JPS6126044Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱圧縮成形により、クツシヨン層まで
達する凹部を有する立体感のある模様を形成した
感触の優れた熱圧縮成形物に関し、特に車輛用や
家具用等のクツシヨンシートとして好適な感触を
有する熱圧縮成形物に係る。

従来より、車輛用、家具容のクツシヨンシート
としては、繊維基材表面に塩化ビニルの単独重合
体又は他のモノマーとの共重合体を主体とする塩
化ビニル樹脂層を積層した塩化ビニルレザーの裏
面に軟質ポリウレタンフオーム等の可撓性合成樹
脂発泡体を積層一体化した積層物を高周波加工し
て表面に比較的浅い凹凸模様を施したものが多く
使用されていた。

しかしながら、このような従来のクツシヨン層
シートにおいては中間層に塩化ビニル単独重合体
又は共重合体を用いているため、含有されている
可塑剤の揮発による異臭、ガラス等に付着して曇
らせる曇価現象等の問題、更には長期間使用の場
合には軟質ポリウレタンフオーム層への可塑剤の
移行に基づく、硬化による風合の欠除等の問題が
ある。又、高級感覚指向に伴い塩化ビニルレザー
に代わつて編織布と軟質ポリウレタンフオーム層
とを積層一体し、これを熱圧縮して凹凸模様を有
する成形物が使われるようになつたが、水、汗、
ゴミ等が基材を通過して軟質ポリウレタンフオー
ム層に浸入し、衛生上好ましいものではなかつ
た。このような観点から表面材として繊維基材に
塩化ビニルシートを裏打ちし、さらに連続気泡ポ
リウレタンフオーム層を積層一体化した表面材を
初期において検討したが、この表面材は水、汗、
ゴミ等が繊維基材を通過して連続気泡ポリウレタ
ンフオーム層に浸入するのを防止出来たが、塩化
ビニルシート中に含有されている可塑剤に起因す
る前記種々の問題は未解決であつた。

本考案の成形物はこれらの欠点を解消したもの
で、クツシヨンシートに成形したとき成形物表面
の感触が良く、可塑剤による種々の問題もない。
又、水、汗、ゴミ等が伸縮性を有する繊維基材裏
面に積層されたポリウレタン樹脂層によつて遮断
されるため、クツシヨン材である連続気泡ポリウ
レタンフオーム層に浸入せず、又、表面材の繊維
基材を水洗することができるので衛生上好ましい
成形物を提供するものである。

すなわち、本考案の感触の優れた熱圧縮成形物
は伸縮性を有する繊維基材１裏面に接着剤層２、
ポリウレタン樹脂層３及び連続気泡ポリウレタン
フオームよりなるクツシヨン層４が順次一体に積
層されてなる複合材を部分的に熱圧縮して表面に
型付け、絞り等の立体感のある模様を形成してな
るものである。

伸縮性を有する繊維基材１は、良好な型付け、
絞り等の立体感のある模様を得るために、好まし
くは伸び率30％以上の編布、織布、不織布、含浸
布が使用できる。接着剤層２は伸縮性繊維基材１
に、ポリウレタン樹脂層３を貼着一体化するため
のものであり、その100％モジユラスは５−200
ｍ／cm²、軟化点150℃以上の接着剤で形成する。
接着剤としては、ポリクロロプレン、SBR、
NBR、ブチラール、ポリウレタンなどの溶剤タ
イプ接着剤又はエマルジヨンタイプ接着剤或は水
溶性接着剤があり、これらの接着剤はフイルム
状、粉末状のホツトメルト方式、溶液状、水溶液
状のコーテイング方式或はスプレー方式等を適宜
実施できる。また接着剤は伸縮性を有する繊維基
材裏面上の全面又は部分的に設ける等目的により
適宜実施することが可能である。ポリウレタン樹
脂層３は、ポリエステル系又はポリエーテル系ウ
レタン樹脂で、その100％モジユラスは15〜200
ｍ／cm²、軟化点は150〜300℃であり、離型性支持
体上にポリウレタン樹脂溶液を塗布するか、又
は、ポリウレタン樹脂を押出し加工、カレンダー
加工したりして樹脂層を形成する。ポリウレタン
樹脂層３の厚味は用途等によつても変わるが、10
〜800μが普通である。10μより薄くては、熱圧
縮時に伸ばされた時、薄くなりすぎピンホールの
発生の原因となり好ましくない。800μより厚く
なると風合が硬くなり好ましくない。

