JPH0344455Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデイスクブレーキのキヤリパをデイス
クロータに跨設するために用いられるキヤリパ取
付用治具に関するものである。

従来技術 デイスクロータの外周側に跨設され、シリンダ
部と、そのシリンダ部の開口側端縁からデイスク
ロータの軸心と平行な方向に延び、中間部にデイ
スクロータの径方向に貫通する貫通孔が形成され
た連結部と、その連結部の先端からデイスクロー
タの内周方向に延びて前記シリンダ部と対向する
爪部とを有するキヤリパと、非回転部材に固定さ
れ、そのキヤリパに設けられたスライド部をデイ
スクロータの軸心と平行な方向に摺動可能に支持
する支持部材と、キヤリパの内側においてデイス
クロータの両側に配設され、前記シリンダ部に嵌
合されたピストンと前記爪部とによつてそのデイ
スクロータの両面に押圧される一対のパツドとを
備えたデイスクブレーキが知られている。

そして、デイスクロータにキヤリパを跨設する
に際しては、通常、パツド間にデイスクロータを
挿入しつつ、キヤリパを支持する支持部材を非回
転部材にボルト等により固定することが行われて
いる。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、デイスクロータと両パツド間の
間隙は、通常、比較的小さく設定されており、且
つパツドはデイスクロータの軸心と平行な方向に
移動可能に配設されているので、パツド間にデイ
スクロータを円滑に挿入するためには、通常、両
パツドを互いに離隔する方向へ付勢する必要があ
るとともに、キヤリパを支持する支持部材を非回
転部材に固定するに際しては、両部材をデイスク
ロータの径方向およびその径方向に直角な方向の
二方向において互いに位置決めする必要があつ
た。このため、デイスクロータにキヤリパを跨設
する作業は必ずしも容易なものではなかつたので
ある。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であり、その要旨とするところは、前記のような
デイスクブレーキにおいて、キヤリパを支持する
支持部材を非回転部材に固定する際して、前記デ
イスクロータと前記キヤリパとを径方向において
位置決めするために用いられるキヤリパ取付用治
具であつて、(a)前記連結部の貫通穴から前記デイ
スクロータの内周側に向かつて挿入することによ
り前記一対のパツドを互いに離隔する方向に押圧
する弾性変形可能な一対の押圧部と、(b)前記デイ
スクロータの外周面と当接する当接部と、(c)前記
押圧部により互いに離隔する方向に押圧されたパ
ツド間に、前記当接部と前記デイスクロータの外
周面とを当接させた状態でそのデイスクロータを
所定距離挿入したとき、前記貫通孔の内周側開口
の周縁部と係合してそれ以上のデイスクロータの
挿入を阻止することにより、該デイスクロータと
前記キヤリパとを径方向に位置決めする係合部と
を含むことにある。

作 用 このようにすれば、一対の押圧部を連結部の貫
通穴から互いに接近する方向へ弾性変形させつつ
デイスクロータの内周側に向かつて挿入すること
により、押圧部の弾性復帰力により両パツドが互
いに離隔する方向へ押圧される。この状態で、デ
イスクロータの外周面と当接部とを互いに当接さ
せつつデイスクロータを両パツド間に所定距離挿
入したとき、キヤリパ取付用治具の係合部が前記
貫通穴の内周側開口の周縁部と係合させられてそ
れ以上のデイスクロータの挿入が阻止される。

考案の効果 この結果、キヤリパ取付用治具の押圧部を連結
部の貫通穴から単に両パッド間へ挿入するだけで
両パッド間へデイスクロータを円滑に挿入し得る
ととも、キヤリパ取付用治具の係合部が貫通穴の
内周側開口の周縁部と係合したとき、支持部材お
よび非回転部材の一方向における位置決め、すな
わちデイスクロータの径方向における位置決めを
略自動的に為し得るので、キヤリパをデイスクロ
ータに跨設する作業を従来に比べて一層容易とし
得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第１図おいて、キヤリパ１０はデイスクロータ
１２の外周部にそのデイスクロータ１２を軸心方
向に跨いだ状態で配設される。キヤリパ１０は、
シリンダ部１４と、そのシリンダ部１４の開口側
端縁からデイスクロータ１２の軸心と平行な方向
に延びる連結部１６と、その連結部１６の先端か
らデイスクロータ１２の内周方向に延びてシリン
ダ部１４と対向する爪部１８と、シリンダ部１４
内に突出し可能に嵌合されたピストン２０とを備
えて構成されており、連結部１６の中間部にはデ
イスクロータ１２の径方向に貫通する貫通穴２１
が形成されている。このキヤリパ１０は、第４図
に示すように、デイスクロータ１２の周方向に所
定間隔隔てた位置において一対のスライド部２
２，２４を有しており、このスライド部２２，２
４が非回転部材２６に複数のボルト２７等により
固定されたトルクプレート２８に摺動可能に取り
付けられることにより、キヤリパ１０がデイスク
ロータ１２の軸心と平行な方向において浮動可能
な状態で配設されている。本実施例においては、
トルクプレート２８が支持部材を構成している。
また、ピストン２０と爪部１８との間には一対の
パッド３０，３２がデイスクロータ１２を挟んだ
状態で配設されている。一方のパッド３０は上記
トルクプレート２８によりデイスクロータ１２の
軸心と平行な方向の移動可能に支持されていると
ともに、他方のパッド３２は爪部１８に固定され
ている。なお、３４はトルクプレート２８と共に
非回転部材２６に固定されたダストカバーであ
る。

