JPS6118258Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はドラムブレーキにおけるケーブルアツ
センブリのクランプ構造に関し、特にドラムブレ
ーキのバツキングプレートに形成されたケーブル
引込口にケーブルアツセンブリをクランプするた
めの構造に関する。

ドラムブレーキにおいては、ブレーキ操作力を
伝達するケーブルとこのケーブルを案内する外筒
とを含むケーブルアツセンブリが広く使用されて
おり、バツキングプレートに形成された引込口に
先端部を挿入した状態で外筒をバツキングプレー
トにクランプし、ケーブルがこの外筒に案内され
てケーブル引込口を通過するようにするのであ
る。

第１図および第２図は、このようなケーブルア
ツセンブリのケーブル構造を含む従来のドラムブ
レーキの一例を示したものであつて、ケーブルア
ツセンブリ１は第２図に示すようにケーブル２と
これを案内する外筒３を含み、外筒先端部の若干
長さが小径部３ａとなりその基部に段付部３ｂが
形成されている。この小径部３ａはバツキングプ
レート５のパンプ部５ｂに形成されたケーブル引
込口５ａに挿入され、ゴム等のシール材４とスペ
ーサ６とでケーブル引込口５ａの周縁部を挾んだ
状態でＣ形同心止め輪またはＥ形止め輪等の止め
輪７で固定されている。またこの外筒３は、バツ
キングプレート５の外側において、クランプ（矩
形板をループ状に曲げ加工して成るもの）８によ
つてバツキングプレート５に固定されている。ケ
ーブル２の先端部はパーキングレバー９の先端部
９ａに係合されており、パーキングレバー９は第
１図に示すように、バツキングプレート５に保持
されたブレーキシユー１０，１０のうちの一方に
ピン１１によつて枢着されている。

なお、ケーブル２が折れ曲つてバツキングプレ
ート１に接触する場所（第２図参照）には、保護
のためにケーブルガイド１２が設けられている。

以上のような構成にケーブルアツセンブリ１を
ドラムブレーキに組付ける場合には、外筒３の先
端の小径部３ａにシール材４を嵌装した後これを
バツキングプレート５のケーブル引込口５ａに差
し入れ、バツキングプレート５の内側においてス
ペーサ６を嵌装して止め輪７で固定する一方、バ
ツキングプレート５の外側においても、クランプ
８によつてバツキングプレート５を固定すること
が必要であつた。

このように、従来においては、クランプ８が外
筒３の軸心に直角な方向の動きを主に規制するも
のであつて外筒３の軸心方向の動きを阻止する働
きが比較的弱いことに起因して、バツキングプレ
ート５の外側に設けられたクランプ８とは別に、
外筒３の軸心方向の動きを阻止するため、および
外筒３の段付部３ｂとバツキングプレート５との
間に介装されるシール材４に充分な液密性を得る
に必要な予圧力を付与するために、前記のような
止め輪７およびスペーサ６等の部材をバツキング
プレート５の内側に設ける必要があつた。したが
つて、従来においては、バツキングプレート５の
内側と外側との両側における固定作業が必要であ
り、しかも止め輪７およびスペーサ６等の部材が
不可欠であつたのである。

本考案は、かかる事情に鑑み、上記の問題を解
決するためになされたものであつて、その要旨と
するところは、ケーブルアツセンブリの外筒の先
端部近傍の外周面に環状の溝を形成し、矩形板を
ループ状に曲げ加工して成るクランプ部材を該溝
に嵌め入れた状態で前記バツキングプレートに固
定することによつて、前記外筒をその軸心方向な
らびに該軸心に直角な方向に移動不能に前記バツ
キングプレートにクランプするとともに、前記外
筒が前記バツキングプレートにクランプされるこ
とによりバツキングプレートに押圧されて該外筒
とバツキングプレートとの間を所定の予圧力で封
止するシール部材を設けたことにある。

以下本考案の一実施例を示す第３図に基づいて
詳細に説明する。この第３図に示すものは、従来
装置の第２図に相当するケーブルアツセンブリ２
１のクランプ構造であつて、ケーブル２を案内す
る外筒２３は先端部の一定長さ部分が小径部２３
ａとされ、その基部に段付部２３ｂが形成されて
いる。この小径部２３ａには、その先端部に若干
の部分を残して環状の矩形溝２０がその外周面に
形成されている。

この外筒２３は、その小径部２３ａをバツキン
グプレート５のバンプ部５ｂに形成されたケーブ
ル引込口５ａに挿入され、段付部２３ｂがバツキ
ングプレート５に圧着された状態で、クランプ２
２によつて固定されている。クランプ２２は矩形
溝２０の幅Ａより僅かに狭い幅Ｂの矩形板がルー
プ状に曲げ加工されたものであつて、その外筒２
３端部側の側面２２ａが矩形溝２０の側壁を外筒
２３端部側に押圧した状態で、バツキングプレー
ト５に溶接されたブラケツト２８にボルト２９に
よつて固定されているのである。そして段付部２
３ｂとバツキングプレート５との接触面を覆うゴ
ム等のシール材２４が弾性リング２７によつて外
筒２３に締付けられて固定され、外筒２３とバツ
キングプレート５との液密を保持している。

