JPH0454344Y2 - - Google Patents
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- JPH0454344Y2 JPH0454344Y2 JP3528688U JP3528688U JPH0454344Y2 JP H0454344 Y2 JPH0454344 Y2 JP H0454344Y2 JP 3528688 U JP3528688 U JP 3528688U JP 3528688 U JP3528688 U JP 3528688U JP H0454344 Y2 JPH0454344 Y2 JP H0454344Y2
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- clutch
- friction
- center
- torque
- clutch outer
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- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 14
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 3
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 3
- 230000003139 buffering effect Effects 0.000 description 2
- 238000004880 explosion Methods 0.000 description 2
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 2
- 230000035939 shock Effects 0.000 description 2
- 238000003754 machining Methods 0.000 description 1
- 230000010349 pulsation Effects 0.000 description 1
- 238000010079 rubber tapping Methods 0.000 description 1
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- Mechanical Operated Clutches (AREA)
Description
【考案の詳細な説明】
産業上の利用分野
本考案は、駆動軸と被駆動軸との間に設けら
れ、駆動軸から被駆動軸へ動力を伝達する多板摩
擦クラツチに関するものである。
れ、駆動軸から被駆動軸へ動力を伝達する多板摩
擦クラツチに関するものである。
従来技術
多板摩擦クラツチは、一方の軸例えば駆動軸に
設けられたクラツチアウタと、他方の被駆動軸に
設けられたクラツチセンタとに、それぞれ複数板
の摩擦円板が装着されており、クラツチアウタ側
の摩擦円板とクラツチセンタ側の摩擦円板とが互
いに対向して交互に並列されている。クラツチア
ウタ側の各摩擦円板は、その外周に沿つて形成さ
れた複数の爪状の係合凸部を、クラツチアウタの
内周面に軸線方向に形成された複数の凹溝にそれ
ぞれ係合させることにより、クラツチアウタに相
対的に軸線方向に摺動可能に、かつクラツチアウ
タと一体的に回転するように装着されている。ク
ラツチセンタ側の各摩擦円板も同様にして、クラ
ツチセンタに軸線方向に摺動可能にかつ一体的に
回転可能に装着されている。
設けられたクラツチアウタと、他方の被駆動軸に
設けられたクラツチセンタとに、それぞれ複数板
の摩擦円板が装着されており、クラツチアウタ側
の摩擦円板とクラツチセンタ側の摩擦円板とが互
いに対向して交互に並列されている。クラツチア
ウタ側の各摩擦円板は、その外周に沿つて形成さ
れた複数の爪状の係合凸部を、クラツチアウタの
内周面に軸線方向に形成された複数の凹溝にそれ
ぞれ係合させることにより、クラツチアウタに相
対的に軸線方向に摺動可能に、かつクラツチアウ
タと一体的に回転するように装着されている。ク
ラツチセンタ側の各摩擦円板も同様にして、クラ
ツチセンタに軸線方向に摺動可能にかつ一体的に
回転可能に装着されている。
