JPS6123949Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧緩衝器のピストンバルブ構造に関
するものである。

従来、車輛等の足回りには油圧緩衝器が使用さ
れているが、特に自動二輪車用の油圧緩衝器にお
いて第１図に示すようなピストンバルブの構造を
持つものが減衰構造として使用されているが、こ
の構造によれば、シリンダａに内挿した減衰用ピ
ストンｂに連結したピストンナツトｃの外径が六
角であり、しかもその外径が上記シリンダａの内
径に比較して小径であるためピストンｂ部の伸側
バルブ前後における圧力は、P₂≒P₃であり、シリ
ンダａにガス室を持たない油圧緩衝器の伸張行程
ではP₂は大気圧かそれ以下になつている。このた
め作動油がピストンｂのバルブを通過する際にP₁
とP₂の圧力差が大きくキヤビテーシヨンを発生し
易くなり、吸引音を発したり、減圧により発生し
た気泡によつてピストン部品の壊触現象が起る等
の欠点を有するものである。

本考案は上記欠点に鑑み、油圧緩衝器の伸張行
程において作動油がバルブを通過する際にキヤビ
テーシヨンを発生し難くする目的でなされたもの
で、ピストンナツトの頭部形状を円形にするとと
もに、その外径を大きくし、シリンダとの間の環
状通路を絞り、該ピストンナツトの前後の圧力、
P₂とP₅の間に積極的に差圧を生ずるようにしたピ
ストンバルブの構造を提供せんとするものであ
る。

今、本考案油圧緩衝器のピストンバルブ構造の
実施例を図面に従つて説明するに、第２図は第１
の実施例を示すものである。１は作動シリンダで
あり、該作動シリンダ１に内挿したピストンロツ
ド２の下端に形成した段部２ａに、本考案のピス
トンバルブ３が組付けられ、作動シリンダ１に対
し気密性に摺動するように成る。ピストンバルブ
３は上記段部２ａに対し、バルブ規制盤４，ピス
トン５，伸側バルブ６および伸側バルブ用スプリ
ングシート７を順次外挿し、上記段部２ａの先端
をカシメ２ｂで一体化構成する。ピストン５はバ
ルブ規制盤４の筒軸部４ａとスプリングシート７
の筒軸部７ａとの間に伸側バルブ６を介してデイ
スク部５ａを挾持固着せしめ、周筒部５ｂを作動
シリンダ１内壁に摺接するもので、デイスク部５
ａの上端面には軸孔５ｃと同心状になる内外２個
の環状リブ５ｄ，５ｅが形成され、下端面には内
側の環状リブ５ｄとの対応位置にデイスク部５ａ
下面と同一高さになる環状リブ５ｆが形成され、
該環状リブ５ｄ，５ｅ，５ｆ間をそれぞれ軸方向
に連通する油通路５ｇ，５ｈを穿設して成る。上
記内外の環状リブ５ｄ，５ｅによつ形成される縮
側バルブシート８には、バルブ規制盤４の筒軸部
４ａに外挿した縮側バルブ９がコイルスプリング
１０により弾性押圧せしめられ、縮側チエツクバ
ルブ１１を構成すると共に、該縮側バルブ９の内
径部に穿設された透孔９ａはに油通路５ｇと連通
するように成るため、該縮側バルブ９によりピス
トン５部の作動油室Ｂからピストン５上方のシリ
ンダー室Ａに向つて作動油が自由流通し、逆方向
Ａ→Ｂには透孔９ａ，油通路５ｇを介して後述す
る伸側チエツクバルブ１２を経て流通するように
なる。当該伸側チエツクバルブ１２は上記環状リ
ブ５ｆから成る伸側バルブシート１３に伸側バル
ブ６の周縁を離接するように成り、該周縁を、上
記スプリングシート７の筒軸部７ａに形成した段
部７ｂに対し、軸方向に摺動自在に外挿した押え
リング１４により押圧する如く、スプリングシー
ト７の鍔部７ｃと該押えリング１４間に適宜弾性
を有するコイルスプリング１５を弾装してなる。
このスプリングシート７の鍔部７ｂは円盤状に
り、作動シリンダ１の壁間に小間隙d₁を構成する
ようになり、上記ピストン５部の作動油室Ｂとピ
ストン５上方のシリンダー室ｃを絞り弁作用によ
つて隔絶している。

