JPS6111544Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はハンドブレーキ機構を備えたデイスク
ブレーキに関するものである。

第１〜３図は従来方式によるデイスクブレーキ
を示し、車体に取付けられるブラケツト１にはス
ライドピン２，２を介してシリンダ３が摺動可能
に設けられている。該シリンダ３の一方の脚部３
Ａ内には液圧により作動するピストン（図示せ
ず）が設けられ、他方の脚部３Ｂはデイスク（図
示せず）を跨いで前記ピストンの対向側に臨んで
いる。４，５はデイスクを挾んで設けられた一対
のパツドである。

前記シリンダ３の一方の脚部３Ａ端部には有底
の環状孔６が形成され、該環状孔６にはベアング
７により案内されたカム軸８が回動可能に挿嵌さ
れている。カム軸８には該カム軸８が回動するこ
とによつてシリンダ３内でピストンを摺動させる
偏心カム（図示せず）が設けられている。そし
て、カム軸８はシリンダ３から外部に突出し、そ
の突出部分にはカム軸回動用のレバー９が設けら
れ、カム軸８とレバー９との間に張設されたばね
１０により該レバー９は第１図中矢示実線方向に
付勢され常時はストツパ１１に当接している。レ
バー９のワイヤ固定部９Ａにはワイヤ（図示せ
ず）の一端が固着され、該ワイヤの他端はシリン
ダ３から突出するワイヤ案内部１２を介してハン
ドブレーキレバーに固定されている。

従つて、ハンドブレーキレバーによりワイヤを
引くとレバー９、カム軸８は第１図中点線方向に
回動し、偏心カムを介してピストンを摺動させ
る。該ピストンによりパツド４をデイスクに圧接
させると、その反力によりブラケツト１に対して
シリンダ３を変位させ、その脚部３Ａで他のパツ
ド５をデイスクに圧接させ、制動作用を与える。

さらに、カム軸８とシリンダ３との間にはこれ
らの間をシールするための環状のダストブーツ１
３が設けられ、該ダストブーツ１３はゴム等の可
撓性材料で形成されている。該ダストブーツ１３
の一端１３Ａはカム軸８の突出部分に形成された
環状溝８Ａに密に嵌合しおており、その他端１３
Ｂはシリンダ３の環状孔６内周面に形成された環
状溝６Ａに密に嵌合している。また、ダストブー
ツ１３の内周に形成された環状突部１３Ｃがカム
軸８に圧接され、カム軸８に対するシール性を良
好ならしめている。一方、環状孔６の口元部分に
は機械加工により面取り部１４が形成され、ダス
トブーツ１３を装置する際ダストブーツ１３が破
損しないように工夫すると共に装着性の向上を図
つている。

ところが、このような従来方式のダストカバー
装置においては、第３図にみる如くダストブーツ
１３はシリンダ３とカム軸８との間隙に該ダスト
ブーツ１３を介装しているため、環状孔６の口元
部分に泥水、塩水、塵埃等が付着する。特に、面
取り部１４に泥水、塩水が溜まると此部から錆を
発生し、錆の進行を早めるばかりでなく、この錆
によりシリンダ３側のダストブーツ１３側面が錆
付いてしまい、ダストブーツ１３が破損してしま
う欠点があつた。

本考案は上記従来技術の欠点に鑑みなされたも
ので、環状孔の口元部分に泥水、塩水、塵埃等が
付着し、これが原因で錆が発生し、ダストブーツ
が破損してしまう等の事故を防止しうるようにし
たデイスクブレーキにおけるダストカバー装置を
提供することにある。

上記問題点を解決するため、本考案が採用する
構成の特徴は、シリンダに形成した環状孔内周面
とカム軸の突出部分外周面との間にはダストブー
ツを設、該ダストブーツの外周面側には前記環状
孔を囲むように、かつ前記シリンダの外表面にば
ね力をもつて当接する環状リツプ部を形成し、該
環状リツプ部とシリンダとの間に環状密閉空間を
形成し、該環状密閉空間には潤滑剤を封入したこ
とにある。

