JPS6116240B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、フライホイールの慣性力を利用す
るネジプレスについての改良に係るものである。

ところで、上下方向に案内されるラムと水平面
内で回転するフライホイールとをネジ電動機構に
て連結し、フライホイールの回転運動を直線運動
に変えてラムに伝えるよう構成したネジプレス
は、上記したフライホイールの慣性力を利用して
加圧作業を行なわせるものであるため、他のクラ
ンクプレスやドロツプハンマなどに見られない特
異な加圧特性を有し、従つて独特な作業分野では
依然として賞用されている。

かかるネジプレスの代表例としては、フライホ
イールの駆動手段に摩擦車を用いたフリクシヨン
プレスがよく知られている。然し乍らこのフリク
シヨンプレスは、摩擦車とフライホイールとの間
に滑りがあるため、動力の損失が大で、然も摩擦
接触部分の損耗が甚だしく、特に駆動開始時の滑
りが多いため、起動トルクが小さくて加速性能が
悪い。またこのフリクシヨンプレスは、摩擦車を
フレームの上部に備える関係で、全体の高さが大
となるを避けられず、特に重心の位置が高くて不
安定であるため、強固な据付け基礎を必要とす
る。

本発明は、前記したようなネジプレスに特有の
加圧特性を生かし乍ら、フリクシヨンプレスに関
する上記の問題点に対処して、小型高性能のネジ
プレスを実現させるため、フライホイールの駆動
力に空気圧を利用し、フライホイールに対してこ
の空気圧を、ラムの昇降開始時には回転方向へ、
その後は昇降方向へ作用させるようにしたもので
ある。以下これを図面に示す実施例について詳述
する。

図に於て１は枠形のフレーム、２は該フレーム
の頂部上に配置された空気シリンダ機能をもつ空
気モータである。この空気モータ２は、縦方向の
閉鎖されたシリンダ状内部空間３を有するケーシ
ング４と、このケーシング内で回転しつつ昇降す
るピストン状ロータ５とからなつている。上記の
ケーシング４における周壁の上下端近くには、内
外へ通じる給排気用の上部ポート６及び下部ポー
ト７が、夫々１ないし数個（図例では２個）ずつ
設けられ、またロータ５の周囲には、上部羽根８
及び下部羽根９が、仕切板１０で隔てられた状態
のもとに、等角度間隔で多数備えられている。更
に上記した上下の各ポート６，７は、切換弁１１
を介して圧縮空気源１２へ接続され、或は大気中
へ開放されるようになつている。１３は前記した
ロータ５の回転運動を直線運動に変えるネジ電動
機構であつて、雌ネジ部分を中央に有するナツト
状の軸受１４と、雄ネジ部分を有する垂直なネジ
軸１５とからなり、且つその軸受１４はフレーム
１の上部中央へ嵌設され、後者のネジ軸１５は、
上端で前記ロータ５の回転中心へ一体的に結合さ
れた状態のもとに、上記の軸受１４を螺合貫通し
て、フレーム１の内部へ垂下されている。また、
これらの軸受１４及びネジ軸１５が有する雌雄の
各ネジ部分は、螺旋勾配が急な多重ネジとされ、
ネジ軸１５へ加えられる軸方向の荷重によつて
も、該軸の回転を生じさせ得るようになつてい
る。一方、前記したロータ５が備える上下の各羽
根８，９は、上記した各ネジ部分の螺旋方向との
関連に於て、次のようにされている。即ち上部羽
根８はネジ軸１５が下降する方向の回転をロータ
５へ与え、下部羽根９はネジ軸１５が上昇する方
向の回転をロータ５へ与えるようになつているも
のとし、従つて上記の各ネジ部分が右ネジである
とき、上部羽根８は上方からみて時計回り方向の
回転を、また下部羽根９は同じく反時計回り方向
の回転をロータ５へ与えるべく、夫々の形状及び
向きが選定され、これに伴なつて前記した上下各
ボート６，７の向きも選定されている。１６はフ
レーム１内に組み込まれたラムであつて、上記ネ
ジ軸１５の下端へ、該軸の自由な回転を許容し得
るように連結され、フレーム内側面のガイドレー
ル１７，１７で上下方向へ案内されるようになつ
ている。かかるラム１６の下面とフレーム内底部
へ嵌め込まれたソーブロツク１８の上面とには、
上下一対なる圧造型の上型１９ａと下型１９ｂと
が取り付けられている。ところで第１，２図に示
す実施例では、ロータ５を直径の大なるフライホ
イール兼用形としてあるため、空気モータ２の全
体が大型化する憾はあるが、高さを低くできる。
これに対して第３図に示す実施例では、ロータ５
と別個のフライホイール５′を用いて両者をネジ
軸１５の延長部１５′で一体に連結させた構成と
してあるため、高さが少し大となる憾はあるが、
空気モータ２の全体を小型化できる。なお前記し
た上下の各ポート６，７は、ロータ５の各羽根
８，９へ強い回転力を与えるためには小径のノズ
ル形状とした方が好ましいが、内部空間３からの
排気を容易ならしめるためには大径とした方が好
ましい。従つて必要に応じては、上下各ポート
６，７の夫々を、給気専用ノズルと排気孔に分
け、これらを多系統用の切換弁で随時開閉するよ
うにしてもよい。

