JPH0534865Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案はリンク装置を備えたプレス機械の駆
動装置の改良に関する。

（従来の技術） 従来、リンク装置を備えたプレス機械の駆動装
置としては、フライホイールを介して複数の平歯
車を組合せた駆動装置が一般的であつた。この駆
動装置の出力軸に大歯車を設け、その大歯車より
リンクを介してクランク軸を作動させ、出力軸と
クラツチ・ブレーキを備えた入力軸は同一軸芯上
にあり、出力軸は等速回転である。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上述した従来のリンク装置を備えた
プレス機械の駆動装置は、駆動装置の外部にクラ
ンク軸を作動させるリンク装置が設けてある。そ
のため、プレス機械自体が大型化され、製作コス
トも高く、コンパクト化が図れないという問題が
あつた。

また、出力軸を非等速にしてスライドの上下変
位を制御することができず、スライドの上下運動
はサインカーブで一定のため、加工速度はspmで
決まる。そのため、プレスの打抜き加工時spmに
比例して騒音、振動振動が発生するという問題も
あつた。

この考案の目的は、上記問題点を改善するた
め、リンク装置をフライホイールに内蔵し、コン
パクト化を図り、加工時のスライド速度を遅らせ
騒音、振動の減少を図つたプレス機械の駆動装置
を提供することにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、この考案は、フラ
イホイールに回転自在に支承したクラツチ・ブレ
ーキ装置を備えた入力軸に第１出力軸を設け、そ
の第１出力軸にリンク装置であるリンクバーを回
転自在に係合し、そのリンクバーの他端を第２出
力軸の偏心部に係合連結し、前記リンクバーと第
２出力軸の偏心部とで形成する折れ角をプレス機
械のスライドが下死点にある時に最大の鈍角を成
すよう構成させ、且つ、前記フライホイール内に
前記リンク装置を設けてプレス機械の駆動装置を
構成した。

（作用） この考案のプレス機械の駆動装置を採用するこ
とにより、フライホイールの回転はクラツチを結
合することにより第１出力軸に伝達され、第１出
力軸に係合連結され前記フライホイール内に設け
たリンク装置を介して偏心により回転を変化させ
第２出力軸へ伝達しプレス機械を作動させる。

この際、リンク装置のリンクバーと第２出力軸
の偏心部とで形成する折れ角は、プレス機械のス
ライドが下死点つまりワークの加工時に最大の鈍
角をなす。このことは、スライドの昇降速度が変
化するということで、スライドが下死点でスライ
ド速度は遅く、上死点でスライド速度は早くな
る。

すなわち、ワーク加工時にはスライド速度は遅
くなるので振動、騒音は減少し、且つ、フライホ
イール内にリンク装置を内蔵させたので機械全体
のコンパクト化が図れコストダウンされる。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第３図を参照するに、プレス機械１のフレーム
３の上部には、左右に設けたスライドガイド部材
５に沿つて上下動するスライド７が設けられてい
る。このスライド７にダイハイト調整装置９が設
けられ、そのダイハイト調整装置９は、フレーム
３の上部に設けたケーシング１１内に組込まれた
図示省略（第１図および第２図に示す）の、電動
機よりフライホイールを介し入力軸よりリンク装
置を介して動力が伝達される第２出力軸に連結さ
れて上下動が行われる。

前記スライド７の下面には、上型（図示せず）
を備えた上部サブプレート１３が着脱自在に装着
されている。更に、前記フレーム３の下部には、
ベツド１５が一体的に取付けられており、このベ
ツド１５上には、下型（図示せず）に備えた下部
サブプレート１７を着脱自在に装着するボルスタ
１９が載置されてプレス機械１は構成されてい
る。

本実施例の主要部に係る駆動装置について更に
詳細に説明する。

第１図および第２図を参照するに、本図に示す
クラツチ・ブレーキ装置２１は、従来使用されて
いる公知の機構と同一のものであり、主要部のみ
の説明にとどめ詳細な説明を省略する。

ケーシング１１（一部図示省略）に設けた軸受
ブロツク２３にブツシユ２５を介して入力軸２７
が装着され、入力軸２７にはベアリング２９を介
してフライホイール３１が回転自在に支承されて
いる。また、入力軸２７の先端側（第１図におい
て右側）にはクラツチ・ブレーキ装置２１の部品
であるクラツチハブ３３およびブレーキハブ３５
が係止されている。

前記クラツチハブ３３より複数枚で構成され軸
方向に移動自在なクラツチ摩擦板３７を介してク
ラツチリング３９が、前記フライホイール３１に
係止され、前記ブレーキハブ３５より複数枚で構
成され軸方向に移動自在なブレーキ摩擦板４１を
介してブレーキリング４３がケーシング１１に係
止されている。更に、前記クラツチ摩擦板３７と
ブレーキ摩擦板４１間にはピストン４５が装着さ
れ、そのピストン４５はスプリング４７により常
時ブレーキ摩擦板４１を押圧している。なお、ピ
ストン４５を作動させる油路４９が入力軸２７の
軸芯に設けられ、その油路４９に連絡する回転継
手５１が軸端に装着されている。

前記入力軸２７の他端（第１図において左側）
は筒形を形成してあり、筒形外周の一部に穴５３
が設けてあり、穴５３の両側より突部５５が立設
してある。その突部５５に第１出力軸５７が係止
され第１出力軸５７にはリンク装置５９であるリ
ンクバー６１が回動自在に係合され、リンクバー
６１の他端は第２出力軸６３であるクランク軸の
偏心部６５に設けたピン６７に回転自在に連結し
て構成されている。なお、クランク軸である第２
出力軸６３の偏心軸部６９にスライド７が係合垂
設されている。