以下、本考案の実施例を第４図に基づいて詳細
に説明する。

第４図において、第１〜３図に示す構成要素と
同一の構成要素には同一符号を付すものとする
に、２１は本考案に係るダストブーツで、該ダス
トブーツ２１の一端２１Ａはカム軸８の外部突出
部分に形成された環状溝８Ａに密に嵌合してお
り、その他端２１Ｂは環状孔６内周面に形成され
た環状溝６Ａを密に嵌合している。また、ダスト
ブーツ２１の内周に形成された環状突出部２１Ｃ
がカム軸８に圧接され、カム軸８に対するシール
性の向上を図つている。

さらに、ダストブーツ２１にはシリンダ３の外
表面に当接し、しかも面取り部１４を囲むような
環状リツプ２１Ｄが形成され、該環状リツプ２１
Ｄは仮想線で示す自由長に対して縮小された状態
で、即ち環状リツプ２１Ｄはばね性をもつた状態
でシリンダ３の外表面に当接しており、此部にお
けるシール性を高めている。そして、面取り部１
４を含む環状孔６の口元部分、シリンダ３上面、
環状リツプ２１Ｄとにより環状密閉空間２２が形
成される。該環状密閉空間２２にはグリース、シ
リコ油等の潤滑剤が充填され、防錆作用を高めて
いる。

本考案は以上のように構成されるが、本考案の
実施例ではダストカバー装置はスライドピンを介
してシリンダが変位する形式のデイスクブレーキ
について述べたが、シリンダが車体に固定される
形式のデイスクブレーキ、例えばアネツト型デイ
スクブレーキに適用してもよいことは勿論であつ
て、要はシリンダとカム軸との間のダストシール
を行なうことができるものであればよいものであ
る。

本考案に係るデイスクブレーキにおけるダスト
カバー装置は以上詳細に述べた如くであつて、下
記各項のような効果を奏する。

シリンダに形成した環状孔内周面とカム軸の
突出部分外周面との間にダストブーツを設け、
該ダストブーツの外周面には環状孔を囲むよう
に、かつシリンダの外表面にばね力をもつて当
接する環状リツプ部を形成する構成としたか
ら、ダストシール本来のシール作用と併せて二
重シールとすることができ、シール性を向上さ
せることができる。

前記項に関連して、還状孔口元部分は環状
リツプ部で覆われ、該環状リツ部とシリンダと
の間に形成される環状密閉空間には潤滑剤を充
填したから、泥水、塩水、塵埃等が侵入するこ
とがなく、該口元部分に機械加工で面取り部を
形成しても、此部から錆が発生することがな
く、防錆効果を高める。

ダストブーツは環状孔内周面とカム軸の突出
部分外周面との間にクランプした状態で取付け
られると共に、環状リツプ部がシリンダの外表
面にばね力をもつて当接しているから、該シリ
ンダは３点支持となつた組付け時の姿勢が安定
し、かつ使用時においても周辺の部材にぶつか
る等の恐れがない。

シリンダの形状を変更したり、追加工を施す
必要がなく、ダストブーツの一部を変更するだ
けでよいから、加工、組付作業の障害となるこ
とがなく、設計変更の必要もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に用いられるデイスクブレーキ
の正面図、第２図は一部を破断にした第１図の左
側面図、第３図は従来方式によるダストブーツを
示す第２図の部分拡大図、第４図は本考案に係る
ダストブーツを示す部分拡大図である。 １……ブラケツト、２……スライドピン、３…
…シリンダ、４，５……パツド、６……環状孔、
７……ベアング、８……カム軸、９……カム軸回
動用レバー、１４……面取り部、１３，２１……
ダストブーツ、２１Ｄ……環状リツプ部、２２…
…環状密閉空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンを内蔵すると共にカム軸用の環状孔が
   形成されたシリンダと、前記ピストンを摺動させ
   るため前記環状孔に回動自在に設けられ、一部分
   が該シリンダ外に突出したカム軸と、該カム軸の
   突出部分に設けられたカム軸回動用レバーとから
   なるデイスクブレーキにおいて、前記シリンダの
   環状孔内周面とカム軸の突出部分外周面との間に
   はダストブーツを設け、該ダストブーツの外周側
   には前記環状孔を囲むように、かつ前記シリンダ
   の外表面にばね力をもつて当接する環状リツプ部
   を形成し、該環状リツプ部とシリンダとの間に環
   状密閉空間を形成し、該環状密閉空間には潤滑剤
   を封入したことを特徴とするデイスクブレーキに
   おけるダストカバー装置。