以上のように構成されたデイスクブレーキにお
いて、シリンダ部１４内に液圧が供給されると、
ピストン２０が押し出されてパッド３０がデイス
クロータ１２の一面に押し付けられるとともに、
その反力で爪部１８がピストン２０とは反対方向
に移動させられてパッド３２がデイスクロータ１
２の他面に押し付けられることにより、デイスク
ロータ１２の回転が抑制される。

キヤリパ取付用治具（以下、取付用治具と略
す）３６は、第２図および第３図に示すように、
頭部３８と、その頭部３８から離隔する程互いに
離隔するように二股状に分岐して延び、互いに接
近する方向の弾性変形可能に設けられた一対の平
板状の脚部４０と、頭部３８の外周側に設けられ
た貫通孔２１よりを大きいフランジ部４２と、脚
部４０の先端側において互いに離隔する方向へそ
れぞれ所定距離突き出し、板面と略直角な方向に
延びる係合面４４がそれぞれ形成された一対の係
合爪４６とを有して構成されている。

かかる取付用治具３６は、その脚部４０を互い
に接近する方向へ弾性変形させつつ前記貫通穴２
１からデイスクロータ１２の内周側に向かつてフ
ランジ部４２が貫通穴２１の外周側開口の周縁部
と略当接するまでパッド３０，３２間へ挿入され
る。これにより、パッド３０，３２は脚部４０の
弾性復帰力により係合爪４６の両外側面にそれぞ
れ形成された凸面４８により互いに離隔する方向
へ押圧されて、トルクプレート２８、キヤリパ１
０、パッド３０および３２の相互組付状態、すな
わちキヤリパアツセンブリにおいて運搬中のパッ
ド３０および３２のガタツキが解消されるととも
に、パッド３０，３２間へデイスクロータ１２を
円滑に挿入し得る状態とされる。

上記のようなキヤリパアツセンブリを車両に組
み付けるに際しては、取付用治具３６がキヤリパ
１０とデイスクロータ１２とを径方向に位置決め
するのに用いられる。すなわち、パッド３０，３
２間へデイスクロータ１２の外周部を挿入すると
とも、各脚部４０の先端面５０にデイスクロータ
１２の外周面を当接させつつ更にデイスクロータ
１２を挿入すると、脚部４０が貫通穴２１から押
し出される。このとき、係合爪４６の凸面４８と
パッド３０，３２との当接が解除された後以降は
脚部４０は互いに離隔する方向へ徐々に弾性復帰
させられる。そして、デイスクロータ１２を所定
距離挿入したとき、係合爪４６に形成された係合
面４４が、第２図に示すように、貫通穴２１の内
周側開口の周縁部と係合させられて、デイスクロ
ータ１２のそれ以上の挿入が阻止される。これに
より、デイスクロータ１２とキヤリパ１０とのデ
イスクロータ１２径方向の相対位置、すなわち、
非回転部材２６とトルクプレート２８とのデイス
クロータ１２径方向の相対位置が略自動的に決定
される。係合面４４と先端面５０との間に距離、
両係合面４４間の距離、および貫通穴２１の形状
等が予めそのように決定されているのである。上
記所定距離は、デイスクロータ１２の外周面が取
付用治具３６の先端面５０と当接し且つその取付
用治具３６の係合面４４が貫通穴２１の内周側開
口の周縁部と係合するまでのデイスクロータ１２
の挿入量を示しており、この挿入量においてトル
クプレート２８と非回転部材２６とのデイスクロ
ータ１２径方向の位置決めが略為されるように、
係合面４４と先端面５０との間の距離が予め決定
される。本実施例においては、凸面４８が押圧部
として、先端面５０が当接部として、係合面４４
が係合部としてそれぞれ機能している。次に、そ
れら非回転部材２６とトルクプレート２８とのデ
イスクロータ１２の径方向に直角な方向の位置決
めをした後、両部材をボルト２７等により固定す
ることにより、キヤリパ１０がデイスクロータ１
２の外周部に跨設されることとなる。

