JPS6123852B2 - - Google Patents
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- JPS6123852B2 JPS6123852B2 JP54136554A JP13655479A JPS6123852B2 JP S6123852 B2 JPS6123852 B2 JP S6123852B2 JP 54136554 A JP54136554 A JP 54136554A JP 13655479 A JP13655479 A JP 13655479A JP S6123852 B2 JPS6123852 B2 JP S6123852B2
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Landscapes
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- Conductive Materials (AREA)
Description
本発明はAl−Mg−Si系のアルミニウム合金導
体の製造法、更に詳しくは該合金の溶体化処理を
省略して連続鋳造圧延により低コストで経済的に
有利に製造しうる高導電率、高強度のアルミニウ
ム合金導体を製造する方法に関するものである。 近年導電材料として通常イ号アルミニウム合金
として一般に知られるAl−Mg−Si系合金の需要
が急速に増大しているが、これは熱処理合金でる
ためにその製造工程は鋳造−熱間加工−溶体化処
理−常温時効−伸線加工−安定化処理という一連
の工程が必要であり、特に熱処理工程が多いため
製造コストが高いという問題があつた。 そこで鋳塊を再加熱して熱間圧延を行う上記の
如き展延法に代り、最近では生産性の向上のため
連続鋳造圧延法が採用されている。 しかしこの方法の場合でも圧延後の荒引線を溶
体化処理−時効−伸線加工−安定化処理するとい
う熱処理工程を必要とし製造コストの十分な低減
は期待できない。 そこで上記の溶体化処理を省略する方策として
連続圧延機で鋳塊を圧延する工程で焼入れを行
い、鋳造時に強制固溶したMg,Siをできるだけ
析出させないで荒引線とする方法も提案されてい
る。 しかしこの方法では鋳造時に非平衡状態で晶出
したMg2Siはそのまゝ荒引線にまでもちこされる
と共に圧延中の冷却速度を速くしても圧延中の加
工歪によつて晶出物のまわりにMg2Siが凝縮して
しまい、従来法により熱間圧延後溶体化処理した
アルミニウム合金導体に比べてその特性は不安定
である等の問題がある。 本発明はかゝる点に鑑み種々研究を行つた結
果、Al−Mg−Si系合金においてMgとSiの添加量
を適切に選び、更にこれらにFe,Cuを共存せし
めることにより、連続鋳造圧延法によつて製造コ
ストの低減された高力アルミニウム合金導体を製
造しうることおよびこの合金を連続的鋳造圧延す
る際にその製造条件として圧延温度等を規定する
ことにより導電率、強度共に優れたアルミニウム
合金導体の得られることを見出し本発明に至つた
ものである。 本発明の第1の発明〔特許請求の範囲第1項記
載の発明〕のアルミニウム合金導体の製造法は
Mg0.3〜1.0wt%、Si0.3〜0.8wt%、Fe0.15〜
0.8wt%、Cu0.005〜0.2wt%、残部Alとその不純
物とからなるAl−Mg−Si系のアルミニウム合金
導体を連続鋳造圧延法により製造するに際し、上
記組成の合金を連続的に鋳造し、得られた鋳塊を
引続き、350〜500℃の熱間圧延で15%以上減面加
工後、1〜120℃/秒の加熱速度で450〜580℃に
加熱しながら40%以上の減面加工度で熱間圧延
後、急冷してから370℃以下の温間圧延および/
または冷間圧延で引続き20%〜95%減面加工して
圧延終了時の温度が300〜80℃にすることを特徴
とするものである。 しかして本発明において合金組成を上記の如く
限定した理由は次の通りである。 MgとSiは強度を向上させるための元素であ
り、その添加量がMg,Si共に夫々0.3%末満では
効果が少なく、得られる導体の強度は低い。又
Mgは1.0%、Siは0.8%を超えて添加すると導電率
が低くなりかつ鋳塊中のMgとSiの析出量が多く
なつて溶体化の効果が得られず耐疲労強度が大巾
に低下する。 一方Feは導電率をあまり下げることなく強度
を向上させるための元素であり、強度向上に伴う
伸びの低下も少ない。Feは0.15%末満では強度
向上の効果が少なく、0.8%よりも多く添加して
も一層の強度向上の効果はみられず、導電率およ
び伸びも低下し鋳造時に粗大な晶出物が生成して
耐疲労特性が大巾に低下する。 CuもFeと同様に強度を向上させるために添加
