JP2598741B2 - 吊上げ作業用梁装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数台の自走式クレー
ン車両を用いて重量物の吊上げ作業を実施する際に使用
される吊上げ作業用梁装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、工事現場内に機器類等の重量物
を据え付ける場合、同一工事現場内において汎用的に利
用できる採算性や機動性が買われ、２台の自走式クレー
ン車両を用いて重量物を吊上げる、いわゆる「相吊り」
あるいは「共吊り」と呼ばれる方法が一般に採用されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに２台の自走式クレーン車両を用いて重量物の吊上げ
作業を実施する場合には、各車両における巻上げワイヤ
ロープの巻取り開始および停止のタイミングや巻取りの
速度を一致させねばならず、熟練を要する極めて難しい
クレーン操作を強いられていた。また、例えば２台の自
走式クレーン車両における巻上げワイヤロープの巻取り
速度が一致せずに、各車両に加わる荷重のバランスが崩
れた場合には、一方の自走式クレーン車両に能力以上の
荷重が作用する不都合があるばかりでなく、荷重のバラ
ンスが崩れることによって各自走式クレーン車両の接地
安定性が低下する虞れがあり、これら不都合の対処方法
として、例えば特開平 4-251096 号公報のように、吊荷
の傾斜を検出して警報を発する装置も提供されている。
本発明は上記実状に鑑み、重量物の吊上げ作業を容易に
実施することが可能であるとともに、重量物の吊上げ時
における作業の安全性をも向上させ得る吊上げ作業用梁
装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本発明に関わる吊
上げ作業用梁装置では、複数台の自走式クレーン車両に
おける先端ブームに固定された梁本体に、複数台の自走
式クレーン車両のうちの１台の自走式クレーン車両にお
ける巻上げワイヤロープに連繋されて該巻上げワイヤロ
ープの巻取り・繰出し動作に基づいて昇降動作されるワ
ーク吊上げ手段を設けることによって、上記目的を達成
している。

【０００５】

【作用】上記構成によれば、１台の自走式クレーン車両
におけるクレーン操作によって重量物の吊上げ作業を実
施できるとともに、梁本体を介して各自走式クレーン車
両を互いに一体に連結したことにより各車両に対する荷
重のアンバランスが未然に防止され、もって各自走式ク
レーン車両における接地安定性の低下が可及的に抑えら
れる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明を一実施例を示す図面に基づい
て詳細に説明する。図１ないし図４は、２台の自走式ク
レーン車両によって重量物の吊上げ作業を実施する際に
用いられる吊上げ作業用梁装置１を示しており、この吊
上げ作業用梁装置１は、図１に示すように２台の自走式
クレーン車両１００，１００の先端ブーム１１２に固定
された梁本体１０と、この梁本体１０に設けられたワー
ク吊上げ手段２０とを具備している。

【０００７】なお、各自走式クレーン車両１００におけ
るクレーンブーム１１０は、基本ブーム１１１と該基本
ブーム１１１の先端に取付けられた先端ブーム１１２と
から構成されており、一方の自走式クレーン車両１００
（図１中の右方）のクレーンブーム１１０に設けられた
ガイドプーリ１１３と１１４とには、ウインチ１１５か
ら延びる巻上げワイヤロープ１２０が巻き掛けられてい
る。

【０００８】上記梁本体１０は、図１ないし図３中の左
右方向に延び、かつ四角断面形状を成す長尺の中空体か
ら構成されており、その内部には、上述した自走式クレ
ーン車両１００の巻上げワイヤロープ１２０を、上記ワ
ーク吊上げ手段２０へ案内するためのガイドプーリ１１
と１２とが回転自在に支承されている。

【０００９】また、上記梁本体１０における左右両端の
上部には、それぞれフランジ１０Ａが形成されており、
これらフランジ１０Ａには、プレート状を成す支持部材
３０が、それぞれ水平面内において梁本体１０と先端ブ
ーム１１２との相対的な位置決めを行い得るよう回転自
在に組み付けられている。

