JPS6126021B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、固体電解質電気化学セルに係わ
り、特にこの種の電気化学セルの感知電極の保護
方法および装置に関するものである。

燃焼系統の煙道ガス流内に用いられる酸素イオ
ン導通固体電解質電気化学セルに設けられた電極
の有効寿命を延ばすことは実際上必要である。発
電所の煙道ガスは普通にはイオウ含有ガスを含ん
であり、このガスは酸素不足が生じた場合に、ロ
ジウム、バラジウム、イリジウム、プラチナ等の
プラチナ族金属または銀で形成されるので普通で
ある電極を不都合にも硫加する。この硫化の結
果、セルの抵抗は増大し、セルの動作が劣化す
る。

本出願人の1968年９月３日付の米国特許第
3400054号明細書に開示されている教示に基づい
て構成された酸素イオン導通固体電解質電気化学
セルは、通常、約600℃乃至約1100℃の温度範囲
で動作して被監視雰囲気の酸素含量を測定する。
過剰量の酸素および小量のイオウ化合物を含有し
ている被監視雰囲気内でこの温度範囲で動作する
普通の酸素分析装置のプラチナ族電極は、徐々に
酸化物として蒸発するが、残余の電極材料は大部
分がプラチナ族金属の酸化物として残り、電極の
有効寿命は長期間に亘つて維持される。

しかしながら、煙道ガス雰囲気が、化学平衡論
的燃焼に必要な量よりも過剰にCOまたはH₂のよ
うな煙道成分を含んでいる場合には、H₂S，COS
のようなイオウ化合物またはＳが生じ、煙道ガス
内で電極材料と反応して硫化物を形成し電極とし
て適正に動作しない場合がある。被監視雰囲気が
酸化雰囲気に戻る。即ち酸素過剰になると、酸素
との反応により硫化物から純プラチナが再生され
る。しかしながら、このように酸化雰囲気から硫
化雰囲気へと変動が繰返されると、それにより固
体電解質と電極との接触が減少し、そのために分
極抵抗が増大し電極の性能が終局的には損傷され
るか、または電極が崩壊するとか、電極の縁部の
囲りに腐蝕が生ずる等の事態が生ずる。

ここで酸化雰囲気とは、イオウ含有ガスが感知
電極材料即ちプラチナまたは銀、または金属コネ
クターと反応せずにそれら物質の硫化物を形成さ
せない雰囲気と定義される。

この発明の主たる目的は、固体電解質電気化学
セルの感知電極の保護方法および装置を提供する
ことにある。

上の目的で、本発明によれば、ガス雰囲気の酸
素含量を表わす起電力信号を発生する酸素感知用
固体電解質電気化学セルの感知電極を、上記電極
に接触する上記ガス雰囲気の硫化雰囲気の劣化作
用から保護する方法において、上記感知電極と接
触して酸化雰囲気を維持することを特徴とする方
法が提案される。

更に本発明によれば、被監視雰囲気の酸素含量
を表わす起電力信号を発生する酸素感知固体電解
質電気化学セルの感知電極を、上記感知電極に接
触するガス環境の硫化雰囲気の劣化作用から保護
するための装置において、上記感知電極を保護す
るために上記感知電極と接触して酸化雰囲気を維
持するための装置を備えていることを特徴とする
装置も提案される。

本発明の好ましい具体例においては、酸素イオ
ン導通固体電解質電気化学セルは硫化雰囲気を発
生することができる煙道ガス環境に露出された感
知電極ならびに煙道ガス環境から隔離されて酸素
源に露出された酸素基準電極および酸素移送電極
を備えている。酸素イオン導通電解質電気化学セ
ルと組合せて設けられる電気回路は、煙道ガス環
境によつて発生される起電力を監視するための電
圧測定回路ならびに煙道ガス環境内の酸素含量レ
ベルが、感知電極を硫化し得るレベルまで落ちた
時にのみ動作するセル電圧制限回路を備えてい
る。電圧制限モードの動作において、回路は電気
化学セルを酸素「ポンプ送り」即ち強制送りモー
ドに変え、それにより酸素は酸素基準源から電解
質を介して感知電極に移送され感知電極には、所
定の保護酸素即ち酸化雰囲気が維持される。