するものであるが、0.005%末満ではその効果が
認められず、0.2%より多いと耐疲労特性、延性
および耐食性が悪くなる。 上記の理由から各元素を本発明で規定する組成
範囲内で含むアルミニウム合金は改めて溶体化処
理および時効処理をすることなく連続鋳造圧延法
によつて優れた性能の導体を得ることを可能にす
る。 本発明の実施態様として370℃以下の温間圧延
および/または冷間圧延が370゜〜200℃の温間圧
延のみによりこの温間圧延で20〜95%減面加工し
て圧延終了時の温度が300〜150℃になるようにす
る方法(第2項)、またそれが冷間圧延のみより
なり、この冷間圧延で20〜95%減面加工して圧延
終了時の温度が200〜80℃になるようにする方法
(第3項)、またそれが370゜〜200℃の温間圧延と
200℃以下の冷間圧延とからなり、この温間圧延
で20〜95%減面加工して圧延後の温度が300〜150
℃になるようにし、これに連続して行われる冷間
圧延で20%以上減面加工して圧延終了時の温度が
200〜80℃になるようにする方法(第4項)、第1
項から第4項までの方法によつて得られる合金素
材を減面加工度で70%以上伸線加工する方法(第
5項)、これを更に100〜200℃で1〜20時間焼戻
し処理する方法(第6項)、第1項〜第4項まで
の方法で得られる合金素材を140〜200℃で1〜10
時間加熱処理する方法(第7項)、これを更に減
面加工程で70%以上伸線加工する方法(第9
項)、更に引続いて100〜200℃で1〜20時間焼戻
し処理をする報法(第9項)などがあげられる。 本発明において連続鋳造圧延する際に、圧延温
度等を規定したのは次の理由によるものである。 先ず連続的に得られた鋳塊を引続き圧延するに
際して350〜500℃の熱間圧延で15%以上減面加工
を行うのは、凝固的に非平衡状態で晶出した
Mg2Si相を粉砕し、組織的に微砕、均一に分布さ
せるためで、その結果、次の加熱および熱間圧延
工程でMg2Siの溶体化を促進するためである。 その際圧延温度が350℃未満であると圧延中に
Mg2Siが多量に析出してしまい、次の加熱および
熱間圧延工程で十分溶体化ができないため、圧延
温度は350℃以上で行うことが必要であり、好ま
しくは400℃以上で圧延するのが効果的である。
しかし圧延温度が500℃より高くなると、Mg2Si
相の粉砕が十分なこと、また鋳造組織が残存して
いるため圧延中に鋳塊割れを起こし易くなり良質
な圧延材が得られない。 又15%以上減面加工するのは、鋳造組織を破壊
し、鋳塊中のMg,Si,Feなどの晶出物を微細に
分散させ、均質な圧延組織にすると共にこれによ
つて次の加熱および熱間圧延工程でMg2Si晶出物
の圧延中の溶体化を容易にするためである。その
ためには15%以上減面加工することが必要であ
り、15%未満では圧延組織の均質化およびMg2Si
の溶体化には加工度が不十分となる。 次にこれを1〜200℃1秒の加熱速度で450〜
580℃に加熱しながら40%以上の減面加工度で熱
間圧延するのは、前工程で微細均一に分散させら
れたMg2Si晶出物を溶体化するためである。 上記の圧延温度が450℃未満であるとMg2Siの
溶体化が進行ないので、圧延温度は450℃以上で
行うことが必要であり、好ましくは480℃以上、
更に好ましくは500℃以上で圧延するとMg2Siの
溶体化を効果的に行うことができる。 しかし580℃より高くなると圧延中に鋳塊割れ
を起こし易くなり、良質な圧延材が得られない。 又この際の加熱速度を1〜200゜/秒としたの
は、1℃/秒末満では連続鋳造圧延法における加
熱時間が短かいため十分高温まで昇温させること
ができず、そこで高温まで昇温させるために鋳造
速度を遅くして加熱時間を長くすると生産量が減
少して経済的でない。又200℃/秒より速く急速
加熱すると鋳塊表面と内部の温度が均一にならな
いこと、局部溶融を起こして圧延割れが生じ易く
なることなどにより、均一な固溶体、良質な圧延
材を得ることができなくなる。又粒界でのMgの
偏析による局部溶融、鋳塊表面での酸化によるバ
ーニング現象を起こして優れた性態が得られな
い。 又40%以上減面加工するのはMg2Si晶出物の溶
体化を促進し均一な固溶体を得るためで、40%未
満ではMg2Siの溶体化には加工度が不十分で均質
な固溶体組織が得られない。 上記の熱間圧延後、これを370℃以下に急冷す
るのは以後の圧延工程で粗大なMg2Si相が析出し
て強度が低下するのを防ぐためで370℃より高い
と粗大なMg2Si相が析出して導体の強度、更には
耐疲労特性をも低下させてしまう。 次の370℃以下の温間圧延および/または冷間
