JPS6123968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば自動二輪車等のエンジンからの
動力を伝動するのに用いる歯車装置に関する。

歯車装置において、駆動歯車と従動歯車の一方
を重ね合せた２個の同形の歯車とし、これを調整
ばねにより円周方向にずらしてバツクラツシを無
くすことにより、回転トルクの変動等に起因する
歯同士の衝突音等の騒音を防止するものが用いら
れている。

本考案はこの種の歯車装置を利用して、回転ト
ルクの変動等による衝撃荷重を効率よく緩衝する
機能をもたせることを目的とする。

その目的を達成するために以下の構成としたも
のである。即ち、同形の歯車２，３を重ね合せ、
その一面に回転体６を、また他面に押え円板７を
夫々重ね合せ、該回転体６と押え円板７を歯車
２，３に設けた逃げ穴２３，３３を通したリベツ
ト等の結合部材８で一体結合し、回転体６と歯車
３との間のばね板９により歯車２と３、歯車３と
回転体６、歯車２と押え円板７を相互に摩擦接触
させる。

そして歯車２，３の面に円周方向等間隔に複数
の長穴２１，３１を夫々設け、その長穴２１，３
１を円周方向にずらし、その長穴２１，３１内に
調整ばね４を収容してその張力で歯車２，３にバ
ツクラツシを無くするためのピツチずれを生じさ
せる。

また回転体６と押え円板７に上記調整ばね４の
収容凹部６１，７１を設け、その凹部の円周方向
長さをバツクラツシ調整時には調整ばね端との間
に隙間を形成する大きさとする。

さらに隣り合う調整ばね４，４の間にそのばね
４よりもばね定数の大きい緩衝用ばね５を、歯車
２，３に設けた円周方向長穴２２，３２を通して
回転体６，押え円板７に設けた緩衝用ばね収容凹
部６２，７２に収容し、上記歯車２，３のばね通
し穴２２，３２の円周方向長さを該ばね収容凹部
６２，７２の円周方向長さより大きく形成した歯
車装置である。

第１図は自動二輪車等のエンジンからの動力を
クランク軸上に歯車１から変速機の歯車軸１１に
伝達する歯車２，３に、本考案を適用した実施例
を示すものである。

その歯車２，３はベアリング１０を介して歯車
軸１１に回動可能に取付け、駆動歯車１の回転を
歯車２，３を介してクラツチ外筒を構成する回転
体６に伝達し、その回転体６内に組込んだ公知の
多板クラツチ等（図に省略）を介して歯車軸１１
に伝達する構成である。

調整ばね４を収容する長穴２１，３１、及び緩
衝ばね５を収容する長穴２２，３２は、それぞれ
円周方向長さを等しく形成し、両歯車２，３の歯
形を一致させたとき穴２１，３１は円周方向にバ
ツクラツシの長さ以上にずれ、穴２２，３２は一
致する。また調整ばね４の収容凹部６１，７１及
び緩衝ばね５の収容凹部６２，７２はそれぞれ円
周方向の長さ及び位置は等しく形成されている。
６３は回転体６とそれに固定した円板７との間隔
保持用突部で、歯車２，３に形成した長穴２３，
３３内に位置して歯車２，３の回転体６，円板７
に対する回動を許容すると共に、その回動ストツ
パを構成する。

上記の構成において回転トルクの変動が少ない
通常の回転時は、第３図に示すように調整ばね４
の一端は歯車２の穴２１の円周方向一端部２１ａ
に、調整ばね４の他端は歯車３の穴３１の該端部
２１ａと反対側の端部３１ａに当接し、ばね４の
張力で両歯車２，３は反対方向に押されて歯のピ
ツチずれを生じ、第１図のようにバツクラツシの
無い状態で駆動歯車１とかみ合う。

いま、第１図において駆動歯車１が時計方向に
回転する従動歯車２，３は反時計方向に回転し、
回転体６に動力を伝達する。このとき調整ばね４
の動き、つまり歯車２，３のずれを、緩衝用ばね
５が拘束しないように、該ばね５を通す歯車２，
３の穴２２，３２の円周方向両端部と該ばね５と
の間に第３図のように隙がある。

調整ばね４がピツチずらし荷重以上の回転トル
クを歯車１から受けると、第４図に示すように歯
車３は調整ばね４を左方に押し、歯車２と共に回
転体６，円板７との摩擦力に抗して後退し、調整
ばね４の左端が緩衝ばね収容凹部６１，７１の左
端部６１ａ，７１ａに当接してそのばね４が収縮
してトルク荷重を受ける。

次に上記トルク以上の大トルクを歯車１から受
けると、第５図のように歯車３は更に後退して調
整ばね４をさらに収縮し、そのとき歯車２も随動
し、緩衝ばね５の収容長穴２２，３２の図で右端
部２２ａ，３２ａがばね５の右端面を押し、ばね
５をその収容凹部６２，７２の左端部６２ａ，７
２ａとの間に圧縮して緩衝作用を行う。

なお、上記の作用は、回転体６から歯車２，３
を介して歯車１に伝動する場合にも適用できる。

上記の構成により、バツクラツシを無くすため
の調整ばね４を利用してトルク変動等による低負
荷に対する緩衝作用を行わせ、さらにトルク荷重
が増大すると緩衝ばね５が作動するもので、大き
なトルク変動に対し十分なダンパ効果を有し、歯
車等の耐久性を増大する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案歯車装置の正面図、第２図はそ
の縦断面図、第３図は第２図−線に沿う断面
図、第４図，第５図は歯車が回転トルクの変動に
よる衝撃を受けた状態の同上図である。 １〜３は歯車、４は調整ばね、５は緩衝ばね、
６は回転体（クラツチ外筒）、７は円板、２１，
２２，３１，３２はばね収容長穴、６１，６２，
７１，７２はばね収容凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 同形の歯車２，３を重ね合せ、その一面に回転
   体６を、また他面に押え円板７を夫々重ね合せ、
   該回転体６と押え円板７を歯車２，３に設けた逃
   げ穴２３，３３を通した結合部材８で一体結合
   し、回転体６と歯車３との間のばね板９により歯
   車２と３、歯車３と回転体６、歯車２と押え円板
   ７を相互に摩擦接触させ、 歯車２，３の面に円周方向等間隔に複数の長穴
   ２１，３１を夫々設け、その長穴２１，３１を円
   周方向にずらし、その長穴２１，３１内に調整ば
   ね４を収容してその張力で歯車２，３にバツクラ
   ツシを無くするためのピツチずれを生じさせ、 回転体６と押え円板７に上記調整ばね４の収容
   凹部６１，７１を設け、その凹部の円周方向長さ
   をバツクラツシ調整時は調整ばね端との間に隙間
   を形成する大きさとし、 隣り合う調整ばね４，４の間にそのばね４より
   もばね定数の大きい緩衝用ばね５を、歯車２，３
   に設けた円周方向長穴２２，３２を通して回転体
   ６，押え円板７に設けた緩衝用ばね収容凹部６
   ２，７２に収容し、 上記歯車２，３のばね通し穴２２，３２の円周
   方向長さを該ばね収容凹部６２，７２の円周方向
   長さより大きく形成した歯車装置。