そしてクラツチアウタ側の摩擦円板とクラツチ
センタ側の摩擦円板とはスプリングの力によつて
粗互に圧接しており、両者間の摩擦力によつて動
力が駆動側から被駆動側へ伝達される。
センタ側の摩擦円板とはスプリングの力によつて
粗互に圧接しており、両者間の摩擦力によつて動
力が駆動側から被駆動側へ伝達される。
上記のような摩擦クラツチは、伝達トルクが各
摩擦円板間の摩擦力の総和によつて定まる所定値
を越えると、クラツチアウタ側の摩擦円板とクラ
ツチセンタ側の摩擦円板との間に滑りを生じ、こ
れにより伝達トルクを制限し緩衝する機能を有す
るが、伝達トルクが前記所定値に比して小さい場
合にはかかる緩衝機能は得られず、間欠的な爆発
に起因するエンジン出力トルクの変動を緩衝する
ことはできない。
摩擦円板間の摩擦力の総和によつて定まる所定値
を越えると、クラツチアウタ側の摩擦円板とクラ
ツチセンタ側の摩擦円板との間に滑りを生じ、こ
れにより伝達トルクを制限し緩衝する機能を有す
るが、伝達トルクが前記所定値に比して小さい場
合にはかかる緩衝機能は得られず、間欠的な爆発
に起因するエンジン出力トルクの変動を緩衝する
ことはできない。
また、例えばクラツチアウタ側の摩擦円板に設
けられた前記係合凸部とクラツチアウタに設けら
れた前記凹溝との間には、加工公差による間隙が
存在するため、伝達トルクが変動すると、クラツ
チアウタに対し摩擦円板が相対変位し、前記係合
凸部と前記凹溝とが接離して打音を発し易い。こ
の打音は、主としてアイドリング回転の際に騒音
として意識される。
けられた前記係合凸部とクラツチアウタに設けら
れた前記凹溝との間には、加工公差による間隙が
存在するため、伝達トルクが変動すると、クラツ
チアウタに対し摩擦円板が相対変位し、前記係合
凸部と前記凹溝とが接離して打音を発し易い。こ
の打音は、主としてアイドリング回転の際に騒音
として意識される。
このため、本出願人はさきに実願昭62−152716
号により、複数枚の摩擦円板を重合し、各円板を
交互にクラツチアウタおよびクラツチセンタに軸
線方向に摺動可能に支持して成り、例えば前記ク
ラツチアウタに支持した円板のうち少なくとも複
数枚を該クラツチアウタに円周方向に遊び角を持
たせて支持し、かつ該遊び角を前記少くとも複数
枚の円板についてそれぞれ異なるように設定した
摩擦クラツチを提案した。
号により、複数枚の摩擦円板を重合し、各円板を
交互にクラツチアウタおよびクラツチセンタに軸
線方向に摺動可能に支持して成り、例えば前記ク
ラツチアウタに支持した円板のうち少なくとも複
数枚を該クラツチアウタに円周方向に遊び角を持
たせて支持し、かつ該遊び角を前記少くとも複数
枚の円板についてそれぞれ異なるように設定した
摩擦クラツチを提案した。
この摩擦クラツチにおいては、エンジン等の駆
動源からクラツチアウタに伝達されたトルクは、
該クラツチアウタからこれに支持された摩擦円板
に先ず伝達されるが、該摩擦円板のうち少くとも
複数枚は円周方向に遊び角を持つているため、ク
ラツチアウタの始動と同時に充分なトルクがクラ
ツチセンタに伝達されず、クラツチアウタとクラ
ツチセンタとの間に相対的回転が生ずる。これに
より前記遊び角が最小の摩擦円板がクラツチアウ
タと係合しこれに応じて伝達トルクが増加する。
被駆動側の抵抗トルクがこの増加した伝達トルク
よりもなお大きい場合には、クラツチアウタ側の
円板とクラツチセンタ側の円板との間に滑りが生
じ、次に大きな遊び角を有する円板がクラツチア
ウタと係合する。このようにして、摩擦円板間の
滑り角に応じて伝達トルクが随時増大して行き、
クラツチアウタとクラツチセンタとが一体となつ
て回転するに至る。従つてシヨツクの小さい円滑
なクラツチ接続動作が得られる。
動源からクラツチアウタに伝達されたトルクは、
該クラツチアウタからこれに支持された摩擦円板
に先ず伝達されるが、該摩擦円板のうち少くとも
複数枚は円周方向に遊び角を持つているため、ク
ラツチアウタの始動と同時に充分なトルクがクラ
ツチセンタに伝達されず、クラツチアウタとクラ
ツチセンタとの間に相対的回転が生ずる。これに
より前記遊び角が最小の摩擦円板がクラツチアウ
タと係合しこれに応じて伝達トルクが増加する。
被駆動側の抵抗トルクがこの増加した伝達トルク
よりもなお大きい場合には、クラツチアウタ側の
円板とクラツチセンタ側の円板との間に滑りが生