圧延の工程において温間圧延のみを行う場合に
370〜200℃の温度範囲より20〜95%減面加工して
圧延終了時の温度300〜150℃になるようにするの
は圧延中に微細なMg2Si相を均一に析出させるこ
とにより析出硬化を利用して導電率、引張強さと
も優れた性能が得られるためである。こゝで圧延
終了温度を300〜150℃としたのは加工硬化が付加
され一層強度の高いものが得られることによる。 又20〜95%減面加工するのは圧延中に転位を多
数発生させ、微細なMg2Si相を均一、多量に析出
させるためであり、これが20%未満では析出が不
十分であり、95%より大きいと粗大な析出物が形
成されてしまう。 尚上記の圧延開始温度が370℃より高い場合或
いは圧延終了温度が300℃より高い場合には
Mg2Si相が粗大となり、又圧延開始温度が200℃
よる低い場合或いは圧延終了温度が150℃より低
いときはMg2Si相の析出が不十分で析出硬化は現
われない。 他方370℃以下の温間圧延および/または冷間
圧延の工程において冷間圧延のみを行う場合に
200℃以下の温度で20%〜90%減面加工して圧延
終了時の温度が200〜80℃となるようにするの
は、Mg,Siを固溶状態のまゝ低温で圧延し加工
歪によりG.P.相(母結晶格子上に局所的に集合し
た一種の偏析状態で析出相になる前の状態……
Guinier−Prestonzone)の形成を促進し、G.P.相
による硬化と加工硬化を利用したもので硬度の高
いものが得られる。 こゝで加工度が20%未満ではG.P.相の形成が少
なく、かつ加工硬化も小さいのでその効果は殆ん
ど得られない。又200〜80℃で圧延するのは加工
硬化をより一層大きくし、又G.P.相の形成を容易
にするためで、その結果従来の製造法における溶
体化処理後の常温時効工程に対応する圧延後の常
温工程を省略できる。 こゝで圧延終了温度が80℃より低い場合には加
工硬化は大きくなるが、温度が低いため、G.P.相
の形成が遅れ、従来の製造法と同様圧延後1週間
程度の常温時効としないと高い強度が得られな
い。 又前出の370℃以下の温間圧延および/または
冷間圧延の工程において、温間圧延および/また
は冷間圧延の双方を行う場合に370〜200℃の温間
圧延で20〜95%減面加工して圧延後の温度が300
〜150℃となるようにするのは、前出のように析
出硬化により高導電率、高強度のものを得るため
であり、これを更に連続的に200℃以下の冷間圧
延で20%以上減面加工して圧延終了時の温度が
200〜80℃となるようにするのは上記のように析
出硬化により微細に析出したMg2Si相が加工硬化
能を増大させたものを更に低温圧延することによ
つて加工硬化量を一層大きくして強度の向上を図
るためである。 次に合金素材(荒引線)を140〜200℃で1〜10
時間加熱処理するのは、いわゆる二段時効により
G.P.相、中間相および微細な安定相の形成を促進
して高強度、高導電率の導体を得るためである。 上記のように荒引線を140〜200℃で1〜10時間
加熱処理するのはG.P.相、中間層よび微細な析出
相をより一層形成されるためで、200℃より高い
温度あるいは100時間より長時間加熱すると析出
相が凝集して粗大なMg2Si安定相が形成され強度
が低下してしまう。又140℃未満、或いは1時間
未満の加熱では時効が殆んど進行せず二段時効の
効果は認められない。 又合金素材(荒引線)を減面加工度で70%以上
伸線加工するのは、加工硬化により高強度を得る
ためであり、70%未満では十分な強度は得られな
い。又必要に応じ伸線後、100〜200℃で1〜20時
間焼戻し処理を行うと伸び特性の一層優れた導体
が得られる。その際焼戻し温度が100℃未満或い
は1時間未満の加熱では伸び向上はなく、200℃
より高い温度或いは20時間より長時間の加熱を行
うと粗大な析出相が形成されたり、再結晶により
強度が低下してしまう。 上記において第2の熱間圧延後急冷してから引
続き温間ないし冷間圧延するに際し、370℃以下
の温度で減面加工度で20〜95%以上圧延して圧延
終了時の温度が300〜80℃になるようにして荒引
線に製造するのは、次の理由による。こゝで圧延
開始温度が370℃より高い場合或いは圧延終了温
度が300℃より高い場合には析出過程が進行して
いるため荒引線を加熱処理しても二段時効の効果
が顕著でなく、又圧延終了温度が80℃未満でると
1週間程度常温時効したあとでないとG.P.相ある
いは中間層が少ないため、加熱処理しても二段時
効の効果はなく、1週間時効した場合でもその効
果は小さい。 又減面加工度が20%未満の場合も同様にG.P.