上記した構成に於て、いまラム１６が第１図に
示す如く上昇した態勢にあるものとする。このと
き切換弁１１を操作して、空気モータ２の下部ポ
ート７，７を大気中へ開放し、上部ポート６，６
を圧縮空気源１２へ接続すると、後者のポート
６，６からケーシング４の内部空間３へ供給され
た圧縮空気は、ロータ５の上部羽根８へ衝突し
て、その空気圧で該ロータにトルクを与え、この
ロータ５を第２図中の実線矢印方向へ回転させ
る。すると、図例の右ネジを利用したネジ電動機
構では、ロータ５の上記方向への回転運動がネジ
軸１５に下向きの直線運動を与えるため、ラム１
６が下降し始める。このようにしてラム１６が下
降し始めると、ネジ軸１５に一体化されたロータ
５もケーシング４内で下降し始めて、上部羽根８
が上部ポート６の高さよりも下方へ外れるため、
それ以後に該ポートから供給される圧縮空気は、
既に供給された圧縮空気と共同して、その空気圧
でロータ５を下向きに押圧する。然してネジ電動
機構１３における雌雄の各ネジ部分は、螺旋勾配
が急な多重ネジとされているから、ロータ５へ上
記の如く下向きの押圧力が加えられると、ネジ軸
１５の働きによつて該ロータの回転速度が増加
し、従つてラム１６の下降速度も増加する。また
このときには、ロータ５、ネジ軸１５、ラム１６
及び圧造上型１９ａの各重量も下向きに作用し
て、上記した回転速度及び下降速度の増加を更に
促す。

そこで、予め圧造下型１９ｂ上へ被加工素材を
載せておくと、該素材は、下降して来たラム１６
によつて、圧造上型１９ａを介し加圧される。こ
の加圧には、フライホイールの慣性力が大きく奇
与する。即ち第１，２図の実施例では、フライホ
イールを兼ねたロータ５の慣性力が、また第３図
の実施例ではロータ５と共に回転するフライホイ
ール５′の慣性力が、夫々のネジ軸１５で下向き
の押圧力に換えてラム１６へ伝えられ、上記素材
を強く加圧することになる。

なお、このようにしてラム１６が下降した後、
今度は切換弁１１を逆向きに操作して、空気モー
タ２の上部ポート６，６を大気中へ開放し、下部
ポート７，７を圧縮空気源１２へ接続せしめる。
すると後者のポートからケーシング４の内部空間
３へ供給された圧縮空気は、初期にはその空気圧
をロータ５の下部羽根９へ加えて、該ロータを第
２図中の鎖線矢印方向へ回転させ、その後はその
空気圧をロータ５へ上向きに加えて、ネジ軸１５
の作用で該ロータの上記方向への回転を継続させ
る。従つてラム１６は、下降した態勢から元の位
置まで上昇復帰し、同時にロータ５も、ケーシン
グ４内で同じく上昇復帰する。但しこの場合に
は、ロータ５，ネジ軸１５、ラム１６及び圧造上
型１９ａの重量が下向きに作用しているため、上
記したラム１６等の上昇速度は、前記した下降速
度よりも遅い。

