JPS6120746B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、出力歯車を支持するころがり軸受に
所定の予荷重が付与される自動車用変速機に関す
る。 高速運転時間の増加に伴つて燃料消費効率の向
上および騒音低減を図るためにオーバドライブ装
置付き自動変速機の需要が増大している。また自
動車の軽量化に有効である前方機関前輪駆動式の
自動車の自動変速機では、機関クランク軸が自動
車の左右方向に沿つてエンジンが配置されること
が有利であり、このために自動変速機の軸線方向
寸法の縮小が望まれている。 そこで本出願人は、昭和53年特許出願第48063
号において軸線方向寸法の縮小された自動変速機
を示し、この自動変速機は、互いに同軸的に配置
されている複数の単位体、例えばアンダドライブ
装置およびオーバドライブ装置から成り、各単位
体が少なくとも１つの遊星歯車装置を含み、機関
動力の流れに関して下流側の単位体、例えばオー
バドライブ装置が、上流側の単位体、例えばアン
ダドライブ装置の出力部に連結する入力軸と、リ
ングギヤ、サンギヤおよびキヤリヤの少なくとも
３つの回転要素をもち１つの回転要素が入力軸に
連結されている遊星歯車装置と、内輪、外輪およ
び転動子からなる第１のころがり軸受を介して入
力軸に回転可能に支持されかつ遊星歯車装置の他
の１つの回転要素に連結する出力歯車とを有して
いる。ころがり軸受には予荷重が付与される必要
があり、このためにこの自動変速機では、ハウジ
ングの端部に設けられているナツトを締回するこ
とにより入力軸を移動させ、こうして入力軸のフ
ランジ部とハウジングの内方突出部分との軸線方
向距離を変化させて調整が行われる。したがつ
て、予荷重の調整を、ハウジング内の所定の組付
け、例えばオーバドライブ装置の組付けが終了し
てからでなければ実施できないばかりか、適切な
予荷重が果たしてころがり軸受にかかつているか
を判断するためのひきずりトルクの測定がほぼ困
難、あるいは測定精度が低いという不具合があ
る。 本発明の目的は、このようなころがり軸受の予
荷重の調整が、所定の組付け後に制約されないだ
けではなく、ひきずりトルクの測定器が、そのこ
ろがり軸受により支持されている出力歯車に直接
当てられて、かつ高い精度で測定値が得られる自
動車用変速機を提供することである。 この目的を達成するために本発明によれば、自
動車用変速機が、互いに同軸的に配置されている
複数の単位体から成り、各単位体が少なくとも１
つの遊星歯車装置を含み、機関動力の流れに関し
て下流側の単位体は上流側の単位体の出力部に連
結している入力軸を有しているものにおいて、こ
のような入力軸に出力歯車を回転可能に支持する
第１のころがり軸受の内、外輪の一方が係合する
軸線に対して実質的に垂直な入力軸の面と、入力
軸を回転可能に支持するため入力軸とハウジング
との間に設けられかつ内輪、外輪、転動子とから
成る第２のころがり軸受と、入力軸の端部に螺合
する与圧手段とを有し、与圧手段は第２のころが
り軸受の内輪を介して第１のころがり軸受に与圧
を与える。 こうして本発明では、入力軸ところがり軸受と
出力歯車とが組付けられさえすれば直ちに与圧手
段としてのナツトにより予荷重調整が行なわれ、
ひきずりトルクの測定器は出力歯車に直接当てる
ことができ、高い精度でひきずりトルクを側定す
ることができる。 次に図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。 最初に本発明が適用される自動変速機の全体を
第１図のスケルトン図で概略的に説明すると、機
関１は、自動車の幅方向へ延びるクランク軸２を
有し、機関１の隣りから順に流体式トルクコンバ
ータ３、アンダドライブ装置４、およびオーバド
ライブ装置５が、クランク軸２に対して同軸的に
配置される。流体式トルクコンバータ３は、クラ
ンク軸２に結合しているポンプインペラ６、一方
向クラツチ７を介して静止部分８へ結合している
ステータ９、およびタービン軸１０に結合してい
るタービン１１を備えている。アンダドライブ装
置４の流体式トルクコンバータ３側の遊星歯車装
置１５は、サンギヤ１６、ピニオン１７、リング
ギヤ１８、およびピニオン１７を回転可能に支持
するキヤリヤ１９を含み、クラツチ２０は、アン
ダドライブ装置４の入力部分としてのタービン軸
１０と遊星歯車装置１５のリングギヤ１８との接
続を制御し、クラツチ２１はタービン軸１０とサ
ンギヤ１６との接続を制御し、ブレーキ２２はサ
ンギヤ１６の固定を制御する。オーバドライブ装
置５側の遊星歯車装置２５は、サンギヤ２６、ピ