相、中間相の形成が遅く、二段時効の効果が少な
く、95%より大きいと圧延中に粗大なMg2Si相が
析出してしまう。 以上の如く本発明に従つてAl−Mg−Si系のア
ルミニウム合金導体を製造すると従来に比較して
熱処理及び時効工程が省略できため、製造コスト
が低減されると共に高強度、高導電率の導体を得
ることができる。 尚本発明法の実施において連続鋳造後の第1、
第2の熱間圧延及び温間ないしは冷間圧延の条件
の中、420〜470℃で40〜80%減面加工後、20〜80
℃/秒の加熱速度で480〜530℃に加熱しながら60
〜85%減面加工し、急冷してから280〜100℃の温
度70%以上減面加工するのが特に好ましく、これ
により導体に一層優れた性能を与えることができ
有利である。 次に本発明を実施例により詳細に説明する。 実施例 99.70%の電気用アルミニウム地金を溶解し、
これにAl−25%Si母合金、Al−6%Fe母合金、
Al−50%Cu母合金およびMg導体を用いて各組成
のAl−Mg−Si系合金を溶製後、ベルト・アン
ド・ホイール型の連続鋳造機により断面積2000mm2
の鋳塊を連続的に鋳造した。 この鋳塊を引続き連続的に圧延するに際して各
圧延スタンド間に加熱及び冷却装置を装備し、か
つ圧延温度を自由に制御できる連続圧延機を用い
て各種温度条件で荒引線を製造し、圧延終了後、
一部のものは室温時効することなく伸線加工し、
又一部のものは100〜250℃で加熱処理した後伸線
加工した。又1部のものは伸線後、更に焼戻し処
理を行い、夫々性能を測定した。第1表にそれら
の化学組成、製造条件及び各種性能を示した。
体の製造法、更に詳しくは該合金の溶体化処理を
省略して連続鋳造圧延により低コストで経済的に
有利に製造しうる高導電率、高強度のアルミニウ
ム合金導体を製造する方法に関するものである。 近年導電材料として通常イ号アルミニウム合金
として一般に知られるAl−Mg−Si系合金の需要
が急速に増大しているが、これは熱処理合金でる
ためにその製造工程は鋳造−熱間加工−溶体化処
理−常温時効−伸線加工−安定化処理という一連
の工程が必要であり、特に熱処理工程が多いため
製造コストが高いという問題があつた。 そこで鋳塊を再加熱して熱間圧延を行う上記の
如き展延法に代り、最近では生産性の向上のため
連続鋳造圧延法が採用されている。 しかしこの方法の場合でも圧延後の荒引線を溶
体化処理−時効−伸線加工−安定化処理するとい
う熱処理工程を必要とし製造コストの十分な低減
は期待できない。 そこで上記の溶体化処理を省略する方策として
連続圧延機で鋳塊を圧延する工程で焼入れを行
い、鋳造時に強制固溶したMg,Siをできるだけ
析出させないで荒引線とする方法も提案されてい
る。 しかしこの方法では鋳造時に非平衡状態で晶出
したMg2Siはそのまゝ荒引線にまでもちこされる
と共に圧延中の冷却速度を速くしても圧延中の加
工歪によつて晶出物のまわりにMg2Siが凝縮して
しまい、従来法により熱間圧延後溶体化処理した
アルミニウム合金導体に比べてその特性は不安定
である等の問題がある。 本発明はかゝる点に鑑み種々研究を行つた結
果、Al−Mg−Si系合金においてMgとSiの添加量
を適切に選び、更にこれらにFe,Cuを共存せし
めることにより、連続鋳造圧延法によつて製造コ
ストの低減された高力アルミニウム合金導体を製
造しうることおよびこの合金を連続的鋳造圧延す
る際にその製造条件として圧延温度等を規定する
ことにより導電率、強度共に優れたアルミニウム
合金導体の得られることを見出し本発明に至つた
ものである。 本発明の第1の発明〔特許請求の範囲第1項記
載の発明〕のアルミニウム合金導体の製造法は
Mg0.3〜1.0wt%、Si0.3〜0.8wt%、Fe0.15〜
0.8wt%、Cu0.005〜0.2wt%、残部Alとその不純
物とからなるAl−Mg−Si系のアルミニウム合金
導体を連続鋳造圧延法により製造するに際し、上
記組成の合金を連続的に鋳造し、得られた鋳塊を
引続き、350〜500℃の熱間圧延で15%以上減面加
工後、1〜120℃/秒の加熱速度で450〜580℃に
加熱しながら40%以上の減面加工度で熱間圧延
後、急冷してから370℃以下の温間圧延および/
または冷間圧延で引続き20%〜95%減面加工して
圧延終了時の温度が300〜80℃にすることを特徴
とするものである。 しかして本発明において合金組成を上記の如く
限定した理由は次の通りである。 MgとSiは強度を向上させるための元素であ
り、その添加量がMg,Si共に夫々0.3%末満では
効果が少なく、得られる導体の強度は低い。又
Mgは1.0%、Siは0.8%を超えて添加すると導電率
が低くなりかつ鋳塊中のMgとSiの析出量が多く
なつて溶体化の効果が得られず耐疲労強度が大巾
に低下する。 一方Feは導電率をあまり下げることなく強度
を向上させるための元素であり、強度向上に伴う
伸びの低下も少ない。Feは0.15%末満では強度
向上の効果が少なく、0.8%よりも多く添加して
も一層の強度向上の効果はみられず、導電率およ
び伸びも低下し鋳造時に粗大な晶出物が生成して
耐疲労特性が大巾に低下する。 CuもFeと同様に強度を向上させるために添加
するものであるが、0.005%末満ではその効果が
認められず、0.2%より多いと耐疲労特性、延性
および耐食性が悪くなる。 上記の理由から各元素を本発明で規定する組成
範囲内で含むアルミニウム合金は改めて溶体化処
理および時効処理をすることなく連続鋳造圧延法
によつて優れた性能の導体を得ることを可能にす
る。 本発明の実施態様として370℃以下の温間圧延