じ、次に大きな遊び角を有する円板がクラツチア
ウタと係合する。このようにして、摩擦円板間の
滑り角に応じて伝達トルクが随時増大して行き、
クラツチアウタとクラツチセンタとが一体となつ
て回転するに至る。従つてシヨツクの小さい円滑
なクラツチ接続動作が得られる。
また、所要伝達トルクが小さい時には、これに
応じた枚数の摩擦円板がクラツチアウタと係合し
ているだけで、クラツチ容量が小さくなつている
ので、この状態でトルク変動が生じた場合でも摩
擦円板間に滑りが生じ、該トルク変動を緩和する
ことができる。しかもこの場合クラツチアウタと
接離して打音を発する摩擦円板の枚数が少ないの
で、騒音が低減する。
応じた枚数の摩擦円板がクラツチアウタと係合し
ているだけで、クラツチ容量が小さくなつている
ので、この状態でトルク変動が生じた場合でも摩
擦円板間に滑りが生じ、該トルク変動を緩和する
ことができる。しかもこの場合クラツチアウタと
接離して打音を発する摩擦円板の枚数が少ないの
で、騒音が低減する。
解決しようとする課題
本考案は、上記提案による摩擦クラツチをさら
に改良して、クラツチ接続時(始動時)に発生し
易い打音を解消させようとするものである。この
打音はクラツチセンタ側のスプラインとこれに嵌
合する円板との間に存在するバツクラツシユによ
るものであり、摩擦クラツチの量産性を上げるた
めにはこのようなバツクラツシユを許容せざるを
得ない。
に改良して、クラツチ接続時(始動時)に発生し
易い打音を解消させようとするものである。この
打音はクラツチセンタ側のスプラインとこれに嵌
合する円板との間に存在するバツクラツシユによ
るものであり、摩擦クラツチの量産性を上げるた
めにはこのようなバツクラツシユを許容せざるを
得ない。
課題を解決するための手段および作用
このため、本考案においては、上記のような摩
擦クラツチにおいて、クラツチアウタとクラツチ
センタとの間に、これらにそれぞれ一体的に連結
され常時摩擦接触してクラツチアウタおよびクラ
ツチセンタ間にトルクを直接伝達する摺接部を設
ける。
擦クラツチにおいて、クラツチアウタとクラツチ
センタとの間に、これらにそれぞれ一体的に連結
され常時摩擦接触してクラツチアウタおよびクラ
ツチセンタ間にトルクを直接伝達する摺接部を設
ける。
本考案によれば、例えばクラツチアウタからク
ラツチセンタへトルクが伝達されるとした場合、
始動時にトルクが先ず摺接部を通じて直接クラツ
チアウタからクラツチセンタへ伝達されるので、
円板を通じてクラツチセンタへトルクが伝達され
る時クラツチセンタは既に駆動されており、従つ
てクラツチセンタ側の円板とスプラインとの間に
バツクラツシユがあつたとしても、該円板とスプ
ラインとの衝突エネルギが緩和され、該衝突エネ
ルギによる打音は著しく低減する。
ラツチセンタへトルクが伝達されるとした場合、
始動時にトルクが先ず摺接部を通じて直接クラツ
チアウタからクラツチセンタへ伝達されるので、
円板を通じてクラツチセンタへトルクが伝達され
る時クラツチセンタは既に駆動されており、従つ
てクラツチセンタ側の円板とスプラインとの間に
バツクラツシユがあつたとしても、該円板とスプ
ラインとの衝突エネルギが緩和され、該衝突エネ
ルギによる打音は著しく低減する。
実施例
以下、本考案を図示の実施例について説明す
る。
る。
第1図は本考案による摩擦クラツチ1を組込ん
だ自動二輪車の動力伝達系統の一例を示す略図で
ある。2はエンジンのクラクン軸で、該クランク
軸の回転がチエン3を介して摩擦クラツチ1のク
ラツチ入力軸4に伝えられ、さらに摩擦クラツチ
1を経て中間軸5に伝えられる。中間軸5の一端
には発電機6が連結されている。中間軸5の回転
はまた歯車8,9および係脱クラツチ10を介し
てトランスミツシヨン11のミツシヨン入力軸1
2に伝えられ、該トランスミツシヨン11の出力
軸13が駆動チエン14を介して図示してない後
輪を駆動する。前記摩擦クラツチ1はクランク軸
2と中間軸5との間に介在して、エンジンの間欠
的な爆発によるクランク軸回転の脈動を緩和して
中間軸5に伝える役を果している。
だ自動二輪車の動力伝達系統の一例を示す略図で
ある。2はエンジンのクラクン軸で、該クランク
軸の回転がチエン3を介して摩擦クラツチ1のク
ラツチ入力軸4に伝えられ、さらに摩擦クラツチ
1を経て中間軸5に伝えられる。中間軸5の一端
