JPS6122008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用窓構造に係り、特に、車体前
側方に対する視界の向上を企図した車両用窓構造
に関する。

一般に、サツシユを備えたセダンタイプのフロ
ントドアに於いて、フロントドアガラス１は、第
１図及び第２図に示すように、その前端を前傾さ
せた形状に形成されており、図示外のレギユレー
タによつてガラス収納部２内に収納できるように
形成されている。そして、上記ガラス収納部２の
前後には、窓枠を構成するドアサツシユ３の下端
に連結したフロントロアサツシユ４及びリヤロア
サツシユ５が設けられていて、これらのフロント
ロアサツシユ４及びリヤロアサツシユ５でフロン
トドアガラス１がガイドされるようになつてい
る。

ところで、フロントドアガラス１の前部は、上
述の如く、前傾部６を備えているので、フロント
ドアガラス１のフロントロアサツシユ４への当接
部位は、フロントドアガラス１の下方部分のみに
なつてしまうという事態は避けられない。このた
め、従来にあつては、フロントドアガラス１の前
方下端部に下方に延びる延設部７を形成し、この
延設部７をフロントロアサツシユ４へ当接させる
ことにより、フロントドアガラス１の昇降動作の
安定化を図つていた。尚、第１図及び第２図中、
８はフロントウインドガラス、９はフロントピラ
ーである。

然しながら、このようなフロントドア構造にあ
つては、フロントドアガラス１の上下方向寸法が
嵩み、フロントドアガラス１を完全に収納するに
はガラス収納部２のスペースを大きく確保しなけ
ればならないため、ウエストラインを低くするこ
とは困難であつた。

そこで、このような問題を解決する手段とし
て、従来にあつては、第３図に示すように、ドア
サツシユ３の前方コーナー部に三角形状のコーナ
ーピース１０を取付け、このコーナーピース１０
の後端縁から下方に向けてフロントロアサツシユ
４を配設し、フロントドアガラス１の前部をコー
ナーピース１０の後端縁とフロントロアサツシユ
４とで支持することにより、フロントドアガラス
１の上下方向寸法をそれ程大きく形成することな
く、フロントドアガラス１の昇降動作を安定化さ
せるようにしたものがある。然しながら、このタ
イプにあつては、ドアサツシユ３の前方コーナー
部にコーナーピース１０を取付けているので、車
体の前側方への視界が遮ぎられてしまい、安全走
行上好ましくない事態を生ずるばかりでなく、別
物であるコーナーピース１０の分だけ部品点数が
嵩み、しかもコーナーピース１０の存在によつて
車体の外観品質を損うという虜れもあつた。

本考案は以上の観点に立つて為されたものであ
つて、その目的とするところは、空力特性を低下
させないため、車体のルーフパネルの前縁両側か
ら前方に向け傾斜して延設したフロントウインド
ガラス固定用の窓開口左右両側但を構成するフロ
ントピラーを、車体のウエスト上部において略垂
直下方へ折曲形成し、このフロントピラーに対応
して、フロントウインドガラスの左右両側下方部
を車体側部に廻り込ませて形成することにより、
コーナーピースを取付けることなく、フロントド
アガラスの昇降動作の安定化を図りながら、車体
前側方に対する視界の向上を企図した車両用窓構
造を提供することにある。

以下、添付図面に示す実施例に基づいて本考案
を詳細に説明する。

第４図乃至第６図に示す実施例に於いて、フロ
ントピラー９は、ルーフパネル１１の前側両端か
ら前傾して延び、車体のウエスト部上方において
略垂直下方に向けて折曲形成されており、このフ
ロントピラー９のウエスト部にはカウルトツプ１
２の後側両端において後方に延設した延長部（図
示せず）が衝合されている。そして、フロントウ
インドガラス８の両側を支持する窓開口フランジ
１３は、上記フロントピラー９のウエスト部上方
に形成されると共に、フロントウインドガラス８
の上下側を支持する窓開口フランジ１３は、夫々
ルーフパネル１１と図示外のフロントルーフレー
ル及び上記カウルトツプ１２と図示外のダツシユ
アツパパネルとで形成されている。

又、この実施例に於いて、フロントウインドガ
ラス８は、略矩形状には形成されておらず、その
左右両側下方部が車体側部に廻り込ませて折曲さ
れており、この折曲部１４は、フロントウインド
ガラス８の一般面との境界線１５を斜辺部とする
略直角三角形状に形成されていて、その縦辺部が
フロントピラー９の車体ウエスト部上方に位置す
る垂直部１６に当接すると共に、その底辺部がカ
ウルトツプ１２の延長部に形成した窓開口フラン
ジ１３に当接するように形成されている。