上記構成において、電動機よりフライホイール
３１を回転させる。一方、図外の油圧発生源より
入力軸２７に設けた回転継手５１を介して油路４
９より圧油を送り、圧油によりピストン４５をス
プリング４７の弾撥力に抗してクラツチ摩擦板３
７側へ移動させる。ピストン４５の移動によりク
ラツチ摩擦板３７の各摩擦板は係止し回転動力は
フライホイール３１に備えたクラツチリング３９
よりクラツチ摩擦板３７を介してクラツチハブ３
３に伝達され入力軸２７が回転する。なお、ブレ
ーキ摩擦板４１はスプリング４７の押圧力がなく
なるのでフリーとなる。ブレーキ力は解除され
る。

入力軸２７が回転することにより、第１出力軸
５７に設けたリンク装置５９であるリンクバー６
１より第２出力軸６３の偏心部６５に回転力は伝
わり、回転を変化させ第２出力軸６３は回転して
プレス機械１のスライド７を昇降させる。

リンク装置５９の動きについて第２図を参照し
説明する。

第２図に実線で示すリンク装置５９は、スライ
ド７が下死点にある時の状態を示している。

入力軸２７に設けた第１出力軸５７の中心を
A₀とし、リンクバー６１と第２出力軸６３の偏
心部６５とが連結されたピン６７の中心をB₀と
し、折れ角をθ₀とする。なお、第２出力軸６３で
あるクランク軸の中心をC₀とし、フライホイー
ル３１および入力軸２７の中心をD₀とし、その
各中心位置は不変である。更に、フライホイール
３１の回転方向は図中矢印で示すごとく反時計廻
りとなつている。

フライホイール３１が回転し図中点線で動きを
示すごとく、第１出力軸５７の中心A₀点が90度
回転してA₁の点に移動し、B₀点はB₁点に移動す
ると折れ角はθ₁となり、この角度は、θ₁＜θ₀と小
さくなる。更に、90度フライホイール３１が回転
するとスライド７は上死点に達する。すなわち、
第１出力軸５７の中心がA₂点に移動し、B₁点は
B₂点に移動すると折れ角は、θ₂＜θ₁と小さくな
る。

折れ角θが小さくなるということは、第２出力
軸６３の偏心部６５の回転角が大きくなること
で、第２出力軸６３の偏心部６５の回転角が大き
くなるとクランク軸である第２出力軸６３の回転
が早くなり、スライド７の上昇スピードが早くな
ることになる。

更にフライホイール３１を90度回転させると、
第１出力軸５７の中心がA₃点に移動し、B₂点は
B₃点の位置に移動するので折れ角は、θ₃＞θ₂と大
きくなる。折れ角θが大きくなるということは第
２出力軸６３の偏心部６５の回転角が小さくなる
ことで、偏心部６５の回転角が小さくなるとクラ
ンク軸である第２出力軸６３の回転が遅くなり、
スライド７の下降スピードが遅くなることにな
る。第１出力軸５７の中心A₃が実線で示すA₀の
位置に戻ると折れ角は、θ₃＜θ₀となり更に折れ角
θは大きくなつてスライド７の下降スピードが遅
くなる。

上述したごとく、リンク装置５９により第２出
力軸６３の回転角を変化させ、スライド７の上死
点側で動きを早く、下死点側では遅くすることに
より、プレス等で問題とされていたワーク打抜き
時に発生する振動、騒音等を減少することができ
る。更に、リンク装置５９をフライホイール３１
の内部に組込んだことにより、小型の高速プレス
やタレツトパンチプレス等のプレス機械全体をコ
ンパクト化することができ、コストの低減を図る
ことができる。

なお、この考案は前述した実施例に限定される
ことなく、適宜の変更を行うことにより、その他
の態様で実施し得るものである。

［考案の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に、この考案によれば、フライホイールの回転を
入力軸に設けた第１出力軸よりリンク装置を介し
て第２出力軸に伝達する。そのリンク装置をフラ
イホイール内に収納したため、プレス機械全体を
コンパクト化することができ著しくコストの低減
を図ることができる。更に、リンク装置によりス
ライドの昇降速度を変化させ、スライドが下死点
側にあるときはスライド速度は遅くなり、上死点
側では早くなるので、加工時の振動、騒音の減少
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の主要部を示
し、第１図は第３図における−線に沿つた部
分拡大断面図、第２図は第１図における−線
に沿つた断面図、第３図はこの考案を実施する一
実施例のプレス機械の正面図である。 １……プレス機械、７……スライド、２１……
クラツチ・ブレーキ装置、２７……入力軸、３１
……フライホイール、５７……第１出力軸、５９
……リンク装置、６１……リンクバー、６３……
第２出力軸、６５……偏心部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フライホイールに回転自在に支承したクラツ
   チ・ブレーキ装置を備えた入力軸に第１出力軸を
   設け、その第１出力軸にリンク装置であるリンク
   バーを回転自在に係合し、そのリンクバーの他端
   を第２出力軸の偏心部に係合連結し、前記リンク
   バーと第２出力軸の偏心部とで形成する折れ角を
   プレス機械のスライドが下死点にある時に最大の
   鈍角を成すよう構成させ、且つ、前記フライホイ
   ール内に前記リンク装置を設けたことを特徴とす
   るプレス機械の駆動装置。