には発電機6が連結されている。中間軸5の回転
はまた歯車8,9および係脱クラツチ10を介し
てトランスミツシヨン11のミツシヨン入力軸1
2に伝えられ、該トランスミツシヨン11の出力
軸13が駆動チエン14を介して図示してない後
輪を駆動する。前記摩擦クラツチ1はクランク軸
2と中間軸5との間に介在して、エンジンの間欠
的な爆発によるクランク軸回転の脈動を緩和して
中間軸5に伝える役を果している。
第2図は第1図の摩擦クラツチ1近傍の構造を
さらに詳細に示した縦断面図で、前記チエン3が
クラツチ入力軸4に一体に形成されたスプロケツ
ト15に係合している。クラツチ入力軸4にはク
ラツチアウタ16が一体に設けられている。一方
中間軸5にはクラツチセンタ17がスプライン1
7aを介して固定されており、クラツチ入力軸4
はクラツチセンタ17に相対的に回転自在に嵌合
されている。クラツチアウタ16には多数の摩擦
円板18が、その外周に突設された係合凸部19
を、クラツチアウタ16の内周面に設けられた軸
線方向の凹溝20に嵌入させて、軸線方向に摺動
可能に装着され、クラツチセンタ17にも同様に
多数の摩擦円板21が、その内周に突設された係
合凸部22を、クラツチセンタ17の外周面に設
けられた軸線方向の凹溝23に嵌入させて、軸線
方向に摺動可能に装着されている(第3,4図参
照)。そしてクラツチアウタ16側の摩擦円板1
8とクラツチセンタ17側の摩擦円板21とは交
互に配列され、かつクラツチアウタ16に固定さ
れた係止片24を支えられた皿ばね25の弾発力
により、クラツチセンタ17に固定された固定摩
擦円板26に全体として押付けられており、各摩
擦円板は相互に強い圧力で圧接している。従つて
クラツチアウタ16がクラツチ入力軸4、スプロ
ケツト15、チエン3を介してエンジンにより回
転駆動されると、回転トルクが摩擦円板18、摩
擦円板21間の摩擦力によつてクラツチセンタ1
7を経て中間軸5に伝達される。なお、摩擦円板
18,21の圧接面には、第3図および第4図に
示すように、摩擦片27が添着されている。
さらに詳細に示した縦断面図で、前記チエン3が
クラツチ入力軸4に一体に形成されたスプロケツ
ト15に係合している。クラツチ入力軸4にはク
ラツチアウタ16が一体に設けられている。一方
中間軸5にはクラツチセンタ17がスプライン1
7aを介して固定されており、クラツチ入力軸4
はクラツチセンタ17に相対的に回転自在に嵌合
されている。クラツチアウタ16には多数の摩擦
円板18が、その外周に突設された係合凸部19
を、クラツチアウタ16の内周面に設けられた軸
線方向の凹溝20に嵌入させて、軸線方向に摺動
可能に装着され、クラツチセンタ17にも同様に
多数の摩擦円板21が、その内周に突設された係
合凸部22を、クラツチセンタ17の外周面に設
けられた軸線方向の凹溝23に嵌入させて、軸線
方向に摺動可能に装着されている(第3,4図参
照)。そしてクラツチアウタ16側の摩擦円板1
8とクラツチセンタ17側の摩擦円板21とは交
互に配列され、かつクラツチアウタ16に固定さ
れた係止片24を支えられた皿ばね25の弾発力
により、クラツチセンタ17に固定された固定摩
擦円板26に全体として押付けられており、各摩
擦円板は相互に強い圧力で圧接している。従つて
クラツチアウタ16がクラツチ入力軸4、スプロ
ケツト15、チエン3を介してエンジンにより回
転駆動されると、回転トルクが摩擦円板18、摩
擦円板21間の摩擦力によつてクラツチセンタ1
7を経て中間軸5に伝達される。なお、摩擦円板
18,21の圧接面には、第3図および第4図に
示すように、摩擦片27が添着されている。
ところで、クラツチアウタ16側の摩擦円板1
8のうち少くとも複数枚については、係合凸部1
9の巾Wbを凹溝20の巾Waより狭くして、Wa
−Wbに相当する遊び角θを持たせ、しかも巾
Wbを各摩擦円板18についてそれぞれ違えてあ
る。第4図および第5図には4枚の摩擦円板18
1,182,183,184が示してあるが、摩擦円
板181の係合凸部19の巾は凹溝20の巾にほ
ぼ等しく、摩擦円板182、摩擦円板183、摩擦
円板184の係合凸部19の巾は順次狭くなつて
おり、この結果、第5図aに示すように、摩擦円
板182、摩擦円板183、摩擦円板184はそれ
ぞれ遊び角θ2、θ3、θ4を有し、これらの遊び角は