および/または冷間圧延が370゜〜200℃の温間圧
延のみによりこの温間圧延で20〜95%減面加工し
て圧延終了時の温度が300〜150℃になるようにす
る方法(第2項)、またそれが冷間圧延のみより
なり、この冷間圧延で20〜95%減面加工して圧延
終了時の温度が200〜80℃になるようにする方法
(第3項)、またそれが370゜〜200℃の温間圧延と
200℃以下の冷間圧延とからなり、この温間圧延
で20〜95%減面加工して圧延後の温度が300〜150
℃になるようにし、これに連続して行われる冷間
圧延で20%以上減面加工して圧延終了時の温度が
200〜80℃になるようにする方法(第4項)、第1
項から第4項までの方法によつて得られる合金素
材を減面加工度で70%以上伸線加工する方法(第
5項)、これを更に100〜200℃で1〜20時間焼戻
し処理する方法(第6項)、第1項〜第4項まで
の方法で得られる合金素材を140〜200℃で1〜10
時間加熱処理する方法(第7項)、これを更に減
面加工程で70%以上伸線加工する方法(第9
項)、更に引続いて100〜200℃で1〜20時間焼戻
し処理をする報法(第9項)などがあげられる。 本発明において連続鋳造圧延する際に、圧延温
度等を規定したのは次の理由によるものである。 先ず連続的に得られた鋳塊を引続き圧延するに
際して350〜500℃の熱間圧延で15%以上減面加工
を行うのは、凝固的に非平衡状態で晶出した
Mg2Si相を粉砕し、組織的に微砕、均一に分布さ
せるためで、その結果、次の加熱および熱間圧延
工程でMg2Siの溶体化を促進するためである。 その際圧延温度が350℃未満であると圧延中に
Mg2Siが多量に析出してしまい、次の加熱および
熱間圧延工程で十分溶体化ができないため、圧延
温度は350℃以上で行うことが必要であり、好ま
しくは400℃以上で圧延するのが効果的である。
しかし圧延温度が500℃より高くなると、Mg2Si
相の粉砕が十分なこと、また鋳造組織が残存して
いるため圧延中に鋳塊割れを起こし易くなり良質
な圧延材が得られない。 又15%以上減面加工するのは、鋳造組織を破壊
し、鋳塊中のMg,Si,Feなどの晶出物を微細に
分散させ、均質な圧延組織にすると共にこれによ
つて次の加熱および熱間圧延工程でMg2Si晶出物
の圧延中の溶体化を容易にするためである。その
ためには15%以上減面加工することが必要であ
り、15%未満では圧延組織の均質化およびMg2Si
の溶体化には加工度が不十分となる。 次にこれを1〜200℃1秒の加熱速度で450〜
580℃に加熱しながら40%以上の減面加工度で熱
間圧延するのは、前工程で微細均一に分散させら
れたMg2Si晶出物を溶体化するためである。 上記の圧延温度が450℃未満であるとMg2Siの
溶体化が進行ないので、圧延温度は450℃以上で
行うことが必要であり、好ましくは480℃以上、
更に好ましくは500℃以上で圧延するとMg2Siの
溶体化を効果的に行うことができる。 しかし580℃より高くなると圧延中に鋳塊割れ
を起こし易くなり、良質な圧延材が得られない。 又この際の加熱速度を1〜200゜/秒としたの
は、1℃/秒末満では連続鋳造圧延法における加
熱時間が短かいため十分高温まで昇温させること
ができず、そこで高温まで昇温させるために鋳造
速度を遅くして加熱時間を長くすると生産量が減
少して経済的でない。又200℃/秒より速く急速
加熱すると鋳塊表面と内部の温度が均一にならな
いこと、局部溶融を起こして圧延割れが生じ易く
なることなどにより、均一な固溶体、良質な圧延
材を得ることができなくなる。又粒界でのMgの
偏析による局部溶融、鋳塊表面での酸化によるバ
ーニング現象を起こして優れた性態が得られな
い。 又40%以上減面加工するのはMg2Si晶出物の溶
体化を促進し均一な固溶体を得るためで、40%未
満ではMg2Siの溶体化には加工度が不十分で均質
な固溶体組織が得られない。 上記の熱間圧延後、これを370℃以下に急冷す
るのは以後の圧延工程で粗大なMg2Si相が析出し
て強度が低下するのを防ぐためで370℃より高い
と粗大なMg2Si相が析出して導体の強度、更には
耐疲労特性をも低下させてしまう。 次の370℃以下の温間圧延および/または冷間
圧延の工程において温間圧延のみを行う場合に
370〜200℃の温度範囲より20〜95%減面加工して
圧延終了時の温度300〜150℃になるようにするの
は圧延中に微細なMg2Si相を均一に析出させるこ
とにより析出硬化を利用して導電率、引張強さと
も優れた性能が得られるためである。こゝで圧延
終了温度を300〜150℃としたのは加工硬化が付加
され一層強度の高いものが得られることによる。 又20〜95%減面加工するのは圧延中に転位を多
数発生させ、微細なMg2Si相を均一、多量に析出
させるためであり、これが20%未満では析出が不
十分であり、95%より大きいと粗大な析出物が形
成されてしまう。 尚上記の圧延開始温度が370℃より高い場合或
いは圧延終了温度が300℃より高い場合には
Mg2Si相が粗大となり、又圧延開始温度が200℃
よる低い場合或いは圧延終了温度が150℃より低
いときはMg2Si相の析出が不十分で析出硬化は現
われない。 他方370℃以下の温間圧延および/または冷間
圧延の工程において冷間圧延のみを行う場合に
200℃以下の温度で20%〜90%減面加工して圧延
終了時の温度が200〜80℃となるようにするの
は、Mg,Siを固溶状態のまゝ低温で圧延し加工
歪によりG.P.相(母結晶格子上に局所的に集合し
た一種の偏析状態で析出相になる前の状態……
