JPS6122952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、モーメント荷重を受けるクレーン等
の作業機の旋回台にカウントウエイトを着脱自在
に装着するためのカウンタウエイトの脱着装置に
関するものである。

従来のこの種のカウンタウエイトの脱着装置は
着脱式のカウンタウエイトを、旋回台フレーム又
は旋回台フレームに固定される固定式カウンタウ
エイト（以下においては、両方の場合を総称して
旋回台という）の後端部に後方に突出させて取り
つけたり、旋回台の上部に積み重ねた状態で取り
つけるようにしていたため、着脱式カウンタウエ
イトを取付けた場合には旋回台の旋回動に伴う危
険範囲が広くなつたり重心位置が高くなつて作業
機全体としての安定度が減少するという問題があ
つた。

又、カウンタウエイトを脱着する場合、１本も
しくは２本のワイヤロープをカウンタウエイトと
ウエイト引き上げ装置の間に直接取りつけ、該ウ
エイト引き上げ装置によつてカウンタウエイトを
引き上げるようにしていたが、一本のワイヤロー
プで吊り上げた場合にはカウンタウエイトが回転
して作業が困難であるとともに危険であり、ま
た、２本のワイヤロープで吊り上げる場合にはワ
イヤロープ長さが異なるとカウンタウエイトが傾
むいて固定ピンの挿入作業が困難になるという問
題があつた。

本考案は上記の如き従来のカウンタウエイトの
脱着装置の問題点に鑑み、カウンタウエイトを旋
回台の下面下にしかし容易に脱着し得るようにし
たカウンタウエイトの脱着装置を提供することを
目的としてなされたものであつて、ワイヤ巻掛け
方向に適宜離間してカウンタウエイトに取付けた
一対のシーブに、両端側を旋回台の下面側から上
方に向けてとり出すようにして、一本のワイヤロ
ープをＵ字状にかけ回し該ワイヤロープを適宜の
ワイヤ引き上げ機構によつて引き上げることによ
り前記カウンタウエイトを前記旋回台の下面下に
吊り上げ得る如くしたウエイト引上げ装置と、該
ウエイト引上げ装置によつて前記旋回台の下面下
に引き上げられた前記カウンタウエイトを前記旋
回台の下面下で吊り下げ状態で固定するためのウ
エイト固定装置とを設けたことを特徴とするもの
である。

以下、本考案のカウンタウエイトの脱着装置を
第１図ないし第５図に示す実施例に基いて説明す
ると、第１図には本考案実施例に係るカウンタウ
エイトの脱着装置Ｘを有するトラツククレーンＺ
が示されている。このトラツククレーンＺは、車
両１の荷台２に旋回座３を介して伸縮ブーム５、
ウインチ装置８等を取付けた旋回台１０を旋回自
在に取付けている。この旋回台１０は、直接旋回
座３側に固定される旋回台フレーム４と該旋回台
フレーム４の後端部に固定式カウンタウエイト６
より構成されている。又、この旋回台１０の下面
には、脱着式カウンタウエイト７が取付けられて
いる。この脱着式カウンタウエイト７は、第５図
に示す如く釣鉄等によつて横長の厚板状に一体形
成されており、その偏平な上面７ａを旋回台１０
の下面１０ａに対向せしめている。又、この脱着
式カウンタウエイト７は、本考案の主体をなすカ
ウンタウエイトの脱着装置Ｘによつて旋回台１０
側に脱着される。

以下、このカウンタウエイトの脱着装置Ｘの構
造及びその作用を第２図以下を参照しながら詳述
すると、この脱着装置Ｘは、第２図ないし第５図
に示す如く脱着式カウンタウエイト７を旋回台の
下面下に引き上げるためのウエイト引上げ装置Ａ
と、該脱着式カウンタウエイト７を旋回台１０の
下面下に吊り下げた状態で固定するためのカウン
タウエイト固定装置３とを有している。