順次大きくなつている。
8のうち少くとも複数枚については、係合凸部1
9の巾Wbを凹溝20の巾Waより狭くして、Wa
−Wbに相当する遊び角θを持たせ、しかも巾
Wbを各摩擦円板18についてそれぞれ違えてあ
る。第4図および第5図には4枚の摩擦円板18
1,182,183,184が示してあるが、摩擦円
板181の係合凸部19の巾は凹溝20の巾にほ
ぼ等しく、摩擦円板182、摩擦円板183、摩擦
円板184の係合凸部19の巾は順次狭くなつて
おり、この結果、第5図aに示すように、摩擦円
板182、摩擦円板183、摩擦円板184はそれ
ぞれ遊び角θ2、θ3、θ4を有し、これらの遊び角は
順次大きくなつている。
次に、以上説明した摩擦クラツチ1の作用を述
べる。エンジンが停止する時には発電機6等によ
るフライホイール効果があるので、次にエンジン
が始動する時には、各係合凸部19と凹溝20と
の関係は通常第5図aに示すような状態にある。
すなわち各係合凸部19の回転方向(矢印a)の
前端縁が凹溝20の回転方向前端縁20fに係合
した状態にある。この状態からエンジンが始動し
クラツチアウタ16が矢印a方向に回転を開始す
ると、クラツチアウタ16のトルクは係合凸部1
9が凹溝20の後端縁20rと係合している摩擦
円板181のみに伝えられ、この摩擦円板181と
これに圧接している摩擦円板21との間の摩擦力
に相当する比較的小さなトルクT1(第6図)が中
間軸5に伝達される。この伝達トルクT1が中間
軸5側の抵抗トルクに打勝てば摩擦円板18と摩
擦円板21は一体的に回転し、クラツチアウタ1
6の回転が中間軸5に伝達されるが、中間軸5側
の抵抗トルクが大きいと中間軸5は回転せず、ク
ラツチアウタ16は摩擦円板181とこれに圧接
している摩擦円板21との間に滑りを伴なつて回
転し、その滑り角が摩擦円板182の遊び角に等
しいθ2に達すると、第5図bに示すように摩擦円
板182の係合凸部19が凹溝20の後端縁と係
合し、摩擦円板181および摩擦円板182を通じ
てより大きなトルクT2が伝達される。すなわち
摩擦クラツチ1のトルク伝達容量はT2に増加す
る。抵抗トルクがT2より大きければさらに滑り
が生じ、滑り角がθ3に達した所で摩擦円板183
の係合凸部19が凹溝20と係合して伝達トルク
はT3となり(第5図c)、滑り角がθ4になるとT4
なる伝達トルクが得られる(第5図d)。
べる。エンジンが停止する時には発電機6等によ
るフライホイール効果があるので、次にエンジン
が始動する時には、各係合凸部19と凹溝20と
の関係は通常第5図aに示すような状態にある。
すなわち各係合凸部19の回転方向(矢印a)の
前端縁が凹溝20の回転方向前端縁20fに係合
した状態にある。この状態からエンジンが始動し
クラツチアウタ16が矢印a方向に回転を開始す
ると、クラツチアウタ16のトルクは係合凸部1
9が凹溝20の後端縁20rと係合している摩擦
円板181のみに伝えられ、この摩擦円板181と
これに圧接している摩擦円板21との間の摩擦力
に相当する比較的小さなトルクT1(第6図)が中
間軸5に伝達される。この伝達トルクT1が中間
軸5側の抵抗トルクに打勝てば摩擦円板18と摩
擦円板21は一体的に回転し、クラツチアウタ1
6の回転が中間軸5に伝達されるが、中間軸5側
の抵抗トルクが大きいと中間軸5は回転せず、ク
ラツチアウタ16は摩擦円板181とこれに圧接
している摩擦円板21との間に滑りを伴なつて回
転し、その滑り角が摩擦円板182の遊び角に等
しいθ2に達すると、第5図bに示すように摩擦円
板182の係合凸部19が凹溝20の後端縁と係
合し、摩擦円板181および摩擦円板182を通じ
てより大きなトルクT2が伝達される。すなわち
摩擦クラツチ1のトルク伝達容量はT2に増加す
る。抵抗トルクがT2より大きければさらに滑り
が生じ、滑り角がθ3に達した所で摩擦円板183
の係合凸部19が凹溝20と係合して伝達トルク
はT3となり(第5図c)、滑り角がθ4になるとT4
なる伝達トルクが得られる(第5図d)。
このようにして、第6図に示すように、伝達ト
ルクTは滑り角θに応じて段階的に増加して行
き、ついには摩擦クラツチ1の全容量である
Tmaxに達する。従つて、始動に際しクラツチア
ウタ16とクラツチセンタ17とが一体となつて
回転するに至るまで、伝達トルクが次第に増加し