ところで、ネジ軸１５を回転させる手段として
の空気モータ２は、フリクシヨンプレスの摩擦接
触による駆動手段と比べ、起動トルクが大きくて
加速性能が良いため、フライホイールを兼ね或は
フライホイール５′と一体化されたロータ５を立
上り良く回転させ得て、ラム１６の昇降速度、特
に下降速度を速くすることができると共に、下降
行程の最終段階でラム１６へ加圧力として与えら
れるフライホイールの慣性力を大とすることもで
き、従つてラム１６の被加工素材に対する加圧能
力を高め、且つ加工所要時間を短縮できる。

またこの空気モータ２は、一般的にみれば機械
的効率が悪いが、上記した摩擦接触による駆動手
段と比べれば、これの滑りに相当する動力損失が
なく、且つロータに対して回転方向へ作用させた
圧縮空気をも更に該ロータの昇降方向へ作用させ
るようにしてあるため、圧縮空気の浪費がなくて
機械的効率が意外に良く、従つてラム１６の単位
消費動力当りの加圧能力を大とすることができ
る。

更にこの空気モータ２は、フリクシヨンプレス
の摩擦駆動手段に比べて上下高及び重量が共に小
であるため、ネジプレス全体の高さを低くし且つ
重心をも下げて、強固な基礎を必要としない程度
にまで該プレスの安定性を高めることができる。

よつて以上のような本発明によれば、従来のフ
リクシヨンプレスに比べて加圧能力が高く、且つ
加工速度が大で全高が小なる小型高性能のネジプ
レスを提供し得、然も安定性が高いため据付け基
礎を簡略化し得る等の効果が期待できる。また本
発明によれば、ラムの昇降動作の開始期にロータ
を回転させるべく供給された圧縮空気と、その後
に供給される圧縮空気とが、いずれもラムを昇降
させる方向へ使用されると共に、ネジ電動機構に
おけるネジ部分の螺旋勾配が大とされているた
め、ロータからラムに至る各昇降部材へ無理を来
たす虞れがなくて、特にラムの上昇時には、該ラ
ムを含む各昇降部材の下向きに働く重量をロータ
に働く上向きの空気圧で相殺させて、ネジ電動機
構のナツト状軸受にかかる負担を軽減させ得るほ
か、フリクシヨンプレスにみられるような損耗の
甚だしい摩擦接触部分を要しないため、ネジプレ
スの耐久性を大巾に高め得る等の効果も期待でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す要部欠載正面
図、第２図は第１図のＡ―Ａ線よりみた断面図、
第３図は他の実施例の要部を示す欠載正面図であ
る。 １…枠形フレーム、２…空気モータ、３…内部
空間、４…ケーシング、５…ロータ、６…上部ポ
ート、７…下部ポート、８…上部羽根、９…下部
羽根、１３…ネジ電動機構、１４…軸受、１５…
ネジ軸、１６…ラム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 枠形フレームの頂部に、ナツト状軸受と該軸
   受を螺合貫通して上記フレーム内へ垂下された垂
   直なネジ軸とからなるネジ電動機構が設けられ、
   且つそのフレーム内で上下方向へ案内されるラム
   が、上記ネジ軸の下端へ該軸の自由な回転を許容
   し得るよう連結されている構成に於て、上記した
   フレームの頂部上には、縦方向のシリンダ状内部
   空間を有するケーシングと該空間内で回転しつつ
   昇降し得るピストン状ロータとからなる空気モー
   タが配置されて、そのロータがフライホイール兼
   用もしくはフライホイールと一体化された状態で
   前記ネジ軸の上端へ一体的に結合され、且つ上記
   ケーシングの周壁の上下端近くには、給排気用の
   上部ポート及び下部ポートが１ないし数個ずつ設
   けられると共に、上記ロータの周囲には、該ロー
   タに下降回転を与える上部羽根と上昇回転を与え
   る下部羽根とが夫々多数備えられ、更に上記した
   ナツト状軸受及びネジ軸の雌雄の各ネジ部分が、
   螺旋勾配の急な多重ネジとされていることを特徴
   とするネジプレス。