた。また、ハ
ンマとこれを保持するガイドとの間の同心度が不
十分であることから摺動部分の片減り等の欠点も
あり、これを改善するために注油などを必要とす
ることから油飛散による印字汚れあるいは寒冷地
での油凝固による印字動作の不安定等の問題が生
じている。

これを第１図に示す従来例を用いて簡単に説明
すると、図中符号１はこの印字ハンマ機構におい
て可動部となるハンマ体で、このハンマ体１は先
端がタイプヘツド打撃部となるハンマシヤフト１
ａとその軸方向の中央部で磁気吸引力を受けるア
ーマチユア１ｂとをねじ込みなどの手段で軸方向
に一体化した構成とされている。そして、このハ
ンマ体１は電磁コイル２を巻回したコイルボビン
３の中央孔３ａ内に貫通配置される。また、前記
ハンマ体１の両端側には前記アーマチユア１ｂに
磁気吸引力を与えるフロントコア４およびリヤコ
ア５がそれぞれ前記コイルボビン３の中央孔３ａ
の両端に嵌入された状態で配設され、さらにこれ
ら両コア４，５には前記ハンマ体１を軸方向に摺
動自在に保持するフロントガイド６およびリヤガ
イド７が嵌着されている。なお、図中８は電磁コ
イル２の後端部側に配設されるヨーク、９はこの
ヨーク８と組合わされるサブヨークで、このサブ
ヨーク９は前記電磁コイル２の前端部に配設され
る。また、１０は前記ハンマ体１をリヤコア５側
に付勢するリターンスプリングである。

そして、このような構成において、電磁コイル
２が通電されると、フロントコア４とリヤコア５
との間の空間部に密度の濃い強力な磁場が発生
し、これによりハンマ体１のアーマチユア１ｂが
リターンスプリング１０に抗してフロントコア４
側に吸引されて急激に移動してその先端がフロン
トコア４の外端部から突出している印字動作を行
なうわけであるが、上述した従来の構造では、ハ
ンマ体１の両端部を保持するフロントガイド６と
リヤガイド７とが一体に案内されることもなく任
意に取付けられており、さらにアーマチユア１ｂ
との間に磁場を形成するフロントコア４とリヤコ
ア５もまた同様に任意に取付けられているため、
これらの部材間における同心性を保つことができ
ず、その結果ハンマ体１の円滑な摺動動作を得る
ことができない。すなわち、このような構造で
は、フロントガイド６およびリヤガイド７の同心
性を図ることが困難で、またアーマチユア１ｂの
外周とフロントコア４およびリヤコア５との間の
空間の均一さを欠き発生する磁場の偏在を招き、
その結果同一軸線上を摺動すべきハンマ体１を片
寄りなどの不安定な状態で動作させることにな
り、これにより印字動作の立遅れやフロントガイ
ド４およびリヤガイド５とハンマシヤフト１ａと
の摺動部分の片減りなどを生じるものであつた。

特に、上述したようなプランジヤ型の印字ハン
マ機構によれば、磁気回路構成部品の多くが円筒
状に形成されており、そのため磁気回路を断面し
て見た場合における磁束の均一性が保証されてい
ないと、磁束の偏在部に対して不要な磁気吸引力
が生じ、その結果として充分な駆動力が得られな
いばかりでなく、摩擦力等の増加を招く等といつ
た問題を生じるものであり、何らかの対策を講じ
ることが必要とされている。

本考案はこのような点に鑑み、ハンマ体との間
に同心性を要求されるフロントガイドとリヤガイ
ド、さらにフロントコアおよびリヤコアを、電磁
コイルを巻回してなるコイルボビンの中央孔内に
貫通して配置される非磁性スリーブ部材を用いて
アツセンプリ化するという簡単な構成によつて精
度の高い同心度と安定な磁場を得ることができ、
これによりハンマシヤフトとアーマチユアとを一
体化したハンマ体の滑らかな摺動動作と立上りの
早い高信頼度を保証したプランジヤ型印字ハンマ
機構を提供するものである。

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第２図および第３図は本考案に係るプランジヤ
型印字ハンマ機構の一実施例を示し、これらの図
において、第１図と同一部分あるいは相当する部
分には同一番号を付してその説明は省略する。

さて、本考案によれば、ハンマシヤフト１ａと
アーマチユア１ｂとからなるハンマ体１との間に
同心性を要求されるフロントコア４とリヤコア
５、およびフロントガイド６とリヤガイド７を、
中空状をなす非磁性スリープ部材１１に一体的に
組付け、アツセンプリ化するように構成してお
り、これによりこれら各部材間の同心性を確保し
ている。