【００１０】上記支持部材３０は、図４に示すように基
端側縁部（図中左方縁部）を、クレーンブーム１１０の
先端ブーム１１２にピン結合部３５を介して取付けら
れ、上記クレーンブーム１１０に対し上下方向に沿って
揺動自在に支承されており、また上記支持部材３０の自
由端側縁部（図中右方縁部）には、先端ブーム１１２に
ピン結合部３６を介して取付けられた間隔調整可能なタ
ーンバックル４０が、ピン結合部３７を介して取付けら
れており、この結果、上記支持部材３０は上記先端ブー
ム１１２に固定されることになる。

【００１１】図１および図２に示すように、上記梁本体
１０の底面中央部には、周知の滑車ブロック２１が設け
られているとともに、該滑車ブロック２１の下端にはフ
ック２２が設けられており、上記滑車ブロック２１およ
びフック２２によって、上記ワーク吊上げ手段２０が構
成されている。

【００１２】上記ワーク吊上げ手段２０における滑車ブ
ロック２１を構成する駆動ワイヤロープは、後述するよ
うに自走式クレーン車両１００における巻上げワイヤロ
ープ１２０と連繋され、これにより上記ワーク吊上げ手
段２０は、自走式クレーン車両１００のウインチ１１５
による、巻上げワイヤロープ１２０の巻取り・繰出し動
作に基づいて昇降動作する。

【００１３】上記構成の吊上げ作業用梁装置１を用い
て、機器類等の重量物としてのワークＷの吊上げ作業を
行なう場合には、先ず２台の自走式クレーン車両１００
におけるクレーンブーム１１０を各々所定のブーム角度
に立ち上げた状態において、一方の自走式クレーン車両
１００（図１中の右方側）の巻上げワイヤロープ１２０
により梁本体１０とワーク吊り上げ手段２０とを吊上げ
るとともに、他方の自走式クレーン車両１００（図１中
の左方側）の巻上げワイヤロープ（図示せず）を用い、
梁本体１０の端部（図１中の左端部）をも同時に吊上げ
て上記梁本体１０を先端ブーム１１２に届かせる。

【００１４】こののち、上記梁本体１０における左右両
端を、各々上述した支持部材３０とターンバックル４０
とを介して、ピン結合部３５，３６により上記各先端ブ
ーム１１２に固定する。このとき、上記各クレーンブー
ム１１０を所定のブーム角度に設定した状態において上
記梁本体１０が水平面に倣った所定の姿勢となるよう、
上記ターンバックル４０を操作してクレーンブーム１１
０に対する梁本体１０の姿勢を調整しておく。

【００１５】また、各先端ブーム１１２に対する梁本体
１０の装着手順には、次のような方法もある。先ず、一
方の自走式クレーン車両１００（図１中の右方側）にお
ける先端ブーム１１２に、支持部材３０とターンバック
ル４０、およびピン結合部３５，３６を介して上記梁本
体１０の一方端部（図１中の右方端部）を固定し、巻上
げワイヤロープ１２０を滑車ブロック２１の駆動ワイヤ
ロープに連繋させたのち、この自走式クレーン車両１０
０のクレーンブーム１１０を所定のブーム角度に立ち上
げる。このとき、上記梁本体１０の他方端部（図１中の
左方端部）を、既に所定のブーム角度に立ち上がった他
方の自走式クレーン車両１００（図１中の左方側）の巻
上げワイヤロープ（図示せず）を用いて同時に吊上げる
ことが、一方の自走式クレーン車両１００に過大な荷重
が作用することを防ぐ意味からも好ましい。

【００１６】上述のように、梁本体１０が先端ブーム１
１２に到達してから、支持部材３０とターンバックル４
０、およびピン結合部３５，３７と３６とを介して、梁
本体１０の他方端部を固定することにより上記梁本体１
０の装着作業が完了する。

【００１７】各自走式クレーン車両１００のクレーンブ
ーム１１０は、所定のブーム角度に固定されており、玉
掛けしたワークＷを上記ワーク吊上げ手段２０のフック
２２に引っ掛け、次いで一方の自走式クレーン車両１０
０における巻上げワイヤロープ１２０をウインチ１１５
によって巻取り、上記フック２２を滑車ブロック２１を
介して上動させることによりワークＷの吊り上げ作業が
実施される。