ウエイト引上げ装置Ａは、脱着式カウンタウエ
イト７に取付けられた一対のシーブ１５，１５
と、該シーブ１５，１５にＵ字状にかけ回わされ
たワイヤロープ１７と、該ワイヤロープ１７を巻
き上げるためのワイヤ巻上げ機構として作用する
吊荷作業用のウインチ８とを有している。シーブ
１５，１５は、脱着式カウンタウエイト７の上面
７ａ上に形成した横溝２５内に、該シーブ１５，
１５から取り出されたワイヤロープ１７の間隔が
ウインチ８のフランジ２０と駆動ギヤ２１の内側
面２１ａ間の距離とほぼ同一寸法となるようにワ
イヤ巻掛け方向に適宜離間して取付けられてい
る。この各シーブ１５，１５は、それぞれ横溝２
５を幅方向に貫通する如く脱着式カウンタウエイ
ト７の後端面７ｂ側から旋回台１０の前後方向に
向けて形成した深穴状ピン嵌挿穴３５，３５に嵌
挿したシーブピン１６，１６によつて回転自在に
支承されている。一方、ワイヤロープ１７の両索
端１７ａ，１７ｂは、固定式カウンタウエイト６
を上下方向に貫通して設けた一対のワイヤ通し穴
２３，２３内を通つて該固定式カウンタウエイト
６の上面６ａ側に引き出されたのち、その一方の
索端１７ａはウインチ８のフランジ２０のワイヤ
ロープ固定部２１ａにシヤツクル１８によつて着
脱自在に連結され、また他方の索端１７ｂはボル
ト１９によつて駆動ギヤ２１の内側面２１ａのワ
イヤロープ固定部２１ｂにそれぞれ着脱自在に固
定されている。尚、このワイヤロープ１７は、固
定式カウンタウエイト６の下面６ｂに設けたガイ
ドロール２７と該固定式カウンタウエイト６の上
面６ａ側に設けた一対のガイドシーブ２８，２８
によつて案内される。このように、固定式カウン
タウエイト６内に設けたワイヤ通し穴２３，２３
内に通してワイヤロープ１７によつて脱着式カウ
ンタウエイト７を吊り上げるようにすることによ
り該脱着式カウンタウエイト７を旋回台１０の下
面１０ａ下に引き上げることが可能となる。尚、
このワイヤロープ１７の両索端１７ａ，１７ｂ
は、それぞれ脱着式カウンタウエイト７の脱着作
業が終了した時点でウインチ側から切り離され
る。

ウエイト固定装置Ｂは、旋回台１０の下面１０
ａ側に位置する旋回台フレーム４の後端隅角部４
ａに固着した一対の吊り金具３０，３０と、該吊
り金具３０，３０に脱着式カウンタウエイト７を
連結するための連結ピン３１，３１とを有してい
る。この吊り金具３０，３０は、第４図及び第５
図に示す如く適宜厚さＳを有する吊金具本体３１
の上面３１ａに旋回台フレーム４側への溶接固着
部となる溶接用突片３２を、またその下面３１ｂ
に連結ピン３１を嵌入せしめるためのピン受穴３
４を有する吊り下げ用突片３３をそれぞれ一体形
成した略十字形部材であつて、該吊金具３０，３
０は、旋回台フレーム４の後端隅角部４ａに、吊
金具本体３１の上面３１ａと溶接用突片３２で形
成された一方の隅角部を嵌合させた状態でしかも
旋回台１０の幅方向に適宜離間して旋回台フレー
ム４側に溶接固着されている。尚、この吊り金具
３０の溶接用突片３２より後方に延出した吊り金
具本体３１の上面３１ａは、旋回台フレーム４に
固定式カウンタウエイト６をボルト３９，３９…
で固定する場合に該固定式カウンタウエイト６の
自重支持部材として作用する。

一方、吊金具本体３１から下方に垂下せしめら
れた各吊り金具３０の吊り下げ用突片３３は、脱
着式カウンタウエイト７を前記ウエイト引上げ装
置Ａによつて吊り上げてその上面７ａを吊金具本
体３１の下面３１ｂに衝合せしめた時、該脱着式
カウンタウエイト７の上面７ａに形成した左右一
対の長方形状深穴２６，２６内に嵌入せしめられ
るようにされている。この長方形状深穴２６，２
６には、該長方形状深穴２６，２６内に嵌入せし
められた吊下げ用突片３３のピン受け穴３４と旋
回台１０の前後方向において相互に重合連通する
如く脱着式カウンタウエイト７の後端面７ｂ側か
ら長方形状深穴２６に向けて形成した深穴状のピ
ン嵌挿穴３６，３６が開口せしめられており、該
長方形状深穴２６，２６内にそれぞれ各吊り金具
３０，３０の吊り下げ用突片３３，３３を嵌入せ
しめて各ピン嵌挿穴３６，３６内に連結ピン４
０，４０を嵌挿することにより脱着式カウンタウ
エイト７は旋回台１０の下面１０ａに吊り下げ状
態で連結される。