別法として、電気化学セルのポンプ送り動作を
用いずに直接酸素源から導管を介して感知電極に
供給することができる。

感知電極を硫化雰囲気の悪影響から保護するた
めに、感知電極を、イオン電導および電子電導を
可能にする非多孔質のセラミツク酸化物の密着層
で被覆することができる。適当なセラミツク酸化
物は酸化セリウム、特に希土類酸化物がドープさ
れた酸化セリウムである。

次に図面を参照して本発明の具体例について詳
細に説明する。これから本発明の理解は一層容易
になろう。

第１図を参照するに、煙突Ｓの壁を貫通して設
けられた酸素プローブ（探針）組立体１０から構
成される本発明の具体例が概略的に示され、この
酸素プローブ組立体１０は、被監視雰囲気ME即
ち煙突内に存在する煙道ガスの酸素含有量をモニ
タするためのものである。プローブ組立体１０
は、導電性の管状ハウジング１２と、該ハウジン
グ１２の閉端を形成する固体電解質セル２０とか
ら構成されている。先に掲げた米国特許明細書に
開示されているような慣用の固体電解質セルに対
応する固体電解質セル２０は、酸素イオン導通固
体電解質２２と、被監視雰囲気MEに曝される感
知電極２４と、酸素基準電極２６と、酸素供給源
３０から送り管３２を介して供給されらる酸素あ
るいは空気等の酸素含有ガスの流れによつて管状
ハウジング１２の基準室１８内に形成される基準
酸素雰囲気に対して露出された酸素移送電極２７
とから構成される。電極２４，２６および２７
は、それぞれ導電体４２，４４および４５を介し
て電圧測定・制御回路４０に接続されている。酸
素プローブ組立体１０は被監視雰囲気MEの酸素
含有量を測定して、電圧測定・制御回路４０に伝
送される酸素含有量を表わす電気信号を発生す
る。この動作モードは当該技術分野で知られてい
る固体電解質電気化学セル酸素分析法と同じもの
である。

被監視雰囲気ME内の硫化雰囲気に因る劣化か
ら感知電極を保護する必要性を満足させるための
酸素プローブ組立体１０の慣用の動作に対する変
更は、電圧測定・制御回路４０の動作を通して達
成される。電圧測定・制御回路４０は電圧測定回
路４６および制御可能な電源４８から構成されて
いる。被監視雰囲気MEの酸素含有量の表示を与
えるために、電気化学セルにより発生される起電
力を出力するのに加えて、電圧測定回路４６は、
被監視雰囲気内の予め定められた酸素含量レベル
を表わす起電力信号によつてスイツチ４９が閉成
されそして可変電圧源４８が作動されるように設
定点制御装置をも備えている。上記予め定められ
た酸素含量レベルは、感知電極２４の硫化が起る
レベルよりも若干上のレベルに対応するものであ
る。可変電圧源４８により電極２４および２７間
に印加される電圧は次のような極性にある。即
ち、酸素基準室１８から固体電解質２２を通つて
酸素イオンが感知電極２４へとポンピング即ち移
送され、それによつて感知電極２４の表面に保護
のための最小限度の「酸素カバー」が形成される
ような極性である。この酸素移送は、被監視雰囲
気の酸素含量が予め選択された設定点の値の越え
る時に止まる。感知電極に送られた酸素は、その
ポンプ送りが終つた後、２，３秒内に消散し、斯
くして被監視雰囲気MEの酸素含量の測定が可能
となる。