【００１８】このとき、１台の自走式クレーン車両１０
０におけるクレーン操作、すなわちウインチ１１５の操
作によってフック２２を昇降動作させることができるの
で、複数台の自走式クレーン車両毎にクレーン操作を必
要としていた従来の共吊り作業に比較して、重量物の吊
上げ作業を容易に実施することができる。

【００１９】また、各自走式クレーン車両１００におけ
るクレーンブーム１１０同士が、梁本体１０を介して互
いに一体に連結されているため、従来の共吊り作業にお
いて発生する虞れのあった荷重のアンバランスが未然に
防止され、しかも各自走式クレーン車両１００における
接地安定性の低下が可及的に抑えられるために、ワーク
の吊上げ時における作業の安全性が格段に向上してい
る。

【００２０】なお、２台の自走式クレーン車両１００と
吊上げ作業用梁装置１との相対的な位置関係、言い換え
れば各自走式クレーン車両１００の配置態様としては、
図１に示すように各自走式クレーン車両１００を互いに
対向させて配置したり、あるいは図３から理解し得るよ
うに各自走式クレーン車両１００を同一方向に向けて並
べて配置したりする以外にも、工事現場の状況等に合わ
せて適宜に設定し得ることは言うまでもない。

【００２１】また、上述した実施例では、２台の自走式
クレーン車両を用いてワークの吊上げ作業を実施するた
めの吊上げ作業用梁装置を示したが、本発明に関わる吊
上げ作業用梁装置は３台以上の自走式クレーン車両を用
いてワークの吊上げ作業を実施する際にも適用可能であ
り、例えば３台の自走式クレーン車両を用いる場合に
は、梁本体の平面の形状を三角形に構成する等の対応に
よって本発明を有効に適用することができる。

【００２２】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に関わる
吊上げ作業用梁装置は、複数台の自走式クレーン車両に
おける先端ブームに固定された梁本体に、複数台の自走
式クレーン車両のうちの１台の自走式クレーン車両にお
ける巻上げワイヤロープに連繋されて該巻上げワイヤロ
ープの巻取り・繰出し動作に基づいて昇降動作されるワ
ーク吊上げ手段を設けているので、１台の自走式クレー
ン車両におけるクレーン操作によって重量物の吊上げ作
業を行なうことができ、もって複数台の自走式クレーン
車両を用いた重量物の吊上げ作業を容易に実施すること
が可能となるとともに、上記梁本体を介して各自走式ク
レーン車両を互いに一体に連結したことによって、各車
両に対する荷重のアンバランスが未然に防止されるため
に、上記各自走式クレーン車両における接地安定性の低
下が可及的に抑えられ、もって重量物の吊上げ時におけ
る作業の安全性を向上させることが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に関わる吊上げ作業用梁装置の使用態様
を示す概念的な全体側面図。

【図２】本発明に関わる吊上げ作業用梁装置を示す要部
断面正面図。

【図３】本発明に関わる吊上げ作業用梁装置の使用態様
を示す要部平面図。

【図４】本発明に関わる吊上げ作業用梁装置を示す要部
断面側面図。

【符号の説明】

１…吊上げ作業用梁装置、 １０…梁本体、 ２０…ワーク吊上げ手段、 ２１…滑車ブロック、 ２２…フック、 ３０…支持部材、 ４０…ターンバックル、 １００…自走式クレーン車両、 １１０…クレーンブーム、 １１２…先端ブーム、 １２０…巻上げワイヤロープ、 Ｗ…ワーク。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数台の自走式クレーン車両におけ
   る先端ブームに固定される梁本体と、 上記複数台の自走式クレーン車両のうちの１台の自走式
   クレーン車両における巻上げワイヤロープに連繋され、
   上記巻上げワイヤロープの巻取り・繰出し動作に基づい
   て昇降動作されるワーク吊上げ手段と、 を具備して成ることを特徴とする吊上げ作業用梁装置。