JPS6116770Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電動機固定子の口出線接続部における
絶縁及び固定構造の改善に関し、鉄心のスロツト
内を通した口出線と、スロツトに巻装されたコイ
ルの端末線との接続部の処理構造を、ポリエステ
ルフイルム絶縁片とポリエステル系ホツトメルト
剤を用いて一体固着と絶縁を行なうものとし、工
程の短縮と品質の均一化を図つたものである。更
に詳しくは前記絶縁片に設けた穴に接続部を挿入
すると同時に、絶縁片の両端をコイルエンドをま
たいで、コイルと鉄心との間に差し込み、一端は
スロツト開口部のウエツジとし、絶縁片の穴より
外側に引き出された接続部をポリエステル系ホツ
トメルト剤の熱溶融物を塗布し絶縁片と接続部を
一体固着し、絶縁を施こしたものである。

従来の固定子接続部は、コイルエンド上で口出
線と巻線端末とを接続した後、ワニスチユーブに
挿入して、これを巻線端末のコイルエンドからの
余り線と共にコイルエンド上に束ね、これを固定
するための糸で縛り、さらにコイル、ワニスチユ
ーブ、絶縁紙、しばり糸等の固着、絶縁補強、防
湿等の目的でワニス含浸処理を行つている。ここ
でワニスチユーブの挿入、縛糸の工程は全て手作
業で行われており更に機種により接続部の数が変
化し、縛糸の位置が変り、口出線を引張つた時、
抜けるのを防止するため緊密にしばらなければな
らないなど、手作業による多大の労力と熟練を要
するものであつた。そしてこの工程にはばらつき
も多く、長時間所要するもので、作業性、所要時
間、品質の均一性に問題があつた。

本考案は上記従来の欠点を解消するものであ
る。

以下図面により本考案の実施例ごを説明する。
第１図は本考案の処理方法により製造した隈取モ
ータの完成品外観図であり、１は固定子鉄心、２
はスロツト、３はスロツト２に挿入した下口絶縁
紙、４はスロツト２内を通り下口絶縁紙３と鉄心
１との間にはさんた口出線、５はスロツトに巻装
したコイル、６はスロツト２の開口部からコイル
５がばらけ出さないように挿入したウエツジ、７
はポリエステルフイルム絶縁片（以下、絶縁片と
略す）で一端は下口絶縁紙３と鉄心１との間に差
し込んであり、他端は、ウエツジ６と同様にスロ
ツト２の開口部に挿入してある。８は絶縁片７の
穴を通して引き出された口出線４と巻線端末との
接続部を絶縁片７と一体固着し絶縁処理を施した
ポリエステル系ホツトメルト剤を示している。第
２図はポリエステルフイルム絶縁片７の装着前の
形で接続部を引出す穴９と接続部を引出す作業を
し易くするためのスリツト１０を設けてある。第
３図、第４図、第５図は本考案の処理過程を順次
示し、接続部を中心として固定子部分外観図であ
る。第３図は、下口絶縁紙３を介してコイル５と
鉄心１にはさみ込まれた口出線４の端末とコイル
５の端末線１１をそれぞれ被覆をはがし半田付け
により結線した接続部１２の上部より穴９とスリ
ツト１０を設けたポリエステルフイルム絶縁片７
を折り曲げて装着するところを示している。次に
第４図はフイルム絶縁片７を装着した後を示して
おり、一端は口出線４と鉄心１の間に差し込み、
他端はウエエジ６の役割をはたしている。この絶
縁片７及び下口絶縁紙３により口出線４は充電部
及びアース部と完全に絶縁され信頼性も向上す
る。ここで口出線が発熱体であるコイルに接して
も十分耐熱寿命を保証される場合は、口出線はス
ロツト内コイル間に挿入しても良い。

次に第５図は接続部１２と絶縁片７を一体固着
するポリエステル系ホツトメルト剤の塗布完了し
たものを示し、上部のヒータで加熱溶融したホツ
トメルト吐出用アプリケータ１３のノズル１４よ
り定量吐出して得られたものである。これにより
接続部１２は完全に絶縁シールされ、ポリエステ
ルフイルム７と緊密に一体固着され、短時間で均
一な品質が得られる。

本考案に用いるフイルム絶縁片７の材質は、耐
熱性、電気絶縁性、機械的強度の点からポリエチ
レンテレフタレートで代表される飽和ポリエステ
ル樹脂が優れており、これとクラフト紙を貼り合
せた複合フイルムを用いてもよい。このポリエス
テルフイルムは結晶性高分子で通常の接着剤では
接着しにくく、はく離現象をきたし使用すること
はできない。又、加熱や加圧条件を必要とする接
着剤は処理工程のネツクとなり、溶剤形の接着剤
は作業環境にも注意を払うなど好ましくないもの
である。これらの点を踏えポリエステル絶縁片７
と口出線接続部１２の固着剤としては、上述のご
とく飽和ポリエステル樹脂系のホホツトメルト剤
が好ましく、これによれば共重合によりポリエス
テルの代表であるポリエチレンテレフタレートよ
り融点、溶融粘度を低下させた材料が優れた可撓
性、密着性、絶縁性を奏し、更に使用状態での長
期の加熱にはエステル同志の界面融合により、よ
り強固な接着力を奏する。このポリエステル系ホ
ツトメルト剤は約200℃で溶融したものを市販の
ホツトメルト吐出用アプリケータ（例えばノード
ソン社製Ｈ−51型）を用い前記接続部に溶融塗布
し、裸の金属部を完全にシールし送風冷却すると
約30秒で固化し口出線の引張強度も実用上問題な
いものとなる。

以上の説明から明らかなように本考案の接続部
処理構造によれば、従来、手作業により労力と熟
練を要した工程が大巾に簡略化（約30％短縮でき
た）され、品質のばらつきも少く熟練度に関係な
く均一なものが得られ、工程の合理化に大きく寄
与するものであり、また、口出線とコイル端末と
の接続部は絶縁片に固着されているため口出線を
引張つても抜け防止は十分補強され、さらに接続
部までの巻線端末の余り線はフイルム絶縁片でお
おうこともでき、糸縛りを不要にでき、又絶縁片
の一端をウエツジと兼用し、挿入作業を新たに増
やさなくてすむ等、大なる実用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による電動機の固定
子の斜視図、第２図は本考案において用いる絶縁
片の正面図、第３図、第４図、第５図はそれぞれ
本考案の電動機の固定子を得る過程を示す要部斜
視図である。 １……固定子鉄心、２……スロツト、４……口
出線、５……コイル、７……絶縁片、８……ポリ
エステル系ホツトメルト剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端をスロツトの鉄心外径側とコイルの間に差
   し込み、他端をスロツトの鉄心内径側とコイル間
   のスロツト開口部に差し込み固定したポリエステ
   ルフイルム絶縁片のコイルエンド外周部近傍に、
   コイル端末と口出線との接続部の引き出し用穴を
   設け、前記絶縁片の穴より引き出された前記接続
   部をホツトメルト剤で絶縁片と一体固着し、絶縁
   した電動機の固定子。