Guinier−Prestonzone)の形成を促進し、G.P.相
による硬化と加工硬化を利用したもので硬度の高
いものが得られる。 こゝで加工度が20%未満ではG.P.相の形成が少
なく、かつ加工硬化も小さいのでその効果は殆ん
ど得られない。又200〜80℃で圧延するのは加工
硬化をより一層大きくし、又G.P.相の形成を容易
にするためで、その結果従来の製造法における溶
体化処理後の常温時効工程に対応する圧延後の常
温工程を省略できる。 こゝで圧延終了温度が80℃より低い場合には加
工硬化は大きくなるが、温度が低いため、G.P.相
の形成が遅れ、従来の製造法と同様圧延後1週間
程度の常温時効としないと高い強度が得られな
い。 又前出の370℃以下の温間圧延および/または
冷間圧延の工程において、温間圧延および/また
は冷間圧延の双方を行う場合に370〜200℃の温間
圧延で20〜95%減面加工して圧延後の温度が300
〜150℃となるようにするのは、前出のように析
出硬化により高導電率、高強度のものを得るため
であり、これを更に連続的に200℃以下の冷間圧
延で20%以上減面加工して圧延終了時の温度が
200〜80℃となるようにするのは上記のように析
出硬化により微細に析出したMg2Si相が加工硬化
能を増大させたものを更に低温圧延することによ
つて加工硬化量を一層大きくして強度の向上を図
るためである。 次に合金素材(荒引線)を140〜200℃で1〜10
時間加熱処理するのは、いわゆる二段時効により
G.P.相、中間相および微細な安定相の形成を促進
して高強度、高導電率の導体を得るためである。 上記のように荒引線を140〜200℃で1〜10時間
加熱処理するのはG.P.相、中間層よび微細な析出
相をより一層形成されるためで、200℃より高い
温度あるいは100時間より長時間加熱すると析出
相が凝集して粗大なMg2Si安定相が形成され強度
が低下してしまう。又140℃未満、或いは1時間
未満の加熱では時効が殆んど進行せず二段時効の
効果は認められない。 又合金素材(荒引線)を減面加工度で70%以上
伸線加工するのは、加工硬化により高強度を得る
ためであり、70%未満では十分な強度は得られな
い。又必要に応じ伸線後、100〜200℃で1〜20時
間焼戻し処理を行うと伸び特性の一層優れた導体
が得られる。その際焼戻し温度が100℃未満或い
は1時間未満の加熱では伸び向上はなく、200℃
より高い温度或いは20時間より長時間の加熱を行
うと粗大な析出相が形成されたり、再結晶により
強度が低下してしまう。 上記において第2の熱間圧延後急冷してから引
続き温間ないし冷間圧延するに際し、370℃以下
の温度で減面加工度で20〜95%以上圧延して圧延
終了時の温度が300〜80℃になるようにして荒引
線に製造するのは、次の理由による。こゝで圧延
開始温度が370℃より高い場合或いは圧延終了温
度が300℃より高い場合には析出過程が進行して
いるため荒引線を加熱処理しても二段時効の効果
が顕著でなく、又圧延終了温度が80℃未満でると
1週間程度常温時効したあとでないとG.P.相ある
いは中間層が少ないため、加熱処理しても二段時
効の効果はなく、1週間時効した場合でもその効
果は小さい。 又減面加工度が20%未満の場合も同様にG.P.
相、中間相の形成が遅く、二段時効の効果が少な
く、95%より大きいと圧延中に粗大なMg2Si相が
析出してしまう。 以上の如く本発明に従つてAl−Mg−Si系のア
ルミニウム合金導体を製造すると従来に比較して
熱処理及び時効工程が省略できため、製造コスト
が低減されると共に高強度、高導電率の導体を得
ることができる。 尚本発明法の実施において連続鋳造後の第1、
第2の熱間圧延及び温間ないしは冷間圧延の条件
の中、420〜470℃で40〜80%減面加工後、20〜80
℃/秒の加熱速度で480〜530℃に加熱しながら60
〜85%減面加工し、急冷してから280〜100℃の温
度70%以上減面加工するのが特に好ましく、これ
により導体に一層優れた性能を与えることができ
有利である。 次に本発明を実施例により詳細に説明する。 実施例 99.70%の電気用アルミニウム地金を溶解し、
これにAl−25%Si母合金、Al−6%Fe母合金、
Al−50%Cu母合金およびMg導体を用いて各組成
のAl−Mg−Si系合金を溶製後、ベルト・アン
ド・ホイール型の連続鋳造機により断面積2000mm2
の鋳塊を連続的に鋳造した。 この鋳塊を引続き連続的に圧延するに際して各
圧延スタンド間に加熱及び冷却装置を装備し、か
つ圧延温度を自由に制御できる連続圧延機を用い
て各種温度条件で荒引線を製造し、圧延終了後、
一部のものは室温時効することなく伸線加工し、
又一部のものは100〜250℃で加熱処理した後伸線
加工した。又1部のものは伸線後、更に焼戻し処
理を行い、夫々性能を測定した。第1表にそれら
の化学組成、製造条件及び各種性能を示した。
【表】
【表】
【表】
【表】
実施例1〜9は特許請求の範囲第2項及び第5
項記載の方法に従つて製造したもので、導電率は
55%IACS以上、引張り強さは34Kg/mm2以上、伸
びは4.2%以上と優れた性能を示している。実施
例10,11は特許請求の範囲第4項及び第5項記載
の方法に従つて製造したもので引張強さ38Kg/mm2
以上と高強度の導体が得られる。 実施例12〜15は特許請求の範囲第2項第7項及
び第8項記載の方法に従つて製造したもので導電
率は56.2%IACS以上、引張り強さは38.4Kg/mm2
以上、伸びは5.6%以上と優れた性能を得られ
る。 実施例16,17は特許請求の範囲第2項、第5
