JPS6112248Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用ドアのシール構造に係り、特
にヒンジ開閉式ドアとスライド式ドアとを兼ね備
え、かつセンターピラーを廃止した車両における
両ドアの対向間隙のシール構造に関する。

従来、ヒンジ開閉式ドアとスライド式ドアとを
兼ね備え、かつセンターピラーを有する車両にあ
つては、第１図と第２図に示すように、ヒンジド
ア１の側周縁段部７に、ドア閉時にセンターピラ
ー２と弾接するリツプ片３を突設してなるドアウ
エザーストリツプ４を固着して車室内に雨水等が
侵入しないよう構成している一方、スライドドア
８とセンターピラー２との間も別のドアウエザー
ストリツプ４′によりシールするようにしてい
る。

しかしながら、かかる従来のヒンジ開閉式ドア
に装着されているドアウエザーストリツプ４を、
第３図に示すようにセンターピラー２のない車両
であつて、一方がヒンジ開閉式ドア１で他方がス
ライド式ドア８を採用している車両にそのまま適
用することは次のような不具合があるので採用す
ることはできない。

すなわち上記従来のドアウエザーストリツプ４
をそのまま適用すると、第４図に示すようにリツ
プ片３がスライド式ドア８の前端部の結合フラン
ジ部１２方向へ突出する構成となつているため、
ヒンジドア１を先閉めし、かつスライド式ドア８
を後閉めすると、スライド式ドア８の結合フラン
ジ部１２の閉軌跡が矢印Ａとなるため上記リツプ
片３が第４図仮想線で示すように変形してリツプ
片３が上記結合フランジ部１２の先端のみで弾接
し、シール面が十分確保できずシール不良を起こ
す恐れがあるため、スライド式ドア８を先閉め又
は後閉けしなければならず、その結果スライド式
ドア８を独立して開けることができないという不
具合を有していた。

この考案は、かかる現状に鑑み創案されたもの
であつて、その目的とするところは、一方がヒン
ジ開閉式ドアで、他方がスライド式ドアを採用す
る車両であつて、センターピラーのない車両にお
いて、双方のドアを夫々独立して開閉してもドア
閉時におけるシール性を良好にした車両用ドアの
シール構造を提供しようとするものである。

以下添付図面に示す実施例にもとづき、この考
案を詳細に説明する。

この考案が適用される自動車Ｃは、第３図に示
すようにセンターピラーのない車両であつて、一
方がヒンジ開閉式ドア１で、他方がスライド式ド
ア８である。そしてこれらのドア１，８は開動初
期状態においては、各々図中Ａ及びＢの方向に移
動するものである。

そして上記ヒンジ開閉式ドア１は、第５図に示
すように、ドアアウターパネル５とドアインナー
パネル６とが巻き締め結合され、かつこれらのパ
ネル５，６の巻き締め端部１ｂは車室内方向へ折
曲されてフランジ部を形成している。

そしてこのヒンジ開閉式ドア１の側周面１０に
は、ドアウエザーストリツプＷが装着されてい
る。

このドアウエザーストリツプＷは、側周面１０
を形成するドアインナーパネル６にクリツプ１１
止めされた基部W₁と、この基部W₁より一体に中
空部W₃を形成して延設されたシールリツプW₂と
から構成されており、このシールリツプW₂は、
後述するこの辺部１２ａ，１２ｂの描く移動軌跡
と略同一方向の傾斜方向を有し、この軌跡をスラ
イド扉面の端面が比較的浅い角度で横切ると共
に、この端面が断面なだらかな湾曲形状を描くも
のとしている。また、基部W₁にはドア１のフラ
ンジ部１ｂが嵌合してウエザーストリツプＷの取
付強度を確固にしている。一方、アウターパネル
８ａとインナーパネル８ｂとで形成されたスライ
ド式ドア８の前側部の接合フランジ部１２はドア
長手方向に沿う辺部１２ａとこの辺部１２ａの先
端より車室内側に折曲された辺部１２ｂとから構
成されており、両辺部１２ａ，１２ｂにまたがつ
てウエザーストリツプＷに弾接してシール面を形
成するようにしている。更に、上記ウエザースト
リツプＷが取り付けられているヒンジ開閉式ドア
１のドアインナーパネル６及びドアアウターパネ
ル５は上述した辺部１２ａ，１２ｂの描く軌跡よ
り前方に位置するようにしている。このことによ
り、ヒンジ開閉式ドア１の開閉を確保することが
できる。