尚、図中５ｉは縮側チエツクバルブ１１に形成
した絞り弁用バイパス通路であり、また１６は高
さ調整用のシムである。

上記構成に成るピストンバルブはピストンロツ
ド２が伸張する場合、上方のシリンダー室Ａの作
動油は伸側チエツクバルブ１２，作動油室Ｂを経
て下方のシリンダー室Ｃに流動するが、スプリン
グシート７の鍔部７ｃと作動シリンダ１間の間隙
d₁が小さく、絞り弁効果により、作動油室Ｂの流
体圧力がP₂が下方のシリンダー室Ｃの流体圧力P₃
より高くなり、伸側チエツクバルブ１２の前後に
おいて上方シリンダー室Ａの流体圧力P₁と作動油
室Ｂの流体圧力P₂の圧力差が小さくなる。したが
つて伸側チエツクバルブ１２の前後における圧力
降下が小さくなり、キヤビテーシヨンが発生し難
くなり、吸引音や気泡の発生が抑えられる。伸側
チエツクバルブ１２の前後における圧力降下は例
えば１ｍ／secにつきP₂−P₃＞１Kg／cm²になるよ
うに間隙d₁を設定することが好ましい。

またピストンロツド２が縮側に作動する場合に
おいて、圧側ベースバルブ（図示せず）を有する
ものはスプリングシート７の鍔部７ｃは関与しな
いが、圧側ベースバルブを持たず、ピストンバル
ブ３部で縮側の減衰力も発生せしめるものの構造
の場合は、底部の圧側バルブの他に、ピストンバ
ルブ３の縮側チエツクバルブ１１のコイルスプリ
ング１０の弾性を強く設定して構成した時、該縮
側チエツクバルブ１１の入口側のポートをスプリ
ングシート７の鍔部７ｃを絞る様になる為、背面
絞り効果が得られ、該縮側チエツクバルブ１１の
前後の圧力差を小さくすることができ、バルブの
強度増大および、大減衰力バルブとすることがで
きるものである。

次に第３図は本考案の他の実施例を示すもの
で、本実施例ではスプリングシート７の鍔部７ｃ
と作動シリンダ１の間隙d₁を小さくして絞り弁を
構すると同時に、バルブ規制盤４の鍔部４ｂと作
動シリンダ１内壁間も小間d₂として絞り弁を構成
するものである。

すなわち、間d₂によつてピストンバルブ３部の
縮側アツパーケース１１を減衰力発生用とする場
合、前述の間隙d₁と同様に該縮側チエツクバルブ
１１において圧側におけるキヤビテーシヨン防止
効果が得られ、同時に間隙d₁が縮側チエツクバル
ブ１１の背面絞り効果を呈するように成ると共
に、伸側については前述の実施例に対し、伸側チ
エツクバルブ１２に対し間隙d₂からなる背面絞り
効果が付加されたことになる。

以上説明したように、本考案油圧緩衝器のピス
トンバルブ構造は、チエツクバルブの前面に絞り
弁効果を呈する如く作動シリンダーとの流路を小
間隙としたため、バルブ前後の圧力差が小さくな
り、キヤビテーシヨンが防止され、吸入音が阻止
できると共に、気泡の発生がなくなり、ピストン
部品の壊触現象が解消される効果を有する。また
チエツクバルブの後面に小間隙を構成することに
より、バルブのる背面絞り効果を同時有するよう
になり、バルブの強度を増大せしめことができ、
大減衰力を有する油圧緩衝器を構成することが可
能であり、更に、背面絞りの形成手段（環状隙
間）のため、加工性、組付性及び減衰力特性の安
定化が図られる等その利とする処すこぶる大なる
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案油圧緩衝器のピストンバルブ構造
の実施例を示すもので、第１図は従来のピストン
バルブの正断面図、第２図，第３図はそれぞれ本
考案の実施例を示す正断面図である。 １……作動シリンダ、２……ピストンロツド、
３……ピストンバルブ、４……バルブ規制盤、５
……ピストン、７……スプリングシート、１１…
…縮側チエツクバルブ、１２……伸側チエツクバ
ルブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 作動シリンダに摺動自在に気密内挿したピス
   トンに対し、伸側および縮側のチエツクバルブ
   を形成してなる油圧緩衝器のピストン部のバル
   ブにおいて、該バルブの伸側および縮側に、ピ
   ストンと一体的に上記作動シリンダ内を移動す
   ると共に、該シリンダ内壁との間に小間隙を有
   する隔壁を形成して成り、移動時に該隔壁の前
   後面において作動油圧差を生じせしめるように
   なることを特徴とする油圧緩衝器のピストンバ
   ルブ構造。 (2) 上記隔壁がピストン部のバルブの伸側か又は
   縮側の何れか一方にのみ形成されることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の油
   圧緩衝器のピストンバルブ構造。