本実施例のクランプ機構は以上のように構成さ
れているため、クランプ２２を前記矩形溝２０に
嵌め入れるとともに、段付部２３ｂをバツキング
プレート５に当接させ且つクランプ２２の前記側
面２２ａを矩形溝２０の外筒２３先端側の側壁に
当接させた状態で、クランプ２２をブラケツト２
８にボルト２９により締め付けるだけで、外筒２
３をその軸心方向および軸心に直角な方向の移動
不能にバツキングプレート５にクランプし得ると
ともに、このとき、シール材２４が所定の押圧力
でバツキングプレート５に押圧されることにより
外筒２３とバツキングプレート５との間を所定の
予圧力で液密に封止し得るのである。

本考案の別の実施例を第４図に基づいて説明す
る。本実施例においてもケーブルアツセンブリ３
１はケーブル２とそれを案内する外筒３３を含
み、外筒３３の先端部近傍の外周面には環状の矩
形溝３０が形成され、この矩形溝３０の幅に等し
いか、またはそれより小さい幅のクランプ３２が
矩形溝３０に嵌装されており、このクランプ３２
はバツキングプレート５に溶接された取付ブラケ
ツト３８にボルト３９によつて固定されている。

この外筒３３の先端部には、第１小径部３３ａ
および、第１小径部３３ａより小径とされた第２
小径部３３ｂが形成されている。第２小径部３３
ｂはバツキングプレート５のバンプ部５ｂに設け
られたケーブル引込口５ａに嵌め入れられている
とともに、第１小径部３３ａの外周側にはバツキ
ングプレート５と外筒３３とによつて所定の押圧
力で予圧された状態で環状のシール部材３４が嵌
装されている。

以上のように構成されているので、外筒３３の
第１小径部３３ａにシール部材３４を嵌装した
後、第２小径部３３ｂをケーブル引込口５ａに嵌
入せしめ、外筒３３をその軸心方向においてバツ
キングプレート５に所定の押圧力で押し付けると
ともに、クランプ３２の外筒３３先端側の側面を
矩形溝３０の外筒３３先端側の側壁に当接させた
状態で、クランプ３２を取付ブラケツト３８にボ
ルト３９により締め付けるだけで、上述の実施例
と同様の効果が得られるのである。そして本実施
例にはバツキングプレート５に対する外筒３３の
着脱がバツキングプレート５の外側だけで実施で
きるという特有の効果がある。

以上説明したように、本考案はバツキングプレ
ートの内側または外側のいずれか一方においてケ
ーブルアツセンブリの外筒をループ状のクランプ
部材によつてクランプすることにより、その外筒
を軸心方向および軸心に直角な方向において移動
不能にバツキングプレートに固定し得るようにし
たものであり、これにより、ケーブルアツセンブ
リの固定作業が従来に比べて一層容易となるとと
もに、止め輪およびスペーサ等の部材が不要とな
る。しかも、外筒とバツキングプレートとの間を
液密に封止するために必要なシール部材の予圧力
が、外筒をクランプ部材によりバツキングプレー
トにクランプしたときにシール部材がバツキング
プレートに所定の押圧力で押圧されることによつ
て付与されるため、従来のように、止め輪および
スペーサ等を使用することなく外筒とバツキング
プレートとの間の液密を容易に確保し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のドラムブレーキの一部欠截正面
図であり、第２図は第１図に示したドラムブレー
キにおけるケーブルアツセンブリのクランプ機構
を示す断面図である。第３図は本考案の一実施例
の断面図であり、第４図は本考案の別の実施例の
断面図である。 ２……ケーブル、５……バツキングプレート、
５ａ……ケーブル引込口、５ｂ……バンプ部、２
０，３０……矩形溝、２１，３１……ケーブルア
ツセンブリ、２３，３３……外筒、２３ａ……小
径部、２３ｂ……段付部、２２，３２……クラン
プ、２４，３４……シール部材、２７……弾性リ
ング、２８，３８……ブラケツト、３３ａ……第
１小径部、３３ｂ……第２小径部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ドラムブレーキにブレーキ操作力を伝達するケ
   ーブルと該ケーブルを案内する外筒とを含むケー
   ブルアツセンブリを、前記ドラムブレーキの作動
   機構部を保持するバツキングプレートにクランプ
   する構造において、 前記外筒の先端部近傍の外周面に環状の溝を形
   成し、矩形板をループ状に曲げ加工して成るクラ
   ンプ部材を該溝に嵌め入れた状態で前記バツキン
   グプレートに固定することによつて、前記外筒を
   その軸心方向に該軸心に直角な方向に移動不能に
   前記バツキングプレートにクランプするととも
   に、前記外筒が前記バツキングプレートにクラン
   プされることにより該バツキングプレートに押圧
   されて該外筒とバツキングプレートとの間を所定
   の予圧力で封止するシール部材を設けたことを特
   徴とするドラムブレーキにおけるケーブルアツセ
   ンブリのクランプ構造。