それ故上記実施例にあつては、ヒンジ開閉式ド
ア１及びスライド式ドア８の閉時にはシールリツ
プW₂におけるフランジ部１２の両辺部１２ａ，
１２ｂが弾接する部分のみが内方に押圧されるの
でヒンジ開閉式ドア１及びスライド式ドア８のい
ずれを先閉め又は先開けしてもドアウエザースト
リツプＷのシールリツプW₂がスライド式ドア８
のフランジ部１２の両辺部１２ａ，１２ｂにまた
がつて弾接するのでシール面が十分確保されシー
ル不良をおこす虞れがない。即ち、ヒンジ開閉式
ドア１を先閉めした状態でスライド式ドア８を閉
めた場合には、スライド式ドア８はＢ方向に沿つ
て移動して、辺部１２ａ，１２ｂは開閉式ドア１
の端部に設けたウエザーストリツプＷのシールリ
ツプW₂に円滑に接触する。そしてこのスライド
式ドア８を開ける場合にも、辺部１２ａ，１２ｂ
は同様に円滑に離反する。逆にスライド式ドア８
を先閉めして、その後にヒンジ開閉式ドア１を閉
める場合には、ヒンジ開閉式ドア１先端はＡ方向
に沿つて移動し、スライド式ドア８の辺部１２
ａ，１２ｂに当接して確実にシールが行なわれる
こととなる。この場合において、ウエザーストリ
ツプＷと辺部１２ａ，１２ｂとの当接状態は略同
一であり、同一のシール性能を得ることができ
る。

この考案は、上述したように、センターピラー
がなく、しかもドアがヒンジ開閉式ドアで他方が
スライド式ドアを採用する車両のドア接合端側部
のシール構造において、ヒンジ開閉式ドア側に装
着されるドアウエザーストリツプをスライド式ド
アの対向する端部に形成されたフランジ部の両辺
部がまたがつて弾接するようにしたので、スライ
ド式ドアを独立して開閉しても確実にシールする
ことができるという効果を奏する。

なお、実施例のようにウエザーストリツプのシ
ールリツプのスライド扉側端部を湾曲形状に形成
しておけばシール面は安定して拡大し、シール性
が良く、しかもスライド式ドア側フランジ部によ
る破損のおそれもなく耐久性が良いという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のヒンジ開閉式ドアとスライド式
ドアを備えてなるセンターピラー付自動車の側面
図、第２図は第１図−線拡大断面図、第３図
はこの考案が適用されるヒンジ開閉式ドアとスラ
イド式ドアを有し、かつセンターピラーのない自
動車の側面説明図、第４図は同自動車のシール部
に従来のドアウエザーストリツプを適用した場合
を示す断面説明図、第５図は同自動車のシール部
にこの考案の係るドアウエザーストリツプを適用
した場合を示す断面説明図である。 Ｗ……ドアウエザーストリツプ、W₂……シー
ルリツプ、１……ヒンジ開閉式ドア、５……ドア
アウターパネル、６……ドアインナーパネル、８
……スライド式ドア、１２……フランジ部、１２
ａ，１２ｂ……辺部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ヒンジ開閉式ドア１とスライド式ドア８とを
   備え、このヒンジ開閉式ドア１とスライド式ド
   ア８とのドア閉時における対向する端部にドア
   ウエザーストリツプＷを介在させてシールする
   ようにした車両用ドアのシール構造において、
   スライド式ドア８のヒンジ開閉式ドア側端部
   に、車両長手方向に沿う辺部１２ａと、この辺
   部１２ａの先端より車室内方向に折曲された辺
   部１２ｂとを形成する一方、上記ヒンジ開閉式
   ドア１のスライド式ドア８側周縁部にスライド
   式扉８の辺部１２ａ，１２ｂのスライド軌跡と
   略同一の傾斜方向を有し、この軌跡を浅い角度
   で横切ると共にスライド式扉側の端面が湾曲形
   状として上記辺部１２ａ，１２ｂにまたがつて
   断接するシールリツプW₂を有するドアウエザ
   ーストリツプＷを取付ける一方、上記ヒンジ開
   閉式ドアのインナパネル及びアウタパネルのス
   ライドドア側端面が上記辺部１２ａ，１２ｂの
   スライド軌跡より前方に位置するよう形成した
   ことを特徴とする車両用ドアのシール構造。 ２ ドアウエザーストリツプＷのシールリツプ
   W₂は取付基部W₁より中空部W₃を形成している
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の車両用ドアのシール構造。