回路４０を適切に構成することは、電圧測定回
路４６に対し市販の計器リレーを用いることによ
り実現することができる。この場合、計器リレー
の可変設定点を利用して、スイツチ４９を作動す
ると共に、可変電源４８によつて電極２４および
２７間に印加される電位レベルを制御することに
より酸素ポンプ送り動作を制御するためのモータ
を適宜作動することができる。「酸素カバー」が
予め定められた設定点を満足すると、スイツチ４
９が開いて感知電極２４への酸素移送は遮断され
る。

このとき、電圧測定回路４６は電極２４および
２６間に発生する起電力に応答して被監視雰囲気
MEの酸素含有量を表示する。

回路４０の機能は、説明の便宜上最つとも基本
的な要素を使用して実現されているが、回路４０
の機能を電子的方法で具現することも可能であ
る。

さらにまた、酸素基準電極２６および酸素移送
電極２７を単一の電極として組合せることができ
るが、その場合には酸素の感知電極２４への移送
期間中に起じ得る抵抗および分極損失がセル電圧
読取り量に含まれることになり、したがつて酸素
保護雰囲気を正確に知る必要がある場合には上述
の影響に対する補償が必要であろう。

第１図に示した本発明の実施例において、被監
視雰囲気の容積が相当大きく、したがつて感知電
極２４の表面に所望の保護酸化雰囲気を形成する
ために相当な酸素ポンプ送り動作が要求される場
合には、第２図に示した型の容積アダプタ５０を
酸素プローブ組立体１０の端に接続して、感知電
極２４に隣接して２次室５２を設けるのが有用で
あることが判つた。アダプタ５０は、被監視雰囲
気MEから２次室５２への煙道ガスの通過を許容
するために充分に多孔性の膜の形態にすることが
できるし、或いはまた第２図に示すように、金属
またはセラミツク製のキヤツプとして形成し、被
監視雰囲気から２次室５２に煙道ガスを移送する
ための開口５４を設けることができる。容積アダ
プタ５０の利点は、それによつて基準室１８から
酸素がポンプ送りされる感知電極２４に隣接する
容積を制限できるという点にある。これにより、
感知電極２４の表面に所望の酸化雰囲気を形成す
るために充分な酸素ポンプ供給を行なうために可
変電圧源４８から要求される電圧レベルは減少せ
しめられる。感知電極２４に対し隣接しているが
それから離間している別の電極を設けて、酸素を
ポンプ送りするために、電極２７と協働させるこ
とができる。容積アダプタ５０に類似する構造
は、本出願人の1975年12月23日付の米国特許第
3928161号明細書に詳述してあるガス測定プロー
ブ装置に示されている。

第１図に示す実施例と具体例の第２図に示す実
施例との更に別の相異は、所望の保護「酸素カバ
ー」を形成するために感知電極２４に酸素を導入
することができる。この場合、固体電解質電気化
学セル２０ぎポンプ送りモードで使用する代り
に、容積アダプタ５０の壁を貫通する管状部材５
６を介して酸素源５５から２次室５２内に酸素が
導入される。流れ制御弁５７は回路４０によつて
発生される設定点状態に応答し、上述の回路４０
の動作に従つて保護「酸素カバー」を形成する。

第１図および第２図の実施例において達成され
る保護酸化雰囲気の顕著な効果は第５図にグラフ
で示されている。曲線Ａは、保護「酸素カバー」
が無い場合に、交互する硫化および酸化雰囲気に
露出されるプラチナ電極を有する酸素感知セルの
AC抵抗値が顕著に変化することを示している。
曲線Ｂは、硫化雰囲気が存在する被監視雰囲気中
で動作する保護「酸素カバー」を有する類似の酸
素感知セルのAC抵抗値を示すものである。