て行き、大きなトルクが急激に加わることがない
ので、シヨツクの小さい円滑な接続動作が得られ
る。
ルクTは滑り角θに応じて段階的に増加して行
き、ついには摩擦クラツチ1の全容量である
Tmaxに達する。従つて、始動に際しクラツチア
ウタ16とクラツチセンタ17とが一体となつて
回転するに至るまで、伝達トルクが次第に増加し
て行き、大きなトルクが急激に加わることがない
ので、シヨツクの小さい円滑な接続動作が得られ
る。
以上の説明においてはクラツチセンタ側の摩擦
円板21の係合凸部22とクラツチセンタ17の
凹溝23との間の遊び(バツクラツシユ)を無視
したが、現実には第7図に示すように係合凸部2
2と凹溝23との間にはバツクラツシユが存在す
る。従つてエンジンが始動してクラツチアウタ1
6が回転を開始してもトルクは直ちにクラツチセ
ンタ17には伝わらず、第6図に点線で示すよう
に上記バツクラツシユに相当する角度θ0だけクラ
ツチアウタ16が回転した所でT1なるトルクが
クラツチセンタ17に伝達される。そしてこの係
合凸部22と凹溝23との衝突により打音を発す
る。
円板21の係合凸部22とクラツチセンタ17の
凹溝23との間の遊び(バツクラツシユ)を無視
したが、現実には第7図に示すように係合凸部2
2と凹溝23との間にはバツクラツシユが存在す
る。従つてエンジンが始動してクラツチアウタ1
6が回転を開始してもトルクは直ちにクラツチセ
ンタ17には伝わらず、第6図に点線で示すよう
に上記バツクラツシユに相当する角度θ0だけクラ
ツチアウタ16が回転した所でT1なるトルクが
クラツチセンタ17に伝達される。そしてこの係
合凸部22と凹溝23との衝突により打音を発す
る。
この打音を解消するために、本実施例において
は、クラツチアウタ側の1枚の摩擦円板と、この
摩擦円板に係合するクラツチセンタ側の1枚の摩
擦円板とを、それぞれクラツチアウタ16および
クラツチセンタ17に回転的に固定して常時摩擦
接触する摺接部を形成してある。すなわち前述の
ように摩擦円板26はクラツチセンタ17に固定
されているが、この摩擦円板26と摩擦係合する
摩擦円板28はクラツチアウタ16に固定されて
いる。これらの固定は例えば円板26,28を凹
溝20,23に圧入することにより容易に達成さ
れる。なお摩擦円板28は前記説明における摩擦
円板181に相当する。
は、クラツチアウタ側の1枚の摩擦円板と、この
摩擦円板に係合するクラツチセンタ側の1枚の摩
擦円板とを、それぞれクラツチアウタ16および
クラツチセンタ17に回転的に固定して常時摩擦
接触する摺接部を形成してある。すなわち前述の
ように摩擦円板26はクラツチセンタ17に固定
されているが、この摩擦円板26と摩擦係合する
摩擦円板28はクラツチアウタ16に固定されて
いる。これらの固定は例えば円板26,28を凹
溝20,23に圧入することにより容易に達成さ
れる。なお摩擦円板28は前記説明における摩擦
円板181に相当する。
本実施例においては、始動時にトルクが先ず摩
擦円板26,28を介してクラツチアウタ16か
らクラツチセンタ17へバツクラツシユなしに直
接伝達されるので、第6図に実線で示すようなト
ルク伝達特性が得られ、かつバツクラツシユによ
る打音を生ずることがない。
擦円板26,28を介してクラツチアウタ16か
らクラツチセンタ17へバツクラツシユなしに直
接伝達されるので、第6図に実線で示すようなト
ルク伝達特性が得られ、かつバツクラツシユによ
る打音を生ずることがない。
第8図は本考案の他の実施例を示す。なお第8
図において前記第2図と同様な部分には同じ参照
数字を付し、詳細な説明を省略する。
図において前記第2図と同様な部分には同じ参照
数字を付し、詳細な説明を省略する。
本実施例においてはクラツチセンタ17側の摩
擦円板21,21…はすべて第7図に示すように
凹溝23にバツクラツシユを伴つて係合してい
る。そしてクラツチアウタ16の摩擦円板18,
21に向かい合つた面16aの内周部分と、クラ
ツチアウタ17の凹溝23を設けた部分の端面と
は互いに当接して摺接部29を形成しており(第
9図参照)、かつクラツチ入力軸4は皿ばね30
により図において右方へ押圧され、これにより摺
接部29に圧接力が加えられている。
擦円板21,21…はすべて第7図に示すように
凹溝23にバツクラツシユを伴つて係合してい