続いて、このカウンタウエイトの脱着装置Ｘを
使用して脱着式カウンタウエイト７の脱着操作を
操作手順に従つて説明すると、この脱着式カウン
タウエイト７は、第１図において鎖線図示する如
く（符号７′）ブーム５を後方に旋回させた状態
（符号５′）における旋回台１０′の後端部と上下
方向において重合する荷台２上の適宜位置に配置
されており、該脱着式カウンタウエイト７の脱着
作業はブーム５を後方に旋回させた状態で行なわ
れる。

先ず、荷台２上に載置された脱着式カウンタウ
エイト７を旋回台１０の下面１０ａに装着する場
合の操作手順を説明すると、この脱着式カウンタ
ウエイト７の装着時には先ず、第３図に示す如く
旋回台１２を後方に旋回させてその後端部を荷台
２上に載置された脱着式カウンタウエイト７の上
方に位置せしめる。次に、ワイヤロープ１７の両
索端１７ａ，１７ｂを固定式カウンタウエイト６
内に設けたワイヤ通し穴２３，２３内をその下端
側から上端側に向けて通しさらにウインチ８のフ
ランジ２０及び駆動ギヤ２１の側面にそれぞれ固
定する。この時、ウインチ８、第３図において鎖
線図示（符号２０ａ）する如くワイヤロープ固定
部２０ａがガイドシーブ２８に可及的に接近する
位置まで矢印Ｌ方向に回転せしめられており、固
定式カウンタウエイト６の下面側に残されたワイ
ヤロープ１７の屈曲部１７ｃは脱着式カウンタウ
エイト７の横溝２５内の底部付近まで垂れ下つて
いる。次に、脱着式カウンタウエイト７から一且
取り外したシーブ１５，１５を、該脱着式カウン
タウエイト７の横溝２５内に垂れ下つてワイヤロ
ープ１７の屈曲部１７ｃにそれぞれかけ回した状
態で再び該横溝２５内に嵌装しシーブピン１６，
１６によつて脱着式カウンタウエイト７側に固定
する。これで脱着式カウンタウエイト７の吊り上
げ準備が完了する。

次に、ウインチ８を微速で矢印Ｒ方向に回転さ
せて脱着式カウンタウエイト７をその上面７ａが
吊り金具３０，３０の吊り金具本体上面３１ａ，
３１ａに当接するまで吊り上げる。

この脱着式カウンタウエイト７の吊り上げ作業
時には該脱着式カウンタウエイト７が不安定とな
り振れ回りし易くなるが、図示実施例の脱着装置
Ｘにおいては、シーブ１５，１５を適宜離間させ
て取付けているため、このシーブ１５，１５にか
け回されたワイヤロープ１７によつて脱着式カウ
ンタウエイト７の振れ回りが規制され、該脱着式
カウンタウエイト７は旋回台１０に対する相対位
置を保つたままの状態で荷台２上から旋回台１０
の下面１０ａ側まで吊り上げられる。又、この脱
着式カウンタウエイト７が適宜高さまで吊り上げ
られた時点で吊り金具３０，３０の吊り下げ用突
片３３，３３が脱着式カウンタウエイト７の長方
形状深穴２６，２６内に臨ましめられるが、この
場合にもワイヤロープ２７によつて脱着式カウン
タウエイト７の振れ回りが規制されるため、該長
方形状深穴２６，２６内に吊下げ用突片３３，３
３を容易に合致させることができる。尚、この吊
下げ用突片３３，３３は、さらに脱着式カウンタ
ウエイト７を吊り上げることにより次第に長方形
状深穴２６，２６内の奥部まで進入せしめられ、
脱着式カウンタウエイト７の上面７ａが吊り金具
３０，３０の吊り金具本体３１，３１の下面３１
ｂ，３１ｂに当接した時点でそのピン受け穴３
４，３４が脱着式カウンタウエイト７側のピン嵌
挿穴３６，３６と重合するようになつている。

即ち、この吊り下げ用突片３３と長方形状深穴
２６は、旋回台カウンタウエイト７と旋回台１０
の位置決め部材としても作用する。

又、この脱着装置Ｘは、一本のワイヤロープ１
７を一対のシーブ１５，１５にかけ回しているた
め、脱着式カウンタウエイト７の吊り上げ時には
該脱着式カウンタウエイト７が左右方向に傾斜す
るということがあるが、この場合においても、先
に引き上げられた方の端部の上面７ａが吊り金具
３０と衝合した時点で停止すると、それを追つか
けるように遅れた方の端部が引き上げられてその
上面７ａが吊り金具３０に衝合した時点で停止す
る。即ち、脱着式カウンタウエイト７は、吊上げ
途中において傾斜していても旋回台１０の下面１
０ａ側に引き上げられた時点においては必ず旋回
台下面１０ａに対して平行となり、脱着式カウン
タウエイト７側のピン嵌挿穴３６，３６と吊金具
３０，３０側のピン受け穴３４，３４とが同時に
重合せしめられることになる。