保護されていないセルの大きなAC抵抗値の変
化には、酸化および硫化雰囲気への長期に亘る反
復的な露出後のプラチナ電極材料の崩壊が伴な
う。

第３図は、第１図の電圧測定・制御回路４０の
別の実施例を略示するものである。被監視雰囲気
MEの予期される酸素含量よりも相当に大きなレ
ベルに基準室１８内の酸素レベルを維持すること
によつて、その結果生ずる電気化学セルの起電力
は、セル２０を抵抗により分路した場合に、感知
電極２４の表面に対し基準室１８から有効なレベ
ルの酸素移送を維持するのに適正な極性で、しか
も充分な大きさにあり、それによつて所望の保護
酸化雰囲気が形成される。ポンプ・モードも動作
は、感知電極２４の表面の実質的硫化雰囲気に対
応する被監視雰囲気内の酸素レベルを表わす電圧
測定回路６２からの信号に応答して、分路６０を
介し達成される。手動またはモータ駆動されるポ
テンシヨメータ或いはまた電子回路に設けられた
電界効果トランジスタとすることができる分路６
０は、電圧測定回路６２からの信号に応答して分
路６０の抵抗またはコンダクタンスを変化し、酸
素が基準室１８から感知電極２４の表面にポンプ
送りされる流量を変化させる。セル２０が分路６
０によつて分路される時には、移送電極２７にお
ける酸素分子は酸素イオンに変換されて、電解質
２２を通つて移動し、感知電極２４で酸素分子と
して放出される。分路６０によつてセルを流れる
電流を制御することにより、感知電極２４に移送
される酸素の量が制御される。被監視雰囲気ME
における酸素レベルが、感知電極２４の硫化が起
るレベル以上に上昇した時には、抵抗分路を開放
して酸素プローブ１０を通常通りに動作させる。

先に述べたように、プラチナ、ロジウム、パラ
ジウム、イリジウム等を含むプラチナ族から選ば
れた材料或いはまた銀とすることができる更にま
た、本発明の実施例ではないが感知電極２４を、
硫化雰囲気の悪影響から保護するために、第４図
に示すように、感知電極２４の表面上にセラミツ
ク酸化物の密着セラミツク層７０を施こすことも
できる。研究の結果として、セラミツク層７０
は、特に非多孔質のセラミツクが、例えば酸化プ
レソジウムまたは酸化サマリウム等の小量の希土
類をドープされている場合に、酸化セリウムのよ
うな物理的に非多孔質の層から構成することがで
きる。選ばれたセラミツクは電極の１部として機
能するものであり、そしてイオン電導および電子
電導性を示さねばならない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例を略示する断面図、
第２図は第１図の実施例の変形例を示す概略断面
図、第３図は所望の酸素ポンプ送りモードの動作
を達成するために第１図の実施例と共に使用する
ための別の電気回路の回路図、第４図は本発明の
さらに別の実施例の部分断面図、第５図は本発明
による酸素イオン電導固体電解質電気化学セルの
改善された動作を示すグラフである。 １０……酸素プローブ（探針）組立体、１２…
…管状ハウジング、２０……固体電解質電気化学
セル、２２……酸素イオン電導固体電解質、２４
……感知電極、２６……酸素基準電極、３０……
酸素供給源、３２……送り管、１８……酸素基準
室、２７……酸素移送電極、４２，４２，４５…
…導電体、４０，４６……電圧測定・制御回路、
４８……可変電源、４９……スイツチ、５０……
容積アダプタ、５２……２次室、５４……開口、
５６……管状部材、５５……酸素源、５７……流
れ制御弁、６０……分路、６２……電圧測定回
路、７０……セラミツク層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガス雰囲気の酸素含量を表す起電力信号を発
   生する酸素感知用電解質電気化学セルの感知電極
   を、前記感知電極に接触するガス雰囲気の還元性
   雰囲気の劣化作用から保護する方法において、 前記起電力信号を前記ガス雰囲気の酸素含量を
   表すものとして測定し、前記起電力信号に応答し
   てガス雰囲気中の酸化雰囲気を維持して前記感知
   電極を保護することも特徴とする固体電解質電気
   化学セルの感知電極の保護方法。