JPS6120881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、木造建物のラスモルタル塗外壁用通
気孔金物セツトに関し、特に本考案は木造建物の
ラスモルタル塗外壁の下段および中段にそれぞれ
設けられる下段通気孔金物と中段通気孔金物とか
らなる通気孔金物セツトに関するものである。

（従来の技術） 実開昭52−55009号公報により枠体の表裏両面
に表面板及び裏面板を張設してなる中空パネルの
表面板の上部及び下部に該中空パネル内部の空気
を換気せしめる換気口を開閉自在に形成せしめて
なる建築用板が知られている。また実開昭52−
55817号公報により表面側に縦方向のリブを横方
向に任意間隔毎に列設して断面ラツク形状に形成
した断熱材をパネル枠の中に挿入し、パネル枠の
表側に張つた表面材と該断熱材の表面側の相隣る
縦リブ間の凹溝とに空気気層を形成し又、パネル
枠の裏側に張つた裏面材と該断熱材との間にも空
気層を形成し、さらにパネル枠の上枠及び下枠に
は相隣る縦リブ間の空気層とパネル枠外部とを連
通する空気流通孔を設けたことを特徴とする壁パ
ネルが知られている。

また実開昭51−85512号公報によれば、土台カ
バーのコ字状部の下横片に換気口を設け、下横片
の端部に下方に向けて垂設せる取付片を土台の外
側下部に取付け、土台の外側とコ字状部との間に
空気流通空間を設け、土台に両側に連通する連通
部を設けて空気流通空間と床下空間とを連通せし
めて成る換気口付土台が知られている。

（考案が解決しようとする問題点） 木造ラスモルタル塗建物は建築費が安く、建築
作用が容易であるため、木造建築物、なかでも民
間住宅の主流を占めている。しかしながら、木造
外部ラスモルタル塗建物はその土台、柱に根腐れ
が生起しやすく、またこれにともなつて白蟻の被
害も少なくない。

ところで、前記実開昭52−55009号公報記載の
建築用板は、日射による温度上昇の防止、結露防
止には効果があるが、ラスモルタル塗外壁を有す
る木造建物に比し費用が大であり、かつ１つの中
空パネル内において空気が換気されるため、建物
の土台の根腐れに対しては格別の効果は見られ
ず、さらに多種・多様な民間木造建物および住宅
に用いられるためにはこの建築用板の漂準化は誠
に困難であるという問題点がある。また実開昭52
−52817号公報記載の壁パネルも前記考案のもの
と同様に壁パネルの断熱性を向上させると共に結
露の防止には効果があるが、壁パネル自体の価格
が高く、また多種・多様な木造建築物および民間
住宅の壁に対して標準化が困難であるという欠点
がある。また前記実開昭51−85512号公報記記載
の換気口付土台は鉄骨構造体用の通気を計るため
の土台であるため、民間の木造ラスモルタル塗建
物に配設するにはコストがかかりすぎて適用が困
難であるという欠点がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記従来の考案の有する問題点ある
いは欠点を除去・改善した木造建物のラスモルタ
ル塗外壁用通気孔金物セツトを提供することを目
的とするものであり、本考案の通気孔金物セツト
を提供することによつて前記目的を達成すること
ができる。

次に本考案を図面について説明する。

第１図は本考案の木造建物のラスモルタル塗外
壁用通気孔金物セツトが配設された外壁の縦断面
図であり、同図においてコンクリート製基礎１の
上には土台２が敷設されており、その上に本考案
の下段通気孔金物（以下下段金物と称する）３が
設けられており、下段金物３の上部に接してラス
モルタル塗外壁４が設けられており、外壁４の上
部に接して中段通気孔金物（以下中段金物と称
す）５が設けられており、中段金物５の上部に接
して軒下に至るまでラスモルタル塗外壁６が設け
られている。図中７は柱あるいは間柱を示す。

第２および３図はそれぞれ本考案の通気孔金物
５，３が中、下段２段に所要間隔（例えば大きく
とも1mの間隔）に離隔されて建物の外壁に帯状
に配設された状態を示す斜視図である。

