JPS6115309Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は動圧軸受け装置に関するものであ
る。

たとえば従来の４ヘツド型VTRのビデオヘツ
ドモータ用動圧軸受け装置は第１図に示すような
構成になつている。同図において、コアと巻線か
ら構成されるステータ１を挾んで一対の軸受け２
および３が配置され、これらステータ１および軸
受け２，３は各外周辺を被うフレーム４により同
軸上に一体化されている。そして、前記軸受け
２，３には回転軸５が挿入されており、この回転
軸５の前記軸受け２，３間における外周面には磁
石鋼６が取り付けられている。この磁石鋼６と前
記ステータ１はビデオヘツドモータを構成し、軸
受け２，３に軸支されている回転軸５を回転させ
るようになつている。そして、回転軸５の一側端
面には軸受け２に近接してビデオヘツドドラム７
がねじ８で固定されているとともに、他の側端面
には回転軸５の回転速度の制御を行なうタコホイ
ール９が軸受け３に近接してねじ１０で固定され
ている。

このように構成されたビデオヘツドモータ用動
圧軸受け装置において、回転軸５は、ステータ１
と磁石鋼６とで構成されるモータの作用で、ビデ
オヘツドドラム７およびタコホイール９とともに
回転するが、ある回転速度以上になると、回転軸
５と各軸受け２，３の間の空気の動圧効果によ
り、回転軸５は各軸受け２，３から浮上し無接触
状態で回転するようになる。しかし、回転軸５の
起動時あるいは停止時には、回転軸５と各軸受け
２，３とのこすれ合いで生ずる摩耗および焼き付
けを防止するため一般には、前記各軸受け２，３
の内壁面とこの内壁面と対向する回転軸５の外周
面にはアルミナ系セラミツクコーテイングによる
硬化処理を施こしている。そして、この硬化処理
が施こされる回転軸５はアルミナ系セラミツクに
対して耐腐食性、被着性が強く、かつ加工の容易
な黄銅等を地金とするものである。

ところで、このように黄銅等を地金とする回転
軸５は、ヤング率が比較的小さいため、ねじ８お
よび１０でそれぞれ固定されたビデオヘツドドラ
ム７およびタコホイール９の周側面におけるねじ
の近傍において、たとえば第１図の−におけ
る断面図である第２図に示すように、ねじ孔形成
の際あるいはねじ８の螺入の際に径方向に発生す
る力によつて形成される高さ約0.5〜１μｍ程度
のふくらみ５ａを有してしまう。このため、回転
軸５の高精度な回転が損なわれていた。また回転
軸５の起動，停止時にはふくらみ５ａが各軸受け
２，３と強くこすれてダメージを受ける欠点があ
つた。

したがつて、この考案は回転軸の周側面におけ
るふくらみをなくし、高精度の回転を達し得る動
圧軸受け装置を提供するものである。

以下、実施例を用いてこの考案を詳細に説明す
る。

第３図はこの考案の動圧軸受け装置の一実施例
であるビデオヘツドモータ用動圧軸受け装置を示
す構成図である。同図において第１図と同符号の
ものは同一材料を示す。第１図と異なる構成は回
転軸１１にあり、この回転軸１１は、ビデオヘツ
ドドラム７およびタコホイール９をそれぞれ両側
端面にねじ８および１０で固定した軸体１１ａ
と、この軸体１１ａの各軸受け２，３の内壁面に
対向する領域に嵌め込まれる円筒形の外郭材１１
ｂとから構成されており、前記軸体１１ａと外郭
材１１ｂは一体的に固定されている。そして外郭
材１１ｂの各軸受け２，３の内壁面に対向する外
周面にはアルミナ系セラミツクコーテイングが施
こされている。さらに、軸体１１ａと外郭材１１
ｂとの境界にはそれぞれビデオヘツドドラム７お
よびタコホイール９側からねじ８および１０の螺
入方向へ沿つて各ねじ８および１０の先端部以上
に至る間隙１２および１３を有する。この間隙１
２および１３はたとえば外郭材１１ｂの一端部に
おける内径を若干大きくすることによつて形成さ
れる。

このように構成したビデオヘツドモータ用動圧
軸受け装置は、第３図の−における断面図で
ある第４図に示すように、ねじ８で固定されたビ
デオヘツドドラム７を有する軸体１１ａの周側面
において、ねじ孔形成の際あるいはねじ８の螺入
の際に径方向に発生する力によつて形成されるふ
くらみ１４を有しても、このふくらみ１４は外郭
材１１ｂとの間隙１２内に発生するのみで、外郭
材１１ｂにはその径方向に力が加わらない。した
がつて軸受け２の内壁面と対向する外郭材１１ｂ
の外周面はなんらの変形も受けない。このことは
タコホイール９側における回転軸１１においても
同様である。

それ故、回転軸１１が各軸受け２，３から浮上
して無接触状態で回転する場合、軸受け２，３の
内壁面と対向する回転軸１１の外周面との間に空
気流の乱れがなくなり、回転軸１１は高精度に回
転する。また回転軸１１の起動あるいは停止時に
おける各軸受け２，３とのこすれ合いにおいて
も、広い面積で接触するため、各アルミナ系セラ
ミツクコーテイング面の劣化が極めて少なくな
る。実験によれば従来起動および停止を3000回繰
り返えしたところねじ近傍のアルミナ系セラミツ
クコーテイング面に光沢を帯びたが、この考案で
は前記光沢はまつたく認められなかつた。

この実施例では軸体１１ａと外郭材１１ｂとの
境界において間隙１２および１３を有し、この間
隙１２および１３は周方向に沿つて形成されたも
のであるが、第５図に示すように、外郭材１１ｂ
とねじ８との間における前記外郭材１１ｂと軸体
１１ａの境界のみに間隙１２を設けても同様の効
果が得られる。

また、この実施例ではビデオヘツドモータ用動
圧軸受け装置を例に掲げて説明したものである
が、一端面にねじで固定された部材を有する回転
軸と、この回転軸を前記ねじが螺入されている個
所で軸支する軸受けとから構成される動圧軸受け
装置全てに応用できるものである。

以上述べたように、この考案に係る動圧軸受け
装置によれば、軸受けの内壁面に対向する回転軸
の外周面に発生するふくらみをなくし、高精度の
回転を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の動圧軸受け装置の一例を示す構
成図、第２図は第１図の−における断面図、
第３図はこの考案に係る動圧軸受け装置の一実施
例を示す構成図、第４図は第３図の−におけ
る断面図、第５図はこの考案に係る動圧軸受け装
置の他の実施例を示す説明図である。 １……ステータ、２，３……軸受け、４……フ
レーム、５，１１……回転軸、６……磁石鋼、７
……ビデオヘツドドラム、８，１０……ねじ、９
……タコホイール、１１ａ……軸体、１１ｂ……
外郭材、１２，１３……間隙、１４……ふくら
み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端面にねじで固定された部材を有する回転軸
   と、この回転軸を前記ねじが螺入されている個所
   で軸支する軸受けとから構成され、前記回転軸の
   回動の際、前記軸受けの内壁面とこの内壁面と対
   向する回転軸の外周面との間に動圧が発生する動
   圧軸受け装置において、前記回転軸は、前記部材
   を固定する軸体と、この軸体の前記軸受けの内壁
   面に対向する領域に嵌め込まれて前記軸体と一体
   をなす外郭材とからなり、少なくとも前記外郭材
   と前記ねじとの間における前記外郭材と軸体の境
   界には間隙を有することを特徴とする動圧軸受け
   装置。