連続気泡ポリウレタンフオームよりなるクツシ
ヨン層４の厚味は厚い方が深絞り模様が得られ
る。なお連続気泡ポリウレタンフオームよりなる
クツシヨン層裏面に補強布を貼着することもでき
る。この補強布は連続気泡ポリウレタンフオーム
クツシヨン層の強度を補うものであり、車輛用や
家具用のチエアークツシヨンに使用する場合、本
考案の熱圧縮成形物の下部にあるラセン状や板状
スプリング等による連続気泡ポリウレタンフオー
ムクツシヨン層の損傷を防止したり、敷物用に使
用する場合、使用中のねじれ強度やずれ強度を向
上させることができる。このような補強布として
は編布、織布、不織布等が使用できる。

表面材と連続気泡ポリウレタンフオームクツシ
ヨン層４とを一体化するにはフレームラミネート
法あるいは接着剤ラミネート法が用いられる。

接着剤を使用する場合には、前述の接着剤層を
形成するのと同様の接着剤が使用できる。

この様にして得られる複合材をクツシヨンシー
ト用成形物に適用するためには熱プレス成形によ
つて、部分的に熱圧縮し、表面に型付け、絞り等
の所望する立体感のある模様を表現してクツシヨ
ンシート用成形物を形成する。

本考案の成形物は以上のように伸縮性を有する
繊維基材の裏面に不通気性で耐熱性を有するポリ
ウレタン樹脂層が接着剤を介して貼着されてお
り、さらにこのポリウレタン樹脂層の裏面には連
続気泡ポリウレタンフオームよりなるクツシヨン
層が形成されているので熱プレス成形することが
でき、しかも繊維基材の伸び率は30％以上と伸び
やすいものであるから、連続気泡ポリウレタンフ
オームよりなるクツシヨン層の厚さに応じて深絞
型形状の成形体であつても容易に成形することが
できる。またポリウレタン樹脂層は厚さが10〜
800μときわめて薄く、その100％モジユラスは15
〜200ｍ／cm²と柔軟であり、さらに伸縮性繊維基
材と一体化する接着剤はその100％モジユラスは
５−200ｍ／cm²ときわめて柔軟であるから複合材
を熱圧縮成形した成形物において繊維基材と連続
気泡ポリウレタンフオームよりなるクツシヨン層
との間に形成されるポリウレタン樹脂層と接着剤
とは全く異質感を感じさせず、きわめて自然なク
ツシヨン効果を有するものとなる。

以上のように本考案の熱圧縮成形物によつて得
られたクツシヨンシートは表面材の繊維基材の風
合、感触が十分に活かされ、かつ、繊維基材裏面
に貼着されたポリウレタン樹脂層によつて、水、
汗、ゴミ等が連続気泡ポリウレタンフオーム層に
浸入することもなく、表面繊維基材を水洗いする
ことが出来るので衛生的であり、かつポリウレタ
ン樹脂層裏面の連続気泡ポリウレタンフオーム層
のクツシヨン効果も十分に活かされたものとな
り、又、可塑剤を使用していないので、可塑剤の
揮発による曇価、異臭及び可塑剤移行による風合
いの硬化もないきわめて実用上効果があるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の成形物の断面図である。 １……伸縮性を有する繊維基材、２……接着剤
層、３……ポリウレタン樹脂層、４……連続気泡
ポリウレタンフオームクツシヨン層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 伸縮性を有する繊維基材裏面に接着剤層、ポリ
   ウレタン樹脂層、連続気泡ポリウレタンフオーム
   よりなるクツシヨン層が順次一体に積層されてな
   る複合材を部分的に熱圧縮して立体模様を形成し
   てなる感触の優れた熱圧縮成形物。