ニオン２７、リングギヤ２８、およびピニオン２
７を回転可能に支持するキヤリヤ２９を含み、ク
ラツチ３１と一方向クラツチ３２とは、互いに並
列に設けられてキヤリヤ２９と静止部分８との接
続を制御する。サンギヤ１６および２６は共通な
サンギヤ軸３３に設けられている。一方向クラツ
チ３６とクラツチ３７とは互いに直列に設けられ
て静止部分８とサンギヤ軸３３との接続を制御す
る。キヤリヤ１９およびリングギヤ２８は中間軸
４０に結合している。オーバドライブ装置５の遊
星歯車装置４１は、サンギヤ４２、ピニオン４
３、リングギヤ４４、およびピニオン４３を回転
可能に支持するキヤリヤリヤ４５を備え、一方向
クラツチ４６およびクラツチ４７は互いに並列に
設けられてサンギヤ４２とキヤリヤ４５との接続
を制御し、クラツチ４８はサンギヤ４２と静止部
分８との接続を制御し、キヤリヤ４５は中間軸４
０に結合している。出力歯車５２は、遊星歯車装
置２５，４１の軸線方向中間に配置されて、リン
グギヤ４４に結合している。伝導軸５３は、中間
軸４０に対して並列に延び、両端にそれぞれ歯車
５４，５５を取付けられている。歯車５４は出力
歯車５２にかみ合う。差動装置５９は、自動車の
幅方向中央に配置され、１対のデフピニオン６
０、デフピニオン６０にかみ合う１対のサイドピ
ニオン６１、およびデフピニオン６０を回転可能
に支持するデフケースの外面に設けられて伝導軸
５３の歯車５５にかみ合う歯車６２を含む。サイ
ドピニオン６１は左右のアクルス軸６３，６４に
それぞれ結合している。 次の表は、各摩擦係合装置の作動とそれにより
達成される変速位置との関係を示す。表において
○は係合状態であることを、△はエンジンブレー
キを作動させる時に係合状態であることを、それ
ぞれ示す。なお数字は第１図のそれぞれの摩擦係
合装置に対応している。

【表】 第２図は本発明の実施例の主要部を詳細に示し
ている。中間軸４０の軸線方向中間の外周面には
スプライン溝６９を形成され、中空の軸状部材７
０は、中間軸４０の外周に嵌合され、内周面に部
分的に形成されているスプライン溝７１において
中間軸４０のスプライン溝６９にスプライン結合
している。軸状部材７０において遊星歯車装置４
８側の端部にはフランジ７２が形成され、このフ
ランジ７２はキヤリヤ４５に結合している。ま
た、遊星歯車装置２５側の軸状部材７０の端部で
は、内径を拡張されている内周部７３と、ねじ溝
を形成されている外周面７４とが形成され、リブ
７５の中空のボス部７６が軸状部材７０の内周部
７３内に嵌入されている。外周部７４の一部には
所定深さの溝７８が形成されている。ボス部７６
の内周面にはスプライン溝７７が形成されてい
て、このスプライン溝７７が中間軸４０のスプラ
イン溝６９にはまつている。リブ７５は半径方向
外端において遊星歯車装置２５のリングギヤ２８
に結合している。出力歯車５２はリングギヤ４４
と個所８１においてスプライン結合しており、止
め輪８２が、このスプライン部分に設けられてリ
ングギヤ４４と出力歯車５２との軸線方向の相対
移動を阻止している。出力歯車５２を外周に形成
されている歯車部材８３の内周部には、軸線方向
両側にそれぞれに段８４，８５を形成され、円錐
ころ軸受８６，８７のアウタレースがそれぞれ段
８４，８５に嵌入されている。円錐ころ軸受８
６，８７のインナレースは軸状部材７０の外周に
はめ込まれ、これらインナレースの間にはスペー
サ８８が配置される。円錐ころ軸受８６，８７に
おいてアウタレースはインナレースより軸線方向
外側へ所定寸法突出している。球軸受９０は、軸
状部材７０の外周にはめ込まれて円錐ころ軸受８
６のアウタレースに接触するインナレースと、静
止部分としてのトランスミツシヨンケース９１に
結合するアウタレースとをもち、止め輪９２は、
アウタレースがアンダドライブ装置４の方へ移動
するのを阻止する。ナツト９３は軸状部材７０の
外周部７４にねじ込まれる。ナツト９３の締込み
後、ナツト９３の緩みを防止するために回り止め
部材９４が球軸受９０のインナレースとナツト９
３との間に設けられている。第３図にナツト９３
および回り止め部材９４が斜視図で示されている
ように、ナツト９３は、外周に等角度間隔で歯９
５を形成され、内周には軸状部材７０の外周部７
４にねじ込まれる雌ねじ９６を形成されている。
他方、板状の回り止め部材９４は、歯９５の歯数
より１つだけ歯数の多い歯９７を外周に等角度間
隔で形成され、内周には軸状部材７０の外周部７
４の所定深さの溝７８にはまる突出部９８をも
つ。ナツト９３の締込みが終了すると、ナツト９