る。そしてクラツチアウタ16の摩擦円板18,
21に向かい合つた面16aの内周部分と、クラ
ツチアウタ17の凹溝23を設けた部分の端面と
は互いに当接して摺接部29を形成しており(第
9図参照)、かつクラツチ入力軸4は皿ばね30
により図において右方へ押圧され、これにより摺
接部29に圧接力が加えられている。
第10図はこの実施例におけるトルク伝達特性
を示す第6図と同様な図面である。摩擦円板21
のバツクラツシユにより回転角度θ0においてトル
クT1がクラツチセンタ17に伝達される以前に、
クラツチセンタ17には始動とともに摺接部29
を通じてトルクT0が伝達されており、トルクT1
がいきなりクラツチセンタ17に伝えられること
がないので、摩擦円板21のバツクラツシユによ
る打音は著しく低減する。
を示す第6図と同様な図面である。摩擦円板21
のバツクラツシユにより回転角度θ0においてトル
クT1がクラツチセンタ17に伝達される以前に、
クラツチセンタ17には始動とともに摺接部29
を通じてトルクT0が伝達されており、トルクT1
がいきなりクラツチセンタ17に伝えられること
がないので、摩擦円板21のバツクラツシユによ
る打音は著しく低減する。
なお、前記いずれの実施例においても、第2図
の摩擦円板26を除いたすべての摩擦円板21を
凹溝23との間に適当なバツクラツシユを持たせ
てクラツチセンタ17に装嵌できるので、摩擦ク
ラツチの量産が容易である。
の摩擦円板26を除いたすべての摩擦円板21を
凹溝23との間に適当なバツクラツシユを持たせ
てクラツチセンタ17に装嵌できるので、摩擦ク
ラツチの量産が容易である。
考案の効果
以上の通り、本考案においては、複数枚の摩擦
円板を重合し、各円板を交互にクラツチアウタお
よびクラツチセンタに軸線方向に摺動可能に支持
して成り、前記クラツチアウタまたはクラツチセ
ンタに支持した円板のうち少くとも複数枚を該ク
ラツチアウタまたはクラツチセンタに円周方向に
遊び角を持たせて支持し、かつ該遊び角を前記少
くとも複数枚の円板についてそれぞれ異なるよう
に設定した摩擦クラツチにおいて、前記クラツチ
アウタとクラツチセンタとの間に、これらにそれ
ぞれ一体的に連結され常時摩擦接触してクラツチ
アウタおよびクラツチセンタ間にトルクを直接伝
達する摺接部を設けたので、始動時における円板
のバツクラツシユによる打音を解消もしくは著し
く低減させることができ、しかも量産に適した摩
擦クラツチが得られる。
円板を重合し、各円板を交互にクラツチアウタお
よびクラツチセンタに軸線方向に摺動可能に支持
して成り、前記クラツチアウタまたはクラツチセ
ンタに支持した円板のうち少くとも複数枚を該ク
ラツチアウタまたはクラツチセンタに円周方向に
遊び角を持たせて支持し、かつ該遊び角を前記少
くとも複数枚の円板についてそれぞれ異なるよう
に設定した摩擦クラツチにおいて、前記クラツチ
アウタとクラツチセンタとの間に、これらにそれ
ぞれ一体的に連結され常時摩擦接触してクラツチ
アウタおよびクラツチセンタ間にトルクを直接伝
達する摺接部を設けたので、始動時における円板
のバツクラツシユによる打音を解消もしくは著し
く低減させることができ、しかも量産に適した摩
擦クラツチが得られる。
第1図は本考案による摩擦クラツチを組込んだ
自動二輪車用動力伝達系統を示す略図、第2図は
第1図の摩擦クラツチ近傍の構造をさらに詳細に
示した縦断面図、第3図は第2図の−線に沿
う部分的断面図、第4図は配列された摩擦円板を
示す斜視図、第5図は種々の状態におけるクラツ
チアウタの凹溝と摩擦円板の係合凸部との関係を
示す図面で、第3図の−線に沿う概略断面
図、第6図は摩擦円板の滑り角と伝達トルクとの
関係を示す線図、第7図は第1図の−線に沿
う断面図、第8図は本考案の他の実施例を示す縦
断面図、第9図はその一部拡大図、第10図は上
記他の実施例のトルク伝達特性を示す第6図と同
様な図面である。 1……摩擦クラツチ、2……クランク軸、3…
…チエン、4……クラツチ入力軸、5……中間
軸、6……発電機、8……歯車、9……歯車、1
0……係脱クラツチ、11……トランスミツシヨ
ン、12……ミツシヨン入力軸、13……出力
軸、14……駆動チエン、15……スプロケツ
ト、16……クラツチアウタ、17……クラツチ
センタ、18……摩擦円板、19……係合凸部、