このように、本実施例によれば、取付用治具３
６の脚部４０を互いに接近する方向へ弾性変形さ
せつつ貫通穴２１からパッド３０，３２間に単に
挿入するだけでパッド３０，３２間へデイスクロ
ータ１２を円滑に挿入し得るとともに、取付用治
具３６の係合面４４が貫通穴２１の内周側開口の
周縁部と係合するまでパッド３０，３２間へデイ
スクロータ１２を挿入したとき、トルクプレート
２８および非回転部材２６のデイスクロータ１２
径方向における位置決めを略自動的に為し得るの
で、キヤリパ１０をデイスクロータ１２に跨設す
る作業が従来に比べて一層容易となる。

また、本実施例によれば、トルクプレート２８
に支持されたキヤリパ１０を搬送する際に、取付
用治具３６を予め装着しておくことにより、パッ
ド３０，３２のがたつきを防止し得るので、従来
の搬送用パッド固定治具としても使用し得る利点
がある。

なお、前述の実施例において、フランジ部４２
は必ずしも必要なものではなく、削除しても本考
案の一応の効果が得られる。

また、キヤリパ取付用治具は、第５図に示すよ
うに、全体としてＵ字状を成し、その両端側が曲
成されることにより、押圧面（押圧部）５２、当
接面（当接部）５４、および係合面５６がそれぞ
れ形成されたものであつても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は第３図のキヤリパ取付用
治具によりキヤリパをデイスクロータに跨設する
作業を説明するための図であつて、要部を示す断
面図である。第３図は本考案のキヤリパ取付用治
具の正面図である。第４図はキヤリパがデイスク
ロータに跨設された状態を示す図であつて、シリ
ンダ部側から視た図である。第５図は本考案の他
の適用例を示す図であすつて、第２図のキヤリパ
取付用治具に対応する図である。 １０：キヤリパ、１２：デイスクロータ、１
４：シリンダ部、１６：連結部、１８：爪部、２
０：ピストン、２１：貫通穴、２２，２４：スラ
イド部、２６：非回転部材、３０，３２：パッ
ド、３６：キヤリパ取付用治具、４４：係合面、
４８：凸面、５０：先端面、５２：押圧面、５
４：当接面、５６：係合面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 デイスクロータの外周側に跨設され、シリンダ
   部と、該シリンダ部の開口側端縁から該デイスク
   ロータの軸心と平行な方向に延び、中間部に該デ
   イスクロータの径方向に貫通する貫通孔が形成さ
   れた連結部と、該連結部の先端から該デイスクロ
   ータの内周方向に延びて前記シリンダ部と対向す
   る爪部とを有するキヤリパと、非回転部材に固定
   され、該キヤリパに設けられたスライド部を該デ
   イスクロータの軸心と平行な方向に摺動可能に支
   持する支持部材と、該キヤリパの内側において該
   デイスクロータの両側に配設され、前記シリンダ
   部に嵌合されたピストンと前記爪部とによつて該
   デイスクロータの両面に押圧される一対のパツド
   とを備えたデイスクブレーキにおいて、前記キヤ
   リパを支持する支持部材を前記非回転部材に固定
   するに際して、前記デイスクロータと前記キヤリ
   パとを径方向において位置決めするために用いら
   れるキヤリパ取付用治具であつて、 前記連結部の貫通穴から前記デイスクロータの
   内周側に向かつて挿入することにより前記一対の
   パツドを互いに離隔する方向に押圧する弾性変形
   可能な一対の押圧部と、 前記デイスクロータの外周面と当接する当接部
   と、 前記押圧部により互いに離隔する方向に押圧さ
   れたパツド間に、前記当接部と前記デイスクロー
   タの外周面とを当接させた状態で該デイスクロー
   タを所定距離挿入したとき、前記貫通孔の内周側
   開口の周縁部と係合してそれ以上の該デイスクロ
   ータの挿入を阻止することにより、該デイスクロ
   ータと前記キヤリパとを径方向に位置決めする係
   合部と を、含むことを特徴とするデイスクブレーキのキ
   ヤリパ取付用治具。