すなわち、非磁性スリーブ部材１１の両端側に
はフロントコア４およびリヤコア５がそれぞれ圧
入して固着され、さらにリヤコア５内に前記ハン
マ体１の後端部を保持するリヤガイド７が同様に
圧入固着される。そして、これらの部材を組付け
たスリープ部材１１は電磁コイル２を巻回したコ
イルボビン３の中央孔３ａ内に貫通され、その両
端を外方に配設されるコ字状ヨーク８とその先端
側にかしめ等により組付けられるサブヨーク９孔
部８ａ，９ａとによつて保持される。さらに、前
記ハンマ体１はリターンスプリング１０と共にス
リープ部材１１の前端部から挿入され、かつその
前端部を保持するフロントガイド６がスリープ部
材１１内のフロントコア４に嵌着されることによ
つて全体が組立てられる。なお、フロントガイド
６はサブヨーク９にねじ止めされる。

また、図中１２，１３はアーマチユア１ｂの復
帰時の衝撃力を吸収するダンパおよびスペーサ、
１４は電磁コイル２に通電するためのリード端子
である。

このような構成によれば、ハンマ体１はその両
端部をスリープ部材１１内に同心性をもつて嵌入
されたフロントコア４およびリヤコア５をガイド
として組込まれたフロントガイド６およびリヤガ
イド７によつて保持されることになり、これらの
部材間の同心性が保証され、これにより摺動部に
片寄りまたはこじれ等のない滑動的な関係が得ら
れ、ハンマ体１の円滑な摺動動作が期待できる。
そして、このときに、ハンマ体１のアーマチユア
１ｂの外周と、磁場を発生するフロントコア４お
よびリヤコア５との間に均一な空間を形成するこ
とができ、磁場の偏在のない安定した組付け状態
を得ることができる。

したがつて、このような印字ハンマ機構におい
て、リード端子１４によつて電磁コイル２に短い
電気信号が通電され、フロントコア４とリヤコア
５との空間に密度の濃い強力な磁場が発生し、こ
れによりアーマチユア１ｂが吸引されハンマ体１
が軸方向に急激に移動しても、その摺動動作に片
寄りなどが生じることなく、安定した円滑な動作
を期待できる。そして、この移動するハンマ体１
の先端部で、第２図に示すように、タイプフイン
ガ１５の母形活字１５ａをリボン１６、印字媒体
１７を介してプラン１８に衝突させることにより
安定した信頼性の高い印字動作を行なうことがで
きる。

なお、印字動作を終了したハンマ体１は衝突時
のプラテン１８の反撥力とリターンスプリング１
０の復元力とによつて初期位置に復帰し静止す
る。

以上説明したように、本考案に係るプランジヤ
型印字ハンマ機構によれば、ハンマ体との間に同
心性を要求される各部材を、電磁コイル巻回用コ
イルボビンの中央孔内に貫通配置される中空状の
非磁性スリーブ部材を用いてアツセンプリ化する
ようにしたので、簡易な構成により各部材を同一
軸線上に配設し、精度の高い同心度を得ることが
でき、しかもこれらは単に圧入または押入組込み
などの簡単な手段で容易に実現することが可能で
ある。また、ハンマ体のアーマチユア外周とこれ
に磁気吸引力を与えるフロントコアおよびリヤコ
アとの間に均一な空間を確保し、これにより均一
な磁場を保証し安定した動作が約束できるばかり
でなく、前述した圧入などの簡易な手段によつて
一つのアツセンプリ化を達成したことはプランジ
ヤ型印字ハンマ機構の組上げ作業を単純化でき、
しかも無作意に組上げることができる。すなわ
ち、アツセンプリ化されたスリープ部材を用いる
ことは安定した動作などの高信頼度が確保できる
とともに、印字ハンマ機構全体の組上げ作業が単
純化されたことによる高信頼度、さらに組上げ時
間の短縮などからくる製品コストの低減化などの
種々の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のプランジヤ型印字ハンマ機構を
示す側断面図、第２図は本考案に係るプランジヤ
型印字ハンマ機構の一実施例を示す側断面図、第
３図はその要部を分解して示す分解斜視図であ
る。 １……ハンマ体、１ａ……ハンマシヤフト、１
ｂ……アーマチユア、２……電磁コイル、４……
フロントコア、５……リヤコア、６……フロント
ガイド、７……リヤガイド、１１……非磁性スリ
ープ部材、１４……リード端子、１８……プラテ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンマシヤフトとアーマチユアとを一体化して
   なるハンマ体を、電磁コイルを巻回してなるコイ
   ルボビンの中央孔内に貫通配置し、かつその両端
   側にフロントコアおよびリヤコアを配設するとと
   もに、前記ハンマ体の両端を摺動自在に保持する
   フロントガイドおよびリヤガイドを設けてなるプ
   ランジヤ型印字ハンマ機構において、前記ハンマ
   体の周囲でコイルボビンの中央孔内に貫通して配
   置される非磁性スリーブ部材を備え、この非磁性
   スリープ部材の両端側に前記フロントコアおよび
   リヤコアが同心性をもつて嵌入されるとともに、
   これら両コアに対し前記ハンマ体を保持するフロ
   ントガイドおよびリヤガイドが前記ハンマ体と同
   心性を保つようにして嵌着されていることを特徴
   とするプランジヤ型印字ハンマ機構。