上述の如くして旋回台１０の下面１０ａ下に引
き上げられた脱着式カウンタウエイト７を、連結
ピン４０，４０によつて旋回台１０側の吊り金具
３０，３０と連結することにより旋回台１０側に
装着する。連結ピン４０，４０の嵌挿作業が終了
した時点でワイヤロープ１７の両索端１７ａ，１
７ｂをウインチ８側から取り外して旋回台１０側
の適宜位置に固定する。これで脱着式カウンタウ
エイト７の装着作業が完了する。

一方、脱着式カウンタウエイト７を旋回台１０
から取り外す場合には、ワイヤロープ１７の両索
端１７ａ，１７ｂをウインチ８のフランジ２０及
び駆動ギヤ２１に取りつけた状態で連結ピン４
０，４０を取り外したのち該ウインチ８を矢印Ｌ
方向に回転させて該脱着式カウンタウエイト７を
荷台２側に吊り下す。脱着式カウンタウエイト７
が荷台２上に完全に載置された時点で、ワイヤロ
ープ１７の両索端１７ａ，１７ｂをウインチ８か
ら取り外すとともに、シーブ１５，１５を脱着式
カウンタウエイト７から一且取り外して該シーブ
１５，１５とワイヤロープ１７との係合を解除す
る。これで、ワイヤロープ１７は、脱着式カウン
タウエイト７から完全に切り離されることにな
る。以上で脱着式カウンタウエイト７の取り外し
作業が完了する。

尚、図示実施例においては、ワイヤ巻上げ機構
として吊荷作業用のウインチ８を利用したが、本
考案の他の実施例においてはワイヤ巻上機構とし
て伸縮ブーム１を利用してもよい。

次に、本考案の効果を説明すると、本考案のカ
ウンタウエイトの脱着装置は、カウンタウエイト
を旋回台の下面下に吊り上げるためのウエイト引
き上げ装置と、旋回台の下面下に引き上げられた
カウンタウエイトを旋回台側に固定するためのウ
エイト固定装置とを設けているため、該カウンタ
ウエイトを旋回台の下面下に容易に装着すること
ができ、これによつて旋回台の旋回動作に伴なう
危険範囲がせまくなるとともに作業機全体として
の安定性が向上するという効果がある。

又、カウンタウエイトが旋回台の下面下に装着
されるため、該カウンタウエイトの吊上げ距離が
短くてすみ、それだけ作業の迅速化を図り得ると
いう効果もある。

さらに、カウンタウエイトを吊上げるためのワ
イヤロープを一本とし、これをカウンタウエイト
に設けた一対のシーブにＵ字状にかけ回して吊り
上げるようにしているため、吊り上げ時のカウン
タウエイトの振れ回りを未然に防止することがで
きるとともに、カウンタウエイトの吊上げ途中に
おける傾斜を吊上げ作業の終了時において自動的
に修正することができ、連結ピンの嵌挿が容易と
なる等作業の安全性及び作業の簡易化を図り得る
という実用的効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案実施例に係るカウンタウエイ
トの脱着装置を有するトラツククレーンの全体図
第２図は第１図の−矢視図、第３図は第２図
の−縦断面図、第４図は第２図の−縦断
面図、第５図は第１図のカウンタウエイトの脱着
装置の要部分解斜視図である。 ７…カウンタウエイト、８…ワイヤ引き上げ機
構、１０…旋回台、１０ａ…旋回台の下面、１５
…シーブ、１７…ワイヤロープ、Ａ…ウエイト引
き上げ装置、Ｂ…ウエイト固定装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイヤ巻掛け方向に適宜離間してカウンタウエ
   イト７に取付けた一対のシーブ１５，１５に、両
   端側を旋回台１０の下面１０ａ側から上方に向け
   てとり出すようにして一本のワイヤロープ１７を
   Ｕ字状にかけ回し該ワイヤロープ１７を適宜のワ
   イヤ引き上げ機構８によつて引き上げることによ
   り前記カウンタウエイト７を前記旋回台１０の下
   面１０ａ下に吊り上げ得る如くしたウエイト引上
   げ装置Ａと、該ウエイト引き上げ装置Ａによつて
   前記旋回台１０の下面１０ａ下に引き上げられた
   前記カウンタウエイト７を前記旋回台１０の下面
   １０ａ下で吊り下げ状態で固定するためのウエイ
   ト固定装置Ｂとを設けたことを特徴とするカウン
   タウエイトの脱着装置。