第４図Ａは下段金物３の縦断面説明図、同図Ｂ
は下段金物３を表側面方向から見た斜視図であ
る。下段金物３は外壁に取付けられた状態では垂
直面となる第１押え縁８と第２押え縁９を有す
る。第１押え縁８の下端辺に接して表側へ傾斜下
降するよう屈曲された第１雨押え１０が形成され
ている。第１雨押え１０の下端辺に接して裏側へ
反転して傾斜上昇するよう屈曲された第１雨返し
１１が形成されている。第１雨返し１１の上端辺
に接し表側へ反転して傾斜下降するよう屈曲され
た第２雨押え１２が形成されており、第２雨押え
１２の下端辺に接して裏側へ反転して傾斜上昇す
るよう屈曲された第２雨返し１３が形成されてい
る。第２雨返し１３の上端辺は屈曲されて第２押
え縁９が垂下するよう形成されている。

第１雨返し１１上には第５図に示す如く第１雨
返し１１と第２雨押え１２の接線１４を一辺とし
て他の三辺を切抜いて上方へ押上げて形成される
直方形の孔１５が所定間隔に多数並設されてお
り、前記押上げられた小片１６は船のハツチ窓枠
が上方へ半開されたような状態になつている。

また第１雨押え１０と第２雨押え１２の裏面に
は並列した小片１６の背面に仮想延長線が当接す
るよう煙返し垂下板１７，１８がそれぞれ設けら
れている。

ところで、下段金物３の第２雨押え１２の下端
辺と線接触する第２雨返し１３上にも、第５図に
示すような直方形の孔が所定間隔に多数並設され
ており、またハツチ窓が上方へ半開されたような
状態に小片が設けられている。

次に本考案の中段金物５についてその構造を説
明する。

中段金物５は第６図に示すように下段金物３の
押え縁８，９と同様の第１押え縁１９と第２押え
縁２０を有しているが、下段金物３と相違する構
造点は、雨押え２１、雨返し２２がそれぞれ１つ
であり、また雨返し２２上に並設される通気孔２
３と傾開小片２４の数が少ないことであり、下段
金物３の通気孔１５の数の1/3程度の数でよい。
その理由は防火上必要以上の通気を抑制するため
である。

次に本考案の下段金物３および中段金物５が木
造建物のラスモルタル塗外壁に取付けられた態様
を第７図の縦断面図によつて説明する。

下段金物３の第２押え縁９は該押え縁面に設け
られた釘孔を通して土台２に固定され、第１押え
縁８は複数本の柱および／または間柱７の間に釘
着されたラス張下地板２６にアスフアルトルーフ
イング２７を介して釘着されている。

中段金物５の取付け方法は上記下段金物３の第
２押え縁８の釘着要領と同様に第１、第２押え縁
１９，２０をアスフアルトルーフイング２７を介
してラス張下地板１９に釘着する。

次に本考案の下段金物３および中段金物５の相
関的作用について説明する。

外壁に配設された下段金物３は土台２直上に設
けられており、第１、第２雨返し１１，１３に設
けられた多数の通気孔１５を通して外気が建物の
間柱間に侵入し、その間を上昇して、中段金物５
の雨返し２２に設けられた通気孔２３より外気中
へ放出される。従つて湿つた土台２、柱あるいは
間柱７、ラス張下地板２６の水分は下段金物３よ
りの乾燥外気によつて絶えず除去されるので、ラ
スモルタル塗外壁を有する木造建物の根腐れを防
止し、根腐れに起因する白蟻被害を好適に防止す
ることができる。

しかし、隣接建物に万一火災が発生した場合、
下段あるいは中段金物３，５の通気孔１５，２３
より炎あるいは熱風が外壁裏側に吸引されるのを
防止するため、雨押え１０，１２，２１の裏側に
煙返し垂下板１７，１８，２５が設けられている
ので、炎あるいは熱風の温度を木材の発火温度以
下に抑えることができる。

本考案の下段金物３と中段金物５の設置間隔は
1m以下が望ましく、例えば第２および３図に示
すように中段金物５を窓際より低位置にすること
が有利である。その理由はラスモルタル塗外壁の
裏側木材の根腐れは土台と窓際下方との間に生起
するのが大部分であるから、その部分の通気を良
好にすればよいからである。

本考案の通気孔金物は鋼板、カラー鋼板、銅
板、アルミ板、ステンレス鋼板のいずれかで製作
することが有利であり、この金物の長さは例えば
1m、2m、3m等と標準化することができる。