更に、フロントドアＤのドアサツシユ３は、フ
ロントピラー９の形状に対応した形状を有して形
成されており、このドアサツシユ３の前方垂直
部、即ちガイド部１７下端にはフロントロアサツ
シユ４が連結されている。そして、フロントドア
ガラス１は、ドアサツシユ３の形状に対応した形
状に形成されていて、フロントドアガラス１閉時
には、このフロントドアガラス１の下端がドアウ
エスト部１８より僅かに下方に位置するようにな
つており、又、フロントドアガラス１開時には、
フロントドアガラス１の前方垂直部がドアサツシ
ユ３のガイド部１７及びフロントロアサツシユ４
にガイドされてガラス収納部２内に収納されるよ
うになつている。

尚、上記フロントウインドウガラス８は窓開口
フラジ１３に接着剤１９を介して固定されてお
り、フロントウインドウガラス８の端部と車体と
の間隙２０を隠蔽するためにモール２１が装着さ
れている。又、第６図中、２２はフロントドアＤ
と車体との間のシールを行うウエザーストリツ
プ、２３はグラスランラバーである。

従つて、この実施例に係る車両用窓構造によれ
ば、フロントウインドガラス８の左右両側下端に
車体側部に廻り込む折曲部１４が形成されている
ため、フロントウインドの開口面積が大きくな
り、フロントウインドガラス８を通じての視界面
積が拡大する。特に、上記折曲部１４を通じて車
体の前側方における視界面積が拡大することにな
る。又、この実施例では、フロントピラー９が車
体のウエスト部上方において略垂直下方に折曲さ
れている関係上、フロントドア９におけるドアサ
ツシユ３ウエスト部上方にフロントドアガラス１
をガイドするガイド部１７が確保されることにな
り、フロントドアガラス１の昇降動作が安定す
る。更に、フロントウインドガラスの曲りはそれ
ほど大きくする必要はない。

尚、上記実施例に於いて、フロントウインドガ
ラス８の折曲部１４下端はカウルトツプ１２に形
成した窓開口フランジ１３で支持しているが、必
ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、
フロントピラー９等にブラケツトを取付け、該ブ
ラケツトで上記折曲部の下端を支持してもよい。

以上説明してきたように、本考案に係る車両用
窓構造によれば、フロントウインドの窓開口の左
右両側を構成し、車体のルーフパネルの前縁両側
から前方に向け傾斜して延設したフロントピラー
を、車体のウエスト部上方において略垂直下方に
折曲形成し、このフロントピラーに対応して、フ
ロントウインドガラスの左右両側下方部を車体側
部に廻り込ませて形成したので、良好な空力特性
を保持しつつ、また特に大きな曲りを形成したフ
ロントウインドガラスを使用することなく、従来
コーナーピースを取付けていた個所に対応した個
所がフロントウインドガラスの折曲部となり、こ
の折曲部を通じて車体の前側方に対する視界を向
上させることができる。又、フロントドアにおけ
るドアサツシユもフロントピラーの形状に対応し
て形成することができるので、ドアサツシユのウ
エスト部上方部分を直接フロントドアガラスのガ
イド部として機能させることができ、フロントド
アガラスの上下方向寸法を大きく形成することな
く、フロントドアガラスの昇降動作を安定化させ
ることが可能となる。このため、従来のように、
ドアサツシユの前方コーナー部にコーナーピース
を取付ける必要がなくなり、部品点数の低減を図
ると共に、車体の外観品質を維持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車両を示す斜視図、第２図は従
来のフロントドア構造の一例を示す斜視図、第３
図は従来のフロントドア構造の他の例を示す斜視
図、第４図は本考案に係る車両用窓構造の一実施
例を示す斜視図、第５図は第４図中Ａ部拡大図、
第６図は第５図中−線断面図である。 Ｄ……フロントドア、１……フロントドアガラ
ス、８……フロントウインドガラス、９……フロ
ントピラー、１３……窓開口フランジ、１４……
折曲部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体のルーフパネルの前縁両側から前方に向け
   て傾斜して延設され、窓開口の左右両側を構成す
   るフロントピラーを、車体のウエスト部上方にお
   いて略垂直下方へ折曲形成し、このフロントピラ
   ーの形状に対応して、フロントウインドウガラス
   の左右両側下方部を車体側部に廻り込ませて形成
   したことを特徴とする車両用窓構造。