20……凹溝、21……摩擦円板、22……係合
凸部、23……凹溝、24……係止片、25……
皿ばね、26……固定摩擦円板、27……摩擦
片、28……固定摩擦円板、29……摺接部、3
0……皿ばね。
自動二輪車用動力伝達系統を示す略図、第2図は
第1図の摩擦クラツチ近傍の構造をさらに詳細に
示した縦断面図、第3図は第2図の−線に沿
う部分的断面図、第4図は配列された摩擦円板を
示す斜視図、第5図は種々の状態におけるクラツ
チアウタの凹溝と摩擦円板の係合凸部との関係を
示す図面で、第3図の−線に沿う概略断面
図、第6図は摩擦円板の滑り角と伝達トルクとの
関係を示す線図、第7図は第1図の−線に沿
う断面図、第8図は本考案の他の実施例を示す縦
断面図、第9図はその一部拡大図、第10図は上
記他の実施例のトルク伝達特性を示す第6図と同
様な図面である。 1……摩擦クラツチ、2……クランク軸、3…
…チエン、4……クラツチ入力軸、5……中間
軸、6……発電機、8……歯車、9……歯車、1
0……係脱クラツチ、11……トランスミツシヨ
ン、12……ミツシヨン入力軸、13……出力
軸、14……駆動チエン、15……スプロケツ
ト、16……クラツチアウタ、17……クラツチ
センタ、18……摩擦円板、19……係合凸部、
20……凹溝、21……摩擦円板、22……係合
凸部、23……凹溝、24……係止片、25……
皿ばね、26……固定摩擦円板、27……摩擦
片、28……固定摩擦円板、29……摺接部、3
0……皿ばね。
Claims (1)
- 複数枚の摩擦円板を重合し、各円板を交互にク
ラツチアウタおよびクラツチセンタに軸線方向に
摺動可能に支持して成り、前記クラツチアウタま
たはクラツチセンタに支持した円板のうち少くと
も複数枚を該クラツチアウタまたはクラツチセン
タに円周方向に遊び角を持たせて支持し、かつ該
遊び角を前記少くとも複数枚の円板についてそれ
ぞれ異なるように設定した摩擦クラツチにおい
て、前記クラツチアウタとクラツチセンタとの間
に、これらにそれぞれ一体的に連結され常時摩擦
接触してクラツチアウタおよびクラツチセンタ間
にトルクを直接伝達する摺接部を設けたことを特
徴とする摩擦クラツチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3528688U JPH0454344Y2 (ja) | 1988-03-18 | 1988-03-18 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3528688U JPH0454344Y2 (ja) | 1988-03-18 | 1988-03-18 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01139127U JPH01139127U (ja) | 1989-09-22 |
JPH0454344Y2 true JPH0454344Y2 (ja) | 1992-12-21 |
Family
ID=31261943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3528688U Expired JPH0454344Y2 (ja) | 1988-03-18 | 1988-03-18 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0454344Y2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4999898B2 (ja) * | 2009-08-27 | 2012-08-15 | 株式会社エクセディ | トルクリミッタ装置 |
JP5800182B2 (ja) * | 2011-06-14 | 2015-10-28 | 株式会社ジェイテクト | 車両用操舵装置 |
-
1988
- 1988-03-18 JP JP3528688U patent/JPH0454344Y2/ja not_active Expired
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01139127U (ja) | 1989-09-22 |
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