項、第6項記載の方法で、実施例18は特許請求の
範囲第4項、第5項、第6項記載の方法で、実施
例19,20は特許請求の範囲第2項、第7項、第8
項記載の方法で製造したもので、いずれも伸びが
8.8%以上と伸びの優れた導体が得られる。 以上実施例1〜20に示したように本発明に従つ
て得られた導体は導電率55%IACS以上、伸びは
4%以上と優れた性能を示す。 次に比較例としてNo.21〜No.49を示したが、No.21
〜28は本発明で規定する合金組成範囲外のもので
あり、No.21〜24は夫々Mg,Si,Fe,Cuが不足の
ため引張強さが低く、No.25〜28は夫々の元素が過
剰のため導電率が低い。 No.40,41,44,46,48を除くNo.29〜49は本発明
で規定する合金組成範囲内のものであるが、特許
請求の範囲第1項以下に規定する圧延温度、加工
率、熱処理条件などの製造条件を外されているた
め、導電率、引張強さと伸びが共に優れた十分満
足すべき導体が得られていない。 又従来法として従来から行われている連続鋳造
圧延法、展延法、及び押出法により荒引線を製造
した。 従来の連続鋳造圧延法としては断面積2000mm2の
鋳塊を450℃より圧延開始し中間加熱することな
く、94.3%減面加工後、200℃で圧延を終了し
た。 又展延法としては50×50×50mmの鋳塊を450℃
で2時間加熱後、熱間圧延により95.4%加工し
た。 押出法の場合には断面積962.5mm2の鋳塊を450℃
で2時間加熱後、熱間押出により94.2%減面加工
した。これらのものを伸線加工後、性能を測定し
て第1表のNo.50〜52に示した。これらはいずれも
導電率は高いが引張強さは低い。 次にNo.50の荒引線を520℃で2時間溶体化処
理、水冷して7日間室温時効したものと、これを
更に160℃で4時間加熱処理したものとを伸線加
工した場合の性能をNo.53,54に示した。いずれも
実施例No.1〜20に比較して導電率及び引張強さが
低い。 以上のように本発明で規定する合金の組成範囲
内のAl−Mg−Si系合金を本発明の特許請求の範
囲第1項ないし第8項に規定する条件に従つて導
体に製造することにより高強度、高導電率の導体
を得ることができる顕著な効果を奏するものであ
る。
項記載の方法に従つて製造したもので、導電率は
55%IACS以上、引張り強さは34Kg/mm2以上、伸
びは4.2%以上と優れた性能を示している。実施
例10,11は特許請求の範囲第4項及び第5項記載
の方法に従つて製造したもので引張強さ38Kg/mm2
以上と高強度の導体が得られる。 実施例12〜15は特許請求の範囲第2項第7項及
び第8項記載の方法に従つて製造したもので導電
率は56.2%IACS以上、引張り強さは38.4Kg/mm2
以上、伸びは5.6%以上と優れた性能を得られ
る。 実施例16,17は特許請求の範囲第2項、第5
項、第6項記載の方法で、実施例18は特許請求の
範囲第4項、第5項、第6項記載の方法で、実施
例19,20は特許請求の範囲第2項、第7項、第8
項記載の方法で製造したもので、いずれも伸びが
8.8%以上と伸びの優れた導体が得られる。 以上実施例1〜20に示したように本発明に従つ
て得られた導体は導電率55%IACS以上、伸びは
4%以上と優れた性能を示す。 次に比較例としてNo.21〜No.49を示したが、No.21
〜28は本発明で規定する合金組成範囲外のもので
あり、No.21〜24は夫々Mg,Si,Fe,Cuが不足の
ため引張強さが低く、No.25〜28は夫々の元素が過
剰のため導電率が低い。 No.40,41,44,46,48を除くNo.29〜49は本発明
で規定する合金組成範囲内のものであるが、特許
請求の範囲第1項以下に規定する圧延温度、加工
率、熱処理条件などの製造条件を外されているた
め、導電率、引張強さと伸びが共に優れた十分満
足すべき導体が得られていない。 又従来法として従来から行われている連続鋳造
圧延法、展延法、及び押出法により荒引線を製造
した。 従来の連続鋳造圧延法としては断面積2000mm2の
鋳塊を450℃より圧延開始し中間加熱することな
く、94.3%減面加工後、200℃で圧延を終了し
た。 又展延法としては50×50×50mmの鋳塊を450℃
で2時間加熱後、熱間圧延により95.4%加工し
た。 押出法の場合には断面積962.5mm2の鋳塊を450℃
で2時間加熱後、熱間押出により94.2%減面加工
した。これらのものを伸線加工後、性能を測定し
て第1表のNo.50〜52に示した。これらはいずれも
導電率は高いが引張強さは低い。 次にNo.50の荒引線を520℃で2時間溶体化処
理、水冷して7日間室温時効したものと、これを
更に160℃で4時間加熱処理したものとを伸線加
工した場合の性能をNo.53,54に示した。いずれも
実施例No.1〜20に比較して導電率及び引張強さが
低い。 以上のように本発明で規定する合金の組成範囲
内のAl−Mg−Si系合金を本発明の特許請求の範
囲第1項ないし第8項に規定する条件に従つて導
体に製造することにより高強度、高導電率の導体
を得ることができる顕著な効果を奏するものであ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Mg0.3〜1.0wt%、Si0.3〜0.8wt%、Fe0.15〜
0.8wt%、Cu0.005〜0.2wt%、残部Alとその不純
物とからなるAl−Mg−Si系のアルミニウム合金
導体を連続鋳造圧延法により製造するに際し、上
記組成の合金を連続的に鋳造し、得られた鋳塊を
引続き350〜500℃の熱間圧延で15%以上減面加工