（考案の効果） 本考案によれば、木造建物のラスモルタル塗外
壁の裏側の土台、柱、間柱、ラス張下地板の湿気
による腐敗を有効かつ確実に防止することがで
き、また前記腐敗に基いて発生する白蟻による被
害をも防止することができるので、我が国の如き
多湿気候の国におけるあらゆる木造建物住宅に本
考案の安価な通気孔金物セツトを使用することの
効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の通気孔金物セツトが木造建物
ラスモルタル塗外壁に配設された状態を示す縦断
説明図、第２図および第３図は、本考案の通気孔
金物セツトが、それぞれ木造建物のラスモルタル
塗外壁に配設された状態を示す斜視図、第４図Ａ
は本考案の下段金物の縦断面図、同図Ｂは本考案
の下段金物の斜視図、第５図は第４図Ｂの下段金
物の雨返し１１に設けられた通気孔１５と短冊状
小片１６の配設状態を示す透視説明斜視図、第６
図Ａは本考案の中段金物の縦断面図、同図Ｂは本
考案の中段金物の斜視図、第７図は本考案の通気
孔金物セツトが木造建物のラスモルタル塗外壁に
配設された状態を示す第１図の部分拡大縦断説明
図である。 １…基礎コンクリート、２…土台、３…下段金
物、４，６，２１…ラスモルタル塗外壁、５…中
段金物、７…柱、間柱、８…第１押え縁、９…第
２押え縁、１０…第１雨押え、１１…第１雨返
し、１２…第２雨押え、１３…第２雨返し、１４
…接線、１５，２３…通気孔、１６，２４…短冊
状小片、１７，１８，２５…煙返し垂下板、１
９，２０…押え縁、２１…雨押え、２２…雨返
し、２６…ラス下地板、２７…アスフアルトルー
フイング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 木造建物のラスモルタル塗外壁の下段と中段に
   それぞれ帯状に設けられるラスモルタル塗外壁用
   下段および中段通気孔金物とからなる通気孔金物
   セツトであつて： 前記下段通気孔金物は、外壁に付設されたとき
   の状態でその上部に垂直平板状第１押え縁を有
   し、 前記第１押え縁の下端辺に接して表側へ傾斜下
   降する第１雨押えを有し、 前記第１雨押えの下端辺に接して裏側へ反転し
   て傾斜上昇する第１雨返しを有し、 前記第１雨返しの上端辺に接して表側へ反転し
   て傾斜下降する第２雨押えを有し、 前記第２雨押えの下端辺に接して裏側へ反転し
   て傾斜上昇する第２雨返しを有し、 前記第２雨返しの上端辺に接して垂直平板状の
   第２押え縁を有しており、 前記第１および第２雨返しには、それぞれ短冊
   状通気孔が所定間隔に多数並列に設けられ、それ
   ぞれの通気孔上には通気孔とほぼ同形の短冊状小
   片が第１および第２雨返しのそれぞれの上端辺に
   固定され上方へ半開されて設けられており、 前記第１および第２雨押えの裏面には前記半開
   されたそれぞれの短冊状片の背面に仮想延長線が
   当接するようそれぞれ１枚の煙返し垂下板が設け
   られており； 前記中段通気孔金物は、 外壁に付設されたときの状態で、その上部に垂
   直平板状第１押え縁を有し、 第１押え縁の下端辺に接して表側へ傾斜下降す
   る雨押えを有し、 前記雨押えの下端辺に接して裏側へ反転して傾
   斜上昇する雨返しを有し、 前記雨返し上端辺に接して垂直平板状第２押え
   縁を有しており、 前記雨返しには短冊状通気孔が、前記下部通気
   孔金物の第１および第２の雨返し板に設けられた
   通気孔の数より少なく設けられ、それぞれの通気
   孔上には通気孔とほぼ同形の短冊状片が前記雨返
   しの上端辺に固定され上方へ半開されて設けられ
   ており、 前記両押えの裏面には前記半開されたそれぞれ
   の短冊状片の背面に仮想延長線が当接するよう１
   枚の煙返し垂下板が設けられている； ことを特徴とする下段通気孔金物と中段通気孔
   金物とからなる、木造建物のラスモルタル塗外壁
   用通気孔金物セツト。