３の歯９５のちようど中間に位置する回り止め部
材９４の歯９７が歯９５の間の谷内まで折曲げら
れる。回り止め部材９４の突出縁９８と折曲げら
れた歯９７とにより軸状部材７０に対するボルト
９３の相対回転が阻止される。 各運動部材の潤滑および冷却を行なうためにオ
イルが供給される。円錐ころ軸受８６，８７へ供
給されるオイルは、オイルポンプから、中間軸４
０の中心に形成されている軸線孔１００、中間軸
４０の半径孔１０１、軸状部材７０の半径孔１０
２、およびスペーサ８８の半径孔１０３を介して
導かれる。遊星歯車装置４８のピニオン４３を回
転可能に支持するニードルベアリング１０９へ供
給されるオイルは、軸線孔１００、中間軸４０の
別の半径孔１０４、フランジ７２の半径孔１０
５、およびキヤリヤ４５の孔１０６を介して導か
れる。 円錐ころ軸受８６，８７の予荷重の調整につい
て説明する。従来装置では、出力歯車５２を回転
可能に支持する円錐ころ軸受の予荷重調整は、オ
ーバドライブ装置５の組付後、オーバドライブケ
ース１１０の外側からでなければ調整作業が不可
能であつたが、本発明では予荷重調整用のナツト
が軸状部材７０の個所にあるので、自動変速機製
造工程の任意の時に実現可能となる。すなわち予
荷重調整のためには、フランジ７２を有する軸状
部材７０、出力歯車５２を有する部材８３にすで
に組付けられた円錐ころ軸受８６，８７、および
球軸受９０のみが予め組付けを必要とされ、これ
らのみが第２図に示されるような位置関係で組付
けられさえすれば、予荷重の調整が可能となる。
軸状部材７０の端部外周部７４におけるナツト９
３の締込みにより、球軸受９０、円錐ころ軸受８
６，８７はフランジ７２の方へ押付けられる。円
錐ころ軸受８７のアウタレースはフランジ７２に
より移動を阻止されているので、歯車部材８３の
段８４，８５、およびスペーサ８８を介して円錐
ころ軸受８６，８７のせん断荷重は、締込みとと
もに増大する。適当なタイミングで、出力歯車５
２に測定器が当てられてこの測定器により円錐こ
ろ軸受のひきずりトルクが検出され、円錐ころ軸
受８６，８７にかかつている荷重が調べられ、所
定の荷重が得られると、ナツト９３のねじ回しを
終了する。この後、回り止め部材９４の１つの歯
がナツト９３の２つの歯９５の間の谷内へ折曲げ
られ、ナツト９３が緩むのを防止する。 このように本発明によれば、フランジ７２をも
つ軸状部材７０上への組付けさえ終了すれば、直
ちに円錐ころ軸受８６，８７の予荷重調整を行な
うことができ、オーバドライブ装置５の組付終了
後でなければ予荷重調整ができなかつた従来の制
約を解除することができるとともに、ひきずりト
ルクの測定器を歯車部材８３に直接当てて、正確
な予荷重調整を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が適用される自動変速機のスケ
ルトン図、第２図は本発明の実施例の主要部を詳
細に示す図、第３図は予荷重調整用ナツトと回り
止め部材との斜視図である。 ４……アンダドライブ装置（単位体）、５……
オーバドライブ装置（単位体）、５２……出力歯
車、７０……軸状部材、７２……フランジ、７４
……ねじ溝付外周部、８３……歯車部材、８６，
８７……円錐ころ軸受、９３……ナツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 互いに同軸的に配置されている複数の単位体
   から成り各単位体が少なくとも１つの遊星歯車装
   置を含んでいる自動車用変速機であり、機関動力
   の流れに関して下流側の単位体が、上流側の単位
   体の出力部に連結する入力軸と、リングギヤ、サ
   ンギヤおよびキヤリヤの少なくとも３つの回転要
   素をもち１つの回転要素が前記入力軸に連結され
   ている遊星歯車装置と、内輪、外輪および転動子
   から成る第１のころがり軸受を介して前記入力軸
   に回転可能に支持されかつ前記遊星歯車装置の他
   の１つの回転要素に連結する出力歯車とを有して
   いる自動車用変速機において、前記第１のころが
   り軸受の内、外輪の一方が係合する軸線に対して
   実質的に垂直な前記入力軸の面と、前記入力軸を
   回転可能に支持するため前記入力軸と前記自動車
   用変速機のハウジングとの間に設けられかつ内
   輪、外輪および転動子からなる第２のころがり軸
   受と、前記入力軸の端部に螺合する与圧手段とを
   有し、前記与圧手段は前記第１のころがり軸受に
   前記第２のころがり軸受の内輪を介して予圧を与
   えるようにしたことを特徴とする、自動車用変速
   機。