後、1〜200℃/秒の加熱速度で450〜580℃に加
熱しながら40%以上の減面加工度で熱間圧延後、
急冷してから、370℃以下の温間圧延および/ま
たは冷間圧延で引続き20%〜95%減面加工して圧
延終了時の温度が300〜80℃にすることを特徴と
するアルミニウム合金導体の製造法。 2 特許請求の範囲第1項における370℃以下の
温間圧延および/または冷間圧延が370〜200℃の
温間圧延のみからなり、この温間圧延で20〜95%
減面加工して圧延終了時の温度が300〜150℃とな
るようにするアルミニウム合金導体の製造法。 3 特許請求の範囲第1項における370℃以下の
温間圧延および/または冷間圧延が200℃以下の
冷間圧延のみからなり、この冷間圧延で20〜95%
減面加工して圧延終了時の温度が200〜80℃とな
るようにするアルミニウム合金導体の製造法。 4 特許請求の範囲第1項における370℃以下の
温間圧延および/または冷間圧延が370℃〜200℃
の温間圧延と200℃以下の冷間圧延とからなり、
上記の温間圧延で20〜95%減面加工して圧延後の
温度が300〜150℃になるようにし、これを更に連
続して上記の冷間圧延で20%以上減面加工して圧
延終了時の温度が200〜80℃になるようにするア
ルミニウム合金導体の製造法。 5 特許請求の範囲第1項から第4項までのいず
れか1項記載の方法によつて得られたアルミニウ
ム合金導体を合金素材としてこれを減面加工度で
70%以上伸線加工することを特徴とするアルミニ
ウム合金導体の製造法。 6 特許請求の範囲第5項において得られた合金
素材を減面加工度で70%以上伸線加工後、100〜
200℃で1〜20時間焼戻し処理をするアルミニウ
ム合金導体の製造法。 7 特許請求の範囲第1項から第4項までのいず
れか1項記載の方法によつて得られたアルミニウ
ム合金導体を合金素材としてこれを140〜200℃で
1〜10時間加熱処理することを特徴とするアルミ
ニウム合金導体の製造法。 8 特許請求の範囲第7項において得られた合金
素材を140〜200℃で1〜10時間加熱処理した後、
減面加工で70%以上伸線加工することを特徴とす
るアルミニウム合金導体の製造法。 9 特許請求の範囲第8項において70%以上の伸
線加工後、更に100〜200℃で1〜20時間焼戻し処
理をするアルミニウム合金導体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13655479A JPS5662944A (en) | 1979-10-23 | 1979-10-23 | Aluminum alloy conductor and its manufacture |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13655479A JPS5662944A (en) | 1979-10-23 | 1979-10-23 | Aluminum alloy conductor and its manufacture |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5662944A JPS5662944A (en) | 1981-05-29 |
JPS6123852B2 true JPS6123852B2 (ja) | 1986-06-07 |
Family
ID=15177928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13655479A Granted JPS5662944A (en) | 1979-10-23 | 1979-10-23 | Aluminum alloy conductor and its manufacture |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5662944A (ja) |
Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
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WO2011004814A1 (ja) * | 2009-07-06 | 2011-01-13 | 矢崎総業株式会社 | 電線又はケーブル |
JP2017106070A (ja) * | 2015-12-09 | 2017-06-15 | 株式会社フジクラ | アルミニウム合金導電線、これを用いた電線、ワイヤハーネス及びアルミニウム合金導電線の製造方法 |
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-
1979
- 1979-10-23 JP JP13655479A patent/JPS5662944A/ja active Granted
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JP2017106070A (ja) * | 2015-12-09 | 2017-06-15 | 株式会社フジクラ | アルミニウム合金導電線、これを用いた電線、ワイヤハーネス及びアルミニウム合金導電線の製造方法 |
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---|---|
JPS5662944A (en) | 1981-05-29 |
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